コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、相手と十分な意思疎通を行うための技術です。ビジネスでも日常的に活用される重要な基本スキルのひとつで、日ごろから「聴く」「話す」を意識してトレーニングすることによってスキルアップすることができます。さらに「読む」、「書く」にも応用することで、SNSやメールでのコミュニケーションにも役立ちます。
コミュニケーションスキルとは
コミュニケーションスキルとは、 他人と十分な意思の疎通を行うための技術 です。
ITの進歩によってSNSやメールでのコミュニケーションの機会が増えるなか、聞く、話す以外にも、 読む、書くスキルの重要性 も増しています。日常だけでなく、仕事を円滑に進めるために必要なビジネススキルのひとつです。
コミュニケーションスキルが高い人の特徴
コミュニケーションスキルが高い人の特徴としては、以下が挙げられます。
- 相手の立場や気持ちを配慮したコミュニケーションを行うことができる
- 適切な距離間でコミュニケーションを行うことができる
- 話の聴き方のコツを押さえているので、相手が伝えたいことを正しく理解できる
- 伝え方が明快で相手の理解度に合わせて話すので、相手が理解しやすく説得力がある
- 相手が受入れやすい話し方ができる
- 相手が話しやすい聴き方と的確な質問を投げかけることで、テンポよく会話が進む
業務上でコミュニケーションスキルが活きる場面
ビジネスでは、主にどのような場面でコミュニケーションスキルが必要とされるのでしょうか?
社内外で円滑な人間関係を築く
仕事を円滑に進めるためには、他者とのコミュニケーションを通して円満な人間関係を築き、維持していくことが必要です。それには、相手に興味をもって話を聞く、相手が伝えたいことを正しく受け止める、適度な自己開示をしながら、自分が伝えたいことを分かりやすく話すといった、コミュニケーションスキルが欠かせません。
上司や同僚に分かりやすく説得力のある説明をする
仕事の中には同僚に分かりやすく説明する、上司を説得して理解してもらう、といった場面は多くあります。このような場合、表情やしぐさなどで相手の様子を確認しつつ、逆に質問して理解度を確認しながら話を進めてくために、コミュニケーションスキルが役立ちます。
クライアントと折衝や交渉を行う
営業職などクライアントと直に話し合い、折衝や交渉を行う場合にも、コミュニケーションスキルが欠かせません。クライアントの意図を正しく理解するために話をよく聴きながら、疑問や不明な点を的確に質問して理解を深めていきます。また、相手に配慮しつつ、自分が伝えたいことを正しく理解してもらうための話し方の工夫も大切です。
会議を効率よく進める
実りある会議にするためにはコミュニケーションスキルが役立ちます。活発な意見交換を行い、参加者の納得感と合意を得るためには、相手の意見を聞いて意図を正しく理解しながら、自分の意見を明確に分かりやすく伝えていくことが必要なのです。
コミュニケーションの種類
コミュニケーションは「聞く」「伝える」といった言語を使ったものだけではありません。
相手が今どんなことを考えているのかを読み取りたいとき、逆に自分の伝えたいことを明確にしたいときなどは、声や表情といった言語以外の情報も活用することとなります。
これらは、「言語コミュニケーション」「非言語コミュニケーション」に分類できます。
以下に詳しく解説します。
言語コミュニケーション(バーバルコミュニケーション)
言語を使って、 主に「聞く」「話す」ことによって コミュニケーションを行う手法です。「手紙」や「メール」も言語コミュニケーションの一つです。
相手が伝えたいことを正しく、そして深く理解するために、「質問する」ことによって疑問や不明点を明確化していきます。
非言語コミュニケーション(ノンバーバルコミュニケーション)
「表情」「声」「行動」など、言語によらない コミュニケーションのことです。
視覚からは表情や目の動きなどを、聴覚からは声のトーンやテンポを、行動からはしぐさやジェスチャーによって相手とコミュニケーションを行います。
この非言語コミュニケーションは、第一印象にも大きく影響すると言われているものです。
【関連】ノンバーバルコミュニケーションの意味とは?種類・具体例も解説/BizHint
ビジネスで重要なコミュニケーションスキル
日々の業務を進める上で必要となるコミュニケーションスキル。大きく分けると、以下の2つに大別できます。
- 聴く力
- 伝える力
これらを活用するため、具体的にどのようなスキルを習得すればよいのでしょうか。
聴く力:傾聴力
「傾聴」とは「耳を傾けて、熱心に聞くこと」を意味する言葉で、相手の気持ちに寄り添って、注意深く共感的に「聴く」ことを指します。
相手の発言を集中して聴くことで、相手が伝えたいことを正しく理解するだけでなく、相手に対する理解を深めることもできます。また、傾聴力を磨いていくと、相手との会話の中から「その人が本当に伝えたかったこと」を引き出すことも可能です。
さらに、話を真剣に聴いている姿勢により、相手は承認欲求が満たされ、信頼関係の構築にも役立ちます。
【関連】「傾聴」の意味とは?傾聴力が必要な理由や基本スキル&技法を解説/BizHint
気付きを促す「コーチング」も◎
コーチングとは、悩みを抱える人に対し、問題の解決策を自発的に考えさせる、あるいは行動させることを促すためのスキルです。主に指導や教育など人材開発に活用されており、モチベーションの向上、本人の資質を引き出すといった効果があるため、リーダー育成などにも用いられます。
コーチングでは、相手の話を傾聴し、質問を行うことで、相手に気付きを与えていくことが特徴です。
【関連】コーチングとは?実施するメリットや進め方、資格や研修会社までご紹介/BizHint
伝える力:アサーション
アサーションとは、相手を尊重し傷つけることなく、自分の意見をしっかり伝えるためのコミュニケーションスキルのことを指します。
アサーションスキルを習得することにより、自分の感情と発言などの行動を一致させて適切な自己表現ができるため、伝えたいことをきちんと伝える、あるいは相手を傷つけずに自分の意見を伝えることができるようになります。
【関連】「アサーション」とは?活用事例やトレーニング法をご紹介/BizHint
ノンバーバルコミュニケーションを活用しよう
「聴く力」「伝える力」をそれぞれ最大化させるためには、先述したノンバーバルコミュニケーションが欠かせません。
例えば、「会話」する上で、「言葉」以上に相手に与える印象を左右するのが「声」。声のトーンや大きさなど、人間は無意識に細かい変化を感じ、その変化から相手の気分や感情を読み取ります。それから、話すスピードも重要です。これらを活用するだけで、伝える力は大きく向上します。
また、「表情」からは、性別や年齢といった客観的なものから、その人の感情や意図などの心理状態まで、非常に多くの情報を読み取ることができます。細かく観察することで、相手がどのようなことを考えているのかといった汲み取り力が大幅に向上することでしょう。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
【関連】ノンバーバルコミュニケーションの意味とは?種類・具体例も解説/BizHint
コミュニケーションスキルを向上させるためには
それでは、「コミュニケーションスキル」に課題があると感じている方は、どのようにスキルを強化していけばよいのでしょうか。
ここでは4つのポイントに分けてご紹介します。
1.「話を聴く姿勢」を変える
もし、相手が伝えたいことを正しく理解していないために齟齬が生じたり、仕事の手戻りがある場合には、「聴き方を変える」ことが解決への近道です。
相手の話の聴き方を変えるためには、まず話を聴くときの心構えと態度を意識して変える必要があります。
~ポイント~
- 相手の話を聴くときの心構えとしては、相手に興味を持つ
- 相手の話を聴くときは、「何を伝えようとしているのか?」「要点は何か?」に注意して聴く
- 体ごと相手に向けて目線を合わせる、うなずきや相槌を適度に入れる、といった態度を示す
- 相手が話しやすいように穏やかな笑顔で話に応じ、相手の状況や話の内容に合わせて表情豊かに表しながら聴く。この時しかめ面など相手に不快感を抱かせないように注意する
聴く姿勢を意識して変えることで、相手にも「話をきちんと聴いてくれている」ことが伝わり、より良いコミュニケーションをとることができます。
2.「話をより正しく理解する聴き方」に変える
姿勢が変えられたら、次により正しく理解するための聴き方へと発展させましょう。
相手の話を正しく理解するためには、聴いて理解した内容が合っているかどうかを相手に質問することで、正しい理解の確認が得られます。
確認する方法を2つご紹介します。
クローズ質問(限定質問)
内容確認でよく使われるのが、相手が「はい」「いいえ」で答えられる質問をするクローズ質問です。
~一例~
-
相手が話した内容が短ければそのままの言葉で、長ければ短くまとめてオウム返しで確認する
・「今回の提案は○○です。具体的には……という内容です。」
・「今回の提案は〇〇ですね?」 -
話が複雑、あるいは要点が分かりにくい場合には、ポイントとなるキーワードを返して確認する
・「業務標準化の目的は、●●による○○と、▲▲による△△ですが、それに併せて□□の推進を図りたいと思います。」
・「○○と△△がポイントなのですね?」 -
話が抽象的な場合には、具体的な例で内容を確認する
・「新規ウェブサイトのこのコンテンツは既存のものを使う予定です。」
・「既存とは〇〇のことですね?」
オープン質問(拡大質問)
例えば、話が抽象的な場合や、あいまいで理解しづらいところがあるなど、相手の話をより深く理解したいときには、オープン質問を使います。
疑問や不明な点をそのままにせず、話を明確に捉えることが正しい理解を深めます。
~一例~
-
抽象的な内容があれば質問して、内容を把握するために具体的な質問をする
・「商品Aの納品は、来週の初めの予定です。」
・「来週の初めというと、具体的には何日でしょうか?」 -
ネガティブな感情を表す内容の場合には、そのように感じる原因や理由を掘り下げる質問する
・「最近、A社の担当者が変わったのですが、色々と大変で…」
・「どのようなことが大変なのでしょうか?」 -
専門用語の場合には、意味を確認するための質問をする
・「トラフィックを監視するために有効なシステムです。」
・「トラフィックを監視するとは具体的にどういうことでしょうか?」 -
あいまいな表現の場合には、質問によって本音を引き出す
・「このご提案は予算的にちょっと厳しいですね…」
・「とおっしゃいますと?」
3.「相手が受入れやすい伝え方」に変える
意見を伝えるとき、その言い方によって相手が受け止める印象は大きく変わります。
自分の意見を正確に伝えるためには、相手が受入れやすい話し方をすることです。
~ポイント~
- 相手に話す前に、自分の正直な気持ちはなにか、自分の話を聴いた相手がどのように感じるかをよく考えてから、伝え方を考える
- ネガティブな気持ちを伝える場合には、「私は」を主語にして伝えることで、相手が非難された気持ちにならないよう配慮する
- 「できない」ことを伝える場合には、「〇〇なら今日中にできます」のように「できる」条件を伝えて、ポジティブな内容にすると相手が受入れやすくなる
- 指示、命令する場合には、「〇〇してほしいのだけど、お願いできますか?」のようにお願いする伝え方にすると、相手が受入れやすくなる
4.「相手が理解しやすい伝え方」に変える
相手に伝わるように話すには、相手の立場や気持ちを考慮して、自分が伝えたいことをどうしたら伝わるのか意識しながら工夫し、実践することで身についていきます。
~ポイント~
- ひとつの文章は短く、簡潔にする
- まず結論を伝え、次にその根拠の数を、さらに根拠を1つ目から順に話していく
- 相手の知識レベルに配慮して、専門用語やカタカナ言葉を相手が理解しやすい言葉に置き換える
- 説明など話が長く続く場合には、相手の表情やしぐさを確認しながら、途中で「ここまではよろしいでしょうか?」など相手の理解度を直接確認する
コミュニケーションスキルについて学べる本のご紹介
最後に、コミュニケーションスキルについて学べる本を3冊ご紹介します。
コミュニケーション能力を鍛えよう! 聴く技術と伝える技術/森田 幸孝
精神科医である著者による、コミュニケーションの心構えから、「聴く」「話す」「質問する」スキルについて実践的な方法について分かりやすく書かれています。この本をきっかけに実践して、コミュニケーションスキルをアップしたい人におすすめです。
【参考】Amazon.co.jp/コミュニケーション能力を鍛えよう! 聴く技術と伝える技術/森田 幸孝
コミュニケーション・スキル/永島清敬
コミュニケーションで悩みを抱えているビジネスマンに向けて書かれた本です。良好な人間関係を築くために、相手の存在を認めること、TPOをわきまえた自己表現ができるようになることを念頭に置いて、コミュニケーションスキルについて論理的に説明されています。人事部や人材育成の立場にある人が、様々な場面で応用する場合にも参考になるでしょう。
【参考】Amazon.co.jp/コミュニケーション・スキル/永島清敬
タイプがわかればうまくいく! コミュニケーションスキル/谷 益美、枝川 義邦
人を4つのタイプに分けてとらえることで、コミュニケーションが上手くいかない相手の特徴を把握して良好な関係を築くための聴き方、伝え方のポイントが分かりやすく書かれています。そのほか、コミュニケーションの心構えからトレーニング法まで、脳科学者の解説つきで納得感もあります。営業職など様々なタイプの人とコミュニケーションをする人の参考になる本です。
【参考】Amazon.co.jp/タイプがわかればうまくいく! コミュニケーションスキル/谷 益美、枝川 義邦
まとめ
- コミュニケーションスキルは、他人と十分な意思の疎通を行うための技術で、聴く、話す、読む、書くの場面で活かせるスキルです。
- コミュニケーションスキルは、ビジネスで必要なプレゼンテーションやネゴシエーション、ファシリテーションといったスキルの土台となるスキルです。
- コミュニケーションスキルは、日ごろの「聴く」「話す」から意識してトレーニングすることで、スキルアップすることができます。
こちらの記事もあなたにオススメ
-
フィリピン最先端の街で起業した日本人。混沌下で貫く、後悔しない決断1
BizHint 編集部
-
オンラインコミュニケーションはこうすればうまくいく!【BizHint Dictionary】
BizHint 編集部
-
採用なくして企業の成長なし!どうする、今後の新卒採用【BizHint Dictionary】
BizHint 編集部
-
オンライン採用で変わるべきは企業側。採用担当者は画面越しでも通用する言語化能力を磨け!
BizHint 編集部
-
コロナ危機と闘う、オンラインでのマネジメントはこうすべし!5
BizHint 編集部
-
オンラインプレゼンの手引き。失敗しないための3大原則とは?2
BizHint 編集部
-
代ゼミ・高宮共同代表が語る、「教育改革」で本当に身につけたい力とは?2
BizHint 編集部
-
専門家たちを集い、患者・家族を救う――在宅医療は究極のチームビルディング【医療法人社団悠翔会理事長・佐々木淳さん】2
BizHint 編集部
組織開発の記事を読む
- 企業文化
- ファシリテーション
- ピア・ボーナス
- エバンジェリスト
- ノーレイティング
- ラインマネージャー
- コーチング研修
- OKR
- 行動科学
- 人事考課
- 目標管理制度
- 人事評価制度
- コンピテンシー評価
- コンピテンシーモデル
- ノンバーバル・コミュニケーション
- ピアプレッシャー
- 連結ピン
- ストレスマネジメント
- アンガーマネジメント
- 社内コミュニケーション
- ロジカルシンキング
- ティール組織
- インポスター症候群
- アシミレーション
- 感情労働
- メラビアンの法則
- ストーリーテリング
- マネージャー
- デザイン思考
- クリティカル・シンキング
- チェンジ・エージェント
- ピア効果
- ぶら下がり社員
- 業績評価
- 等級制度
- ポータブルスキル
- 女性リーダー
- 学習性無力感
- 配置転換
- エンゲージメント
- エンパワーメント
- プレイングマネージャー
- チームワーク
- ネゴシエーション
- チェンジ・マネジメント
- 組織風土
- リーダーシップ
- リーダーシップ研修
- リーダーシップ 種類
- フィードバック
- マネジメント能力
- マインドセット
- 人材管理
- セクショナリズム
- ホラクラシー
- ナレッジマネジメント
- 社内SNS
- レコグニション
- ゼロベース思考
- オーナーシップ
- SMARTの法則
- フィードフォワード
- ピーターの法則
- フィッシュ哲学
- KJ法
- 統率力
- パフォーマンスマネジメント
- PM理論
- フリーライダー
- マネジリアル・グリッド理論
- 人材マネジメント
- ピラミッドストラクチャー
- クリエイティブシンキング
- イントレプレナー(イントラプレナー)
- 組織マネジメント
- 行動理論
- ローパフォーマー
- スパン・オブ・コントロール
- 行動科学マネジメント
- チームマネジメント
- プロセス評価
- ダイバーシティ・マネジメント
- 相対評価
- コーチングスキル
- リーダーシップ・パイプライン
- 抜擢人事
- マネジメントレビュー
- アサーション
- 集団凝集性
- 成果主義
- コンフリクト・マネジメント
- グループシンク
- システム思考
- SL理論
- 情意考課
- 複線型人事制度
- 役割等級制度
- 職能資格制度
- 社内FA制度
- ハイパフォーマー
- 専門職制度
- 自己申告制度
- 組織デザイン
- 人事評価
- 学習する組織
- 社内公募