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2019年4月9日(火)更新

キャリア開発

「キャリア開発」とは、企業がニーズに合った能力を持つ人材を育成して、社員のキャリアプランの実現を目指す長期的に行われる計画的な職務開発のことです。その計画を具体的にプログラム化したものがCDP(キャリア・ディベロップメント・プログラム)と言い、自己申告制度、社内公募制度、ジョブ・ローテーションなどがその例です。昔は企業が半強制的に行うというという考え方より、個人の成長、自己責任に基づく傾向が強くなっています。

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キャリア開発とは

まずは、キャリアという言葉が、どのような意味で使われているのか押さえた上で、キャリア開発とは何か確認しましよう。

キャリアとは

キャリアは、一般的には「経験」「経歴」と訳されます。広くスポーツや趣味でも使われる言葉ですが、特にここでは職業上の経歴・職歴という意味として捉えます。 さらに、厚生労働省職業能力開発局が作成した、労働者の職業能力開発をメインテーマとした研究会の報告書資料によれば、キャリアとは「関連した職業経験の連鎖」であり、「職業経験を通して、「職業能力」を蓄積していく過程の概念」であるともしています(平成14年7月31日発表「「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書」) 。

単に「どんな仕事をしてきたか」ではなく、経験によって「どのような能力を身につけてきたのか」という意味を含めて定義されていることは注目されるべきでしょう。 また、働き方に注目が集まる昨今においては、直接的な定義だけでなく、「どのように働くのか」という、仕事に対する姿勢や価値観も含めて考える必要がある言葉だとも言えます。

キャリア開発とは

キャリア開発は、キャリア・ディベロップメントの訳語で、文字通り、労働者のどのような職業能力をどのように開発していくのか、中長期的・体系的に計画する考え方を指します。 キャリア開発のための施策を具体的な仕組みにしたものを、キャリア・ディベロップメント・プログラム(CDP)と呼びます。CDPには、目標設定や適性判断といった方向づけから、研修・教育や人事異動・昇格までが、一連のプロセスとして組み込まれている必要があります。

キャリア開発支援とは

キャリア開発という言葉の主語、即ち担い手は、かつては企業でした。企業が、その経営目標を達成するためのCDPを策定し、社員はそれに沿ってキャリアを積み重ねていけば良かったのです。しかし現在、終身雇用や年功序列賃金といった日本的雇用システムの変化に加え、労働人口の減少や、働くことに対する価値観の多様化が進んでいます。

したがって、自身の職能をどのように伸ばしていくのか、社員一人ひとりが考える必要があります。キャリア開発は、社員が主体的・自律的に取り組み、企業は、その開発を支援する立場へと変わってきています。

【関連】日本型雇用システムの特徴とメリット・デメリット / BizHint HR

キャリア開発支援の企業にとってのメリット

キャリア開発支援を行うことは、労働者はもちろんのこと、企業にとってもメリットは大きいと言えます。理由は大きく2つあります。

有用な人材の確保と定着につながります
社員にとって、仕事を通して自己実現できることは、企業の大きな魅力になり、結果として選ばれる企業となるでしょう。人材の流動化が進む現在、社員の自己実現はその企業にとって大きな強みとなります。

組織の活性化を促せます
キャリア開発の主体を社員とすることで、職務に対して自律的な社員を育成できれば、経営側の方針に従うだけの硬直した組織ではなくなるでしょう。社員一人ひとりがそれぞれの強みを発揮する、柔軟かつ強い組織を形成できます。 企業の経営理念や方針、風土などの枠組みを一方的に押しつけるのではなく、社員一人ひとりの目標や価値観を尊重し、相互理解を深めながら成長を促す(支援する側に回る)ことは、企業の成長にもつながります。

企業で行われるキャリア開発支援の例

それでは、具体的にキャリア開発支援として、企業でどのような取り組みができるのか紹介します。

各種研修

キャリアデザイン研修

キャリアデザインは、産業能率大学総合研究所の『人材育成・研修用語集』によると、「個人がキャリアを選び取っていくという考え方に基づいている」と定義されています(「キャリア開発」の項目) 。受講者が、キャリアデザインの意義を理解し、自分自身で目標や計画の作成までを行うのがキャリアデザイン研修です。

社内講師による研修を行う企業も増えてはいるようですが、充分なキャリア開発の経験と、講師としてのスキルを両立できる人材を用意するのは困難です。結果、専門の外部業者に委託するケースも多くあります。対象は一般の社員ですが、経営層や管理職も、部下や組織のマネジメントカ向上のために受講することが望ましく、社内全てが対象となりえます。

【キャリアデザイン研修のカリキュラム例】

  1. キャリアデザインとは何かを確認し意識付けを行う
    労働者自身が主体的・自律的にキャリアを形成していくのだという意識付けは、キャリア開発には不可欠です。
  2. 受講者の自己理解を深める
    自身のこれまでの職務経験や仕事に対する価値観、強み弱み、適性などを把握し、これからのキャリアを考えるための準備時間と言えるでしょう。
  3. 世代ごとや役職ごとに会社から期待されることを理解する
    主体的・自律的にキャリアデザインすると言っても、それは自身の希望だけで一方的に決めてよいものではなく、 企業にとっても有益なものとして釣り合いをとる必要があるからです。
  4. 実際のキャリアを計画
    まずは長期的な目標設定をし、それをブレイクダウンして中期的な目標設定、短期的な目標設定をするという段階を踏みます。更には「今日から何をするか」というような、具体的なアクションプランを作成することが望ましいでしょう。

キャリアデザイン研修は、1度受講して終わるものではなく、定期的に現状確認と計画の見直しをする必要があります。言わばキャリア開発のPDCAサイクルです。 また、キャリアデザイン研修は、年齢や就業年数別に行う例もあるようです。例えば、50代向けには定年後のライフキャリアデザインまで考えてもらうなど、それぞれの時期に合わせてオプションは様々考えられるでしょう。

部下のキャリア開発支援研修

管理職以上の部下を持つ立場の職階が対象となるキャリア開発支援研修もあります。これは社内で行うのが非常に難しく、キャリア開発やコーチングの専門家に依頼するケースが多いようです。

この研修が必要とされるのは、社員がキャリアデザイン研修を受けてビジョンを描けても、実際の職場に戻った時に上司が理解していないと具体的なアクションプランの遂行は不可能だからです。特に企業が新しくキャリア開発支援に取り組む場合、上司は当該カリキュラムを経験していないためなおさら理解は難しいでしょう。

従って、管理職にキャリア開発支援とは何かしっかり落とし込むことと、部下のキャリア開発支援が自身の職務であることを認識させることが重要な目的となります。部下とのギャップを発生させない、あるいは解消するための具体的な手法についても学ぶ必要があるでしょう。

【キャリア開発支援研修のカリキュラム例】

  1. まずはキャリア開発支援とは何か、キャリアデザインとは何か、何のために必要なのか理解する
  2. 部下の受講するキャリアデザイン研修の内容を把握する
    可能ならば、管理職以上の方も同一内容を受講することが、部下とのギャップを生まないためには望ましいと言えます。
  3. キャリア開発支援に必要な具体的な手法について学習
    部下のキャリアプランの問題点や課題の特定の仕方、育成面談方法、目標設定・計画作成を支援するポイントなどを押さえておきます。 グループワークや演習形式で、実践的にそれぞれの手法を確認する研修も多いようです。

キャリア開発支援はカフェテリア・プランから

キャリアデザイン研修を経て目標や計画を立てたところで、それを実行していくためには単に配属先での仕事をしているだけでは不充分なケースもありえます。

そのような場合、基礎となるビジネススキルや、業種に合わせた専門技能についての研修プログラムが別途必要となるでしょう。 それをうけて様々な研修メニューから社員自身のキャリア計画に合わせて選択する、カフェテリア・プランと呼ばれる研修形式を導入する企業が増えています。

定食のように一律同じものが提供されるのではなく、自身に必要なものだけを組み合わせて受講するスタイルです。教育コストの無駄を抑えられることや、社員自身で必要と判断して受講するため、学習意欲が向上するなどのメリットがあります。 講師も社内外の様々な選択肢があります。ビジネススキルにおいては外部講師やスクールに委託するほか、通信教育、eラーニングなども活用できるでしょう。

具体例を挙げれば、きりがないほど多種多様な研修プログラムが提供されていますが、ポピュラーなものをいくつかピックアップしてみましょう。

【ビジネススキル】

  • コミュニケーション力
  • 課題解決力
  • ロジカルシンキング
  • クリティカルシンキング
  • プレゼンテーションスキル
  • PCスキル など

【管理職や幹部候補向け】

迷ったら相談できる仕組みを

キャリアデザイン研修を受け、キャリア計画を立てようとしてみても、しっくりこない、実際の職場でのアクションプランが見いだせない、適性や適職が判らないなどの悩みを持つ労働者も当然いるでしょう。そんな方に対してアドバイスをし、キャリア開発支援を個人レベルでサポートするための窓口が必要となります。そのような相談に対する助言・指導は、キャリアコンサルティングやキャリアカウンセリングと呼はれます。

個人として社外のコンサルタントを利用することも可能ですが、企業内に専門職をおき、社員からの相談に対応できるような仕組みを取る企業も現在は増えてきています。後述する専門資格保有者も増加してきていることからも、その動きは今後も加速すると思われます。

社内のコンサルタントと人事部門、経営層が連携することにより、退職や転職を防止し、社内で人材を有効活用することも可能です。 では、キャリア相談の専門職とはどのようなものなのでしょうか。平成28年4月より国家資格となったキャリアコンサルタントについて確認しておきましよう。

キャリアコンサルタントとは?どうすればなれるの?

法律で定義されている「キャリアコンサルティング」は、「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいう」(職業能力開発促進法第ニ条5 )。 キャリアコンサルティングを実際に行う専門職がキャリアコンサルタントで、資格保有者以外は名乗ることができません。

資格を取得するには、まず厚生労働大臣が認定する講習を受講するなどして、試験の受験資格を得る必要があります。「特定非営利活動法人キャリア・コンサルティング協議会」、または「特定非営利活動法人日本キャリア開発協会」が実施する試験(学科・実技)に合格すると有資格者となり、その後「キャリアコンサルタント名簿」に登録すれば、キャリアコンサルタントとして活動することができます。

これまで触れてきたキャリア開発支援全般に携わる職業と言えるでしょう。企業内で社員向けのキャリア相談担当として勤めることもあれば、人材サービス会社でキャリアコンサルティングサービスを行っている場合もあります。

また、大学でも就職活動に備えたキャリアセンターを設置している場合が多く、同様にキャリア相談を受けています。いずれの場合でも、相談者の価値観や適性の確認から具体的なキャリア計画や必要な資格、スキルまで総合的にアドバイスする仕事です。 最近では独立したフリーのキャリアコンサルタントも増えてきており、企業や大学と提携してサービスを行う場合も多いようです。

【関連】国家資格化で注目される「キャリアコンサルタント」とは? / BizHint HR

社内公募制度

CDPのプロセスには人事異動も含まれます。社内公募制度もそのひとつの形式で、企業内で増員や人員の補充が必要な部門がある場合、あるいは、新規プロジェクトを立ち上げる場合などに、社内で希望者を募集する制度です。 社員が希望を出す場合、直属の上司の許可を得ずともよいルールにする必要があります。有能な人材ほど、その所属部門にとっては異動されては困る存在であり、上司の横ヤリが入らないとも限らないからです。

また選考に当たっては、応募した社員の能力だけでなくキャリア計画にとって適切な異動となるかという点もポイントでしょう。現在の所属部門で経験を積む方が有益と言う場合もありえます。

社内公募制度は、社員が主体的にキャリア開発を行い企業がその支援をするという関係をよく表していますが、企業側にとっても人材の流動による組織活性化などのメリットがある制度と言えます。

【関連】社内公募制度とは?メリット・デメリットや注意点を一挙ご紹介 / BizHint HR

ジョブローテーション

同一企業内で、定期的に部門や職務内容の変更を行うことを指します。 もともと、日本の正規社員の雇用は「就職」でなく「就社」と呼ばれる程、終身雇用を前提としており、長期的にその企業内での汎用性が高い社員を育成する手段として一般的に行われていたものです。

キャリア開発支援の視点からすれば、社員自身のキャリア計画が明確な場合、それに沿ったローテーションは有効に機能すると考えられます。また、複数の部門や職務を順に経験することで、企業側も社員も適性を見極めていけることでしょう。あるいは、管理部門の幹部候補に、新人のうちに営業の現場を経験させ、その職業や企業がどのように売り上げを挙げているかを考えさせることで、その後のキャリア計画を考える上での土台を作るためのステップとして活用できる側面もあります。

逆に、社員自身のキャリア計画と無関係で適性も見ずに無目的なローテーションを行ってしまうと、モチベーション低下等能力を活用できない事態を招きキャリア開発を阻害することもありえます。ジョブローテーションはキャリア開発の計画ありきなのです。

【関連】ジョブローテーションの意味とメリット・デメリット、目的や制度、事例 / BizHint HR

キャリア開発支援のポイント

労働者と企業のどちらかの都合に偏った支援ではなく、Win-Winの関係になれる支援体制がベストであることは言うまでもありません。 そのためには、これまで紹介してきた様々な施策や制度を活用することはもちろん大事です。

しかし、それ以上に企業と社員が密接なコミュニケーションを取れる関係であることが重要だと考えられます。研修や人事制度だけを充実させても、企業と社員がお互いのことをよく知らなければ、容れ物だけが立派で中身が伴わないものとなるでしょう。

社員一人ひとりが、主体的・自律的にキャリア開発を進めていける人材となれば、企業を取り巻く環境の変化が激しい時代においても、しっかりと課題を解決して成長していける強い組織を作ることができるのではないでしょうか。 その意味で、キャリア開発支援は、社員個人の問題ではなく、企業の成長戦略としても位置づけられるものだと言えるでしょう。

まとめ

  • キャリア開発は、従来は企業が主導して進め、社員はそれについていけば良かった。しかし近年の労働環境の変化などにより、社員主体のキャリア開発を企業が支援するかたちに変わってきている。
  • キャリア開発支援を進めるために、様々な研修プログラムや人事制度を導入・活用したい。また、専門職であるキャリアコンサルタントを利用することで、社員に対して、きめ細かなサポートが可能である。
  • 社員が主体的・自律的にキャリア開発できる人材として成長すれば、組織も活性化し、企業にとっても大きなメリットがある。これからの時代の重要な成長戦略のひとつとして考えたい。

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