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2018年11月9日(金)更新

アイドルタイム

飲食店経営において、アイドルタイムはピークタイムに向けた仕込みや店内清掃などの間接作業を行う重要な時間帯です。一方で、店舗の家賃や減価償却費、人件費がかかるアイドルタイムを有効活用するお店も増えています。この記事では、アイドルタイムの意味や設定ポイント、有効的な活用や集客の方法についてご紹介します。

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アイドルタイムとは

営業時間外であっても固定費がかかるアイドルタイムを有効活用し、お店の売上向上や経済活動に活かそうとする飲食店経営者が増えています。アイドルタイムの意味やピークタイム・コアタイムとの違い、飲食店経営の重要な指標である稼働率・回転率との関連性を知ることで理解を深められます。

アイドルタイムの意味

アイドルタイムとは、生産施設が稼動(作業)していない時間帯、もしくは物流における待機時間を指し、ピークタイムの反対語として使用されています。

飲食業においては、従業員による仕込み、店内清掃を実施する空き時間(準備中の時間)と認識されています。また、準備中の時間帯を設けていないお店では客数が少ない時間帯を指す飲食業界用語です。

ピークタイム・コアタイムとの違いとは?

アイドルタイムの対称的な時間帯に、ピークタイムとコアタイムという時間帯があります。

ピークタイムとは、アイドルタイムの対義語で、生産施設が最も稼動している状態の時間帯を指し、飲食店においては店内にお客様が入り込んでいる席占有率が最も高い時間帯です。

一方、コアタイムとはフレックスタイムの対義語で、従業員が必ず勤務すべき時間帯を指す人事・労務管理用語です。そのため、最もお店の売上・利益があがりやすい繁忙時間帯であるピークタイムとは意味も内容も異なります。

稼働率・回転率との関連性とは?

飲食店経営において、稼働率・回転率は売上・利益を上げるための重要な指標です。稼働率とは、「飲食店の客席がどの程度稼動しているか」を示す割合を指す一方、回転率とは、「どのくらいの人数がその席を利用したか」を示す割合を指します。

どちらも売上効率を高める上で重要な指標であり、お店全体のレイアウトや提供メニュー、外装・内装、席数などを考える上でも活用されます。

アイドルタイムは家賃や減価償却費、人件費はかかるものの無作業時間帯のため、稼働率・回転率ともに0%、またはそれに近い割合となっています。これらの費用を少しでも回収するために、アイドルタイムの集客や予約獲得を目指してお店全体の稼働率・回転率を底上げしようとする飲食店経営者も増えています。

お店の売上目標を達成して存続させる上でも、アイドルタイムにどれくらいの稼働率・回転率を設定するかは、重要な経営戦略といえます。

ピークタイムの設定ポイントとは?

お店の業態だけでなく、店舗の立地(場所)やコンセプト、メニューによって飲食店の繁忙期・閑散期、さらにピークタイムやアイドルタイムも異なります。そのため、闇雲にピークタイムを設定してしまうと、売上を上げるはずの時間帯を逃して機会損失になるリスクも考えられます。

ここでは、アイドルタイムを有効活用する上で適切なピークタイムの設定ポイントについてご紹介します。

時間帯別収益の分析

開店から閉店時間までお客様が入店できるお店と、準備中の時間(お客様が入店できない時間帯)を設けているお店によって、ピークタイム・アイドルタイムの捉え方が異なります。また、ピークタイムは立地・場所などの外部環境や業態、料理メニュー、お店のコンセプトも考慮が必要です。

ピークタイムを設定するためには、時間帯別収益を分析して最も収益性の低い(売上や稼働率・回転率が低いなど)時間を見極めます。季節によってピークタイムが変わる場合があるので、一年間の時間帯別収益を分析し、季節に応じてピークタイムを変更する柔軟性を持たせることも重要です。

一方、準備時間を設けている場合でも時間帯別収益を分析するのは変わりませんが、サービス内容によっては仕込みや清掃、次のピークタイムの準備などに費やす時間が異なります。そのため、飲食店全体の効率を考えて適切なピークタイムを設定し、それ以外の営業時間をアイドルタイムとして活用すると良いでしょう。

飲食業界において一般的には、ピークタイムは11時~14時のランチタイム、18時以降のディナータイムが該当します。また、アイドルタイムは14時~18時が該当します。

従業員満足度の調査

従業員満足度(ES)とは、給与以外に福利厚生や労働環境、従業員の仕事に対するモチベーションを高めることで、企業業績を向上できるという考え方です。そのため、この従業員満足度もピークタイム・アイドルタイムの設定に深い関わりを持っています。

ピークタイムは、飲食店にとってお店の売上を確保する最も重要な時間帯ですが、それに伴って従業員の活動が最も活発になるため心身に負担がかかる時間帯といえます。一方、アイドルタイムは従業員の手が空きやすく、ピークタイムとの労働負荷に差が出てしまいがちです。

ピークタイム・アイドルタイムに関係なく、昼間の時間帯の人件費は同一のケースが多く、従業員の不満が蓄積しやすい傾向が見られます。ピークタイム・アイドルタイムそれぞれの従業員の労働負荷を平等にするためにも、シフトや作業量の調整を行わなければいけません。これらの調整には、それぞれの時間帯の従業員が不公平感を持っていないかを確認できる従業員満足度の調査が有効です。

【関連】従業員満足度とは?上げる方法と、向上事例・施策をご紹介/BizHint

店舗立地特性の把握

飲食店のピークタイムやアイドルタイムは、店舗の立地(場所)特性によっても異なります。ビジネスパーソンが多いビジネス街であれば、ピークタイムは12時~14時が多く、住宅街であれば、主婦や高齢者が通いやすい10時~13時が多くなります。

また、店舗の立地(販売場所)はお客様の属性に影響を与えるため、提供するメニューやお店のコンセプトによってピークタイムやアイドルタイムが異なります。例えば、主婦層や高齢者が多い販売場所で「カフェのようなランチを楽しめる飲食店」を経営する場合には、アイドルタイムは午前中で、12時から夕方までがピークタイムです。

このように店舗の立地特性によってお店を取り巻く外部環境も顧客層が異なるため、実施する施策が変わります。アイドルタイムを有効活用するには、常日頃からお客様の属性毎、時間帯毎の流入数を把握しておくことが必要です。

最近では、ピークタイム・アイドルタイムに囚われない、販売場所を自由に変えられるフードトラックを展開する飲食店経営者も登場しています。フードトラックは売上や時間帯に応じて、販売場所を変えられるメリットがあります。

労働基準法を遵守したシフト作成

アイドルタイムは、無作業時間帯を意味し、お店によっては売上が0となる場合もあります。しかし、アイドルタイムを休憩時間とみなして従業員への給料未払い、および軽作業をさせることは労働基準法違法となります。

前述の通り、アイドルタイムでも人件費などの固定費はかかります。そのため、アイドルタイムを度外視したシフトの作成や従業員の作業指示はトラブルの元です。アイドルタイムを活用したい場合には、お店と契約している弁護士及び社会労務士の指導の下、労働基準法を遵守したシフト作成を行わなければいけません。

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アイドルタイムの有効的な活用方法とは?

一見、固定費だけが浪費されていくように感じるアイドルタイムですが、様々な施策を実施することでお店の売上・利益の向上につながります。ここでは、アイドルタイムの有効な活用方法の一部をご紹介します。

OJT(現場トレーニング)の実施

OJTとは、現場での実務を通して、上司や中堅社員が若手社員に知識や技術を教えていく人材育成手法のひとつです。アイドルタイムは客数が少なく、あるいは準備中の時間帯のため、実務に慣れていない新人の現場トレーニングに最適です。

従業員の負荷を考え適切なシフトを組む必要はありますが、お客様を想定した接客トレーニングの他に仕込み、棚卸作業に必要な知識や技術を教えて、新人従業員の即戦力化と経験学習を通じた実践力の定着に効果的です。

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新商品・メニューのテスト販売やPR活動

アイドルタイムでは、新規顧客の獲得や新メニューのプロモーション・テスト販売の時間帯として、お店の広告にも活用できます。来店客数が減少しやすいアイドルタイムは、接客やサービス提供を行う従業員の数も絞れるため、大きな労働負担にもなりにくのがメリットです。これを活かせば、「キャンペーン・プロモーションが効果的であるか」を測定する試験段階にできます。

こうした販促活動によって、新商品やメニュー・サービスの導入前にお客様の反応をみながらピークタイムの正規メニュー・サービスへと格上げできます。そのほか、アイドルタイム限定の対象商品を導入する飲食店も増えています。

清掃・仕込み作業の実施

一般的に営業時間外、または営業終了後に行われる清掃・仕込み作業もアイドルタイム内に行うことができます。アイドルタイムは売上確保を行いつつ、売上に直結しない作業を同時に行えるため、従業員の労働生産性の向上に繋がります。

一方、店舗のオペレーションによっては、清掃や仕込み作業をアイドルタイムに実施することが難しいケースもあります。お店の提供するサービスやコンセプトに応じて、清掃や仕込み作業の導入判断を行いましょう。

SNSを活用した、積極的な情報配信

スマートフォンなどのモバイルデバイスやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及に加え、消費者価値観の変化が個人経営の飲食店の集客・予約を有利にしています。差別化されたお店のコンセプトやニューは常連客がつきやすく、お店のSNSをフォローしていることも多いため、最新の情報発信(DM)による集客が可能です。

また、ターゲットとなる顧客属性によって使用するSNSを使い分けることでお店の特性やインバウンド需要、日本人観光客など目的に合わせた情報発信が可能です。飲食店規模に関係なく、SNSは情報発信や広告活動が手軽に行えるため、アイドルタイムを有効活用するためのツールとしては最適とされています。

アイドルタイムにおける売上を伸ばす方法とは?

飲食店のほとんどが、アイドルタイムをピークタイム前後に設定しています。このアイドルタイムを有効活用してお店の売上・利益を向上させるには、様々な集客方法を考える必要があります。ここでは、アイドルタイムにおける有効な集客方法をご紹介します。

アイドルタイム限定のメニュー・サービスの実施

新規・既存顧客を集客するためにアイドルタイムのキラーコンテンツとしては、アイドルタイム限定メニュー・サービスの実施や割引クーポンの配布、限定対象商品の販売などが効果的です。

そのほか、ハッピーアワーの導入や夕食前の顧客をターゲットにしたテイクアウト商品の販売、さらにはプロモーションを目的とした限定グッズをプレゼントする飲食店も増えています。

お店の業態や顧客層に合わせたアイドルタイム限定のメニューやサービスの実施は、前述のSNS活用とともに大きな集客へと繋がります。

女性・家族連れなど特定ターゲットへの訴求

ピークタイムは稼働率や回転率を基にターゲットとなる顧客層を選択する飲食店が多いですが、客数が少ないアイドルタイムでは、より幅広い顧客層をターゲットにできるメリットがあります。

近年では共働きが増えて、男性の育児休業制度や時短勤務制度企業内保育所を導入する企業も多く、男女ともに働きやすい労働環境が構築されています。

従来の主婦・子供のほか、これらの制度を利用しているビジネスパーソン(老若男女)や未就学児もターゲットとして訴求することで、有効活用の幅が広がり多種多様な顧客を集客できます。今後も多様な働き方が推奨されることが予想され、さまざまな顧客ニーズを分析した上でお店の業態やコンセプトを考えていくことが重要になるでしょう。

複合業態の展開

昨今、ひとつの事業やサービスにこだわらず複数の事業を展開する多角化経営を行うコングロマリット(複合企業)が登場しています。

その影響もあって、ピークタイムやアイドルタイムの時間帯や客層に応じて全くコンセプトの異なる業態を同時に展開する飲食店が増えています。例えば、ビジネス街で営業する飲食店では、以下のような複合業態の展開が可能です。

【飲食店の特徴】
東京都内のビジネス街に店舗を持つ洋食店

【ピークタイムの活用方法】
ランチタイムは、ビジネスパーソン向けのお得なランチセットを提供

【アイドルタイムの活用方法】
15時以降のアイドルタイムでは、個人事業主や出張のビジネスパーソンを対象としたワークスペースとして提供

このように、ピークタイム・アイドルタイムと、それぞれの顧客層のニーズや特性に着目し、全く異なるコンセプトで営業することもアイドルタイムの有効活用方法といえます。その他にライブやイベント向けのスペースとして、あるいは食事・飲料とともに提供するレンタルスペースとしてアイドルタイムを活用しているお店もあります。

また、近年ではひとつの店舗を複数の事業者でシェアする飲食店経営者も増えています。飲食店のコンセプトやメニュー、業態によってはピークタイムとアイドルタイムが逆になるため、互いのアイドルタイムを他の事業者に提供すれば固定費の削減に繋がるメリットがあります。

まとめ

  • 飲食店などのサービス業におけるアイドルタイムとは、家賃や減価償却費、人件費などの固定費がかかる無作業時間を指します。
  • アイドルタイムの設定は、時間帯別収益の分析や従業員満足度の調査、店舗立地特性の把握を前提にお店の業態やコンセプトに応じて柔軟に決定すべきです。
  • アイドルタイムにはOJTや販促活動、清掃・仕込み、複数業態の展開などの有効活用が期待できる一方、従業員の負担増大を防ぎ、労働基準法を遵守したシフト作成が求められます。
  • アイドルタイムの集客に効果的な方法として、SNSの活用やアイドルタイム限定メニュー・サービスの充実、特定ターゲットへの訴求などがあります。

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