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2018年7月15日(日)更新

相対評価

人事考課には、相対評価と絶対評価の二種類があります。日本企業が従来から採用してきたのは相対評価ですが、近年はグローバル化に伴う成果主義の考え方を採る会社も増え、人事考課の手法としても絶対評価を選択する人事部も目立ちます。今回は「相対評価」に焦点を当てながら両者の特徴や違いを分かりやすく解説すると同時に、両者を共存させるような効率的な人事考課のヒントをお教えしたいと思います。

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相対評価について

まず初めに、相対評価とは何なのか、その基本的な内容をご紹介しましょう。

相対評価とは?

相対評価とは、個人の能力を、その個人が属する組織や集団内においてどのような位置にあるのか、相対的な位置を手掛かりとして評価する方法です。「A評価は○%、B評価は○%」というように評価の分布をあらかじめ決めておき、その枠にはめ込む形で集団を構成する個人の能力を評価します。

評価の対象者同士を相対比較して序列を行うことが最大の特徴と言えます。

教育現場での相対評価

相対評価が採用されている代表的な例といえば、やはり学校教育における学力評価でしょう。「5・4・3・2・1」の割合(一般的に5から順に10%、20%、40%、20%、10%)を決めておき、学校単位で実施する試験などの平均点や得点分布に基づいて個人の学力をそれぞれに当てはめる「五段階評価」や、その評価基準を全国で共通の指標(試験など)とする「偏差値」などが挙げられます。

人事考課で使用される相対評価

企業における人事考課としての相対評価には、評価基準を事前に定めることはせず、あくまで一定のグループ内での対人比較のみで順位をつける方法と、グループの平均実績を算出し、それを評価基準としてグループ全体の業績への貢献度をベースに評価するという方法の2種類があります。

【関連】人事考課の意味とは?評価との違いと、ポイントをわかりやすく解説 / BizHint HR

絶対評価との違い

続いて、相対評価を考える上でどうしても欠かすことのできない「絶対評価」に関しても、基本的な知識をまとめておきます。

絶対評価とは?

絶対評価とは、個人の能力を、その個人が属する集団内の他者の能力に関わらず、あらかじめ決めておいた評価基準に則って評価する方法です。事前に数値化された目標に対してどの程度到達できたかを判断する到達度評価以外にも、数値化が難しいことに関しては評価者が持つ基準によって成果を評価する認定評価と呼ばれる手法もあります。

教育現場での絶対評価

ゆとり教育が導入された2000年前後から、学校教育の現場でも絶対評価が取り入れられるようになりました。従来の学力一辺倒の評価基準から、学力そのものではなく個々に設定した目標への到達度や、学校や教員独自の基準に照らし合わせた評価方法によって、個に応じた指導を重視するようになったのが、その背景です。

人事考課で使用される絶対評価

企業における人事考課としての絶対評価とは、あらかじめ定められた評価基準によって、社員や従業員の個人の能力や成果を評価・判定することを言います。特に目標管理を実践する場において活用されます。

絶対評価には以下のようなメリット、デメリットがあります。

メリット

○評価基準に基づいて評価するので判断しやすく、評価対象者も納得しやすい。

○評価対象者に不足している部分がはっきりするので、能力開発やモチベーションアップに結び付けることができる。

○企業や職場、職種の実態に即した評価基準を作成できるので、公正な評価ができる。

デメリット

×評価者に事なかれ精神が働き、評価格差が付きにくく、中心化傾向に陥りやすい。

×評価者の人物的な癖や価値観、能力などによって、寛大化(甘い)傾向や厳格化(辛い)傾向といった、評価の質にばらつきが生じる可能性がある。

×評価の基準に手間がかかる。また、時代やニーズに応じて運用しないと形骸化する恐れがある。

×あらかじめ評価割合を決めるわけではないので、高評価の従業員が多くなり、支払い原資のコントロールが難しくなる場合がある。

【関連】寛大化傾向が人事考課や人事評価に及ぼす影響とは?要因や例をご紹介 / BizHint HR

相対評価のメリット

それでは具体的に、企業における人事考課としての「相対評価」の特徴を、メリットとデメリットに分けて見ていきましょう。まずはメリットからご紹介します。

集団内での評価が容易

組織や集団を構成するメンバーの比較によって評価を割り振ればいいだけなので、評価に手間や時間がかかりません。また、評価基準の作成も必要ないので、導入もスムーズとなります。

評価者の判断に左右されない

相対的な位置関係による評価なので、評価者の能力によって評価の基準が変わったり、評価に大きな差が生じたりというばらつきはありません。また、評価の分布があらかじめ決められているので、評価者の癖による寛大化傾向や厳格化傾向もありません。

景気に左右されない

営業成績など実数ではなく同じ集団内のメンバーを相対的に評価するので、集団そのものの成績や企業全体の成績などに左右されることがありません。

競争原理が働く

評価対象者が属する集団内での相対的な位置が評価となるため、集団内で競争原理が働き、モチベーションアップにつなげることが可能です。

偏った評価にならない

あらかじめ評価の分布(割合)を決めておくことになるので、全体的に評価が高い、全体的に評価が低いなど、評価の偏りをなくすことができます。

人件費総額管理が容易

前項同様、あらかじめ評価の分布(割合)を決めておくので、賞与や昇給といった人件費の管理もしやすくなります。

相対評価のデメリット

続いて、相対評価のデメリットをご紹介します。

評価に対しての説明が難しい

評価に対する明確な基準がないので、評価対象者への説明が難しくなります。場合によっては、個人の能力や成果の把握などの観点からは合理性を欠いた評価になってしまうケースもあります。

職場やチームのレベルで評価にばらつきが出る

あくまで評価対象者が属する集団内での相対的な位置が評価となっているので、同じ能力でも所属する集団のレベルによって順位に差がでてしまうといった評価のばらつきが生じることとなります。

他の集団との評価の比較がしづらい

前項同様、あくまで評価対象者が属する集団内での相対的な位置が評価となっているので、母体の違う組織や集団との比較が難しくなります。例えば複数部署における評価を公平にする場合には、それぞれの評価者によるばらつきをチェックし、標準偏差が同じになるように調整する必要があります。

メンバー同士で足の引っ張り合いが起きる可能性がある

評価の基準が、同じ集団に属する他者の成績となるので、メンバー同士で足を引っ張り合うなど、集団として一体感に欠けてしまう場合もあります。また、個人の成績が上がっても周りも一緒に上がれば評価アップの対象とはならないため、モチベーションの低下を招く危険性もあります。

評価方法の再検討

このように、相対評価と絶対評価にはそれぞれメリット・デメリットがあります。どちらか一方を評価方法として選択するのではなく、お互いに補完作用が働くような使い方や使い分けを実践する企業も増えてきています。いくつか実例をご紹介しましょう。

一次評価を絶対評価に、二次評価を相対評価に

評価段階が複数ある人事考課制度を採用している企業も多いと思いますが、このような場合に実践可能な取り組みとして、一次評価は絶対評価で、二次評価は相対評価で行うことが挙げられます。

絶対評価だけでは寛大化傾向など偏りが出てしまいますが、評価者も人間である以上、この偏りを完全になくすことは不可能です。そのため、偏りをチェックする役割として相対評価を活用して、評価を補正するという考えがベースとなります。必ずしも絶対評価の結果を下げることが目的ではありません。

能力・働きぶりを絶対評価に、業績・成果を相対評価に

営業成績や目標達成度といった具体的な数値で表すことのできる評価項目は、部門ごとに応じた評価項目を設定した上で絶対評価とし、能力評価や行動評価といった、数値化できず評価者によってばらつきが生じるような評価項目に関しては、公平にするため相対評価とする方法です。

成果の出やすい中堅・ベテラン社員と、成果の出にくい大学を卒業したばかりの若手社員の評価を行う場合、両者のバランスを使い分けることでキャリアによる評価のばらつきを軽減させることも可能です。

管理職(リーダー)を絶対評価に、一般社員(メンバー)を相対評価に

成果主義が主流となっている欧米企業でも、全ての社員に対して仕事の成果を厳格に評価対象としているわけではありません。成果によって収入が大きく差が出るのはマネジャークラスより上の役職であり、現場の社員には職務に応じた報酬が与えられます。

このように、集団をまとめる役割の管理職(部長や課長クラス)には、その集団の成果を基準とした絶対評価で、集団を構成する部下やメンバーといった役職のない従業員に対しては、集団内での働きに応じた相対評価で、それぞれ評価を行うことも有効です。

まとめ

  • 相対評価とは、とある集団内のどの位置にいるかによって個々の能力や成績を評価すること。
  • 絶対評価とは、あらかじめ決められた評価基準に基づいて個々の能力や成績を評価すること。
  • 相対評価には、評価のしやすさや、外的要因の影響を受けづらいといったメリットがる。
  • 相対評価には、結果の分かりづらさや、他の集団との比較のしづらさといったデメリットがある。
  • 相対評価と絶対評価どちらかではなく、両者を共存させられるような時代に即した評価方法の再検討が必要である。

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