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2018年6月22日(金)更新

ストレッチ目標

ストレッチ目標は、アメリカのG.E社が取り入れたといわれる教育法です。達成困難な目標に向かうことで部下の能力を引き出し、成長を促す効果があります。ストレッチ目標の特徴やメリット、導入をする際に気をつけるべきポイント、目標設定を誤った場合に起こり得るトラブルやパワハラの危険性について、企業の事例と合わせて紹介をしていきます。

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ストレッチ目標とは?

ストレッチ目標とは、ただ手を伸ばしただけでは届かない場所に存在する目標のことで、部下の育成システムとして注目されています。特に、明確な目標設定が必要とされる営業部で活用される場合が多くみられるようです。

ストレッチ目標を活用する場合、設定した目標を実際に達成するかどうかよりも、目標を達成するために部下自身が何をすれば良いかを考え、実行に移す行為そのものが重要となります。達成するために自分の力を最大限に発揮することで、目先の目標設定時には得ることができない効果がみられるためです。

原理は「ストレッチ体操」と同じ

たとえば、スポーツを行う前や健康管理のために行う「ストレッチ体操」を想像してみましょう。ストレッチ体操は、ただ単に身体を広げるだけでは効果がありません。限界まで身体を伸ばし筋肉をほぐすことで可動域を広げる効果が生じ、結果として自身のパフォーマンスを向上させることができます。

ストレッチ目標もこれと同じで、自身の身体を精一杯引き延ばさなければ達成できない場所に目標を定めることで、自身の可動域、つまり仕事能力がアップし、成長させることが可能となります。

部下の育成に効果的

ストレッチ目標は、部下を育成する方法の一つとして非常に有効です。入社して間もない、もしくは経験が浅い部下にとって、会社のために自分がなすべき明確な目標を立てることは非常に難しいものです。

ほとんどの部下は、経営者や管理職のように会社の経営状態も分からず、全体を見渡すことができません。したがって、ただ単に「目標を立てなさい」と指示を出したとしても、どうしたら良いか分からず曖昧な目標に落ち着き、漠然とした中で仕事を行うケースが多々みられます。

ストレッチ目標制度を活用し、部下の状況に合わせた「背伸びしないと届かない」目標を与えることで、部下の能力を引き出し、効果的に育成することができるのです。

【関連】人材育成とは?目的と実施方法について / BizHint HR

ストレッチ目標設定のメリット

このように、部下の育成手段として非常に有効となるストレッチ目標を活用することで、実際にどのような効果が表れるのかを、内容ごとに説明していきます。

従業員の最大限の能力を引き出せる

ストレッチ目標の最大の特徴は、背伸びをしないと届かない場所に目標を定めることです。目標の場所が高い所にあることで、従業員は相当量の努力をしないと達成することができないという状況を理解し、必死に努力をしようと試みます。この「やる気」が、従業員の持ちうる最大限の能力を引き出す効果となり、大きく成長する原動力となります。

達成感を味わってもらえる

人は、チャレンジ内容が難しければ難しいほど、より多くの努力を重ねるものです。そのため、努力の内容に比例して、クリアした時の達成感は大きなものとなります。ストレッチ目標設定の場合も同様で、非常に達成が困難な場所に目標を設定することで、部下は長期にわたり努力をし続ける必要があり、またトラブルやミスなどに直面する可能性も増加します。これらの困難を乗り越えた上で目標を達成した際には、部下自身に非常に大きな達成感を味わってもらうことができるのです。

成長につながる

高い目標を設定された場合、部下は達成するために何をすれば良いかを必死に考え、チャレンジを試みます。目標が高いがゆえに、なかなか結果が出ない場合は別の方法に切り替えるなどの臨機応変な対応を取らなければなりません。しかし、このように達成までの行程が長ければ長いほど、その期間に行った内容すべてが部下の経験となります。より多くの経験を重ね、業務のノウハウに関する引き出しを増やすことで、部下を効果的に成長させることが可能となります。

人材の成長が業績UPにも繋がる

成長する部下が増えるほど、社内における若い世代の全体的なレベルアップ効果が生じます。ストレッチ目標設定により得たたくさんの経験や、目標を達成したことによって自信や実力をつけた部下が、生き生きと仕事をすることで、会社の生産性向上や業績アップへと繋がっていきます。

ストレッチ目標設定のポイント

ストレッチ目標は、会社にとってさまざまな効果が生まれる有効な育成システムではありますが、実際に導入する場合には忘れてはならないコツがあります。次からは、ストレッチ目標を設定する場合に心がけるべきポイントについて述べていきます。

目標の立て方

ストレッチ目標の設定において、目標をどのように設定するかを考えることは、もっとも重要な作業となります。

まずは、会社が現在抱えている問題点や今後の懸念点、強化していきたい部分について洗い出します。次に、目標を達成する側となる部下の能力や取りまく状況を適切に把握し、その部下に沿った目標設定を行います。

その際には、部下自身が抱いている将来の目標や理想像をリサーチしておくことも大切です。これは、部下自身の願望と会社側が望む成果とをできるだけ沿わせることで、部下が高いモチベーションを保ちながら努力を続けることが可能となるためです。

きちんと説明して理解してもらう

具体的な目標を社員ごとに設定したところで、次は実際に達成に向けて部下に行動してもらう必要があります。その際には、必ず部下一人ひとりに向けてきちんと話をし、理解をしてもらわなければなりません。事前に何も説明をせずに、ただ単に「この目標を達成するように」と伝えるだけでは、部下は目標の高さに驚き、早々に諦めてしまう危険性があります。中にはイジメではないかと誤解をし、反発をする社員が出てくるかもしれません。

このような事態を避けるための方法として、なぜこのような目標設定に至ったのかという事前説明や、部下に対する期待感を伝え、十分に理解をしてもらうことが非常に重要となります。

マイルストーンを設けることも効果的

遠くの場所へ初めて行かなければならない場合、道のりの途中で目印となるものや、通過をしていく場所をあらかじめ調査した上で行動に移す場合があります。ストレッチ目標の場合も同じで、達成すべき目標が高く、長い道のりを進んでいかなければならない場合には、途中で目安となるポイントを設けることで行程の確認をすることができます。

この目安となるポイントを「マイルストーン」といい、具体的には「この日までに、ここまでの業務を進めておいて欲しい」などの節目となる計画を部下へ伝えることで、効果が生じます。

マイルストーンを明確にすることで、部下はその節目までに行うべき内容や仕事を進める方向性を決定でき、達成に向けて確実に行動することが可能となります。一方、上司である経営者や管理職は、マイルストーンの存在により、節目ごとに部下の行程チェックを行うことができるため、今後の経営方針を立てる際に有効となります。

目標は少しずつ引き上げていくこと

ストレッチ目標は、すべての部下に対して即座に有効となる策ではありません。特に経験の浅い部下の場合、いきなり高い目標を突き付けられた場合、戸惑ってしまうケースがみられるかもしれません。

このような部下を相手にストレッチ目標を設定する場合、まずは背伸びの量を減らし、手を少しだけ伸ばせば確実にクリアできる目標を与え、達成感を味わってもらう方法が挙げられます。このような目標設定を繰り返し、部下側に「目標に向けて努力し、達成する経験」を積ませた上で、少しずつレベルを引き上げていく方法も検討する必要があります。

ストレッチ目標の注意点

ストレッチ目標には、注意をしなければならない点があることも覚えておかなければなりません。方法を誤ると、部下の成長を促すどころかマイナスの効果が生じる危険性があるため、注意をしましょう。

「無茶な目標」になっていないか確認を

ストレッチ目標の特徴である、「ただ手を伸ばしただけでは届かない」目標のレベルを見誤ると、単なる無茶な目標になってしまうため、気をつけなければなりません。

たとえば、努力だけではどうすることもできない金額の売上を上げることを目標とした場合、目標の高さのあまり、部下は何をするべきかが分からず、時間や能力を有効に活用する事ができない状態に陥ってしまいます。このような事態を防ぐためには、事前の目標設定や部下へのヒアリングを入念に行い、無理のない程度で「成功にはそれなりの努力を要する」レベルの目標を定める必要があります。

パワハラになってしまう場合も

ストレッチ目標は、場合によってはパワハラと扱われるケースがあります。厚生労働省では、「NOパワハラ あかるい職場応援団」という、職場のパワハラ対策や取組事例を紹介するサイトを掲載しています。たとえば、上司が部下に対して行ったストレッチ目標が、部下にとって大きな負担となり追い詰められたと感じた場合、サイト内のパワハラの定義の一つである「過大な要求」に該当する可能性が生じます。パワハラは世間でも注目されている問題の一つであり、上司と部下の関係がこじれた末に裁判沙汰となる場合もあるため、注意しましょう。

このような事態を防ぐためには、日ごろから部下と積極的にコミュニケーションを取り、関係性を築いておくことが重要です。また、高い目標を設定し、実際に部下へ伝える場合でも、部下のやる気を引き出すような言い回しを心がけ、成功することを信じている姿勢を貫くことです。その上で、積極的にマイルストーンを置くなどの方法を用いて、成功への正しい道のりに部下を導いていく姿勢も大切となります。

【参考】厚生労働省:NOパワハラ あかるい職場応援団

「ストレッチ」を導入したG.E社の事例

ストレッチ目標を実際に導入した企業としては、アメリカのG.E社(ゼネラル・エレクトリック社)が最も知られています。

当時の最高経営責任者であったジャック・ウェルチ氏は、手の届く場所に目標を設定するよりも、さらに困難な場所に設定することで、より大きな成果が生み出されると考えました。そこで、客観的に見ると不可能だと考えられる目標設定「ストレッチ」を実施するに至りました。

ストレッチ目標に向かい続けた従業員は、困難を乗り越えることで徐々に鍛え上げられ、手の届く高い集中力で困難な目標に立ち向かう姿勢が身につきました。そして、より高い成果を上げることで、さらに上のポジションでハイレベルの仕事に携わることができることを学び、自己啓発に対する意識が向上します。

会社側も、より多くの従業員にチャンスを与えるため、二年以上同種の業務に携わった者は、社内に設けられた全てのポストに応募することができるように定めています。従業員のモチベーションを保ち、より多く経験を積みたいという気持ちに応えた制度であるといえます。 高い目標が繰り返し課されることで、G.E社は目覚ましい進歩をとげ、現在も社員教育法のロールモデルとして名を馳せています。

【参考】日本の人事部:ストレッチ
【参考】安渕聖司 著:世界の超一流企業であり続ける GEの口ぐせ

まとめ

  • ストレッチ目標は、現状では達成が難しく、手を大きく引き伸ばさないと届かない場所に設定される目標で、部下の育成方法として知られている。
  • ストレッチ目標には、従業員の可能性を引き出し、達成感を味わうことでより高い成長へと導く効果がある一方で、無茶な要求と認識され、パワハラと扱われる危険性もある。
  • ストレッチ目標は、会社の状態と従業員の現状を把握した上で、相手の理解を得た上で実施する。マイルストーンを活用し行程を確認する方法も効果的である。

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