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連載:第5回 組織作り その要諦

手取り足取りの指示ではない。「任せる」ことで「自分ごと」を重ねた経営となる【スマイルズ・遠山正道さん】

BizHint 編集部 2019年1月16日(水)掲載
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「Soup Stock Tokyo」やネクタイ専門ブランド「giraffe」などを手掛ける株式会社スマイルズ。代表取締役社長の遠山正道さんは、「仕事は細かく指示するよりも、動力がある人に任せることが大事」と語ります。そして、「自分のやりたいことを仕事に」と「小さくても『自分ごと』を考えられる人がよい」と言います。遠山さんが会社経営で大事にしていることについて迫ります。

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指示を出すのではなく「自分より得意な人」に任せる

――スマイルズと言えば、いち早く「食べるスープ」というコンセプトを打ち出した「Soup Stock Tokyo」や個性的なネクタイブランドの「giraffe」といった多様な事業展開で知られています。人材育成で心がけていることはありますか。

遠山正道さん(以下、遠山): 申し訳ないのですが、そもそも私には人を教育するという意識がないですね(笑)。この会社は人事、経理、現場スタッフも含めてすべて自分より得意な人の集合体です。彼らを「教育」するというより、任せてお願いしたほうがいいと思っています。

まだないものを新たに作る段階では、誰かが確信をもって言い切る必要がある。

そして、事業が出来上がってランニングに入ると、ここからが本番で大変になる。もはやアイディアではなく現実の連続です。それはそれを実行している現場のメンバーでしかできない。現場をリスペクトして任せていく必要がある。

そもそも上のものがとやかく言うのは、現場のやる気を削ぐだけでなく、上が言ったからと現場に言い訳をつくることにもなる。 自分たち一人ひとりが自分ごとで発意し実行するのが望ましい。

ウチでは「遠山さんがやれと言ったから」なんて理由で盲目的にやっていたら、一番ダサい。だったらその人の存在する意味がなくなってしまいます。

誰の発意で、誰がやっているかが大事です。

この前、ある他社さんのビジネスプランの審査会で「プランはいいんだけど、この仕事は誰がやるの?」と問いかけたことがあります。彼女らは3人で事業を立ち上げると言っていたので、「3人でやります」と言ったんですね。

私は「そうですか。で、誰がやるの?」とさらに聞きました。そうしたら、3人の中の1人の女性が、私がやりますと言ったので「わかりました」と言って終わった。司会の方が少し慌てて、「それはどうのような意図が?」と聞いてきましたが(笑)。

「みんなで責任を取って皆でやります」なんていうのは、結局何も言っていないのと同じです。

後の懇親会で、私がやりますと言った女性も一緒にいた女性も、一緒に涙を流していて、きっと二人で誓い合ったりしたのだと思います。

きっと入社して10年の中で、初めての意志、決意の涙だったのではないでしょうか。

うちの社員にもそんなであってほしいと思います。

このようなことは、何も新規事業とか、大きな場面に限ったことではありません。

むしろ、日常の取るに足らない流されていくようなつまらない仕事の中にこそ、自らの気付きと行動で、誰にも頼まれていない、 誰のハンコもいらないようなそんな小さな改善を、一人ひとりが自分ごとで進めて欲しい と思います。

会社の入り口に全面が◯のサイコロの写真がありますよね。あれは私が三菱商事からMBOをして、スマイルズが独立した時に撮影した作品です。

「サイコロにとって不幸なのは、机のなかにしまわれ振られないこと。このサイコロはすべて◯だから、全部正解。だから、この会社では積極的にサイコロを振ってくれ」 という思いを込めて作品化しました。

私は、行動には神さまがオマケをつけてくれる、と実感しています。だから、サイコロを振りさえすれば、あとはきっとどれも正解なのです。

アートとビジネスの関係、「やりたいこと」を知ること

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