連載:第2回 なるほど!読んだ気になる 書籍要約
【要約掲載】愛と怒りの行動経済学 - 賢い人は感情で決める(エヤル・ヴィンター著、青木創訳)
BizHint HRでは今月より「本の要約サイト flier(フライヤー)」の協力のもと、人事領域で注目の新刊書をピックアップし、要約を掲載して参ります。今回取り上げるのはケネス・アロー、ロバート・ルーカス、アルヴィン・ロスら歴代ノーベル経済学賞受賞者も絶賛する「愛と怒りの行動経済学」です。
要約者レビュー
愛や怒りなどの感情は、私たちの意思決定を大いに左右する。感情や直感に基づく意思決定と知性に基づく意思決定は、これまで相反するものと考えられてきた。
しかし、本書によると、感情や直感に基づく決定は、考えられる結果や影響を綿密に分析して出した決定よりも、ずっと効率的で優れている場合が多いという。著者は、行動経済学の研究者の立場から、感情が合理的な意思決定に結びつくことを明らかにしていく。
例えば、コミットメント(確約)の効果は、これからとる行動を相手に明示することで、相手の行動を自分に好ましいものへと誘導できるというものだ。怒りや愛情などの感情を表すことは、その感情を示した人がこれからとる行動や、コミットメントに対する信憑性を高めてくれるという。
また、一見、不合理にみえる行動が実は合理的であることを説明した事例も、実に興味深い。例えば、クジャクの大きな尾羽は非常に重く、クジャクにとって身体的な利点にはならない。つまり、大きな尾羽はハンディキャップといえる。しかし、大きな尾羽を持っていることは、その重荷に耐えて敏捷に動けることを示しており、強さや賢さ、健康のシグナルになる。大きな尾羽を持つオスは、メスを惹きつけるうえで優位に立てるというわけだ。
本書を読むと、感情の意外な計算高さや賢さに、何度も膝を打つだろう。新しい視点を与えてくれる一冊である。(河原 レイカ)
本書の要点
- 合理性とは、結果として得られる精神的、物理的な利益をもとに判定されるものである。怒りや愛情などの感情は、合理的な意思決定に寄与する。
- 感情を表すことは、これからとる行動の信憑性を高め、自分と他人の間に「コミットメント(確約)」をつくりだす。
- ある人の行動が他の人の行動に影響する「ゲーム」においても、感情が均衡を生み出す。
- 利他的行動は、ハンディキャップ理論で説明できる。利他的行動は、自身の強さや賢さを示すことになり、生存確率を高めてくれる。
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