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2018年11月15日(木)更新

ホーソン効果

人間の心理によって結果が変わってくる「ホーソン効果」。同じように気持ち次第で結果が変わるピグマリオン効果やプラセボ効果といった心理学用語との違いや、ビジネス現場でのホーソン効果の活用事例をご紹介します。

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「ホーソン効果」とは?

ホーソン効果とは、注目を浴びることで、相手の期待に応えたい心理的行動によって好結果を出す効果のことです。

一世紀ほど前、アメリカのウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場で行われた実験では、物理的労働条件よりも「注目されているという意識によって生産性が向上する」ということが判明しました。(ホーソン実験)このことから、周囲の注目を浴びることで、よく見られたい、期待に応えたいなどの気持ちから行動が変わり、好事象を得ることを「ホーソン効果」と呼ばれるようになりました。

また、ホーソン実験によって人は経済的動機付けだけで動くわけではないことがわかり、その後のマズローの欲求階層説(人間心理学)につながっていきます。

【参考】「ホーソン実験」とは?ホーソン実験によって注目された人間関係論/ BizHint HR

ホーソン効果が発見されたきっかけ

先に述べた通り、「ホーソン実験」によって、ホーソン効果が発見されました。しかしホーソン実験は元々このような効果を期待したものではなく、環境条件を変えれば効率的な作業ができるようになるのではないか、そのためにはどんな作業環境にすればいいのかということを調査するための実験でした。

最初の実験で照明の明るさを変えてみたところ、薄暗くて手元が見づらい環境でも作業能率が変わらず、むしろ能率が上がりました。このような予想外の結果が出たことから、次に作業員に対して休憩時間や給与といった労働条件を悪条件に変えてみたところ、それでも能率が向上しました。

一般的に悪条件になれば作業能率は下がると誰もが思いますが、これは日常の業務ではなくハーバード大による実験ということがキーポイントでした。

グループのメンバーは、日々の業務とは違い、実験に参加するという非日常な環境下でした。また、実験目的について知らされています。そのため、「アメリカ一の大学に協力している」「自分達は、特別に選ばれて参加している」という意識が働き、悪条件でもモチベーションがアップしたことで作業能率が向上したのです。

さらに実験の中で、作業の監督者の態度と関わり方でも能率に違いが出ることもわかりました。関係性が良好になることで「期待されている」と感じるようになり、行動が変わることで結果的に生産速度・作業効率の向上につながっていきました。スタートは違う結果を推測していたものの、想定と違う結果が続いたことで、人間は感情によって行動変容し、想像を超えるほどの結果をもたらすことを発見することができたのです。

また、発見のきっかけには時代的背景も関係します。ホーソン実験は第一次大戦後、アメリカが好景気の時代に行われおり、マズローの欲求階層説に照らし合わせると、生理的欲求や安全欲求といった基礎的欲求の段階がほぼ満たされている状態だからこそホーソン効果が発見されました。現代の日本も戦後に基礎的欲求は満たされたことで、ホーソン効果の活用が広がっています。

図表1 マズローの欲求5段階説

【出典】モチベーションアップの法則:マズローの欲求5段階説

ホーソン効果とピグマリオン効果の違いとは

ホーソン効果の他にも、ピグマリオン効果でも相手の期待に応えようと頑張ることでいい結果を出します。だからといって、この2つは同じものではありません。

ピグマリオン効果とは

心理行動の一つで、アメリカの心理学者ローゼンタールが提唱したことからローゼンタール効果とも呼ばれます。(名称はギリシャ神話に由来)

ローゼンタールは、小学校の教師に今後成績が伸びる生徒(学習者)を割り出したリストから、優秀な生徒を集めたクラスであると担任に伝えました。実際には成績は関係なく、ランダムに選出した生徒なのですが、教師は自分が受け持った生徒達は今後伸びると思い込んで指導した結果、本当に生徒の成績が向上する現象が起こりました。教師に与えられた情報は本当ではありませんが、本当であると信じて生徒に期待することで、生徒もその期待を感じ取り、応えたことで成績向上へとつながりました。

このことから、嘘のない期待によって相手はその期待に反応し、いい結果へとつなげることをピグマリオン効果と言います。元は教育心理学として教育現場で注目されていましたが、現在は企業でも管理職や人事担当者がピグマリオン効果を活用するケースも存在し、活用範囲が広がっています。

【参考】ピグマリオン効果とは?意味と例をわかりやすくご紹介 / BizHint HR

ホーソン効果とピグマリオン効果の「立場の違い」

ピグマリオン効果とホーソン効果は、どちらも期待されているという心理が結果に良い影響を及ぼすという点では同じであり、一見、違いがないように思えます。しかし、一番の違いはその立場にあります。

ピグマリオン効果は、自分の期待通りの成果を相手が出すことです。 ホーソン効果は、他者からの注目を浴びることで、自ら成果を上げようとします。つまり、期待に応えようと思うことで成果を上げることはどちらも同じなのですが、他人が成果を出すのか、自分が成果を出すのかといった立場の違いがあります。

ホーソン効果とプラセボ効果の関係

もう一つ似ている効果としてプラセボ効果があります。プラセボ効果は、偽薬効果、プラシーボ効果とも呼ばれ、偽の薬を処方されても、薬であると信じていることで何らかの改善効果が得られることです。効果の再現性や倫理面の問題もあるため、現段階では実際に医療の現場で治療に使うことはありませんが、思い込みの力は経営や勉強、恋愛などに活用されています。

わかりやすく比較してみましょう。医療現場でのホーソン効果としては、患者が信頼している治療者(医師など)に治癒を期待されていると感じることで、行動変容を起こし結果的に病気が治るといったことに例えられます。成果を信じるのではなく、相手のために良い成果を出そう、自分にはその能力があると思い込みます。プラセボ効果は病気に効くといった成果に関する情報を故意に与えます。その情報がニセモノであることを知らされないため、本物と信じ込むことで患者は自己治癒していきます。

このようにホーソン効果とプラセボ効果には、相手に信じ込ませるのか、自ら信じ込むのかといった違いがあります。但し、医療情報としてはそこまでの違いを詳細に区別することよりも、医療による効果とそうでない効果を区別する必要があるため、統計上はプラセボ効果にホーソン効果を含む形でまとめられることがあります。

ディズニーにみるホーソン効果の事例

生産性向上から始まったホーソン効果は、それ以外ではどのように活用されているのでしょうか。

見られることで効果を発揮したと言えば、有名なのかディズニーです。単にアトラクションがあるだけではなく、園内では目立たないことでも常にキャラクターになりきっている、常に気を抜くことなくキャストとして高レベルのサービスを維持していることは誰もが知っていることです。このような状態を作り出し、また維持するために、ディズニーではホーソン効果を活用した人物的評価が存在しています。

スピリット・オブ・東京ディズニーリゾート

東京ディズニーリゾートでは、キャストにカードを配り、自分が素晴らしいと思った他のキャストにメッセージ書いて送ります。また、キャスト同士で交換された結果をもとに「スピリット・アワード」で表彰され、栄誉を讃えられます。

お互いに励まし合い、讃えあい、表彰もありえるなど、他者に常に見られている、他者に褒められる自分でいたいと自ら自身を高め、キャストの「他者肯定感」を満足させる仕組みとなっています。

ファイブスタープログラム

上司が、部下のパフォーマンスを高く評価した場合に、ファイブスターカードを渡します。このカードを受け取ると、ミッキーが登場する特別なショー(ファイブスタープログラム)に参加、またはオリジナル記念品と交換できます。

このプログラムも他者に見られることを意識づけています。スピリット・オブ・東京ディズニーリゾートが同僚同士という横の関係性の目だったことに対し、ファイブスタープログラムは上司という縦の関係性の目を意識するプログラムです。また、評価結果としてファイブスタープログラムへの参加という特別感を煽る仕組みです。

その他 他者の目を意識するプログラム

職場の目を意識するプログラム以外にも、来園者からの目を意識するプログラムもあります。

サンクスデー

「準社員感謝デー」として始まった「サンクスデー」。上司がもてなし、キャストは貸し切ったパーク内を楽しむことができます。このこと自体が自身への注目を感じるものではありませんが、ゲストの目線を忘れないためのイベントでもあり、日々、ゲストの目線があることを意識づけるプログラムです。

ランゲージピン・手話ピン

「ランゲージピン」は英語・中国語・韓国語に対応できる証として、「手話ピン」は手話ができる証としてのピンです。ゲストへのサービスのためのピンですが、これを着けることで、必要とするゲストからの注目を浴びることを意識づけるものにもなり、また、その専門性から選ばれているという意識にもつながります。

徹底的な見られている意識づくり

各プログラムはどれもキャストに他者からの目線を意識づけるもので、複数プログラムを実施することで、徹底的にその意識を根付かせています。

ホーソン効果として興味深いのはキャストの時給です。ディズニーのキャストは多くのアルバイト(非正社員)を雇用していますが、基本的な時給はどの職種でも1,000円です。一般企業の事務職でも1,000円を超える時給は珍しくなく、決して高い時給とは言えません。

それでも来園したゲストをもてなすため隙のないサービスを維持できているのは見られている意識づくりによるモチベーション維持に他なりません。ホーソン実験と同じく、報酬といった労働条件の影響は少なく、見られていること、キャスト同士の関係性をよくすることで、サービス維持を可能にしています。

【参考】東京ディズニーリゾートキャスティングセンター:キャスト特典
【参考】東京ディズニーリゾートキャスティングセンター:時給一覧

まとめ

  • ホーソン効果とは、他者からの注目を浴びることで、モチベーションを上げ、好結果を出す効果のことです。
  • ホーソン効果とピグマリオン効果の違いは、期待されていると思い込んだ結果と、期待されていることが明確にわかっていることに応えた結果の違いである。
  • ホーソン効果は、医療の統計上、プラセボ効果の一部として扱われることがある。
  • ディズニーでは、徹底的に他者の目を意識する社内プログラムによって、キャストは常に高いモチベーションを維持している。

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