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目標管理制度

2020年6月17日(水)更新

目標管理制度(MBO)とは、個々の社員に組織目標と連動する個人目標を設定してもらい、その目標達成度合いを評価基準として扱う人事評価制度です。当記事では、目標管理制度に対する総合的な知識の習得や効果的な活用を支援するため、目標管理制度の特徴、メリット・デメリット、目標を設定する際のポイント、運用方法などの項目に整理して分かりやすく解説しています。

目標管理制度とは

目標管理制度(MBO=Management by Object)とは、社員それぞれに個人目標を設定してもらい、その達成度合いを評価基準として扱う人事評価制度です。

ピーター・ドラッカー氏が著書の中で「Management By Objectives through Self Control(目標と自己統制による管理)」という言葉を用いて、社員一人ひとりの主体性を育む必要を説いたことがきっかけとなり、組織マネジメントの概念として定着しました。

目標管理制度の特徴

目標管理制度には以下のような特徴があります。

  • 組織目標にリンクした個人目標を設定することで、組織と個人の方向性の統一を図る
  • 個人目標は社員自身が設定。具体的な行動や進捗も自ら管理する
  • 上司は部下と密なコミュニケーションを取り、個人目標と組織目標の両方の達成を目指してサポートしていく

目標管理制度は、人事評価のためだけのツールではなく、マネジメントツールでもあります。自ら目標を立てることで、社員のモチベーションアップを図り、育成していくことも大きな目的です。

目標管理制度が普及したきっかけ

バブル崩壊後、「年功序列制度」に代わる新たな賃金制度として導入されるようになった「成果主義」。成果主義は業績や成果をもとに昇進や昇給を決定する賃金制度ですが、この制度を運用するためには個々の社員の業績や成果を正しく見極める必要があります。

そこで注目されたのが目標管理制度です。目標管理制度は、個人の業績や成果を具体的かつ客観的に評価・判断できる指標として「成果主義」と共に普及しました。

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目標管理制度のメリット・デメリット

目標管理制度の導入によるリスクを最小化し、多くの成果をあげるためにも、メリットとデメリットの両方を正しく理解しておきましょう。

メリット

目標管理制度には、「自律的な行動の促進」、「能力開発・スキルアップ」、「モチベーション向上」という3つのメリットが存在します。

従業員の自律的な行動を促せる

目標管理制度では、組織が掲げている目標を従業員たちと共有し、全社の一体感を十分に醸成した上で個人目標の設定を自ら行ってもらいます。

そのため、従業員たちは自分の成長や努力が組織の業績向上や発展にリンクしていることを正しく理解し、「組織のために今の自分ができること」を考え、目標達成に向けて自律的に取り組むようになります。

社員の能力開発やスキルアップに繋がる

従業員たちは、個人目標の設定、プロセス管理、評価という一連の流れを全て自分で行うことで、業務遂行に必要な能力をはじめ、以下のようなスキルを磨くことができます。

  • 自主性
  • 現状把握力
  • 自己認識力
  • 問題解決能力
  • 自己管理能力

また、管理者である上司は、部下に対する指導や支援、動機付けなど、マネジメントスキルを向上させることができます。

モチベーションの向上

目標と手段の両方を自分の意思で決めた従業員たちは、仕事に対して大きなやりがいと強い責任感を感じるようになります。

このように、仕事に対する「やらされ感」を排除し、自ら意味づけを行わせることで、従業員たちのモチベーションを大幅に向上させることができます。

デメリット

目標管理制度には、「VUCA時代に対応できない」、「ノルマ管理になってしまう恐れがある」、「目標設定や評価が難しい」という3つのデメリットが存在します。

VUCA時代に対応できない

目標管理制度の最大のデメリットは、不確実性の高いVUCA時代に対応できないということです。

目標管理制度は、組織目標とリンクした個人目標を従業員に設定してもらい、個々の努力や取り組みを原動力にして組織目標の達成を目指す施策です。

しかし、ビジネス環境の変化に随時対応しなければならないVUCA時代では組織目標や戦略が常に変化し続けるため、従業員たちが自らの力だけで個人目標を適切に設定、修正することは容易ではありません。

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ノルマ管理になってしまう恐れがある

上司の反応や人事考課を意識して「きっとこのような目標設定を望んでいるはず」や「これは目標ではなく絶対に達成しなければならないノルマだ」と考えるようになると、目標管理制度はすぐに形骸化してしまいます。

目標管理制度がただのノルマ管理ツールになってしまわないよう、制度の導入目的を組織全体にしっかりと浸透させて、自己成長や組織貢献に繋がる個人目標を設定できるように支援しましょう。

目標設定や評価が難しい部署や職種も

数値化できるものが少ない間接部門など、部門や職種によっては明確な目標設定を行うことが難しいことがあります。

また、個々の従業員によって目標の質や難易度が異なるため、公平な評価することが難しく、評価者に大きな負担をかけることになります。

目標設定における3つのポイント

目標管理制度を成功させるためには適切な目標設定が欠かせません。

次の3つのポイントを意識しながら目標設定を行うことで、目標管理制度の導入効果を最大化させることができます。

1.期間や数値を盛り込んだ具体的な目標

曖昧な目標を設定してしまうと、目標を達成するために必要な行動の洗い出しや達成度の測定が難しくなります。また、本人だけではなく上司やチームメンバーなど周囲の人も適切な支援や正しい評価を行えなくなります。

目標を設定する際には、期間や数値などの具体的な表現を盛り込み、目標達成までの方法や道筋も明確にしておきましょう。

2.適正なレベル感の目標

目標管理制度では達成度合いが個人の評価に大きな影響を与えるため、社員たちは自分の評価を下げないように容易に達成できる目標を設定する傾向があります。また、

中には「一日も早く理想の自分になりたい」や「周囲の期待にもっと応えなければ」などの思いから、どれだけ努力しても達成することが難しい非現実的な目標を設定し、挫折してしまう社員も。

設定する目標のレベルは高すぎても低すぎてもいけません。今の自分の実力では達成することは難しいが、少し努力すれば十分に達成が可能になる範囲のレベルが適切です。 目標管理制度による人材育成を効率的に行うためにも、適切なレベルの目標を設定できるように社員たちを支援しましょう。

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3.組織の目標と個人の目標をリンクさせる

目標管理制度は、個人目標の達成に向けて邁進する個人の力を組織目標の達成に活かすマネジメント手法です。そのため、個々の社員の目標は組織全体の目標とリンクしていなければなりません。

個人目標の達成に向けた自身の取り組みが組織にも好影響を与えたことを実感させることは、社員たちのモチベーションを高い状態で維持するためにも重要です。

具体的であるか適切なレベルであるかだけではなく、組織の目標とリンクしているかという点もしっかりと確認しておきましょう。

「SMARTの法則」を活用しよう

SMARTの法則とは、ジョージ・T・ドラン氏が提唱した目標達成の実現可能性を最大限に高めるための目標設定法です。

SMARTの法則に含まれる5つの成功因子を意識することで、より精度の高い目標設定を行うことが可能となります。

  1. Specific(明確性)… 設定した目標は明確なものか
  2. Measurable(計量性)… 目標達成率や進捗度を測定可能か
  3. Assignable(割当設定)… 役割や権限を割り当てているか
  4. Realistic(実現可能性)… 現実的な目標を設定しているか
  5. Time-related(期限設定) … 目標達成に期限を設けているか

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目標管理制度の運用方法

ここでは、目標管理制度導入の手順や運用方法について説明します。

組織の目標を従業員に共有する

個人の目標を設定する前に、組織の目標を従業員に共有します。目標を全社員で共有し、全社の一体感を醸成するが目的のため、間違っても「組織目標を達成するために協力しろ!」というような一方的な通達を行ってはいけません。

大切なのは、社員たちが成功までの道のりをイメージしすいように自社の現状や課題、経営目標、今後の構想、戦略などについて経営者自らが語ることです。

従業員たちを経営者の夢に心から共感させることで、組織課題の解決や目標の達成に向けて一丸となることができるでしょう。

個人目標の設定

社員たちが個人目標を正しく設定できるかどうかは、上司のチェックにかかっています。

人材育成と組織成長を力強く推し進めるためにも、上司は部下が設定した目標をただ認めるだけではなく、必要に応じて軌道修正してあげなくてはなりません。

部下一人ひとりの努力や取り組みが個人成長と組織成長の両方に繋がるように、前述したポイントをしっかりと押さえながら丁寧にサポートしましょう。

目標達成までのプロセス管理

目標を設定した後は、それを達成するまでのプロセスを管理していきます。このプロセス管理には PDCAサイクルが有効 です。

Plan(計画)

まずは、個人目標を具体的な行動へと落とし込みます。

「売上を10%アップさせる」という目標を立てたのであれば、その目標達成のためにどんな風に自分の仕事を進めていくのかを掘り下げ、具体的な行動として明確化することが大切です。「1日3件新規顧客にアプローチする」や「1ヶ月に50件の企画書を送る」など、具体的な数値や方法を打ち出すように心掛けましょう。

Do(実行)

個人目標の達成に向けて、前項で具体化した行動計画を実行に移します。

Check(確認)

目標達成に向けた取り組みを開始した後は、部下との個人面談を定期的に実施して進捗状況の確認を行います。毎週、隔週、月に1回など実施頻度を決め、設定した目標にどこまで近づけているのか振り返る場を設けましょう。

Act(改善)

確認作業の中で目標設定時に想定しなかった問題点が見つかった場合、行動計画の見直しや修正を行います。

この時、上司はアドバイザーに徹することが大切です。命令や強制ではなく、部下自身に今後どのようにしたらいいのかを考えさせましょう。上司が進捗状況を把握し、部下の自主性をサポートしていくことで、信頼関係の構築や部下のモチベーションアップに繋げることができます。

目標達成結果の測定・評価

期末には目標達成結果の測定と評価を行います。

目標管理では、まず本人が自己評価を行い、それを受けて上司が評価するという流れが一般的です。その際、「取り組みの内容や質」は評価の対象から外し、「期初に設定した目標に対する達成度合い」のみで評価を行います。

ここでのポイントは評価のフィードバックです。

達成できなかった場合でも、「どこが問題だったのか」「どう改善すれば次は達成できるか」などを考えるきっかけを与えましょう。それが社員のモチベーションの向上に繋がります。

目標管理制度を成功に導くためのマネジメントとは

どのようなマネジメントを行えば、目標管理制度を成功へと導くことができるのでしょうか。

目標管理シートの活用

目標管理シートの活用によってマネジメントをシステム化することは、目標管理制度の成功率を高める上でとても重要です。

目標管理シートを設計する際には、以下のような内容について十分な議論と検討を行う必要があります。

  • 部署や個人にとっての成果とは何か
  • 組織の業績とは何か
  • 目標の設定方法は職種や階層で分けるのか
  • 目標の設定期間はどの程度が適切なのか
  • 目標はいくつ設定するのか
  • 難易度設定は行うのか
  • 業績評価と結びつけるのか

目標管理シートは「目標達成に必要だろう」といった漠然とした理由で項目を決めるのではなく、自社の思想やロジックを表現したものにするため、コンセプトを明確にした上で設計しましょう。

密なコミュニケーション

目標管理制度では、上司と部下の密なコミュニケーションが欠かせません。なぜなら、自分自身の能力を正しく把握し、組織目標とリンクした個人目標を具体的かつ適切なレベルで設定できる人はそう多くないからです。

部下は能力の把握や個人目標の設定だけではなく、内発的動機づけや評価に対する納得感の醸成、モチベーションの維持向上など、数多くの場面で上司の支援を必要としています。

そのため、日頃から十分にコミュニケーションが取れていると感じる場合であっても、定期的に1on1や面談を実施し、部下の声にしっかりと耳を傾けながら手厚くサポートすることが大切です。

密なコミュニケーションを取れる環境と時間があれば、「なぜそう思ったのか」や「これからどうなっていくだろうか」などの問いかけを行い、「どうするべきか」を部下に考えさせることができます。

このような理由からも、日頃のコミュニケーション量や日常業務による忙しさを理由に、目標管理における面談を省略してはいけないのです。

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目標達成の数値のみで評価をしない

目標管理制度では、目標達成度合いを測定して評価を行います。しかし、目標達成度合いにばかり固執してしまうとノルマ管理や成果主義に陥りやすく、社員たちのモチベーションも低下する恐れがあります。

そのため、人材育成やモチベーションの維持向上という観点では目標達成までのプロセスや取り組む姿勢に対する評価も欠かせません。目標管理制度以外の枠組みでしっかりとフォローを行いましょう。

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MBOに代わって注目され始めているマネジメント手法

昨今、目標管理制度(MBO)に代わる新たなマネジメント手法として、「OKR」や「ノーレイティング」に多くの注目が集まっています。

OKR

OKR(Objectives and Key Results)とは、「達成目標(Objectives)」と「主要な成果(Key Results)」をセットにすることで、組織と個人の方向性の統一を実現させる目標管理手法です。

GoogleやFacebookなど、多くのグローバル企業が導入して成功を納めていることから注目が集まり、日本でも採用する企業が年々増えています。

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ノーレイティング

ノーレイティングとは、業績や取り組みに対するランク付け(レイティング)を廃止し、数値や記号などを一切使わずに人材の評価を行う人事評価制度です。

1on1ミーティングや360度評価を活用しながら信頼関係の強化や納得感の醸成に努めることで、納得感のある目標設定や評価の実施、優秀な人材の確保などが可能となります。

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まとめ

  • 目標管理制度(MBO)とは、社員一人ひとりに組織目標と連動した個人目標を設定してもらい、その達成度合いによって評価を行う人事評価制度である
  • 目標管理制度の効果を十分に引き出すためには、ノルマ管理や成果主義に陥らないようにプロセスや取り組み姿勢に対する評価の仕組みも合わせて設けなければならない
  • 目標管理制度には「自律的な行動の促進」、「能力開発・スキルアップ」、「モチベーション向上」という3つのメリットと、「VUCA時代に対応できない」、「ノルマ管理になってしまう恐れがある」、「目標設定や評価が難しい」という3つのデメリットが存在する
  • 目標管理制度を成功させるためには、運用方法を正しく理解し、各手順におけるポイントをしっかりと押さえることが重要である
  • 近年では、MBOに代わるマネジメント手法として「OKR」や「ノーレイティング」にも注目が集まっている

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