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連載:第1回 Effectivenessを経営に【東京大学東洋文化研究所教授 安冨歩さん】

「意味のあること」に手を出せない日本企業【東京大学東洋文化研究所教授 安冨歩さん】

BizHint 編集部 2017年12月21日(木)掲載
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企業において、人材の多様化は避けられない課題になっています。しかし、それをどう進めていくべきかに悩む人事担当者も少なくありません。そもそも日本の企業は、社内風土や人材活用においてどのような問題を抱えているのでしょうか。また、前提となる問題を踏まえたうえで、ダイバーシティを推進していくためにはどのような行動をとるべきなのでしょうか。普段からTwitterなどを通じて「抑圧されず、自分らしく生きる」というテーマを積極的に発信されている安冨歩・東京大学東洋文化研究所教授に伺いました。 前編は、オリンパス、東芝、神戸製鋼といった、機能不全に陥る大企業が生まれた背景についてです。

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求めるべきは「効率」ではなく「意味のあること」

「Efficiency(効率)」と「Effectiveness(意味のあること)」の関係

企業の経営において、最も重視されがちなのは生産性や効率といった概念です。しかし、 ドラッカー(*Peter Ferdinand Drucker)は、「Efficiency(効率)は最重要ではない」と断言 している。では、最も大切なことは何なのか? 『ドラッカーと論語』の著者である安冨歩さんは、こう説明します。

「ドラッカーは、効率性は副次的な概念でしかなく、 重要なのはEffectiveであること と言っています。Effectiveは翻訳が難しい言葉ですが、私は 有効性、つまり『意味のあること』と捉えています 。効率から出てくるのが利益。意味のあることから出てくるのは事業。つまり、意味のあることをすることが事業を展開するための重要な要素であり、そのうえで効率を求めないとダメということなんです」

利益が出ない事業は続けられないというのは、企業を経営する上での大原則であり、資本主義、市場経済が人間に課している鉄の掟です。しかし、企業が何をすべきかのヒントは、利益が教えてくれるわけではありません。

「経済学においては、利益を最大化していけば、おのずと意味のあることができるはずと考えます。しかしドラッカーは、経済学的な考えは幻想にすぎないと言っている。『まず意味のあることをしよう』と集まり、『この意味のあることを続けるためには利益を出さないとダメだよね』と努力するのが、現実の企業なんです。 企業が利益追求の主体だというのは、幻想に過ぎません

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