はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2018年7月18日(水)更新

次世代リーダー

急速に変化し続ける世界経済の中において、企業の将来を担う次世代リーダー(将来の経営者)の育成が不可欠です。今回は日本企業における次世代リーダー育成の実態と課題を把握し、育成プログラムの導入におけるポイントや、育成効果を最大限に上げるための心得をご紹介いたします。

次世代リーダー に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

次世代リーダーとは?

次世代リーダーとは、 企業を経営する次代のリーダー (企業経営者や事業経営者などの経営幹部候補、職能部門トップを含む)を指します。

大企業や老舗企業では、海外や国内で実績を上げた優秀な経営者をヘッドハンティングすることもあります。しかし、現場で実績と経験を培った社員を経営陣に加えることで、現場の状況や気持ちを汲んだ健全な企業経営を行えます。

そのため、企業内で候補者を早い段階で見つけ出し、次世代のリーダーへと育成する選抜型教育を採用している企業も珍しくありません。世界経済が急速にグローバル化する中で、英語に堪能なグローバル人材育成に力をいれる企業も多く、企業内大学やビジネススクール、通信研修を設ける、または留学を推奨する日本企業が増えています。

【関連】グローバルリーダーとは?言葉の意味や能力、育成に関して解説/ BizHint HR

次世代リーダー育成の実態

戦後、急速な経済成長を果たし、発展した日本企業では、バブル崩壊以降、会社の将来を担う次世代リーダーの育成を重視する傾向が強くなりました。

【参考】学校法人 産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所「『次世代リーダーの選抜型育成』に関する実態調査プロジェクト」 (P2 選抜型教育に対する投資金額、教育期間、教育内容・手段より)

次世代リーダー育成に取り組む企業は増加している

多くの企業では、次世代リーダーを育成するための年間予算を増やす傾向にあります。

「学校法人 産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所」が2012年12月に発表した「『次世代リーダーの選抜型育成』に関する実態調査プロジェクト」によると、約25%以上の企業が、次世代リーダーなどの人材育成にかける年間予算を3,000万円以上確保しています。

また、教育期間も半年から1年以上設けている企業も多く、今後も増加していくことが予想されます。これは企業や事業を適切に経営する人材は一朝一夕では育成できないという企業側の強い想いが反映されている点が読み取れます。

次世代リーダーの育成において、力をいれるべき教育内容は以下の3つに重点を置かれています。

経営戦略や財務知識、マーケティングといった「経営管理に関する経営リテラシーの教育」

実際の経営課題に取り組むチーム学習である「アクション・ラーニング」

大人数の社員を引っ張る強力な「リーダーシップ」

多くの企業では次世代リーダーが不足している

次世代リーダーの育成に取り組む企業が増えている反面、次世代リーダーが足りていない現状に直面しています。その原因には複数として、以下のような点が挙げられます。

コストをかけた割には育成の結果が見えにくい

次世代リーダー育成に必要な組織体制や制度が整っていない

教育後に適切なフォローやフィードバックがなされていない

これらの理由があてはまると応えた企業が4割~5割強を占めています。この結果からわかるように、次世代リーダーの育成年に何千万の大金をかけているにも関わらず、その後のトレースやフォローがなく、研修や勉強会で得た知識や経験が活かされているかが不明確になりがちです。

そのため、 次世代リーダーを育成できるだけの組織体制や制度を整えることは必要不可欠 といえます。人材の育成を担う人事部も人材プール(人員の選抜)を任される機会も多いため、次世代リーダー候補者の確保には綿密で周到な準備が求められます。(人材プールを行っていない企業は5割以上、また8割以上が人材プールを担う部署として人事部を挙げています。)

次世代リーダー育成の課題

先にご紹介したとおり、次世代リーダーの人材不足という点には課題が多く、それらの課題を把握・理解してから育成プログラムを開催する必要があります。以下に把握・理解すべき課題をご紹介するので、次世代リーダーの育成プログラムを構築する際にご参考ください。

長期的なプログラムである認識が足りない

次世代リーダーとは経営や事業運営に関わるための人材のことです。

しかし、組織を運営する上で必要な知識や経験は座学だけでは身につけることができません。ケース・スタディやアクション・ラーニング、実務を通した教育プログラムが必要なため、長期的に取り組む必要があることを認識しましょう。

また、内容や教育期間の充実を考えると莫大なコストと時間が必要です。そのため、費用対効果がはっきりしないという理由で短期的な開催で終わる、イベント化してしまう恐れがあります。

日本独自の人事システムが弊害となる

戦後の経済成長に合致した終身雇用や年功序列などの人事システムが、次世代リーダーの育成の弊害になることがあります。

次世代リーダーを担う世代は、部長・課長クラスを選抜していることがほとんどです。これらの役職に就く方は会社生活が長いため、その企業の社風や制度に染まっている可能性があります。大企業や老舗企業では、管理ポストの不足により、横並びの志向や遅い昇進に対する慣れが常態化していることがあります。

そのため、次世代リーダーの候補者を選抜したとしても、参加者に期待を明示することが難しいだけでなく、参加者本人のモチベーションを維持させることが困難となります。

【参考】学校法人 産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所「『次世代リーダーの選抜型育成』に関する実態調査プロジェクト」 選抜対象より

培った知見を活かす実務機会や組織体制がない

次世代リーダーの育成には莫大な費用と時間がかかります。

しかし、参加者は次世代リーダーのプログラムを受講した後に実践する機会を設けないと、空白期間が生じてしまい、その費用と時間が水の泡となってしまいます。結果的に、次世代リーダーの育成プログラム自体がイベント化してしまいがちです。

そのため、次世代リーダー育成プログラムの実施とともに、参加者がその知識や経験を活かせる機会や体制を構築する必要があります。例えば、新規事業の立ち上げや企画業務を担う部署への異動や海外赴任など、参加者がチャレンジできる場を提供することが大切です。

次世代リーダー育成計画を立てる際に考えるべきこと

グローバル化する世界経済において、英語が堪能で、国際感覚が優れた次世代リーダーの人材育成は急務といえます。しかし、イベント的に次世代リーダーの教育プログラムを実施しても、企業も参加者も実感が沸きにくくなります。

そのため、次世代リーダー育成計画を立てる際には以下のことを入念に考える必要があります。

目的を明らかにする

何事にもゴールの設定は必要です。それは次世代リーダー育成計画においても例外ではありません。

会社として、どんな能力を有する次世代リーダーが必要かを具体的に示す必要があります。例えば、代表取締役や副社長、取締役といった企業経営者を見据えた育成プログラムと職能部門トップ(スペシャリスト)を想定した育成プログラムとでは、研修内容はもちろん、その後に行う実務内容も大きく異なります。

また、研修内容においても、企業が属する業界や業態、自社を取り巻く外的・内的環境や戦略を把握した上で、育成プログラムを組む必要があります。自社での構築が難しい場合は次世代リーダー育成研修プログラムを提供している会社の説明会で情報収集するのもよいでしょう。

【関連】『社内研修』のテーマ選定と企画選定の進め方

予算や期間を定める

次世代リーダーは短期間で育成することはできません。

経営リテラシー(知識や経験)は座学だけでなく、ケース・スタディやアクション・ラーニング、実務を通して、身につけていく必要があります。そのため、目的や実施したい教育研修プログラムに沿った適切な予算と教育期間を定めることが大切です。

経験を選択する

次世代リーダーを育成するにあたり、経営や事業運営に必要とされる経験の選択も重要となります。

経営戦略やマーケティング、会計知識といった経営管理に必要な知識、事業戦略の策定・提言、組織課題の解決といったリーダーシップ研修は必須といえます。

また、学習による習得だけでなく、海外赴任や未経験の職能への異動や強い権限を持つ役職の付与など実務経験を積める配置転換も必要です。企業の重要な意思決定を担う経営企画室やマーケティング部門などをローテーションさせることも有効です。

次世代リーダー育成計画の経験を選択する際のポイント

次世代リーダーの育成プログラムは1回限りで終わらせるのではなく、継続して実施していく必要があります。そのため、次世代リーダーの育成に必要な経験を計画的にデザインしていきましょう。

【関連】経験学習とは?

経営人材に求められる8つの経験

企業を経営するスキルは実務経験(仕事)を通して、身につけるのが効果的です。経営人材の育成に適した経験は主に8つ挙げられ、3つの要素を掛け合わせることで効果的に得ることができます。

次世代リーダーの育成に必要な8つの経験

経営者に必要なマインドにおける経験は以下が挙げられます。

・会社の事業や社会に与える影響、その責任を実感する経験

・経営者としてのモノの考え方や覚悟に触れる経験

・責任者としての主体性を問われる経験

経営者に必要な行動における経験は以下が挙げられます。

・多種多様な価値観を持つ人と仕事をともにする経験

・「人を動かす」経験(自分の権限で動かせない人との関わり合い)

・困難な状況を打破し、成果を出す経験

・事業や会社を動かす経験

・自分が持つ問題意識を基に定めた目標に向かって、行動する経験

これら8つの経験を効果的に得るためには以下の3つの要素を掛け合わせる必要があります。

8つの経験を構成する3つの要素

・職務の内容(職務の内容を向上させる参加者の能力との紐付け、アサインタイミングなど)

・チャレンジ(困難な状況での挑戦や未経験の仕事への取り組みなど)

・人との関わり方(見守りやモニタリングといった上司や先輩社員の関与、メンターやコーチのアサインなど)

これら、3つの要素を組み合わせ、先に述べた経験を通して、経営者として必要な経験を培わせることが大切です。

【関連】

OJTによる教育と意味とは?メリット・デメリットと進め方

eラーニングの意味とは?導入のメリット・デメリットをご紹介

留職とは?具体的な内容や導入のメリットをわかりやすくご紹介

獲得する経営スキルを一つのストーリーとして描く

必要とされる経営の能力や経験は企業や事業によって、異なります。

企業が求める能力を獲得させるためにも、体験させたい経験の順序や必要となる職務経験の数をうまく設定する必要があります。事業が複数あり、全てを俯瞰して経営する人材を育成するには、どのような順序でどのタイミングでどんな職種を経験させるかを大きな一つのストーリーとして描きます。

長期的、かつ具体的なストーリーを描くことで、継続的な次世代リーダーの育成が可能となります。

育成計画を見直す場を設ける

人材開発も事業と同じで、状況や結果に応じて、計画を見直す必要があります。

人事担当者として、参加者のステータスを確認し、次に克服すべき課題や問題を見出し、新たにチャンレンジさせる場を設けなければいけません。参加者を取り囲む上司や先輩社員から情報を収集し、育成に関する議論の機会を設けることが大切です。

参加者一人ひとりの強みと弱みを把握し、しっかりとフィードバックを行うことも継続的な次世代リーダー育成プログラムに欠かせない取り組みといえます。

次世代リーダー育成の効果を上げるために大切なこと

次世代リーダーの育成プログラムをイベントとして終わらせるのではなく、効果をあげるためには、アセスメント、チャレンジ、サポートの3つの要素を組み込むことが大切です。

【アセスメント】候補者が自己評価を行う機会を提供する

学習を通して、自分の強みや弱みを把握することは自己成長において、欠かせない作業の一つです。

そのため、適正検査や360度サーベイなどの人事評価、トレーナーによる継続的なフィードバックを基に参加者自身に自己評価を促すとよいでしょう。自己評価により、自分自身の変化を自覚し、より高いモチベーションのもと、成長を促すことができます。

【関連】360度評価とは?メリット・デメリットから実施の流れまで!

【チャレンジ】

候補者に挑戦の場の提供、フィードバックの実施 組織の経営に必要なスキルや経験は仕事を通して得ることができます。

そのため、選抜者には未経験の職務や部署への異動、経営戦略やマーケティング、企画立案といった従来の知識や経験では解決が困難な状況下で業務を遂行させることが大切です。

また、その結果や成果に対して、適宜フィードバックを行うことで、選抜者の強み・弱みを認識させることができます。これらの取り組みは参加者の主体性や意欲を引き出すことにも効果的です。

さらに、選抜者の動向を観察、記録を全社的に共有することで、次世代リーダー候補の選抜方法(応募者の事前研修の実施の有無など)や育成計画の立案の材料として活用することもできます。

【関連】フィードバックの意味とは?ビジネスシーンにおける活用方法をご紹介/ BizHint HR

【サポート】候補者への支援体制の構築

候補者を育成プログラムに参加させる上で、欠かせないのが周囲の支援などの協力体制です。

候補者は新たな環境や職務に挑戦できる機会を与えられますが、精神的・身体的にも多大なストレスも同時に抱えてしまいます。

また、困難な課題であるほど、成長の幅が広い反面、挫折や失敗などのリスクも想定しなければいけません。そのため、上司や先輩社員、メンターやコーチが適宜フォローに入ることができる体制を構築すると同時に、ときには人事担当者が間に入り、一時的に業務量の調整を行う必要があります。。

【関連】メンター制度導入!メンターの持つ意味と役割とは?コーチングとは?自立型人間を育てれば組織は変わるのか?

まとめ

・複雑に変化し続ける世界経済において、次世代リーダーの育成は日本の将来を左右するといっても過言ではありません。しかし、次世代リーダーの育成には莫大な費用と時間が必要です。

・企業が求めるリーダー像や求めるスキルを明確にし、参加者の成長ストーリーを描いて、取り組むことが大切です。

・同時に組織的に参加者を支援する体制や継続的に育成プログラムを実施するための組織(人材開発会議など)を立ち上げる必要があります。

・人事担当者としても、全社を巻き込んでの取り組みであると肝に銘じ、次世代リーダーの育成へと取り掛かりましょう。

注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計60,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 厳選されたビジネス事例が毎日届く
  • BizHint 限定公開の記事を読める
  • 実務に役立つイベントに申し込める
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

この記事の関連キーワード

フォローボタンをクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードについて

人材育成の記事を読む

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次