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2018年8月11日(土)更新

クリティカル・シンキング

クリティカル・シンキングとは、「批判的思考」と訳される思考方法ですが、ただ物事を批判的に捉えるという意味ではありません。これは、その時点における「最適解」を導き出すために、目の前にある事象や情報を鵜呑みにせず、「それは本当に正しいのか」という疑問を持ち、じっくり考察した上で結論を出すことを言います。今回は、このクリティカル・シンキングについてご紹介します。

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1.クリティカル・シンキングとは

そもそも「critical(クリティカル)」とは、「批判的な・批判眼のある」等の意味を持つ単語です。クリティカル・シンキングを直訳すると「批判的思考」となりますが、ただ物事を批判的に捉える思考という意味ではありません。

クリティカル・シンキングは、目の前にある事象や情報を鵜呑みにせず、まずは「それは本当に正しいのか」と疑問を持ち、じっくり考察した上で結論を出すことを言います。

【出典】Weblio英和辞典・和英辞典「critical」

クリティカル・シンキングを意識する目的

クリティカル・シンキングの目的は、その時点での「最適解」を導き出す事です。事象や情報、そしてそれに対する外的な意見、自分自身の意見、その全てを客観的に捉え疑問を持つ事により、その事象についてより最適な結論に辿り着いたり、自分自身が十分に納得した上での判断が可能となります。

クリティカル・シンキングの重要性

このクリティカル・シンキングは世界的にも注目されており、世界の大手企業などが加盟している非営利の公益財団「世界経済フォーラム(WEF)」の2016年の年次総会(通称:ダボス会議)では、「2020年に必要なビジネススキル」のランキングで2位となりました。

特にアメリカでは重要視されており、小学生からクリティカル・シンキングのスキルを意識した学習が行われているとも言われています。

【参考】BRAVE ANSWER「世界経済フォーラムとは?|2020年に必要なビジネススキルトップ10」
【参考】学研出版サイト「【連載コラム】『子どもの可能性を引き出す アメリカ最新教育事情』第14回 アメリカ人の論理的思考」

2.クリティカル・シンキングの3つの基本姿勢

それでは、クリティカル・シンキングを進める上で必要不可欠と言われる3つの基本姿勢について、同思考法についての著名な書籍「グロービスMBAクリティカル・シンキング」よりご紹介します。

目的は何かを常に意識する

まずは、思考を始める前にその「目的」を考える事です。目の前の事象にばかりとらわれず、それを検討する目的に立ち返り、「そもそもその目的で合っているのか?」と疑問を持つ事で、その検討や議論は、より意味のあるものに変わります。

この目的が定まっていなければ、論点が定まらなかったり意味のない議論に時間を費やしてしまう事になりかねません。目的は思考を進める上で軸となる重要な要素であると言えます。

自他に思考の癖がある事を前提に考える

人間は誰しも「思考の癖」を持っているという事を、認識しておく必要があります。その人が育ってきた環境や、学んできた知識によって思考は構築されています。つまり、人によって常識や前提だと思っている事は違うという事です。

まずは自分自身の出した考え自体に疑問を持ち、客観的な視点を持ってみる事によってその癖を把握する事ができます。

問い続ける

最後に、安易に結論に辿り着くのではなく、疑問が出なくなるまで「問い続ける」という点です。「だから何?」「なぜ?」「本当に?」この3つの疑問を常に持ち続け、その事象の本質を見極めます。そうする事で、まずは思考の習慣が身に付く事、そして物事を深堀りする事で、見えなかった新しい発見に出会える事もあります。

【出典】GLOBIS 知見録「クリティカル・シンキングの3つの基本姿勢: テクニック以前に必要なこと」
【出典】グロービス経営大学院 著「改訂3版 グロービスMBAクリティカル・シンキング」ダイヤモンド社

3.ロジカル・シンキングとの違い

ここで、近年注目されている思考法「ロジカル・シンキング」との違いについて見てみましょう。

ロジカル・シンキングとは

そもそも「logical(ロジカル)」とは、「論理的な・筋の通った」等の意味を持つ単語であり、「ロジカル・シンキング」は「論理的思考(論理思考)」と訳されます。

ある一定の枠組みに従って論理的に道筋を立てて考え、目の前にある事象を分かりやすく分解し、漏れなくだぶりなく、整理・分析する事で、より正しく合理的な「最適解」を導き出す思考法です。顧客との交渉やプレゼンテーションの場でも非常に役立つもので、近年のビジネスパーソンにとって必要不可欠なスキルとされています。

ロジカル・シンキングを進める際の代表的なフレームワークに、物事を構造的に分解する手法「ピラミッドストラクチャー」、そして、物事を「モレなくダブリなく」検討するための手法「MECE」があります。

【出典】日経Bizアカデミー「第1回”ピラミッド構造”と”MECE”が基本-ロジカル・シンキング」
【出典】Weblio英和辞典・和英辞典「logical」

【関連】BizHint HR「ロジカルシンキングの意味とは?トレーニング方法やおすすめ本をご紹介」

ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャー(ピラミッド構造)とは、自身の主張およびその根拠を、ピラミッド型の図で表現する手法の事を言います。この手法では、まず自身の考えを整理し、その考えの妥当性を客観的に検討する事ができます。また、結論と根拠が一目で分かり、全容を相手に分かりやすく伝えられる、などのメリットがあります。

【関連】BizHint HR「ピラミッドストラクチャーとは?論理展開ツールの活用メリットや作成方法もご紹介」

MECE

「MECE」とはMutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字を取ったもので、「重複しておらず、全体的に漏れの無い状態」という意味の言葉です。 目の前にある複雑な課題を、分解して整理し、シンプルにした上で検討するのがロジカル・シンキングです。ただし、その整理する作業の中で「モレ」「ダブリ」があっては、全体が把握できず正しい結論を導き出す事ができないのです。そのため、一般的にマーケティングなどで利用される「3C分析」「4P分析」「SWOT分析」等を用いて、「モレなくダブリなく」の状態を目指します。

【関連】BizHint HR「MECE(ミーシー)とはロジカルシンキングの基本!代表的なフレームワークもご紹介」

ロジカル・シンキングとクリティカル・シンキングの違い

ご紹介したようにロジカル・シンキングは「論理的思考」、そしてクリティカル・シンキングは「批判的思考」と訳されます。ロジカル・シンキングは事象をシンプルに整理し分析して解決策を導き出すこと。そしてクリティカル・シンキングは、事象に対して客観性を持ち、疑問を持って考える事で解決策を導き出す手法です。そもそもの姿勢に違いがあるのです。

ただし、最適解を導き出すには、その場にあったいずれかの手法を使えば良い、というものではありません。まず事象に対してロジカル・シンキングで整理・分析し、答えを導き出します。それに対してクリティカル・シンキングの視点で疑問を持ち、更に考察する事で、精度の高い「最適解」を導きだす事ができるのです。

対照的な思考法「クリエイティブ・シンキング」

ビジネスにおける代表的な思考法は主に3つあると言われており、「クリティカル・シンキング」「ロジカル・シンキング」の他に「クリエイティブ・シンキング」があります。この思考法は、ロジカル・シンキングとは対象的な思考法として位置づけられています。

「creative(クリエイティブ)」とは、「創造的な、創造力のある」等の意味を持つ単語であり、「クリエイティブ・シンキング」は「創造的思考」と訳されます。「枠組みにとらわれず、自由にアイデアを発想する」という思考法です。具体的には、グループでアイデアを出し合う「ブレインストーミング」や、そもそも自分自身は「固定概念を持っている」という前提で、それが何かを検証し取り除き、自由な発想力を高める「ルールブレイキング」等を用いて思考を進めます。

【出典】Weblio英和辞典・和英辞典「creative」

【関連】BizHint HR「クリエイティブシンキングとは?ロジカルシンキングとの違いや、実践するためのツールをご紹介」

4.クリティカル・シンキングを使うメリット

それでは、クリティカル・シンキングを使用するメリットについて見てみましょう。

課題を深く掘り下げて考えられる

まずは、課題について深く掘り下げて考えられるという点です。

目の前にある事象について懐疑的な姿勢で疑問を持ち、「なぜ?」を一つ一つ解決してゆく事で、そのままでは見えなかった側面が見えてきます。そうする事で、物事についてどんどん深堀りができ、必要な情報が正しく出そろった状態で検討を進める事ができます。

検討の矛盾や抜け漏れをなくす

ロジカル・シンキングの「MECE」とも繋がりますが、クリティカル・シンキングを実施する事で、物事を検討する際の矛盾、そして抜け漏れも無くす事ができます。

物事を分解してひとつひとつに疑問を持つ事で、やがてそこにある矛盾点に気づく事ができます。そうすれば、その矛盾点を解決した上で、検討を進められます。また、同様に情報や検討材料の抜けや漏れにも気づく事ができ、正しい情報が出そろった状態で結論を導き出す事ができるのです。

議論の間違いの方向転換を容易にする

最後に、議論の間違いに素早く気づき、方向転換を容易にするという点です。

常に懐疑的な視点を持って事象に向き合う事により、課題を深く掘り下げ、抜け漏れや矛盾を無くす事ができます。そうする事で、議論は紆余曲折ありながらも正しい方向に進み、途中で間違った道に進みかけたとしても、すぐにその間違いに気づき方向転換する事ができます。

そうする事で、時間や労力のロスを防ぐ事ができるだけでなく、間違った結論に至るプロセスを食い止める事ができるのです。

5.クリティカル・シンキングの進め方

それでは、具体的にクリティカル・シンキングの進め方について見てみましょう。

①課題を抽出する

まずは、冒頭でもご紹介したように「目的は何か」を意識しながら、課題を抽出する事です。この課題設定が間違っていると、間違った、あるいは意味の無い議論や思考に時間を費やしてしまう事になります。

②課題を分解する

課題が決まれば、次にそれを分解し整理します。複雑な要素を一つ一つ紐解き、それを誰にも分かりやすく並び替え整理します。その際に、「ロジカル・シンキング」等でも使われる思考のフレームワークを使うと良いでしょう。論理的思考を併せて使うと、より正しい課題解決に近づく事ができます。

③現状を把握する

②で揃った情報や材料を元に、今置かれている現状を把握します。その際には、やはり冒頭の基本姿勢「思考の癖がある事」を前提に置き、個人の考えや思い込み、予想などに振り回されないようにしましょう。目の前にある事実だけを元に、粛々と現状を受け入れます。

④仮説を立てる

次に、把握した現状を分析し、その上で仮説を立てます。その際にも、基本姿勢「問い続ける」を意識し、本当にその仮説で良いのかを細かく検証します。この仮説の検証が難航する場合には、①〜③のどこかに抜け漏れや矛盾が潜んでいる場合があります。今一度立ち返って、検証しましょう。

⑤解決方法を実践する

最後に、④で設定した仮説を元に、課題の解決方法を実践します。その際、ただ対策を実行して終わりではなく、しっかりとPDCAサイクルを回した上で、結果を検証しましょう。新たな課題が見つかったり、そもそもその解決方法が間違っている事が判明するかも知れません。

6.研修会社紹介

それではここで、クリティカル・シンキングについて学べる研修をご紹介します。

グローバルナレッジ

アジアを中心に、グローバルIT人材の育成のための研修などを提供しているグローバルナレッジの研修です。同スクールでは1,000以上のコースを提供し、コース受講者は年間で約1万人にものぼります。(2017年9月時点の掲載情報)

同社のクリティカル・シンキングの講座は、思考過程にある「思い込み」を排除し「本質を見抜く」という事をテーマに、「状況を把握する」「考えを評価する」「結論を出す」の3つのプロセスを、ツールを活用しながら理解してゆきます。冒頭ではしっかりとクリティカル・シンキングの基礎について学び、最後には総合演習を行い論理的思考力を定着させます。期間は1日間の集合研修となります。

【参考】IT研修のグローバルナレッジ「【PDU対象】クリティカルシンキング ~ 思い込みを排除し、本質を見抜く ~」

グロービス・マネジメント・スクール

これまでに10万人(2017年9月時点の掲載情報)が受講したとされる、グロービス・マネジメント・スクールの研修です。同スクールのグループであるグロービス経営大学院では、先ほどもご紹介したクリティカル・シンキングについての書籍「グロービスMBAクリティカル・シンキング」も出版されています。

同講座ではクリティカル・シンキングを「ビジネスを実践していく上での基礎体力」として、ロジカル・シンキングや問題解決のための手法、コミュニケーション手法など、基礎的なスキルから学べます。全6回3ヶ月の講座で、講義と演習を繰り返す事で、実践で使えるスキルを身につけます。

【参考】グロービス・マネジメント・スクール「クリティカル・シンキング講座」

富士通ラーニングメディア

最後に、ICT分野大手、富士通グループである富士通ラーニングメディアの研修です。「仕事の効果性を高めるために」をテーマに、クリティカル・シンキングの入門から基礎までを2日間で学びます。

最終的にクリティカル・シンキングの基礎を身につけた上で、議論に対して適切に質問を投げかける事ができ、問題に対して妥当性のある分析ができ、課題を明確にし、それを行動に移す事のできるスキルを身につけます。これらにより、仕事の効果性を高めるのが狙いです。

【参考】株式会社 富士通ラーニングメディア「クリティカル・シンキングの基礎~仕事の効果性を高めるために~ 」

7.書籍紹介

最後に、クリティカル・シンキングについて学べる書籍をご紹介します。

入社1年目で知っておきたい ︎クリティカルシンキングの教科書

この書籍は、企業の経営業務支援、人材支援、教育支援などを行うグローバルタスクフォース代表取締役の山中英嗣氏の著書です。ロジカル・シンキングを駆使して論理的思考を持つ人が、なぜ正しい問題解決に辿り付けないのか、という疑問を背景に、事例を交えながら課題解決の「最適解」を導き出す思考法が紹介されています。

社会人1年目の新入社員や、中堅社員など幅広い層に向けて書かれたビジネス書です。

【参考】PHP研究所「クリティカルシンキングの教科書 | 山中英嗣著」

改訂3版 グロービスMBAクリティカル・シンキング

MBA(経営学修士)プログラムを主とし、クリティカル・シンキングの科目も持つグロービス経営大学院の書籍です。累計130万部を誇るシリーズで、20万人(2017年9月時点の掲載情報)のビジネスパーソンがこの本でクリティカル・シンキングを学んだと言われています。

演習や事例も豊富に掲載されており、効率的なコミュニケーションやより正確な意思決定など、様々なシーンで成功するためのヒントが得られる一冊です。

【参考】ダイヤモンド社「改訂3版 グロービスMBAクリティカル・シンキング | グロービス経営大学院 著」

クリティカルシンキング(入門篇) あなたの思考をガイドする40の原則

海外で書かれた、クリティカル・シンキングに関する書籍の翻訳版です。「入門編」であり、クリティカル・シンキングについて系統的に学習するために作成されています。40の原則と練習問題が掲載されているため、読むだけではなく実際に考えてみる事ができます。より実践的に思考トレーニングを行い、クリティカル・シンキングの考え方を身につけられる書籍となっています。

【参考】北大路書房「クリティカルシンキング 入門編」

8.まとめ

  • クリティカル・シンキングは「批判的思考」と訳されるが、批判的に捉えるのではなく、常に疑問を持って課題に取り組むという思考法である
  • クリティカル・シンキングを進める上では、常にその目的を意識し、自他共に思考の癖を持つ事を認識し、常に問い続ける事を忘れない姿勢が重要
  • ロジカル・シンキングとは、そもそもの姿勢に違いがあるものの、最適解を導き出すためにはそれらの思考法を組み合わせて検証する頃で、より正しい結論に辿り着ける

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