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2017年11月20日(月)更新

コーチング

コーチングとは、コーチとクライアント (コーチングの対象者)の、双方向のコミュニケーションにより、自己実現や目標達成に導く人材開発手法です。自己実現や目標達成に必要な行動や強みなどをクライアント自身の中から導きだし、その可能性を最大化する事を目的としています。今回は、このコーチングについてご紹介します。

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1.コーチングとは

ビジネスシーンで注目を集める「コーチング」ですが、意味や語源を知らない方も多いと思います。コーチングの意味と語源を知ることで、コーチングへの理解を深め、コーチングがどんなものか概念を学びましょう。

コーチングの意味

人材開発の技法のひとつであるコーチングは、指導者(コーチ)と指導を受ける人(クライアント)が、会話によるコミュニケーションを図ることで、問題を見つけその解決法を模索します。つまりコーチングは、コーチが知識を授けるものではなく、クライアントが自発的に考え・気付くことにより、問題解決を目指す教育法なのです。

コーチはクライアントの話を良く聴き、相手の気付きを助けるサポートを行います。また、1対1の指導によってクライアントとの信頼関係を構築するので、チームマネジメントにおいても注目されています。

コーチングの語源

コーチングの語源は、16世紀のハンガリーだといわれており、当時は「馬車」という意味で使用されていました。その後、「受験指導のための個人教師」として使用されるようになり、個人の能力やスキルに合わせたマンツーマン指導を「コーチ」と呼ぶようになりました。

近年、コーチングに注目が集まる背景

優秀な人材と目される、ゆるぎない信念のもとで行動力と説得力を伴い、到達点が高くモチベーションを上げ続けることができる人材は、どの企業も喉から手が出るほど欲しいはずです。そんな次世代のリーダーを育成するのにピッタリなのがコーチングです。リーダーが率先して部下へコーチングを行うことで、チーム内で信頼関係を構築でき、同じ戦略でもはるかに優れた効果を上げることを期待できます。

技術の発達により、現在商品で大きく競合他社との違いを出すことが難しくなってきています。そんな中で差別化を図るためには、「人」で差別化をすることが必要です。

社員教育や研修を行い「人材育成」をすることは、会社の価値を上げ自社のブランディングにも通じる大切なことなのです。場当たりで行う無計画な教育では、効果を期待できないばかりか、時間だけを浪費してしまう可能性があります。教育担当者の人数が足りないだけではなく、スキルも不足している昨今、明確なセオリーがあるコーチングが求められているのです。

【関連】次世代リーダーとは?どんな課題や育成研修があるのかご紹介 / BizHint HR
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自立型人材を育てるためにコーチングは重要

コーチングでは、前述のように「自分で気付く」ことを大切にしています。つまり、課題を誰かに与えてもらい、問題解決の方法を人に聞くのではなく、自ら課題を見つけて解決する方法を模索するのです。コーチングがリーダー育成に有用だとされる理由のひとつに、この「自立の促進」が挙げられます。

ここで注意したいのが、「自立型人材」は単に個人の自立を目指すだけではなく、個人と組織が連携をする必要がある点です。新しい価値を創出する人材をいくら育てても、組織に対して能力を最大限に発揮することができないのでは意味がありません。自律型の人材育成を成功させるためには、育成した人材の受け皿をしっかりと用意し、選択肢を広げることもまた企業にとって大切なポイントといえます。

コーチングとその他手法との違い

コーチングは教育手法のひとつですが、他にもティーチング・トレーニング・コンサルティングなど、人材育成には多彩な教育法が使用されています。そこで、コーチングとその他の教育法の違いをご紹介します。

■ティーチング

指導者が教えることにより、クライアントが知識を深めるのがティーチングです。知っている人が知らない人に教えるのが前提であり、上下関係を伴うことでコミュニケーションが一方通行のことが多くなります。ティーチングでは、クライアントに「聞く姿勢」が求められます。また、ここで教えられる知識は、クライアントがすでにが持っているものではなく、全く新しい未知の知識も含まれます。

■トレーニング

できなかったことをできるようにする訓練のことで、明確にわかっていることをできるようにします。例えば、バスケットボールにおけるシュートを習得するのがトレーニングです。

■コンサルティング

解決策を示して、発展を助けるコンサルティングは、問題や課題の発見から対策の提示など、専門家の立場から指導を行います。企業により専門分野は異なっており、業務も経営の再建から組織力の強化まで多岐にわたります。コンサルタントは、クライアントへ何かを「与える」のがコンサルティングで、教える側と教えられる側にはティーチングのように、先生と生徒のような関係があります。

■コーチングでは

1対1のコミュニケーションによるコーチングでは、コーチがクライアントを助けながら協働します。相手の気持ちに立って質問をすることで何がやりたいか引き出し、解決策を模索します。つまりコミュニケーションは双方向で、信頼関係に基づくものであり、その関係は対等なのです。コーチはクライアントに気付きを促すとともに、自ら変化していこうとする意欲をサポートしていきます。

コーチングでは、クライアントがもともと持っていたポテンシャルを開花させることを目標にしています。コーチはコーチングの際に「こうあるべき」という自己のこだわりを捨てることが必要です。評価についても、一律ではなく人によって柔軟に変化させることが大切になります。

【関連】コーチングとティーチングの概念の違いと正しい使い分け方とは?/ BizHint HR

2.コーチングを実施するメリット

それでは、コーチングを実施する事によって、どのようなメリットがあるのでしょうか。

︎クライアントの成果を最大限にする

冒頭でも触れたように、コーチングではクライアント(コーチングを受ける側)が本来持っている強みや、目標達成に必要な行動などを引き出します。それにより、クライアントは自身が持っている能力に気づき、自信を持ち、課題解決能力を発揮します。やがて、クライアントは自身で考え自ら行動するという習性を身につけます。

つまり、コーチングを実施する事により、クライアントの潜在能力を最大化する事が可能となるのです。

コーチとクライアントの関係性が強固になる

コーチングを企業内で取り入れる際、上司と部下の間で実施されるケースが多いでしょう。コーチングは基本的に双方向のコミュニケーションが基本で、部下(クライアント)主体で進められ、上司(コーチ)は常に傾聴の姿勢を保ちます。

それにより、その関係性の中で安心感や信頼関係が醸成されます。上司と部下との人間関係もスムーズとなり、強い安心感の元、部下は迷いなく行動を興す事ができます。そして、強い個人、強い組織が生まれます。

3.コーチングを実施するために身に付けるべきスキル

コーチングでは、コーチとクライアントが対等な関係であり同じ目線で会話を行います。コーチングを社内で実施する際には、上司が指導者となり、部下に指導をするケースが多いですが、この時注意したいのが「上下関係を取り払うこと」です。

同じ目線で会話をすることで、心を開き円滑にコミュニケーションを行うことができるようになります。いつも壁を感じている上司に、「何でも話してみなさい」といきなりいわれて、心を開くことができる部下は少ないといえます。コーチングを行う際には、指導者が指導を受ける人と同じ目線で会話をし、会話をしやすい雰囲気や環境を整えることが大切なポイントです。

このポイントを踏まえた上で、3つのコーチングスキルをご紹介します。

コーチングには「傾聴」が大事

コーチングでは、双方向のコミュニケーションを行いますが、そのためにはクライアントの話を「聴く」ことが信頼関係を構築する上で大切なポイントになります。人の話を「聴く」ためには、心を開いて他人の価値観を受け入れる必要があります。

クライアントの話を聴く、つまり傾聴では、単に話を聞くだけではなく、相手のしぐさや声のトーン、表情など全てに心を傾けることで、「真意を理解する」ことが可能です。ありのままを受け止め、「相手の心を理解する」ために全身全霊を傾けて、相手の話を「聴く」姿勢を大切にしましょう。

【関連】「傾聴」 /BizHint HR

クライアントの中にある答えを引き出す「質問力」

コーチングでは「質問力」が重要なポイントになります。質問話法では、迎合や同調をしないように注意します。そして、「相手の思考の枠を広げる質問」や「相手に気づきを与える質問」を投げかけます。

コーチングにおける「質問」

質問の表現方法や言葉の選択は、相手に合わせて行い、明確な質問の意図を相手が汲めるように配慮しましょう。また、タイミングや言い方などにも注意を払う必要があります。思考の枠を超える質問をすることで、相手に気づきを与えましょう。また、質問には事実や感情が伴うことも大切です。

質問のパターン

クライアントへの質問力を上げるためには、視点を変えるだけではなく、繰り返しの質問や本質的な質問、そして仮定の質問などを組み合わせることも大切です。また、「ここまでで気が付いたことはありますか?」のように、仮定の質問を入れることにより、新しい気づきが得られることもあります。

悪い質問とは

相手を思考停止に陥らせてしまう質問はコーチングにおいて好ましくありません。「どうすれば達成可能になるのか?」と考えられる質問が良い質問です。「なんでこんなことができないの?」「誰の責任だと思っているの?」という質問は、思考停止に陥る質問の悪い例ですので、使用するのは避けましょう。

クライアントの変化を認める「承認」

「傾聴」「質問」と同様に、コーチングを実施するために非常に重要となるのが「承認」です。コーチングを行っていく中で変化や成長が見られたとき、またはその成長過程を認めることを言います。しっかりと言語化してクライアントに言葉や態度、行動で伝えることが大切です。

「承認」を行っていくことで、コーチとクライアントの信頼関係が深まり、クライアントのモチベーションアップにもつながることでしょう。

コーチングスキルの詳細については、以下の記事にも紹介されています。

【関連】コーチングスキルとは?活用のメリットやスキルの代表例、研修・資格などをご紹介 / BizHint HR

4.コーチングの進め方

それでは、具体的なコーチングの進め方について見てみましょう。

①環境づくり

まずは、コーチングを始めるための環境づくり、つまりコーチとクライアントの信頼関係の構築です。まずは、クライアントを「知る」事から始めましょう。ここでは、コーチは常に「傾聴」の姿勢を保ち、相手の言葉を遮ったり、自身の意見を押し付けたりしないようにしましょう。

︎②現状の把握

次に、クライント自身の現状を把握します。今どのような事に課題を抱えているのか、本当はどうなりたいと思っているのか等、コーチが誘導するのではなく、クライアント自身の言葉で語ってもらいます。そうする事で、自然と目指すべきものが見えてきます。

︎③目標設定

次に、目標設定です。現状の把握において、クライアントがどのような事を目標にしたいと考えているのか、クライアント自身の言葉と、コーチが客観的に捉えた感覚を加味して決定します。

④現状と目標とのギャップを分析

最も大切なプロセスです。先に把握した現状と、目標とのギャップを分析します。このギャップを引き起こしている理由やその背景について、クライアント自らが導きだし、知る事が大切です。重要なのは、そのギャップについてクライアント自身が納得しているという点です。

︎⑤目標達成のための行動を決定

目標が決定し、現状とのギャップも把握できれば、あとは何をすれば良いのかが自ずと見えてきます。それを、クライアントが納得した上で明確にしてゆきます。その際、クライアントが自発的に行動したいと思えるものである事がベストです。

︎⑥行動のフォロー

実際に決定した行動を実施したら、定期的に面談などを行い、目標と照らし合わせて評価しましょう。そして、何が足りなかったのか、逆にどこが評価すべき点だったのかを共に考え、次の行動に反映します。このステップでも必須なのは、傾聴の姿勢です。

5.︎コーチングを進める上でのポイント

コーチングを進める上でのポイントについてご紹介します。

目標設定は明確なものに

コーチングの進め方でも触れた「目標設定」ですが、重要なのはその目標が「具体的で明確である事」です。

例えば、「スキルアップしたい」等の漠然としたものではなく、「◯月◯日までに」「◯◯の◯級の資格を取得する」など、達成する期日や具体的な目標値を決定します。そして、その「目標」が決定したら、そのために必要な行動を洗い出します。目的が明確になっていればいるほど、そのための行動も具体的なものになってゆきます。

また、企業の目指す目標と個人の目標がリンクしていると、モチベーションの維持にも繋がるでしょう。

考え方や行動のバリエーションを増やす

次に、クライアント自身の考え方や行動のバリエーションを増やす事です。

クライアントは、コーチとの双方向の対話の中で、徐々に自身の強みや課題解決法について気づいてゆきます。その過程で、自分自身を多面的な視点から客観的に捉える事ができるようになります。

コーチはその中で、クライアントが今まで持っていなかった考え方や価値観、そしてそこから来る行動のバリエーションを模索できるよう促し、体得してゆく事をサポートする事が重要です。

︎外的コントロールと内的コントロール

外的コントロールとは、「他人は変えられる」「他人を変えよう」という考え方のものに取られる行動の事を言います。例えば、《批判・責める・文句・ガミガミ言う・脅す・罰する・褒美を与える(釣る)》などのネガティブアプローチの事を指します。これまでの社会では、これら「外的コントロール」を使って部下を統制しようとする傾向があると言われていました。

逆に「内的コントロール」は、「他人は変えられない」「人は様々な価値観や考え方を持っているので、相手のそれを尊重しつつ関わる必要がある」という考え方です。この場合の行動は《思いやり・傾聴・貢献・支援・励まし・信頼・交渉(意見の違う場合)》であるとされています。コーチングの場合、この後者の「内的コントロール」の姿勢と行動が基本となります。

4つのコーチングタイプを理解する

コーチングでは、行動特性によって4つのタイプに人を分類して、タイプに合わせた対応をとるのがベストとされています。以下に4つの分類と、コミュニケーションの取り方やモチベーションの上げ方のコツをご紹介します。

コーチングタイプ①:理論派

リスクを最小限にし、最大の効果を発揮したい理論派は、仕事に取り掛かる前にスケジューリングをしっかりとするタイプで、判断基準は「正確性」です。

コミュニケーションでは、論点を明確にして事実や数値に基づいた話をするだけでなく、質問に対して明確な回答をするように心がけましょう。モチベーションを上げるためには、仕事の内容と目的を明確にし、簡潔かつ具体的な評価をすることが大切です。

コーチングタイプ②:友好派

周囲と協力をすることで、みんなが喜ぶ効果を発揮したい友好派は、何かを判断する際に周囲の意見を聞き、自分の成績よりもチームの業績を上げることを注視します。

コミュニケーションでは、困った時にはバックアップすることを伝え、決断を急ぎすぎずに細やかな気配りを認めるように心がけましょう。モチベーションを上げるためには、チームワークに貢献している個所を褒め、仕事のプロセスについても相談に乗ることが大切です。

コーチングタイプ③:現実派

短期間で最大限の効果を発揮したい現実派は、目標を達成するまで行動するだけではなく、成果が出るまであらゆる手を尽くします。

コミュニケーションでは、相手が主導権を守れるように配慮し、結論を先に伝えるように心がけましょう。モチベーションを上げるためには、目標を具体的にするだけではなく、目標達成後の評価や権限そして報酬を明示することが大切です。

コーチングタイプ④:社交派

仕事に楽しく取り組むことで、今までにない効果を発揮したい社交派は、成果を出すために臨機応変に立ち回り、仕事に手をつける前に、自分らしく作業できるかを考えます。

コミュニケーションでは、自由に話をさせ、興味を示す話題を提供するよう心がけましょう。モチベーションを上げるためには、活躍を期待していることを伝え、褒めることが大切です。

【関連】コーチングはタイプ分けから! 相手が分かれば上手くいく / BizHint HR

6.コーチングが機能しない場合には

コーチングがうまく機能しない場合、何が原因となりうるのでしょうか。コーチ・クライアントそれぞれの視点で考えてみます。

コーチ側の問題

当たり前かもしれませんが、コーチのスキルが不足していると、良い結果を得ることができません。また、コーチングの時だけではなく、日ごろから意識してクライアントとコミュニケーションをとり、信頼関係を構築することが必要です。

「信頼」することができているか

そもそもクライアントに信頼してもらうためには、コーチがクライアントのことを信頼している必要があります。信頼関係の構築はとても重要です。一度失ってしまった信頼は、取り戻すまでに大変な労力と時間が掛かります。信頼を得ることの重要性を認識し、信頼を失わないように注意を払うことが大切です。

コーチ自身の変化も必要

コーチ自身も、周囲の人からフィードバックをもらい、コーチとしての自覚を持ち、自分を変えていくことが大切です。ここでいう「フィードバック」は、単なる評価やアドバイスではなく、「事実を伝える」という役割を担っています。事実の指摘は相手を否定することではありませんが、特にネガティブな指摘は「否定された」と勘違いしてしまうことも珍しくありません。

フィードバックは「ゴールへ向かっていく中で、軌道修正が必要な個所」という認識をして、コーチは積極的に、複数の人に自分からフィードバックを求めていく姿勢が大切です。そして、コーチには「相手を認めること」が求められます。

【関連】フィードバックの意味とは?ビジネスシーンにおける活用方法をご紹介/ BizHint HR

「テーラーメイド」の原則を理解できているか

コーチングの原則のひとつに「テーラーメイド(個別対応)」があります。趣味や興味の対象、そして性格は、クライアントごとに異なります。コーチは、ひとりひとりに合わせた適切なコーチングを行うことが重要です。そのためにはコーチングを行う相手を良く観察し、相手が受け入れやすい表現や言葉を選ぶように心がけることも大切です。

女性のコーチが陥りやすい点:完璧主義になっていないか

女性のコーチの中には、「全てにおいて完璧でありたい」という強い思いや、「罪悪感」を感じやすい傾向があるようです。認識のゆがみを捨て、事実とは異なることを誤認しないように心がけましょう。そして心の問題を放置してしまわず、煮詰まってしまいそうになったら深呼吸をすることも大切です。

クライアント側の問題点

コーチングは、質問によって相手から答えを引き出して自発的な行動を起こしてもらいます。しかし、クライアントの意識が低く目標達成意欲がない場合には、折角コーチングをしても良い成果に結びつかないといえます。

そのため、コーチングを成功させるためには、コーチングを受ける「クライアントの意識」も大切なポイントです。クライアント側に人の話を聞く姿勢がなかったり、コーチングの重要性を認識しておらず、双方向でのコミュニケーションが難しい場合、コーチングを行うことが困難となります。

また、自信を失ってしまうと、コーチの話を聞くことや意見を受け入れることができなくなるケースがありますので注意が必要です。

コーチングと他の教育法を柔軟に使い分ける

例えば、能力が低い人材にリスクが高い仕事を担当させる場合には、コーチングよりもティーチングやケースメソッドの方がより効果的といえます。コーチはクライアントの適性やタイミング、そしてどんな教育法が良いのかを見極め、コーチングとその他の教育法を使い分けることが求められるのです。

自分を「認める」ことが大切

コーチングでは、自分を正確に評価し、良い面も悪い面も含め自分を認めることが重要なポイントです。あるがまま自然な自分の姿を受け入れることで、自己否定のループを断ち切り自信をつけることができます。ネガティブなスパイラルに陥ってしまっている人は、コーチングを行う前にまず、メンタル面のケアを行い、コーチングを受ける体制を整える必要があります。

7.組織にコーチングを根付かせるためには

それでは、企業内でコーチングを浸透させるためにはどんな方法があるのでしょうか。

リーダー・管理職に戦略的な研修を行う

コーチングを行うコーチも最初は素人です。コーチングの研修を受けたからといって、すぐに効果が期待できるわけではありません。実践を通してトライアンドエラーを行い、コーチングスキルを身につけていく必要があります。

そのためリーダーや管理職で、コーチングの指導者となりうる立場の方は、コーチングで必要とされるスキルを習得するだけではなく、コーチングの本質を理解し、その上で場合によっては自分自身を見つめ直し、変えていく必要があります。

数回研修をやっただけではうまくはいかない

数回のコーチング研修で自分を変えることができる人は稀です。いくら意識をしたとしても、習慣になってしまった癖をいきなり変えるのは困難です。研修でなかなか効果が出ないからと焦らずに、どんな変化があったのか自分と向き合ってみることが重要です。

この場合の変化は、自分で気付けることだけではなく、部下や上司そして家族など、他人の指摘によって気付くことができるケースも多くあります。そのため、コーチングの研修を受けてから一定の期間を置いて、周囲の人からフィードバックを受けるのがおすすめです。

組織として戦略的に取り組む必要性

コーチングを組織として戦略的に取り組むことで、指示待ちのメンバーをなくし、主体的に仕事に取り組むチーム作りができるようになります。組織目標を達成するためには、人材育成が重要なポイントになります。メンバーの主体性を重んじるばかりに、チームのまとまりが欠けてしまい目標の達成が疎かになってしまわないように、コーチングは組織として戦略的に取り組む必要があるのです。「個人」のみの成果を評価するだけではなく、「チーム」としての評価を行い、一体感を高めることもコーチングを成功に導くための重要なポイントです。

社員全体の目標管理に組み込む

コーチングでは、「目標達成」がゴールなので、コーチングを受ける社員ひとりひとりの目標設定をする必要があります。この場合の目標とは、社の理念や経営計画に沿ったものが望ましいですが、パーソナルに関する目標設定がビジネス面でも良い効果をうむケースもあります。

例えば、コミュニケーションに苦手意識があり、「上司やチームのメンバーともっと仲良くなりたい」という目標の場合には、チーム内のコミュニケーションが円滑になることにより、チームの業績が上がるケースも珍しくありません。

どんなことに問題を抱えているのか、そしてどんなことを目標として設定するのかもコーチングの内です。

目標を持った社員に対して、解決策を一緒に考え行動計画を立てるだけではなく、進捗状況をフォローすることでコーチングを行うことが可能です。そして一緒にゴールを目指すことができます。

8.研修会社

コーチングについての研修を実施する事業者や団体についてご紹介します。

株式会社コーチ・エィ

法人向けのコーチング事業を展開する株式会社コーチ・エィでは、マネジメント能力をアップさせたいと考える人のためのコーチングプログラム「コーチ・エィアカデミア」を運営しています。 年間を通して学ぶ「リーダー向けコース」と1年半をかけて学ぶ「プレミアムコース」があり、いずれも受講後はコーチング資格の受験資格が付与されます。

コーチングプログラムについては、全国各地で説明会が実施されており、コーチングの基本の解説や、資格取得方法などについての詳しい説明と、実際の卒業生の声を聞く事ができます。

【参考】coachAcademia(コーチ・エィ アカデミア)「コーチングの全てを学ぶコーチング・プログラム」

CTIジャパン(株式会社ウエイクアップ)

コーチング資格を提供している「CTIジャパン」でも、コーチングの講座を開講しています。この講座は、世界で5万人以上が受講しているとされるCTIプログラムの特徴を活かしたもので、教科書や机を使わず、受講者同士でペアになり、コーチングを体験し学びます。

コースは基礎コースから上級コースまで6種類あり、基礎コースは2日半の短期間で受講する事ができます。また、内容に満足できなかった場合は返金制度も用意されています。上級コースでは、コース修了後に口頭・筆記試験を受験する事でCPCC資格に認定されます。

【参考】CTIジャパン「コーチング」

一般社団法人日本コーチ連盟

日本コーチ連盟が運営するコーチ養成プログラムでは、「基礎コース」「応用コース」「養成コース」の3種類のコースが用意されています。

まず「基礎コース」では3ヶ月間でコーチ理論と技法などの基礎を習得。「応用コース」では、こちらも3ヶ月で相手の潜在意識に働きかける、実践的な能力を養成。そして「専門コース」は、主に6ヶ月かけて実施されるプロのパーソナル・コーチを養成するためのコースです。

【参考】日本コーチ連盟「コーチング講座」

ビジネスコーチ株式会社

ビジネスコーチ株式会社では、経営者・経営幹部の行動改革の実現を目的とした「エグゼクティブコーチング」から、コーチング研修を内製化するための「社内コーチ育成プログラム」、社内でコーチングの文化を浸透させるための「コーチング文化浸透プログラム」など、企業におけるコーチングプログラムを幅広く提供しています。

ヤフー株式会社やソフトバンク株式会社などの大手企業においても導入されています。

【参考】ビジネスコーチ「ビジネスパーソンの成長を支援します」

一般社団法人︎トラストコーチングスクール

トラストコーチングスクールでは、「コーチングを受けながら、コーチングの技術を学ぶ」という新しいスタイルのコーチング講座です。この講座には「ベーシック」「アドバンス」の2種類があります。

「ベーシック」では、まず自分自身がコーチングを受ける体験をします。その上で、コーチングの基本的な概念などの基礎を学びます。「アドバンス」では、日本におけるトップコーチトレーナーである馬場氏のコーチング技術を学びます。また、修了すると「TCS認定コーチングスキルアドバイザー」という資格を取得できます。

【参考】トラストコーチングスクール「一般講座」

9.コーチングの資格

それでは、近年注目されるコーチングに関する資格についてご紹介します。

ICF認定資格/国際コーチ連盟日本支部

資格を提供する団体は、世界90カ国に会員を持つ連盟で、会員数は世界17,000名にものぼります。コーチング資格は、トレーニング期間の長短で3種類提供されており、これまでに13,000名以上が取得しています。資格を取得する事で、コーチングについての知識やスキルだけではなく、プロとしての専門性の高さや、倫理規定の順守などの証明にもなります。

【参考】国際コーチ連盟日本支部「ICF認定資格」

(一財)生涯学習開発財団認定コーチ資格/株式会社コーチ・エィ

日本では最も多くの人が取得し、コーチング資格のスタンダードとされる資格です。1999年に一般財団法人生涯学習開発財団より認可され、これまでに6,000名位以上が取得しています。専門的なトレーニングの上で取得でき、近年では仕事上でコーチングを活用したいと考える人の受講が増えています。

【参考】コーチ・エィ アカデミア「(一財)生涯学習開発財団認定コーチ資格とは」

(社)日本コーチ連盟認定コーチ/日本コーチ連盟

コーチング技能の唯一の検定試験とされている資格です。「Ⅰ種」「Ⅱ種」があり、こちらで紹介する「日本コーチ連盟認定コーチ」は、「Ⅰ種」とされています。この資格では論文試験・実技審査が実施され、客観的に技能を評価されます。それにより、コーチング資格の信頼性を高めています。「Ⅱ種」は「日本コーチ連盟コーチング・ファシリテータ」という名称の資格で、学科試験と実技試験が実施されます。コーチとしての基礎的な水準を審査されます。

【参考】日本コーチ連盟「コーチング資格の詳細」

CPCC(Certified Professional Co-Active Coach)/CTIジャパン

まず資格を提供している米国CTIは、国際コーチ連盟に認定されたコーチングに関するプログラム「ACTP」を運営するコーチ養成機関です。日本におけるCPCCの資格は、CTIジャパンが提供しています。このCPCCは、CTIが提供しているコーチングプログラムの「上級コース」を修了した上で、口頭面接・筆記試験に合格すると付与されるものです。日本では約600名、世界では約7,100名が取得している資格です。

【参考】CTIジャパン「上級コース(資格取得)」

︎GCS認定コーチ/銀座コーチングスクール

官公庁や大手企業などにコーチング研修やセミナーなどを提供する、銀座コーチングスクールが提供する資格です。銀座コーチングスクールの「コーチングクラス」を修了しており、5名以上のコーチングセッションの経験があるなどの条件を満たし、認定試験に合格する事で付与されます。

【参考】銀座コーチングスクール「GCSコーチ認定制度の概要」

NLPコーチング/NLPコーチング資格認定スクール

NLPコーチングは、米国NLP協会が提供する資格で、日本においては唯一「NLPコーチング資格認定スクール」が運営しています。この資格は、NLPとコーチングを融合し、人間の深層心理に影響を与えるプログラムです。また、資格取得後は「NLPコーチング」の商標を自身の名刺やサイトに掲載する事もでき、ビジネスに活かす事も可能です。NLPについては、次項で詳しくご紹介します。

【参考】NLPコーチング資格認定スクール「NLPコーチング資格取得」

【関連】BizHint HR「コーチングの資格をまとめて紹介!種類や費用、取得する方法とは?」

10.今後のコーチングの展望

職場やビジネスシーンにおける、コミュニケーション不足を実感している方は多いのではないでしょうか。社員同士が質の高いコミュニケーションを行い、相互理解を深め共通認識を持つことで、より品質の高い仕事をできるようになります。

また、従来の上司がトップダウンで指示や命令を行うマネジメントのスタイルは、多くの問題を抱えていました。コーチングを行うことで、部下が個々のスキルや経験を活かして、問題を解決するためにはどうすべきか考えて行動し、それを上司が適切にサポートするスタイルに切り替えることができます。

社員ひとりひとりの責任感と考える力が増すことで、仕事の重要性を再認識することができるだけではなく、モチベーションを上げることができ、企業の発展に寄与することになります。

NLPコーチングという学際的な分野も

コーチングに、「言語学」と「心理学」をベースにしたNLPを組み合わせたのがNLPコーチングです。NLPは、自己啓発を目的として使用されるケースが多く、コーチングは相手による自発的な行動をサポートするために用いられます。

NLPとは

NLPはセラピストが使うコミュニケーションがベースになっており、問題解決を目標としています。コーチングではポジティブに目標達成を図りますが、NLPではネガティブな問題解決を行い、ポジティブな目標達成が可能です。NLPではイメージや五感を大切にし、柔軟性を重視して、コミュニケーションを学びます。つまり、NLPではビジネスだけではなくメンタルにも注目をし、自己理解と他者理解に役立てることができるのです。

11.まとめ

ビジネスコーチングでは、「チームの目標達成」と「人材育成」の2つをカバーし、チーム内のコミュニケーションを円滑にすることが可能です。主体性のある優秀な人材を育てるためにも、コーチングを導入してみてはいかがでしょうか。

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