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2017年7月20日(木)更新

企業文化

企業文化とは、その企業独自の価値観や行動規範のことを指し、外部からその企業を見た時のイメージに直接結びつくものです。その概念や重要性、醸成の方法を様々な事例を含めてご紹介します。

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企業文化の定義とは?

企業文化とは企業の社員の間で、意識的あるいは無意識的に共有されている価値観や行動様式のことを指します。

企業は創立時から多くの経験を積み重ねていきますが、その過程で培われた伝統や経営陣の考え方によって形成されたものが企業文化です。

企業文化は、組織の一員である社員の行動様式にも現れ、外部からその企業を見た時のイメージにも結び付く重要なものです。

企業文化と企業風土の違い

「企業文化」と似た言葉で、「企業風土」というものがありますが、その違いはどんなものでしょうか。

「風土」という言葉自体にはその土地の独自性により生まれ培われたものといった意味があります。

一方、「文化」は人間が自らの手で築き上げたものという意味です。

「風土」は外部からの影響を排したもので、「文化」は外部の影響を受けながら変化していくものとも言えるでしょう。

こうした言葉の定義を考えると、「企業風土」とは世の中の流れとは関係なく企業内部で自然に培われるもの。

いい意味でも悪い意味でも世代を超えて継承され、そうそう大きく変化することはありません。

対して、「企業文化」は、外部の影響を取り入れながら、時には意識的に形成され成長してゆくもの、と言うことができます。

企業文化が事業経営に与える影響

企業文化が事業経営に与える様々な影響を見ていきましょう。

組織

企業文化が明確で魅力的な企業には、自社の文化に合った採用希望者が集まり、従業員が長く働いてくれる傾向があります。

そして、よい文化を持つ組織の中で働く人々には安心感や信頼感が生まれやすく、それがメンバー同士のチームワークに結びつき、仕事においてもよい結果が出やすくなるのです。

また、企業文化は組織内での影響にとどまりません。ビジネスパートナーとして、他の企業との結びつきにも関わるなど、外部との関係にも影響を与えるのです。

意思決定

企業には様々な意思決定の場が存在しますが、企業文化は難しい意思決定の際の基礎となります。

組織のコミュニケーションの原点であり、その方向性を決定づけるのです。

組織のメンバーは、企業文化を拠り所として安定して意思決定を行うことができます。 するべきこととするべきでないことを、明確にしてくれるのが企業文化なのです。

自社プロダクトやサービス

企業文化は企業の製品やサービスの方向性や、顧客層にも影響します。

また、よい企業文化はブランドとしての力も持つようになります。

企業にとって企業文化が重要である理由

企業文化が企業にとって重要である理由をご説明します。

競争優位性の源泉になる

よい企業文化は、経営の効率性をアップさせます。従業員のモチベーションを高くたもち、離職を防ぎ、個々のパフォーマンスをアップさせます。

一方、企業文化のない会社は、従業員のモチベーションが低く、賃金や待遇に不満を覚えればすぐに退職してしまいます。

「優れた人材を集めたにもかかわらず失敗してしまった」という企業は、企業文化がなかったり、文化と人材がマッチしていなかったことが多いようです。

つまり、優れた企業文化自体が、人材コストを抑え、企業間の競争における優位性に繋がるのです。

企業文化のメリット

企業文化にこだわることには、様々なメリットがあります。採用の方針が明らかになり、従業員が離職する率も低くなります。

働きやすい環境が整いやすく、同じ方向性を持つ人々が長期間働いてくれることで、チームがよいものになる可能性が高まるのです。

企業文化のデメリット

企業文化にはメリットばかりでなく、デメリットもあります。企業文化にこだわれば、採用には妥協しないために時間がかかります。

また、文化が強いものになるほど、排他性も高まり、外部からは近づきがたい印象を与えるかもしれません。

メンバーにとっての心地よさを追求した結果、組織としての生産性が落ちる場合もあります。

優れた企業文化の6要素

企業文化にとって、最も基本的で重要な6つの構成要素についてご説明します。

企業文化を構成するものは他にもありますが、次の6つが文化の土台を支えるものになります。

まずは、現在の組織の中でこれらがどんな状態あるかを確認することが、企業文化を改めて見直すきっかけとなるはずです。

ビジョン(Vision)

ビジョンとは、会社の根本的な目的や使命のことで、理念と呼ばれることもあります。

会社の理想の状態や姿のことを指します。このビジョンが、企業文化のはじまりと言えるものです。

思い描くビジョンを的確に表現したスローガンが、企業の価値観を支え、社員の意思決定をあるべき方向へ導くことになります。

また、顧客やビジネスパートナーなど、外部との関係においても信頼性を高めるポイントになるのです。

価値観(Values)

価値観とは、会社が何に価値を置いているかという評価基準で、コアバリューとも言われています。

価値観は先に上げたビジョンと結びついたものでなければいけません。企業文化において、核となるものがこの価値観です。

ビジョンは企業の使命を明確に表現し、価値観はビジョン達成に必要な行動指針や考え方の方向性を示します。

また、価値観は顧客への誠実さ、社内での振る舞い、仕事の質に影響を与えます。

慣行(Practices)

どんなに素晴らしいビジョンや価値観を打ち出しても、それが行動にあらわれなければ意味がありません。その実際の行動を示す言葉が、慣行です。 仮に、「誠実・公正」という経営理念を掲げるのであれば、誰から見ても公正なビジネスルールを定め、人事制度や組織体制においても、その言葉を体現しなければなりません。

情熱」を重んじるのであれば、経営者だけでなく組織全員が、仕事に打ち込めるような環境をつくる必要があります。

定めたビジョンも価値観も、日々の業務一つひとつに組み込まれなければ意味をなさないことを忘れてはいけません。

人材(People)

企業の価値観に共感する人材がいるからこそ、企業文化が生きてきます。価値観を守る人材がいて初めて、企業文化は実現されるのです。

だからこそ、世界のトップ企業は、採用時にとても厳しいテストを行います。

単純に優秀だという理由だけでなく、自分たちの企業文化に最もふさわしい人材を採用することに、心を砕いているのです。

会社の価値観にマッチした人材は、そうでない人に比べて低い報酬を受け入れ、離職率も低くなる傾向もあります。

価値観を共有した人材は組織の生産を上げ、そのカルチャーを確実なものにするために、欠かすことのできない存在なのです。

ストーリー(Narrative)

ストーリーとは、どんな企業も持つそれぞれの歴史から紡ぎ出された逸話を指します。創業にまつわるエピソードや、企業の価値観に結びつく創業者の生い立ちなど、語り継がれるストーリーは、企業文化をより強固なものにします。

公式非公式に関わらず、こうした企業独自の過去が繰り返し語られることで、現在の企業文化が形成されていきます。

場所(Place)

企業の存在する場所も、企業文化に大きな影響を与えます。どの土地で、どんな建物で、どんな内装の中で働くのかということは、そこで働く人々を形づくり、ひいては企業文化をつくっていくことになるのです。

戦略的企業文化の5つの条件

企業文化が共通の価値観だと聞くと、抽象的な精神論かと思われることもありますが、多くの成功企業は、企業文化を仕組みにまで落とし込み、戦略的に活用しています。そのような「戦略的企業文化」には5つの条件があると言われています。

戦略的企業文化とは

現代において、企業文化の重要性はますます高まっています。過去の工業中心のビジネス社会においては、トップが判断して他の社員はそれに従って単純作業を繰り返すという「トップダウン型」でも十分にビジネスは回っていました。

しかし、サービスや知識によるビジネスが主流となった現代では、この仕組みにひずみが生じています。

サービスの現場において、相手は顧客という人になります。そのため、あらゆる場面で臨機応変で創造性を要する対応が必要になるのです。

「トップダウン」の組織では、場面ごとに求められるものが変わるこの状況に対応することができません。

従業員一人ひとりが意思を持ち、知性や感性を発揮する必要があるのです。

この現代の状況に対応するため、計画的に構築される企業文化が「戦略的企業文化」と呼ばれるものです。

以下で、その戦略的企業文化の5つの要素について説明します。

企業文化は生き残るための「必須条件」である

過去、企業文化というものは「一部の企業のもの」「あった方がいいもの」という程度の認識でしかありませんでした。

ですが、これからの時代において、企業文化を形成し保ち続けられるかどうかが、企業の生き残りを左右するようになるでしょう。

すでに、企業文化を維持し続けた企業の業績が上がり、文化を重要視してこなかった企業が、戦略の方向性を見失い、業績を落とすといった事態は現実のものとなっています。

この事態に学び、米国では、スタートアップの段階で企業文化の形成に計画的に取り組む企業が数多く登場し、注目を浴びています。

企業文化は事業と合致しているべきである

企業文化はその企業の事業内容と合致していなければいけません。IT企業にとって優れた企業文化と、小売業にとって優れた企業文化は、それぞれ異なるもの。

つまり、それぞれの業界にふさわしい企業文化があるということです。

企業文化は組織をまとめる土台となるものである

トップによる統制や管理ではなく、各々の自律にまかせた組織運営を。

このような理想像について話をすると、「そうできればしたいけれど、現実はそんなに簡単ではない」と思われるのではないでしょうか。

その裏に存在するのは、「権限委譲」や「情報の透明性」に関する問題です。

従業員の自主性にまかせた組織運営を目指すのであれば、権限委譲や情報の透明化は欠かすことができません。しかし、そこには大きなリスクが伴うのも事実です。

もし従業員が、手にした権限や情報を用いて、経営方針に相応しくない対応をしてしまったら? こうしたリスクを最小限に食い止めるのが企業文化です。親が子供にお手本を示すように、「こうあるべき」という姿を語り、手本を示し、価値観を共有することで、従業員の適切な判断基準を育て、組織にまとまりが生まれます。隅々まで浸透した企業文化が、権限委譲のリスク管理となるのです。

コア・バリュー(価値観)に基づく仕組みをつくり浸透させる

企業文化を机上の空論にさせないために、「戦略的企業文化」は社内の制度や仕組みを価値観に基づくものに組み立てなおす必要があります。

たとえば採用や人事評価の場においても、コア・バリュー(価値観)に基づいた基準を用い、具体的な仕組みに反映させます。具体的に言えば、採用面接ではどのような質問をするのか、相手をどんな基準でどのように評価するのか、どんな評価表を用いるのかなど、細かなポイントもコアバリューに基づいて行動するのです。

こうした経営方針は「コアバリュー経営」と名付けられ、企業文化を現場に浸透させる手法として用いられています。

計画的に段階に分けて企業文化を構築する

従来の「企業文化」は、半ば自然発生的に生まれ、歴史とともに育っていくものでした。

しかし、「戦略的企業文化」では、企業文化を戦略的に構築するものと考え、新規事業のプロジェクトのように計画をたて、段階的に取り組んでいきます。

企業文化構築のための専門のチームを組んで役割分担を行い、目的や期日も設定し、進捗を管理しながら計画を進めます。

到達点をイメージし、誰もが理解できるかたちで表現することで、今どの段階にいるのかを把握し、これからやるべきことも明確化していきます。

このようにプロジェクトと同様に企業文化の構築をすすめていけば、取り組みが自然消滅してしまうようなことも起こらず、効率的にゴールに到達することができるのです。

優秀な人材が辞めていく企業文化

よい企業文化があるのと同様に、望ましくない企業文化も存在します。

優秀な人材がどんどんと辞めていってしまう企業文化とはどんなものかを確認し、反面教師として活用してください。

社員全員が忙しすぎる

業務量と人員数の配分は、とても難しい課題です。経営者にとってみれば、人手が余る状態は決して望ましくないでしょう。

とはいえ、しっかりと仕事に取り組むためには、ある程度の余裕が必要です。常に慌ただしい状態や、業務量に疲れた社員は、ミスを犯したり判断が遅れる危険があり、自分以外の事柄に気を配る余裕がなくなります。

こうした社員にあふれた企業は、社内の雰囲気も悪く、自律した人材が育つこともありません。

心身ともに消耗する場所から、優秀な人材が離れていくのは当然のことです。

模範となるリーダーがいない

リーダーの行動はどんな些細なものでもチーム全体に影響します。上に立つ人物が正しくない行いをすると、人は混乱し、倫理観や道徳観念が揺らいでしまいます。

特に経営陣やそれに近い人間の行いには、人はより敏感になります。トップの人間は社員にとってのロールモデルとして振舞うこと。

これは、人材が定着する企業に欠かすことのできない文化なのです。

企業が目指す文化が不明確

企業の価値観なんて明文化するまでもないという意見もあるかもしれません。

けれども、宣言するまでもないと思っているのは経営陣だけで、残念ながら従業員には全く届いていないことは、珍しくありません。

会社の価値観や方向性が明らかになっていないと、社員も自分の仕事の方向性を見失います。

場当たり的に仕事をこなし、与えられたことだけを処理するようになってしまい、会社の成長に貢献することはありません。

優秀な人材がこの環境に満足するはずはなく、やがては会社を離れていってしまうでしょう。

企業の価値観や文化は経営陣のためだけのものではありません。だれもが理解できるように表現する努力をしなければいけないのです。

企業文化の醸成方法

企業文化はごく初期の、創業者がアイデアを検討している段階からはじまります。

そして、この時点から企業文化に対して意識的な創業者ほど、よい企業をつくる傾向があると言われています。

企業として達成したい目的とは何か、長期に渡り成果となる文化か、働き続けたいと思える文化か、ということを十分に検討することが、企業が長く生き残れるかどうかに影響します。

ここでしっかりとした明確な土台を築くことができれば、新しいメンバーが持ち込む望ましくない文化による影響を最小限に食い止め、よりよい文化に発展させることができるのです。

そして、最初の数人のメンバーが企業文化に大きな影響を与えます。

一度育ってしまった企業文化はなかなか変えられないため、どのような文化を構築したいのかをよく考え、最初から採用をすすめていかなければなりません。

企業文化を浸透させる方法

醸成された企業文化も組織に浸透しなければ意味がありません。そのためには、まず、明文化することが重要です。

企業文化をあらわした言葉をまとめることで、入社時の説明や社外とのやりとりにも利用することができます。

そして、その価値観を繰り返し語っていく必要があります。人が本当にひとつのことを理解するには、驚くほどの回数が必要になります。

そして、その価値観を基準に、すべきことすべきでないことを、常に社員にフィードバックしていかなければいけません。

さらに、定められた企業文化は、スローガンや理想として掲げるだけでなく、実際の行動にまで落とし込むことが大切です。

どのような行動が企業文化に相応しいかを、根気強く示していくことで、組織内に文化が浸透していくのです。

企業事例

最後に、企業文化の実際の例をご紹介します。

ザッポス

ザッポスは顧客第一の企業文化で有名な米国企業で、靴のネット通販市場におけるパイオニアです。

「サービスを通してWOWを届けよ」をコアバリューのひとつとして掲げ、カスタマーサービスの現場オペレーターが「顧客満足のためであれば、ほとんど何をしてもよい」という絶大な裁量権を持っています。

コアバリューの浸透と実践を徹底しているザッポスは、採用と教育に驚くほどの時間とコストをかけています。

社員を採用する際にも、最も重視するのは、スキルよりも自分たちの企業文化にマッチするかどうかだと明言。

そして、面接の合格者に対して、研修が終わった時点で2つの選択肢を与えるのです。1つはザッポスで働くこと。

そしてもう1つが4000ドルをもらってザッポスを去ることです。

こうすることで、自社に本当に合う人材だけを採用することを徹底し、結果、ユニークな企業文化が守られていきます。

このような強固な企業文化が、ザッポスの成功の源と言われています。

【参考】従業員の幸せが顧客と社会の幸せを生む―米国優良企業が実践する「コアバリュー経営」

株式会社リクルートホールディングス

株式会社リクルートホールディングスも明確な企業文化を持つ会社です。

創業者の江副浩正氏が創業当初から言い続けていたのが、「社員は皆、経営者である。」という言葉。

社内にはこの言葉通り、社員が何かに挑戦することを奨励する空気があります。

加えて、社内制度もこの社風に準じたものになっていて、企業文化をより確固たるものにしているのです。

たとえば「新規事業提案制度」では、勤続年数や職位に関わらず提案をすることができ、提案が承認されると、実際に提案者自身が中心となって事業化されることになっています。

このような制度により、社員は事業経営のセンスを磨き、主体的に業務に取り組んでいきます。

株式会社リクルートホールディングスでは、こうした企業文化のもとで育成された社員たちが、企業の業績に貢献していく仕組みを構築しているのです。

【参考】新規事業提案制度「New RING」 / リクルートホールディングス

まとめ

  • 企業文化とは社員の行動や意思決定を規定し、外部から見た企業イメージに結びつくなど、事業経営に様々な影響を与える重要なものである。
  • 社員一人ひとりの自主性と創造性が必要とされる現代のビジネス社会において、企業文化の重要性はますます高まっている。
  • 今後の企業経営には、企業が存続していくために明確な価値観や行動規範を打ち出し、それを計画的に浸透させていくという、戦略的な企業文化の構築が必要になっていく。

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