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2017年10月5日(木)更新

イントレプレナー(イントラプレナー)

「イントレプレナー(イントラプレナー)」とは、企業内で新しいビジネスを立ち上げる「社内起業家」を意味します。企業においてイントレプレナーを育成することは、優秀な人材の確保や新たな市場の開拓、事業の拡大につながるため、現在制度として導入する企業が増えています。ここでは、イントレプレナーの概要と求められる資質、そしてイントレプレナー制度を導入している企業の事例をご紹介します。

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1. イントレプレナーとは

イントレプレナー(intrapreneur)とは、「社内起業家」もしくは「企業内起業家」を意味します。イントラプレナーと呼ばれることもあり、企業内で新規のビジネスを立ち上げる際にリーダーとしての役割を担う人材です。一般的な起業家を意味するアントレプレナー(entrepreneur)と区別する言葉として使われています。

近年日本の企業では、起業家精神を持った優秀な人材をイントレプレナーとして育成し、新規事業開発を通して社内の革新力を向上しようとする動きが活発化しています。グローバル化した社会を生き抜くためには、新たな市場を開拓できる優秀な人材の確保が必要です。人材育成と事業拡大の施策の一環として、イントレプレナーの育成を制度化し、積極的に推進している大手企業が多数みられます。

2. イントレプレナーが必要になる背景

近年の日本企業において、なぜイントレプレナーが求められているのでしょうか。イントレプレナーの必要性が高まった背景には、近年の日本企業に「大企業病」の傾向がみられ、グローバル化した社会において競争力が低下している状況があると考えられます。

大企業病とは

大企業病とは、発想の陳腐化や無責任な体制、意思決定の遅れ、非効率的な業務フロー、リスク回避、社員のモチベーションの低下、縦割り組織などの事業活動にデメリットをもたらす風潮が企業に蔓延することです。大企業病に陥ると、企業の事業活動の勢いやスピードは衰退していきます。

大企業病は、その名の通り、組織が縦割りでルーティンワークが多くなりがちな規模の大きい企業に起こりやすい現象ですが、中小企業やベンチャーと呼ばれる企業も例外ではありません。企業が継続していく中で、社員が細分化された仕事をただこなすだけになってくると、規模の大きさに関わらずどのような企業にも起こり得る現象です。

グローバル化社会に置ける日本企業の衰退

グローバル化した社会の中で、近年の日本企業における大企業病は強く問題視されるようになりました。アジアや欧米を中心に世界各国で勢いのある企業が数多く生まれ、高度経済成長期後の日本企業は次第に追い抜かれていくようになりました。新しいアイデアを生み出せず、ただ仕事をこなすだけになっている企業は、市場の変化についていくことができません。

市場のニーズに合わせて事業を拡大することができなかった日本のトップ企業は、経営状況が悪化し、リストラを敢行する事態にもなりました。このような状況を打破するためには、イノベーションを起こすことができる人材を育成し、企業に今一度勢いを取り戻すことが必要です。大企業病を打破し、国際的な競争力を手に入れるための有効な施策として、イントレプレナーの育成が近年の日本企業において注目されるようになりました。

3. イントレプレナーに求められる要素

それでは、企業に革新をもたらすことが期待されるイントレプレナーには、どのような資質が必要なのでしょうか。イントレプレナーになるためには、以下の3つ資質が求められます。

総合的な視点を持っている

まず、ビジネスを総合的に検討できる視点を持っていることです。総合的に検討できる視点とは、経営者的な視点のことです。ビジネスを成功に導くためには、利益を生み出し続ける仕組みをビジネスモデルとして構築することが必要です。

仕組みを構築するためには、人、モノ、金のバランスを総合的に検討し、事業計画を立案することが求められます。経営者の視点で、利益やコストを常に考えながら、商品サービスの内容や人材配置など、業務設計から組織構築までを考えることができるか否かによって、事業を成功させることができるイントレプレナーになれるかが決まります。

社会問題への意識が高い

次に、社会問題への意識が高いことです。企業は事業を通じて社会で発生している問題を解決します。事業の根本には、解決すべき人々の困りごとがあります。イントレプレナーは、新しいビジネスを生み出す役割であるため、現在どのような社会問題が発生しているのか、課題を見つけるために常にアンテナを張っておくことが求められます。

そして社会問題を見つけたら、発生している問題の根本的な原因は何なのか、どうすれば有効に解決できるのか考え、事業案に落とし込む能力が必要です。

強いリーダーシップがある

最後に、周囲を巻き込むリーダーシップがあることです。新規ビジネスを開始し、拡大していくことは、どんなに優秀な人であっても一人の力では達成できません。他の事業部の人を含め、周囲の協力を得ながら、多数の人々の力をうまく使っていくことが必要です。周囲の理解を得て、協力を得るためには、人を動かすことができる強いリーダーシップが求められます。

社内起業家であるイントレプレナーは、一人で何もかもできる天才肌のイメージが強く持たれがちですが、真に必要になのは、志を持って周囲に働きかけ、多くの人々の力を動かしていくことができる資質であると言えます。

4. イントレプレナーとアントレプレナーの違い

一般的な起業家を意味するアントレプレナーとイントレプレナーの一番の大きな違いは、当然ながら企業に属しているか否かです。基本的にイントレプレナーは、企業にて正規社員として働きながら、新しいビジネスを立ち上げます。そのため、所属している企業から、資金や人材、インフラなどの支援を受けることができる場合が多いです。さらに、所属している企業が新しいビジネスを立ち上げる際に有益なノウハウを、既存事業においてすでに持っている可能性があります。

支援やノウハウがあることは、ゼロからスタートすることが求められるアントレプレナーと比較すると、イントレプレナーにとってメリットと言えます。一方で、会社員でないアントレプレナーは、資金や人材、インフラの支援が少ない難しさはあるものの、新しいビジネスに関しては自由に動くことができるというメリットがあります。同じように新しいビジネスを生み出す立場であっても、置かれた環境によってメリットとデメリットに違いが生まれ、ビジネスを成功に導くための動き方が変わってきます。

【関連】アントレプレナーシップの意味とは?必要なスキルやアントレプレナーシップ教育までご紹介 / BizHint HR

5. イントレプレナー制度導入企業例

最後に、イントレプレナーの育成に積極的に取り組む企業の事例をご紹介します。いずれの企業においても、イントレプレナー育成を制度として推進し、企業内において革新力を高めるための取り組みを行っています。

社内起業家支援を行う制度は、今後さらに注目されると考えられますが、人事担当者の方がイントレプレナー制度の導入を自社で検討する場合には、他社の事例を参考に、自社の風土に適合し、社員が受け入れやすい方法を検討していく必要があります。

株式会社サイバーエージェント

インターネットビジネスにおいて、数多くの新規事業を生み出してきたサイバーエージェントグループは、事業と人材を育成する「CAJJプログラム」を実践し、イントレプレナーを育成しています。常に新しい取り組みが求められるインターネットビジネスにおいて、新しいアイデアとアイデアを事業として成長させることができる優秀な人材を育てることを目的としています。

プログラム内容としては、年2回開催される「ジギョつく(事業を作ろう!)」という新規事業プランコンテストがあります。コンテストの審査を通過したプラン提案者は、事業統括を任され、事業責任者としてスタートを切ることができます。

株式会社サイバーエージェント

株式会社リクルートホールディングス

数多くの起業家を生み出しているリクルートホールディングスでは、「New RING」という新規事業提案制度を実施しています。新規事業を創造する風土と社員の経営者意識の育成を目的に、1990年より開始しました。この制度により、「ゼクシィ」「ホットペッパー」「R25」「受験サプリ」などが生まれています。

年12回毎月審査が開催され、最終審査で案件が採択されると、応募者はリクルートテクノロジーインスティテュートへ異動もしくは出向となり、案件の事業化に取り組むことができます。社外からも、事業を提案するメンバーとして審査に参加できる点が特徴的な制度です。

株式会社リクルートホールディングス

パナソニック株式会社

家電製品を中心に事業を展開するパナソニックグループは、「パナソニック・スピンアップ・ファンド制度」を実施しています。社員の主体性と創造性を伸ばし、パナソニックグループの新規事業の立ち上げを目的としています。2001年の発足以来、30社以上がこの社内起業制度を通じて設立されました。

制度に参加するためには、パナソニックの社員である必要がありますが、パナソニックから大幅な出資援助を受けることができるため、イントレプレナーが育ちやすい環境が整備されています。起業家精神が企業内で育ち、実際に新規事業がビジネスとして成功している好事例が見られます。

パナソニック株式会社

株式会社 博報堂

広告事業を幅広く手がける博報堂DYグループは、「AD+VENTURE」という社内公募型ビジネス提案・育成制度を実施しています。2010年より制度を開始し、既存のビジネスの領域に止まらない新たな事業の創造を通して、グループ全体を活性化することを目的としています。参加対象は正社員ですが、正社員でなくとも正社員とグループを組めば参加することができます。

2回の審査とテストマーケティングを通過すると、案件を事業化するフェーズに進むことができます。通過した案件は、イノベーション実践リーダーから指導を受けることができるため、事業経営を通して優秀なイントレプレナーの育成につながっています。

株式会社 博報堂

ソフトバンクグループ

情報通信事業を展開し、成長を続けるソフトバンクグループは、2010年より「ソフトバンクイノベンチャー」と呼ばれる新規事業提案制度を実施しています。起業家精神を風土に根付かせ、次世代の経営者と新規事業を同時に育成することを目的としています。2016年には、2件の新規事業が法人化しました。

グループの社長や役員が出席する審査を通過すると、事業化検討案件として500万円の予算がつきます。新規事業の提案を通して、「ヒト・モノ・カネ」の管理を経験することで、経営人材の育成につながると考えられています。

ソフトバンクグループ

6. まとめ

  • イントレプレナー(イントラプレナー)とは、企業内で新規ビジネスを立ち上げる「社内起業家」のことである。近年日本においては、グローバル社会で生き残るために、イントレプレナーを育成することを目指す企業が増えている。
  • イントレプレナーは、ビジネスを総合的に見ることができ、社会問題への意識が高く、強いリーダーシップを持っていることが求められる。
  • 近年イントレプレナーの育成を制度として取り組んでいる企業が増えており、継続していく中で新規事業の創造と経営的視点を持った優秀な人材の育成に成功している。

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