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2018年8月5日(日)更新

OKR

プロダクトライフサイクルの短期化や消費者価値観の多様化により、企業は迅速かつ複数のビジネス課題を解決しなければいけません。そのためにも現場の社員同士の有意義なコミュニケーションが不可欠です。今回は組織の目標と個人の目標を連動させるOKRの意味やKPIとの違い、設定・運用ポイントから企業事例までをご紹介いたします。

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OKRとは

組織・個人の目標と目標達成度指標を連動させる、OKRの必要性が高まっています。OKRの意味や注目される理由とメリット、KPIとの違いを知ることで、理解を深めることができます。

OKRの意味

OKRとは、Objectives and Key Resultsの略称で、組織が掲げる目標(ゴール)を達成するために、目標と目標達成度指標をリンクさせ、組織・個人の方向性とタスクを明確にする目標管理方法の一つです。

OKRにおける個人の目標設定は、企業の目標から事業部の目標、そしてチームの目標まで細分化された上で決定されます。そのため、組織の成果を達成する上で、全従業員の方向性を統一し、各々の業務を明確化できるメリットがあります。

またOKRでは、イノベーションを生み出すため、組織全体が一丸となって取り組むことが重要とされています。プロダクトライフサイクルの短期化や多様な価値観が生まれてくる中、企業は現状を打破し、目標達成(ゴール達成)に向けて、無駄のない経済活動を行なわなければいけません。

元々、OKRは外資系企業が始め、採用し続けていた目標管理手法でしたが、組織内のコミュニケーションの促進や最適な成果測定を行なえるとあって、導入する日本企業も増えています。

OKRが注目される理由とメリット

経済のグローバル化やプロダクトライフサイクルの短期化に伴い、ビジネス課題がどんどん高度化・複雑化しています。その結果、生産性向上や社内コミュニケーションの促進、従業員のモチベーション向上などに対するさまざまな課題が生まれています。

これらの課題を解決しつつ、より高い目標を達成するためにも、企業目標と個人目標を連動させ、効率化を図る必要性が生じました。企業と従業員の方向性と取り組むべき具体的事項を明確にするOKRは、「企業と従業員の間に絆や信頼関係を構築できる」と考えられており、組織力の強化も見込めることから、採用する日本企業が増えていると考えられます。

また、今後、ダイバーシティの浸透やグローバル人事の導入が本格化していることからも、多種多様な価値観や意見を持つ人材の方向性や意識を統一することが必須といえます。

このように、企業を取り巻く環境の変化もOKRが注目される理由と考えることができます。

OKRは全ての人が顔を合わせることが困難な大人数のプロジェクトにおいて、目標達成に向けた、コミュニケーションの促進化を目的としています。全社員が公開された目標を共有し、目標達成指標(Key Results)を意識しながら、日々の業務に取り組めます。その結果、目標に対する優先事項を明確にすることを可能とし、日々の業務が目標から外れてしまうリスクを防いでくれます。OKRは本来の目標に立ち戻るきっかけを与えてくれる目標管理ツールといえます。

また、OKRは社員ひとり一人の目標と結果につながる連携状態を生み出します。そのため、役職に関係なく、お互いの目標と結果のつながりを理解する状況を生み出せるため、迅速なコミュニケーションを可能とします。その結果、組織・個人の生産性向上につなげることができます。

KPIとの違い

OKRの定量的な効果測定である目標達成度指標(Key Results)は、多くの企業が採用している業績管理手法の一部であるKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは異なります。

KPIは最終目標を達成するための必要なプロセスを経過目標と定義し、それらが適切に実行されているかどうかを順次チェックしていくことで、最終目標を達成します。そのため、KPIの目的は各プロセスのチェックを目的に運用されます。しかし、OKRは組織目標を達成するためのコミュニケーションの促進を目的としています。

また、KPIは主に部署、担当課単位で運用されることに対して、OKRは組織目標に対する目標管理制度であり、全社員で運用されます。さらにKPIは100%の達成率を前提に設定されますが、OKRは限界を超えて、創意工夫によって、到達できるレベル(設定目標の60~70%が最適といわれている)で、目標達成度指標(Key Results)を設定することが望ましいといわれています。

項目 OKR KPI
目的 全社的なコミュニケーションの促進 プロセスのチェック
運用単位 経営陣を含む全社員 部署、担当課単位
設定する目標達成率 60~70% 100%
さらなるメリット 組織文化の形成 -

【関連】「KPI」の意味とは?KGIとの違いや目標達成ための設定、今後の分析までご紹介/BizHint HR

OKRの設定方法(プロセス)

OKRは大規模な組織改革や社員の意識改革を実施しなくとも、すぐに導入できるメリットがあります。しかし、経営者を含む経営陣・全社員の理解を得るためには、適切な設定方法(プロセス)を踏まなければいけません。今回はOKRの設定方法(プロセス)をご紹介いたします。

Objectives(達成目標)の設定

OKRの設定は、Objectives(目標達成)を決めることから始めます。Objectiveは定量的かつ野心的な側面を持たさなければいけません。そのため、以下のポイントを押さえて設定することがおすすめです。

  • 限界突破、創意工夫により到達できる高い目標(ゴール)を設定する
    組織目標のため、現実的でない、簡単すぎる目標は避ける。全社をあげて取り組んだ結果、達成率が70%程になる達成度合いが理想的です。
  • 期限を設ける
    OKRの達成期限は原則自由です。しかし、四半期ごとにObjectivesとKey Resultsを設定することが一般的です。
  • ひとつの期間に設定するObjectivesは6個まで
    Objectivesが多すぎるとそれぞれに矛盾が発生し、取り組み自体が困難となり、Objectivesが形骸化してしまいます。導入初期の時期は少なめに設定すべきです。

Key Results(主要な結果)の設定

Objectivesの設定が完了すれば、Objectives(達成目標)に対しての主な結果である「Key Results」を設定します。Key Resultsは以下のポイントに注意して、設定することがおすすめです。

  • 達成可能な結果であること
    Key Resultsは計測して判定するものであるため、具体的な数値指標でなければなりません。
  • 測定(判定)可能な結果であること
    客観的な判断を可能にするため、Key Resultsは数値結果であることと、達成率70%以上を可能とする結果であることが求められます。
  • ひとつのObjectivesに対して、最大5つのKey Resultsまでに留める
    Key Resultsが多すぎると、かえってコミュニケーションを阻害する可能性が生じます。OKR導入初期はKey Resultsは少なめに設定すべきです。
  • Key Resulutsを人事評価制度に反映しない
    OKRの目的は組織目標に向けたコミュニケーションの促進であり、達成度合いを人事評価制度に反映させてはいけません。しかし、日本企業の中には、社員の成果を測る目安として、OKRを導入しているケースもみられます。本来の使用目的とは異なるため、人事担当者はOKRと人事評価・人事制度とは全く異なるものであると認識しなければいけません。

全社員へOKRを共有する

OKRは経営者(経営陣)を含む全社員が対象です。そのため、作成されたOKRは、社内イントラネットを使用して全社員がいつでも閲覧できる状態にしておくことが大切です。

また、全社ミーティングを開催し、経営トップ自らが登壇し、全社員に向けたプレゼンテーションの実施も効果的です。経営トップや事業部門責任者が自らの声でOKRを伝えることで、社員一人ひとりの方向性を定め、企業として取り組むべき優先課題を示すことができます。また、全社員の結束力を強化する効果も期待できます。

OKR運用で注意したいポイント

OKRは四半期ごとに設定・運用・効果想定が行なわれることが一般的です。そのため、運用上、注意したいポイントが存在します。OKRを運用する際は、以下のポイントに注意しましょう。

企業全体から細分化する

OKRは、企業全体から細分化していきながら、設定していくことが望ましいといわれています。企業全体のOKR(目標と結果)、チームのOKR、チームメンバーのOKRの順番で設定していきます。

また、企業の結果がチームの目標になり、チームの結果がチームメンバーの目標になるように設定することも大切です。それぞれの目標と結果が適切にリンクしているかどうかを擦り合わせることで、整合性のあるOKRを作り上げることができます。

進捗の共有化

OKRは全社員共通の目標と目標達成度指標を明確にする目標管理ツールです。そのため、全社員がお互いの進捗を共有できる環境の構築が大切です。

決定されたOKRの内容全てがいつでも閲覧可能なことはもちろんですが、社員ひとり一人が各々の役割とやるべき行動を意識し、日々の進捗を把握しているかどうかもOKRを運用する上では大事なポイントとなります。

コミュニケーションの強化

OKRは企業とチーム、チームとチームメンバーの連携が上手くいってはじめて機能します。したがって、設定された期日まで全社員が密接なコミュニケーションをとって、OKRを確認し合うことが大切です。さらに社員ひとり一人がOKRに集中できる労働環境を構築してあげなければ、無駄なコミュニケーションが発生してしまい、時間の浪費につながってしまいます。

社員が自らの限界を突破し、創意工夫をするためのコミュニケーションに重点を置くためにも、管理職は部下のやるべき行動を理解した上で、部下の業務を調整し、OKRに集中させるマネジメントを実施しなければいけません。

成果測定と評価の実施

設定した期日が満了すれば、目標達成度を数値化し、達成度評価を行います。評価する際はKey Resultsが70〜80%達成した時点で達成できたものと見なします。各部門で10段階評価や%で評価を行ない、スコアを社員全員に公開します。

また、OKRは目標と結果をすぐにレビューできるように構成されているため、評価に必要以上の時間をかけないようにします。取り組みの課程や評価した内容を検証し、経営や次回のOKRに反映させます。

OKRを導入している企業事例

元々、OKRは外資系企業が取り組んできた目標管理手法といわれています。今も変わらず、OKRを実施している日本法人の外資系企業も多く、また、積極的にOKRを導入している日本企業も増えています。

進捗を全社員で共有するGoogle LLC

世界的な多国籍テクノロジー企業であるGoogle LCC(以下、グーグル)では、従業員を「世界の縮図」と考えており、ダイバーシティを尊重しています。アイデア出しや問題への解決策以外にも、到達すべき目標と各々の進捗を全社員で共有し、「全社員がGoogleの代表」という意識を持ちながら方向性を定め、イノベーションを生み出しています。

エンターテイメント、ビジネス、デバイスなど幅広い分野で画期的なサービスを提供しているグーグルは、積極的にOKRを導入している先行企業といえます。

【参考】Google Workplace
【参考】Google John Doerr on OKRs and Goal Setting at Google and Intel

Tech dayを導入している株式会社フリークアウト・ホールディングス

アドテクノロジーの開発・展開を行う株式会社フリークアウト・ホールディングス(以下、フリークアウトHD)では、2 週に1 度、金曜日を「Tech day」に設定し、自分で自由に課題を設定した上で、課題にチャレンジする機会が設けられています。

「人に人らしい仕事を。」という経営理念を下に、会社の大きな目標に対して、社員ひとり一人がどのような目標と目指すべきかを考える機会を設けている点は、社員ひとり一人に目標を落としこむというOKRの特徴と共通しているといえます。

【参考】株式会社フリークアウト・ホールディングス/採用情報

企業の大きな目標を細分化する 株式会社メルカリ

国内フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリ(以下、メルカリ)では、「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションを全社員で共有し、卓越した能力とオーナーシップを持つ社員ひとり一人が、「All for One -全ては成功のために-」という意識の下、日々の業務に取り組んでいます。

世界的なマーケットプレイスの創造という企業の大きな目標を細分化し、社員ひとり一人が専門領域を発揮し、大胆な発想を生み出せる企業運営はOKRを体現している日本企業といえます。

【参考】株式会社メルカリ 企業情報

まとめ

  • OKRは多くの人が関わるプロジェクトで役に立つ目標管理方法です。今後、ダイバーシティの浸透やイノベーションの創出が、企業価値に大きな影響を与えます。
  • より高い目標を達成する上でも、組織・個人がともに成長するための戦略的な管理ツールとして、OKRは機能します。
  • OKRの導入はコミュニケーションの促進や組織文化の形成、組織力の強化にもつながるため、複数の大きなプロジェクトを運用している企業は導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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