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2017年8月4日(金)更新

ぶら下がり社員

ぶら下がり社員とは、与えられた仕事はきちんとやるが、言われた以上の仕事はしない社員のことです。30歳前後を中心に増加しており、労働力不足の深刻化で問題となっています。ぶら下がり社員のやる気を引き出し、自主的に仕事に取り組ませるには、コミュニケーションによる信頼関係の構築と、ミッションを与えて働く目的を持たせることです。

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ぶら下がり社員とは?

近年労働人口減少の問題が深刻化し、ぶら下がり社員や、フリーライダー、ローパフォーマーと呼ばれる社員の問題が注目されています。それぞれの違いを知ることで問題の輪郭が見えてきます。

ぶら下がり社員

ぶら下がり社員とは、指示された仕事はまじめに取り組んできちんとやり遂げ、上司の意見に素直に従い、反発しません。しかし、現状維持を望むため、仕事に対して受け身の姿勢を貫く人のことです。新しい仕事にチャレンジするなど自己成長や企業貢献の意欲が欠けており、頑張らなくても給与がもらえればいいと割り切って必要上の仕事はしません。

フリーライダー(ただ乗り社員)との違い

フリーライダーとは、仕事を怠けていながら他の社員のあげた成果に「ただ乗り」して、パフォーマンス以上の給与を会社からもらっている人を言います。近年の傾向として、自発的な社員や利他心のある社員、頑張る社員に労働的負担や精神的ダメージを与えることが問題となっています。

ぶら下がり社員との違いは、仕事を怠けているか、いないかです。ぶら下がり社員の勤務態度は真面目であり、フリーライダーは怠惰です。

ローパフォーマーとの違い

ローパフォーマーとは、仕事に対して著しくパフォーマンスが低い人を言います。書類選考や面接で確認したものの、実際の業務を任せたら期待した通りの成果を出すことができません。企業にとっては貢献度の低い社員となります。ローパフォーマンスの原因は能力や適性、上司やクライアントとの相性など様々です。ぶら下がり社員との違いは、仕事の生産能力が高いか、低いかです。

ぶら下がり社員は仕事における生産能力が高く、上司が期待する成果を出しますが、ローパフォーマーは生産能力が低く、ボーダーラインぎりぎりといった成果しか出せません。

ぶら下がり社員の特徴

ぶら下がり社員にはどのような特徴があるのでしょうか?特徴を知ることでぶら下がり社員を見抜く際の参考になります。

一見従順な社員

遅刻したり、さぼったりすることもなく、与えられた仕事はきちんとこなします。仕事の手を抜くことなく上司の意見に逆らうなど、反抗的な態度はとりません。無難にそつなく仕事をこなす、一見従順な社員です。仮に今の職場に満足していなくても、今の待遇より悪化するのを恐れて転職はしません。

言われたことだけをする

上司の指示や言われた仕事は素直にやり遂げます。しかしリスクを避けるため、自ら提案したり、仕事のレベルを上げることはしません。昇格して部下の育成や、マネジメントすることを重荷に感じるので、昇格は望みません。そこそこの力で仕事をするため、次第に自分で考える力が落ちて成長しなくなります。

プライベートを優先する

プライベートの時間を確保するために、仕事の残業や休日出勤はなるべく避けたいと考えています。生計を立てるために給与をもらうことが仕事の主な目的なので、会社と自分に距離を置き、仕事優先の意識はありません。頑張っても給与は変わらないので、リスクや困難を避けて最小限の努力で仕事をやり遂げる方法を考えます。

自己評価が低い

努力が報われない、希望がかなわないといった業務上の経験が続くと、次第に自信を失い、頑張ることへのモチベーションが下がり、頑張る前に諦めるようになります。その結果、自己評価が下がって「自分には無理だから現状を維持できればよい」という消極的な気持ちに支配されてしまいます。

ぶら下がり社員がいることの弊害

社内にぶら下がり社員がいると、企業にとってどのような弊害があるのでしょうか?

企業の成長を阻む

グローバル化が進む中で企業競争力をつけるためには、判断スピードが求められています。さらにニーズに応える発想力も不可欠です。ぶら下がり社員が増えていくと、頑張る社員は仕事の負荷が増して不公平感やストレスからモチベーションの低下を引き起こします。

こうした歪みが組織全体に波紋のように広がると、活気がなくなっていきます。企業全体の労働生産性が現状維持に留まるようになると、やがて衰退していく危険性が高くなります。

管理職がいなくなる

部下を持ち、責任を負う立場を避けるぶら下がり社員が増えていくと、管理職がいなくなってしまいます。そうなれば、管理職を新たに募集して採用することになります。採用された管理職は、組織に染まっていないため客観的な視点から斬新な戦術を立てることができます。

しかし、業界や組織に慣れるまで時間がかかり、その間の業務上の判断やコミュニケーションへの不安があります。そのほか、年下上司に年上部下となった場合、部下がやる気をなくしてぶら下がり社員になる可能性があります。

ぶら下がり病が伝染する

ぶら下がり社員が社内に現れると、周りの社員に伝染していきます。ぶら下がり社員の年齢は低くなる傾向にあり、多くは30歳前後を中心に増えています。新卒入社の若者は30歳前後のくすぶっている社員を見て、自分もいずれそうなるかもしれないとう不安に陥り、ぶら下がり社員化していきます。

30歳前後の社員をマネジメントする40代以上の社員も、やる気を失ったぶら下がり社員を何とかしようと孤軍奮闘するものの一向に変わらず、仕事ばかりが増えていく状態になると、モチベーションが落ちてぶら下がり社員化していきます。こうして組織にぶら下がり社員が増えていきます。

ぶら下がり社員が生まれる背景

ぶら下がり社員が生まれる背景にはどのような要因があるのでしょうか?

3つのあきらめ

ぶら下がり社員は、自分、組織、社会の3つのあきらめを感じています。それぞれの理由について説明します。

自分へのあきらめ

従来の年功序列では、昇進、昇給といった働く目的や目標がありましたが、成果主義が主流の今、それぞれが働く目的を見つけなくてはいけなくなりました。目的が見いだせないぶら下がり社員は、頑張ってもたかが知れているという行き止まりを感じて、ネガティブな気持ちに支配されています。成功体験には目を向けず、これが失敗した、ダメだった、できなかったという過去の失敗ばかりに目が行くので、行動意欲や頑張る気持ちを否定して行動できなくなります。

こうして、ネガティブ思考から行動できない自分がさらに嫌になるという無限ループにはまって、自分へのあきらめが強くなってしまいます。これはリスクを恐れて行動できないという悪循環を引き起こし、やがて行動しないことを正当化する思考に発展します。

組織へのあきらめ

組織の体質を改善しようとして意見や提案をしたら否定されたり、逆に意見が通っても何も変わらないという経験をすると、組織に対する期待が失望に変わります。また、上司や先輩社員から組織や会社の悪口を聞かされ、徐々に組織への諦めの気持ちが強くなってしまう経験もきっかけとなります。こうして、「あの社長(上司)がいる限り、頑張っても何も変わらない」、「どうせ頑張って仕事をしても給与は変わらない」という諦めの気持ちに支配されていきます。

振り返ってみて自分自身に問題はなかったかという視点はなく、悪いのは社会情勢や組織、他人といった周りのせいにします。この気持ちの根底には組織への依存心が強く、期待感が高すぎることがあります。

社会へのあきらめ

長引く不況、少子高齢化により税金の負担は増える一方で、頑張って働いても将来年金をもらえるかどうかも分からない、行く先が不透明な情勢が続いています。こうした社会情勢や未来に対して絶望感やあきらめ感が強くなり、自分の将来に夢や希望を持てなくなります。

人はどのような状況においても、自分は人生をどのように生きていきたいのか、何をやり遂げたいのかという目標や夢が生きがいとなります。しかし、社会へのあきらめ感に気持ちが支配されてしまうと、生きる目標や夢を探す気力がなくなり、今をなんとなく生きている状態に陥ってしまいます。

同じ仕事が続く環境

ぶら下がり社員も、入社した頃は仕事に対して夢や希望を持って頑張っていました。仕事に慣れてきて新しい仕事にチャレンジしたい希望はあっても、異動の申し出を却下されるなどその機会に恵まれないまま、昇給もほとんどないまま同じ仕事が続きます。やがてやる気をなくしていき、あきらめ感が強くなってぶら下がり社員となっていきます。

モーレツ社員からぶら下がり社員へ

やる気も能力もあるモーレツ社員はやりがいを持って積極的に働きます。自分だからこそできる仕事をすることへの希望があり、こうしたことがしたいという夢や目標を持っています。しかしそれを否定されたり、打ち砕かれて失望することで頑張るモチベーションを維持できなくなります。こうしてやる気を失い、そこそこの仕事をして給与をもらえればよいというぶら下がり社員となってしまいます。

本音の言えない人間関係

ICTの進歩により職場でのコミュニケーションは会話をする機会が減って、チャットやメールといった文章でのコミュニケーションが増えました。会話では話の内容だけでなく、語気や相手の様子といったノンバーバルコミュニケーションが可能でしたが、文章を通したコミュニケーションでは、相手の本当の気持ちを察することは難しくなります。

そのため、業務内容など限定的で表面的なコミュニケーションになりがちです。こうした本音が分からない人間関係では、信頼関係を築くことが困難になります。

育休復帰のワーキングマザー

女性も働いて稼がないと家計が成り立たない世の中になり、出産後も復帰して仕事をしなければならなくなりました。また頑張ろうと職場復帰したものの、実際には復帰後は短時間労働が可能な部門に配属されたり、組織側が気を使って短時間や突然の休みにも対応できる業務を任されます。こうしたきっかけでやる気を失うケースも多いのが現状です。

あるいは、仕事と子育てとの両立に悩みながら働くなかでぶら下がり社員化した先輩ワーキングマザーを見て、自分も将来こうなるのだろうかと不安を感じて、ぶら下がり社員となっていきます。

【関連】女性活躍推進とは?メリットや後押しする施策、取組事例やサポート体制をご紹介 / BizHint HR

脱・ぶら下がり社員のための対策

ぶら下がり社員の持つ本来の能力を引き出し、優秀な社員へと脱皮させるにはどうしたらよいのでしょうか?いくつか対策をご紹介します。

全社を挙げて取り組む

企業としては、ぶら下がり社員より優秀な社員を伸ばしたいと考えるでしょう。しかし、ぶら下がり社員を放置したまま優秀な社員の育成に力を入れても、仕事量と期待という負担が大きくなり過ぎると、ぶら下がり社員になる恐れがあります。あるいは、ぶら下がり社員が自分と同じもしくは高い給与にも関わらずやる気のない仕事ぶりを見て、転職を考えて企業を離れていきます。

やる気のある優秀な社員を企業に残すためには、ぶら下がり社員のやる気を引き出して、活気に満ちた職場づくりを目指すことこそ最も効果があります。

マネジメントを見直す

仕事の達成感や満足感は周りの評価によって得られるところが大きいものです。成果を出したときだけでなく、日頃から声をかけることでモチベーションが維持されます。上司から部下を理解しようという気持ちで心を開き、存在価値を認めて、部下の成長を期待する気持ちを言葉で伝えることが大切です。その上で、仕事の意義や、仕事がどのように役立っているのかを伝えましょう。

上司が部下と真剣に向き合い本音で話せば、その熱意は伝わって部下の心に響きます。褒めるときは人格を褒めて、叱るときは行動を叱るようにすると、傷つけたりやる気をなくさずにすみます。信頼関係を築けないままマネジメントしても、ぶら下がり社員のやる気を引き出すことはできないでしょう。

【関連】モチベーションマネジメントとは? / BizHint HR

人が育つ職場へ

人を育てる余裕のない職場はぶら下がり社員を生む原因になります。30歳前後のぶら下がり社員は、バブル崩壊のあおりを受けてほとんど教育を受けませんでした。そのため自分の仕事の意味や役割を教えられないまま経験を積み、やがて即戦力を求められてきました。仕事の面白さを見つけられず、小さな仕事も重要であることを知らないため、給与だけが働くモチベーションになってしまいました。

ぶら下がり社員のやる気を引き出すためには、上司が彼らと向き合う覚悟を決めて、全力で取り組まなければやり遂げられない難易度の高い仕事を任せることが効果的です。このとき、ある程度の権限を与えて1人でやり遂げさせることが大切です。途中で行き詰ったら今の気持ちを聞いてみましょう。そして今の自分を客観的に見つめ直す機会を与え、自分の状態を自覚できるようサポートすることが必要です。

【関連】人材育成とは?目的と実施方法について / BizHint HR

会話でのコミュニケーションの工夫

組織や職場とのつながりを感じられなくなると、疎外感や孤独を感じてぶら下がり社員を生むことがあります。成果主義となって以来、社員は自分の成果を出すことに精一杯で、社員同士のコミュニケーションは希薄になりました。そしてミスや失敗で叱られることはあっても、成功したり、よい成果を出した仕事へのフィードバックはないため、自信が持てず、自己肯定感が低くなってぶら下がり社員を作るきっかけになっています。

以心伝心では気持ちは伝わりません。言葉に出したり、文字にすることで初めて相手と意思疎通を図ることができるのです。自分が言われたらどう思うかを考えながら、相手を思いやる言葉をかけて、コミュニケーションを取ることが大切です。

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ミッションを与えよう

多くの企業では昇進、昇給は期待できず、やりがいを見出せないまま仕事を続ける中で未来に希望をもてずにいるのがぶら下がり社員です。こうした社員を救うには、自分を救い、変えられるのは自分しかいないことを自覚させる必要があります。そのためには、自分の内から湧き上がる働く目的を探し、会社組織の中でその目的を果すために、自ら行動を起こす場所を見つけさせることが必要です。これがぶら下がり社員をやる気ある社員へ導くミッションとなります。

このミッションを遂行するなかで実現したい方向性が変わったとしても、実現に向けて全力で動いて結果を出すという経験をさせることが大切です。自分の力を出し切った経験は自信と意欲向上につながります。

『「新・ぶら下がり社員」症候群』の中で、吉田実氏は、ミッションがもたらす7つの効果について紹介しています。

  1. 自分の力を最大限に発揮して、全力で仕事に取り組むようになる。
  2. 実現のために問題に立ち向かい、解決しようとする力を発揮する。
  3. 組織への貢献を考えるようになり、ロイヤリティが上がる。
  4. 主体性を持って周りの人と積極的に関わるようになる。
  5. 仕事に喜びを見出すと共に、働く動機を得て生産性が向上する。
  6. 「とらわれ」から解放されて自分らしさや自信が生まれ、活き活きと働くようになる。
  7. 仕事以外でも楽しみを見つけて、仕事もプライベートも充実させるようになる。

こうした7つの効果に見られるように、社員が活き活きと、前向きで意欲的になれば、心も体も健康が保たれ、企業にとってもコスト減や生産性向上というメリットになります。

【参考】「新・ぶら下がり社員」症候群/吉田実

人事評価制度を見直す

会社が社員の存在価値を認め、適切な評価を行い、期待を込めてフィードバックすることで、給与以外のモチベーションを維持することができます。そのためには評価制度を見直し、頑張ったら報われる評価制度を導入することが大切です。適切な評価を受けてモチベーションが上がれば、会社の利益や発展のために自発的に行動するようになります。

【関連】人事評価制度とは?評価対象や評価手法、企業事例などもご紹介 / BizHint HR

ぶら下がり社員対策について学べる書籍をご紹介

ぶら下がり社員について知り、その解決方法について詳しく学ぶ一助として役立つ書籍をご紹介します。

「新・ぶら下がり社員」症候群/吉田 実

株式会社シェイク代表取締役社長の吉田実氏による、ぶら下がり社員について書かれた著書です。ぶら下がり社員とはどのような社員なのか、ぶら下がり社員が生まれた背景を多角的な視点で述べられています。

さらにぶら下がり社員を変革するミッション・クエストの方法と、継続していくポイントなど、導入や実践に役立つ内容が詳しく説明されています。そのほか、ぶら下がり社員を増やすひと言、減らすひと言など、会話でのコミュニケーションのポイントや重要性が丁寧に説明されており、部下との信頼関係構築に悩む上司は必見です。

【参考】Amazon.co.jp/『「新・ぶら下がり社員」症候群』 吉田 実

まとめ

  • グローバル化した競争社会を生き抜いていくために、ぶら下がり社員を根絶して社員を活性化することは、企業にとっての死活問題となります。
  • ぶら下がり社員でいる期間が長いほど回復にも時間がかかるため、ぶら下がり社員を見つけたら、他の社員に影響が及ぶ前の早期対策を講じることが重要です。
  • ぶら下がり社員は誰でもなりえる可能性があります。しかし存在価値を認めてミッションを与え、働く目的を見出せば、やる気や意欲が湧いて能力以上の働きを引き出すことも可能です。

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