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2018年11月20日(火)更新

女性活躍推進法

女性活躍推進法は、職場での活躍を望む女性が力を発揮できる社会づくりのために制定されました。今回は、女性活躍推進法の原則や企業が行うべき義務の内容などの概要やメリットを述べた上で、具体的な事業主行動計画の策定方法を解説します。また、優秀企業に対する制度「えるぼし」認定や、実際の企業事例、法律の課題点もあわせて紹介します。

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女性活躍推進法とは

女性活躍推進法は、正式名称を「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といいます。

自らの意思によって働きたいと希望する女性が職業に就くにあたり、より自由に活躍することができるような取り組みを行い、豊かな社会を実現するために制定された法律で、平成27年8月28日に成立しました。

女性活躍推進法施行の背景

女性活躍推進法は、我が国で進行する少子高齢化のあおりを受け、労働力が不足することに関する問題の解決を図るために施行されました。

国ではこれまで、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法、次世代育成対策推進法などにより、雇用における男女格差問題や女性の社会進出を図るための対策を取ってきました。そして、その次の段階として、女性がさらに幅広いフィールドで活躍することができるような取り組みを実施することになりました。

安倍内閣では、「2020年30%」の目標を掲げています。これは、2020年までの間に、他社員を指導する立場に置かれた女性の割合が少なくとも30%程度になるようにするという内容です。

しかし、現状としては依然として30%には程遠い状態が続いています。総務省が実施する平成26年の労働力調査によれば、日本の管理職における女性の割合は11.3%であり、世界水準を満たない結果が報告されています。

【参考】内閣府男女共同参画局リーフレット:「2020年30%」の目標の実現に向けて
【参考】内閣府男女共同参画局ホームページ:男女共同参画白書 平成27年版 第2節 雇用の場における女性(管理職に占める女性割合の推移)

このような結果が算出された背景としては、我が国で働く女性が置かれている、次のような状況が原因とされています。

女性雇用者の半数以上は非正規雇用

労働政策審議会雇用均等分科会による「女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築について(報告)」によると、2013年、雇用者全体において女性が占める割合は43.3%(約2,400万人) と4割を超えています。しかし、その半数以上(53.9%)は非正規雇用であることが報告されています。

出産・育児を機に離職した後、再就職できない女性がいまだに多い

30代は出産・育児期に入る女性が多い傾向にあり、30代の就業率が低くなる「M字カーブ」は以前から日本女性の特徴といわれていましたが、その特徴はいまだに残っていることが問題視されています。

働いていない人の中で就職を希望している女性は、2013年の調べで315万人です。 このうちの多くを30代女性が占めていることが、女性の社会進出を妨げる理由の一つとなっています。

【関連】M字カーブの定義とは?問題の中身と原因、解消までの道のり / BizHint HR

管理職に占める女性の割合が世界から見ても極めて低水準

管理職(課長級以上)の「意思決定層」に占める女性の割合は、2013年の時点でわずか7.5%でした。男女雇用機会均等法の制定時(1985年)の1,4%に比べれば増加していますが、女性管理職が30~40%ほどを占める諸外国に比べると日本は極めて低水準に留まっています。

【参考】女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築について(報告)

【関連】ウーマノミクスとは?意味や効果、メリット、課題や問題点をご紹介 / BizHint HR

企業にとってのメリット

女性活躍推進法の存在意義は、単に女性の社会進出を後押しするということだけではなく、企業に対してもさまざまなメリットをもたらす結果が生じます。具体的には、主に次のような効果が期待されています。順を追って見ていきましょう。

ダイバーシティの推進

ダイバーシティとは、年齢や性別、能力などを問わず、多種多用な人材をより積極性を持って活用していこう!という思想のことで「多様性」と訳されています。そもそも、社会的少数者の就業率アップを後押しするための考え方でしたが、日本では女性の活躍を推進するための取り組みを指すケースが多くみられます。 ダイバーシティを推進することで、女性労働者が置かれた状況を理解し、その特質を生かした雇用を行うことで、多用化しているビジネスモデルに対応できるだけの能力を企業にもたらすことが有効視されています。

【関連】ダイバーシティの意味とは?経営推進のポイントから企業事例もご紹介/ BizHint HR

ワーク・ライフ・バランスの実現

女性が活躍できるような環境を作り出すことは、前項目で問題視されていた女性の離職率低下につながります。たとえば、育児や介護を理由にフルタイムで勤務できなくなった女性労働者に対する雇用継続対策を取ることで、その労働者が「離職しない」という選択をすることができ、優秀な人材流出を防ぐことができます。 また、離職に伴う採用活動や再雇用者への新入社員教育にまつわる手間やコストを削減することが可能となるというメリットも生まれます。

【関連】ワーク・ライフ・バランスとは?メリットや推進ポイント、取組事例もご紹介/ BizHint HR

社外への企業ブランドのアピール

女性が生き生きと働くことができる企業では、高いモチベーションを持って働く社員が多い傾向があるため、より高い生産性が期待できるものです。また、男女が分け隔てなく活躍する企業の存在は、それだけで対外ブランドイメージがアップし、採用や営業活動において有利な状況を作り出すことが可能になります。

女性にとってのメリット

女性活躍推進法の存在は、当然ながら対象とされている女性労働者を取りまく環境の改善にもつながります。具体的には、次の内容が主に挙げられます。

キャリアの選択肢が広がる

男女雇用機会均等法などにより雇用における男女平等がうたわれてはいるものの、これまでは、業種や職種によって女性が進出することが困難な状況も見られました。

女性活躍推進法が施行され、女性の活躍を後押しする対策を取る企業が増加することで、多くの女性が断念していたキャリアアップの計画を実現する可能性が広がることになります。

多様な働き方ができる

女性活躍推進法は、育児や介護、家族の転勤などにより、就業時間や場所を制限されている女性労働者にとっても有効な制度です。

制限されている内容を会社側が受け入れ、新たな働き方を提案することで、就業やスキルアップを諦めていた女性が生き生きと働き続けることができる環境が生まれ、多様な働き方で就労する女性が増加するという効果があります。

女性活躍推進法の概要

では、ここからは、女性活躍推進法にはどのような内容が定められているのかを見ていきましょう。具体的には、基本原則や方針、女性活躍を促すために企業が行うべき事業主行動計画の策定や義務、支援内容などが記されています。

基本原則

女性活躍推進法には、次のような基本原則が記されています。この原則をもとに、女性の職業生活をいっそう豊かにし、活力の溢れた社会づくりにつなげることがねらいです。

  • 女性労働者の採用や配置転換、昇進等の機会を積極的に設けることや、性別で分担される社内の固定的役割等を反映した職場の慣行への配慮をすること
  • 仕事の生活・プライベートの生活の両立に必要となる環境整備を実施し、円滑で継続的な両立を図ること
  • 女性労働者における仕事の生活・プライベートの生活を両立することが、本人の意思により尊重されている状態であること

基本方針等の策定

女性活躍推進法では、女性が社会で活躍するための施策を実施するにあたって必要とされる基本的な考えについて「基本方針」として定めています。女性労働者の活躍推進に関する基本方針を策定することが、平成27年9月に閣議決定されています。

また、都道府県・市町村などの地方公共団体では、国が策定した基本方針に沿った内容で、女性の活躍を後押しする推進計画を策定することが努力義務として定められています。

【参考】内閣府男女共同参画局リーフレット:女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針について(平成27年9月25日閣議決定)

事業主行動計画の策定等

事業主行動計画とは、実際に女性が職場で活躍するための数値目標を計画値として定めることです。一般の企業が定めるものを「一般事業主行動計画」、国や都道府県、市町村が定めるものを「特定事業主行動計画」といいます。

女性活躍推進法では、この事業主行動計画を定めるにあたって守らなければならないルールや、実施義務のある企業の規模、実際に明らかにしなければならない計画値の内容について定めています。

女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置

女性活躍推進法では、社会において女性労働者がより一層の活躍ができるよう、企業に対して次のような支援措置を取っています。

  • 女性活躍推進に積極的に取り組む優良な企業に対する認定制度
  • 公共調達による女性活躍推進
  • 企業の女性活躍状況の見える化
  • 行動計画策定や女性活躍推進の施策を実施した中小企業に対するインセンティブ付与
  • 非正規雇用者の処遇改善推進施策
  • 正規転換支援の拡充
  • 女性の理工学部分野への進出など、多様な働き方を現実化するための支援措置

企業に求められる義務

女性活躍推進法では、女性の活躍推進を実現するために各企業がなすべき内容について、次のように設定しています。

女性の活躍に関する状況の把握、改善すべき事情についての分析

現時点において、社内で女性がどのような形で就労しているかを数値により洗い出し、問題点や改善点を見出すことです。

具体的に把握しなければならない内容としては、以下が挙げられます。

  1. 採用の女性割合
  2. 継続勤務年数の割合
  3. 職員一人当たり各月ごとの超過勤務時間
  4. 管理的地位にある職員に占める女性割合
  5. 各役職段階に占める女性職員の割合
  6. 男女別の育休取得率・平均取得期間
  7. 男性職員の配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇取得率・平均取得日数 など

「事業主行動計画」の策定・公表等

前述の段階で数値化し洗い出した内容をもとに、目標値や改善するための取り組み内容を「事業主行動計画」で定め、内容を公表し、社内の労働者に対して周知をすることです。

女性の活躍に関する情報の公表

策定した事業主行動計画に沿った実施状況や、職業選択に関する情報などを対外的に公表することです。

罰則規定について

女性活躍推進法では、301人以上の労働者を抱える企業に対する取り組み設定など、さまざまな内容が義務づけられてはいるものの、罰則規定については特に設けられていません。

しかし、厚生労働大臣は必要に応じて一般事業主に報告を求め、助言・指導もしくは勧告ができることになっています。

事業主行動計画の策定~届出、取り組みの流れ

それでは、ここからは企業内で策定しなければならない「事業主行動計画」の具体的な内容や、策定後の流れについて説明をしていきましょう。

企業の全体で301人以上の労働者を雇う事業主には、この事業主行動計画の策定や届け出が義務づけられています。なお、300人以下の労働者を雇う事業主の場合は、事業主行動計画の策定や届け出は「努力義務」であると定められています。

1. 状況把握と課題分析

事業主行動計画を策定するにあたり、まず必要となる点としては、自分の会社の女性労働者の活躍状況を確認することです。現状を知らないことには、どのように職場を改善していけば良いかが分かりません。今後の方針を決めるためにも、まずは状況把握から始めましょう。

状況把握

方法としては、初めに「基礎項目」として設定されているいくつかの項目ごとに状況を確認し、分析を進めていきます。この段階で課題点が見つかった場合は、任意項目となる「選択項目」を使い、問題の原因はどこにあるのかを明らかにするため、さらに分析を進めます。なお、状況把握は前年度のデータをもとに行うのが通例です。

基礎項目とは

基礎項目は、状況把握と課題分析において、必ず把握しなければならない内容のことです。

女性の採用の少なさ、第一子出産前後の女性の継続就業の困難さ、男女を通じた長時間労働による仕事と家庭の両立の難しさ、管理職に占める女性比率の低さ、といった要因に自社の状況がどの程度合致しているかを確かめるため、基礎項目では次の内容が設定されています。

  1. 採用した労働者に占める女性労働者の割合
  2. 男女の平均継続勤務年数の差異
  3. 労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況
  4. 管理職に占める女性労働者の割合

課題分析

基礎項目ごとの状況把握が終了したところで、次は課題点を見つけるための分析作業に入ります。

具体例として、前述の基礎項目「1. 採用した労働者に占める女性労働者の割合」を挙げてみましょう。算出した数値を分析した結果、雇用している労働者のうち、女性労働者が著しく少ない管理区分が明らかになった場合は、解決策の一つとして、会社内の採用基準や人事考課基準を見直すなどの取り組み方法が浮かび上がってきます。

また、基礎項目の「2. 男女の平均継続勤務年数の差異」について調査を実施した場合、採用後10年前後の男女労働者比率において、女性労働者の割合が8割に満たない場合は、男女格差が大きいものと判断されます。この場合は、選択項目を活用し、更なる分析を行うことが求められます。

このように、基礎項目ごとに自社の状況をデータ化し、問題点が浮き彫りになった点は次項の選択項目を活用して状況把握を行い、さらに分析をしていきます。

選択項目とは

選択項目とは、特に問題視されている点について現状を明らかにするために設定された項目のことです。具体的には次の7種類の要素があり、それぞれの要素ごとに詳細項目が設定されています。

  1. 採用
  2. 配置・育成・教育訓練
  3. 継続就業・働き方改革
  4. 評価・登用
  5. 職場風土・性別役割分担意識
  6. 再チャレンジ(多様なキャリアコース)
  7. 取組の結果を図るための指標

【参考】内閣府男女共同参画局ホームページ:一般事業主行動計画を策定しましょう︕︕(パンフレット)から抜粋(ステップ1 女性の活躍に関する状況把握、課題分析)

2.行動計画の策定・社員への周知、公表

課題の分析が一通り済んだところで、次は行動計画を策定し、従業員への周知や公表を実施する段階に入ります。

行動計画の策定

行動計画を作成する場合、「計画期間」、「数値目標」、「取組内容」、「取組の実施期間」、の4項目を設定する必要があります。 どのように行動計画を作り上げていけば良いのかを、具体例を交えて説明していきましょう。

1.計画期間の設定

まず初めに、計画期間の設定を行います。平成28年度~37年度までの10年を、会社の状況ごとに2~5年ごとに区切り、定期的に見直しを実施する必要があります。2年ごとに区切る場合は、「平成30年4月1日~平成32年3月31日」などと記載します。

2.課題点の内容

先に述べた「1. 状況把握と課題分析」で割り出した社内の課題点を記載します。たとえば、「女性労働者はほぼ全てが事務職に配置されており、総合職への配置人数が著しく少ない」などの内容です。

3.目標、取組内容、実施時期

そして、ここからは設定した目標や状況改善のための取組内容、実施時期を記していきます。

たとえば、前項目の「総合職の配置人数」が課題とされている会社が、「総合職の女性労働者を1人から8人以上に増加させる」という目標を立てたとしましょう。そのための取組内容として、「平成30年4月に新卒者向けの社内リーフレットの内容を見直す」「平成30年6月には会社説明会の内容を検討する」など、時系列に沿った内容で具体的な取組内容や実施時期を記載していきます。

設定した目標ごとに具体的な取組内容を記載した段階で、行動計画が完成することになります。

社員への周知

行動計画に記載した目標を実現するためには、社員の理解や協力が不可欠です。行動計画が完成したところで、従業員に対して内容の周知を行いましょう。周知の方法は、書面配布や社内掲示、メール添付、無線LANによる共有などの方法が挙げられます。

社外への公表

作成した行動計画は、社外へも公表する必要があります。具体的には、厚生労働省のサイト「女性の活躍推進企業データベース」へ掲載する方法や、社内ホームページへのアップなどの方法があります。

【参考】厚生労働省ホームページ:女性の活躍推進企業データベース

3.行動計画を策定した旨の届出

行動計画を策定し、周知や公表の作業が終了したところで、次は事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に向けて届出の作業を行います。届出の方法は、郵送や直接持参、電子申請などの方法が認められています。

実際に届け出を行う場合は、次の内容について必ず記載しなければならない点に注意が必要です。提出前に、記入もれがないかを確認していきましょう。

  • 一般事業主の氏名又は名称及び住所(法人の場合は代表者名)
  • 常時雇用する労働者の人数
  • 一般事業主行動計画を策定・変更した日、変更内容
  • 一般事業主行動計画の計画期間
  • 一般事業主行動計画を定める際に把握した女性の職業生活における活躍に関する状況の分析の概況
  • 達成しようとする目標及び取組の内容の概況
  • 一般事業主行動計画の労働者への周知の方法
  • 一般事業主行動計画の外部への公表方法
  • 女性の職業生活における活躍の推進に関する情報の公表の方法

4.取組実施と定期的な点検・評価

行動計画の届出が完了したら、いよいよ次は内容に沿って取り組みを実施する段階へ入ります。設定した目標を達成するため、会社ぐるみで実施時期にあわせて順番に取り組んでいきましょう。

取り組みを実施したことによる結果や生じた効果については、定期的に点検を行なった上で評価をしなければならず、その内容の公表も必要となります。

優良企業は厚生労働大臣の認定を受けられる

行動計画の策定に沿って取り組みを実施し、その内容が「優秀である」と認められた場合は、「えるぼし」認定と呼ばれる厚生労働大臣の認定を受けることができます。認定を受けるには、都道府県労働局への申請が必要です。

「えるぼし」認定について

ここからは、「えるぼし」認定について、順を追って詳細を見ていきましょう。

えるぼしとは

えるぼしとは、女性労働者の活躍推進のための取り組み状況が優良と認められた企業に付与される認定制度の名称です。認定を受けるためには、女性活躍推進法に定めのある「女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準」を満たす必要があります。

評価項目には、具体的には次のような内容が挙げられます。

  1. 採用
  2. 継続就業
  3. 労働時間等の働き方
  4. 管理職比率
  5. 多様なキャリアコース

えるぼしでは、評価が星により分類され、最高評価は三つ星とされています。三つ星を獲得するには、上記の1~5全ての評価項目を満たす必要があるので、注意をしなければなりません。

【関連】 えるぼしの意味とは?認定企業例やくるみんマークとの違い/BizHint HR

えるぼし認定のメリット

えるぼし認定を受けることで、企業側にはさまざまなメリットが生まれます。

たとえば、企業イメージがアップするという点です。えるぼし認定を受けた場合、厚生労働省の特設ホームページに認定企業として掲載が行われます。これにより、女性の活躍を後押ししている優良な企業であるということを、対外的に知らしめることができ、営業活動につなげることが可能となります。

また、えるぼし認定は採用活動を有利な状況で進めることができるというメリットもあります。「この会社なら安心だ」という考えから優秀な女性労働者が集まりやすくなり、また採用後も高いモチベーションを保ちながら仕事を進めることで、企業の生産性アップにもつながります。

公共調達における加点評価も

さらに、えるぼし認定には公共調達において有利になるというメリットもあります。これは、女性活躍推進法の第20条で国や地方公共団体は基準を満たす企業などに受注の機会を増やすように定めていることに基づくものです。

女性の活躍に取り組む企業の事例

それでは、ここからは女性活躍へ積極的に取り組む企業の事例をいくつか紹介をしていきます。

株式会社 資生堂

資生堂(業種:その他製造業)は、2016年1月時点で日本国内の社員総数が23,280人 、そのうち約83%が女性という女性の多い企業です。

資生堂では女性が長く働き続けられる環境が整っており、勤続年数は男性が18.6年、女性は17.1年で男性の勤続年数に近い数値となっています。また、育児休業の取得率は、女性は100%、男性の取得率も4.6%です 。さらに、育休後にはすべての人が復職しています。

課題は、男女比率の割にいまだ少ない女性リーダー職の強化です。

行動計画では、2016年度中にリーダー(部下をもつ任用リーダー)の女性比率を27%から30% へと向上させるという目標を掲げています。そのための施策としては、女性のリーダー候補者を可視化して人材育成を強化する、などの3つの取り組みが盛り込まれています。

【参考】女性の活躍推進企業データベース:株式会社資生堂

株式会社 三井住友銀行

大手金融業を営む株式会社三井住友銀行では、2005年の段階ですでに女性活躍推進に特化した専門組織「NextW・ingプロジェクト室」を立ち上げ、育児と仕事を両立する女性労働者の支援を図ってきました。

その後、結婚や妊娠、出産を経験した女性が引き続き働くことができる環境が整備され、今後は子育て期を終了した女性労働者の働き方改革に取り組んでいくという方針を取っています。

具体的な取り組みの内容としては、まず女性向けのセミナーを実施することが挙げられます。先輩女性労働者と女子学生がディスカッションを行う機会を設けるなど、学生が直接社員と関わることができる点に特徴があります。

また、女性経営者層を育成するため「ウィメンズ・リーダー・プログラム研修」の実施に取り組んでもいます。その他、妊娠した女性の職場復帰プログラムの作成やキャリアサポート職種転換制度の導入、再雇用制度の実施など、女性労働者に対するさまざまな可能性を与え、向上意欲が高まるような環境づくりに取り組み続けています。

【参考】厚生労働省ホームページ:女性活躍推進特集ページ リーディングカンパニーの取組事例(企業の好事例集【金融業、保健業(2)】

株式会社 ベネッセスタイルケア

高齢者介護サービス事業や保育事業を営む株式会社ベネッセスタイルケアは、元来女性労働者が多数存在するという職場風土があったものの、出産や子育て期に離職する労働者が多くみられました。そのため、優秀な人材に継続的に勤めてもらうことで社内の質を高め、コスト削減につなげるため、女性労働者の継続雇用に特化した取り組みを実施することになりました。

具体的な取り組みの内容としては、まず育休取得者の体験談を紹介する方法が挙げられます。長く勤め続けている先輩女性労働者の実情を伝えることで、応募者の不安を取り除くねらいがあります。

また、妊娠や出産、育児をしながら働く女性労働者に向けたガイドブックの周知や短時間勤務スタッフ向けの業務体制見直し、総合職の残業削減などにも取り組んでいます。

【参考】厚生労働省ホームページ:女性活躍推進特集ページ リーディングカンパニーの取組事例(企業の好事例集【医療、福祉業(2)】

女性の活躍推進企業データベースは取組例の宝庫

厚生労働省の運営する「女性の活躍推進企業データベース」は、女性活躍推進に関する情報や各企業の取組例などを紹介したデータの宝庫です。

2018年1月現在 、登録企業数は、データ公表企業が8,500社以上、行動計画公表企業が10,000社近くとなっています。業種別で検索することもできるので、同業他社の取組例を確認するにも便利です。

【参考】女性の活躍推進企業データベース

「女性活躍推進法」施行後の課題

女性活躍推進法は、女性が職場で生き生きと働くことができるように定められた法律ではありますが、実際に女性労働者が活躍するためにはさまざまな課題点が立ちはだかっていることも事実です。

たとえば、法律自体が周知されているかどうか、という点が課題として挙げられます。女性活躍推進法という法律の名称は知っているものの、その内容を正しく理解し、行動計画に取り組んでいる事業主が100%であるかといえば、そうではないのが現状でしょう。

また、男性労働者の中には、女性労働者の活躍推進に積極的ではない者が存在するかもしれません。協力する気持ちが薄い、または協力するために何をすれば良いか分からないなど、取り組みへの参加を躊躇してしまうケースも課題点の一つです。さらに、女性労働者自身が出産や育児などの忙しさに呑み込まれ、継続雇用を断念する場合もみられます。

課題解決に向けてのポイント

前述のような課題を解決するためには、まずは事業主自身が法律の内容を正しく理解し、自分の会社で問題になっている点を浮き彫りにすることです。

また、仕事とプライベートの両立に関する問題は、男性労働者にとっても他人事ではありません。働き盛りの男性労働者が、親の介護をしなければならない事態も今後は増えることが見込まれています。このような事態に陥った場合、優秀な女性労働者の存在は貴重な戦力となるはずです。社員一丸となって、取り組みを行う必要があります。

継続雇用を迷う女性労働者に対しても、専用の職場復帰プログラムの作成や社内での定期的なコミュニケーション機会の設定、周りの労働者の理解などでカバーすることが可能となるでしょう。

まとめ

  • 女性活躍推進法とは、女性が職業に就くにあたり、より自由に活躍することができるような職場づくりを目指した取り組みを行い、豊かな社会を実現するために制定された法律。
  • 女性活躍推進法には、ダイバーシティの推進やワーク・ライフ・バランスの実現等のメリットがある一方で、法律の認知度や取組への意識改革、継続雇用推進の問題もある。
  • 一定規模の企業には、女性活躍の社内状況把握や課題分析、行動計画の策定や周知、公表後の届け出が義務づけられている。取組実施後の定期点検・評価の公表も必要。

<執筆者> 加藤知美 社会保険労務士(エスプリーメ社労士事務所)

愛知県社会保険労務士会所属。愛知教育大学教育学部卒業。総合商社で11年、会計事務所1年、社労士事務所3年弱の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。


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