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2018年11月21日(水)更新

ヒューマンスキル

ヒューマンスキルとは、マネジメントに求められる能力として提唱された、対人関係能力の事です。今回は、このヒューマンスキルについてご紹介します。

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1.ヒューマンスキルとは

ヒューマンスキルとは、アメリカの経営学者ロバート・カッツ氏が提唱した、マネジメントに求められる3つのスキルのうちの1つです。日本語では「対人関係能力」とも呼ばれ、人間関係を良好に保つために必要な能力のことを指します。

マネジメントを担うか否かに関わらず、ビジネスパーソンなら誰しも備えておきたい普遍的な能力とも言えます。 これをマネジメントの視点で考えると、「統括する組織の業務が滞りなく遂行されるよう、個人や集団を導く能力」とも言い換えられます。

その他2つのスキル

カッツ氏が提唱した「マネジメントに求められる3つのスキル」は、先述した「ヒューマンスキル」と、「テクニカルスキル」「コンセプチュアルスキル」の2つがあります。

テクニカルスキル

「業務(職務)遂行能力」とも言われ、職務を遂行する上で必要な専門的知識や技能のことを指します。これまでは、直接末端のスタッフに指示を出すポジションにあるロワーマネジメント(係長や現場監督など)層に必要なスキルとされていましたが、近年では上位のマネジメント層にもこのスキルが必要だと言われるようになってきました。

【関連】テクニカルスキルとは?具体例やヒューマンスキルとの違いをご紹介/BizHint HR

コンセプチュアルスキル

「概念化能力」とも言われます。これは、組織や事業を俯瞰して総合的に把握し、その本質を理解する能力の事を言います。具体的には、今後の動向の予測や戦略の立案、いま起こっている問題の解決などの場面で必要とされます。これは、主にトップマネジメント層(経営者)など、上位のマネジメント層に、より必要とされるスキルです。

【関連】コンセプチュアルスキル向上を図る意味とは?研修具体例や書籍を紹介 / BizHint HR

2.ヒューマンスキルの普遍的な重要性

これは、ロバート・カッツ氏がマネジメントに必要なスキルを3つに分けて考えた「カッツ・モデル」を図式化したものです。

「テクニカルスキル」「コンセプチュアルスキル」が階層毎に重要性が異なるのに対し、「ヒューマンスキル」はどの層でも同程度重要資されている事が分かります。

ヒューマンスキルは、対人関係能力。つまりコミュニケーション能力とも言い換えられます。マネジメントを行う上では、どのような立場においても必須の能力だと言えます。

【参考】リクルートマネジメントソリューションズ「マネージャーのヒューマンスキルについて考える」

3.ヒューマンスキルが注目されている理由

それでは、なぜ今ヒューマンスキルが注目されているのでしょうか。

環境変化へ対応するため

昨今、回復基調にある経済状況や消費増税など、ビジネスを取り巻く環境は大きく変化しています。

マネジメント層は、スピーディーで複雑化しているその変化に対して、現場の情報を迅速に吸い上げ、的確な対応を講じる事が求められています。その対応策を練るにあたり、現場を知るメンバーの意見を引き出し・適切にまとめるといったヒューマンスキルが求められます。

人材育成による企業収益の向上のため

組織の業績を恒久的に保つには、当然の事ながら部下の育成が必須です。マネジメント層は、部下の行動を評価したり、それについてのフィードバックやアドバイスを行う必要があります。

ここでも、頭ごなしに意見を押し付けるのではなく、部下の意向もうまく汲み取りながらステップアップの手助けをする必要があります。

時には、部下の悩みや不満に耳を傾けたり、キャリアについて話し合ったりする場面もあるでしょう。いずれの場面にも、ヒューマンスキルが求められるのです。

多様化する個人の価値観を受け入れ、柔軟に業務を遂行するため

現在は「ダイバーシティ(人材の多様性)」も叫ばれ、一緒に働く人、そしてその価値観も多様化しています。これまでのように、上司の指示を一方的に伝えれば済む時代は終わり、現在は、まず部下の考えに耳を傾ける姿勢が必要となっています。

部下の一人一人とじっくり向き合い、人となりを知り、受け入れること。そこから信頼関係が生まれ、結果的に柔軟な業務遂行が可能となります。

【参考】女性活躍推進だけでない、いま求められるダイバーシティとは/BizHint HR

4.ヒューマンスキルの具体例

ヒューマンスキルは、実に幅広い概念を持っています。ここでは、その具体例を紹介します。

コミュニケーション(文章・口頭など)

まず一番重要なのはコミュニケーションです。部下の話にしっかりと耳を傾け、部下の言葉の裏にある本質を読みとる事が大切です。

また、近年ではメールなどでのやり取りも多くなりがちですが、相手の表情が見えない言語だけのコミュニケーションになるため、特に言葉選びが重要となります。

【関連】コミュニケーションスキルとは?ビジネスに役立つスキルアップ方法や学べる本などご紹介 / BizHint HR

対立する意見の調整

様々な個性や価値観を持った部下の中では、意見が対立する場面もあるでしょう。それをうまく調整するのもマネジメント層の役割です。

ここで重要なのは、双方の主張をヒアリングするだけではなく、その裏にある個人の目的などの本質を見抜く事。そして、双方の意見を調整し、最善だと思われる解決手段を模索する事が重要です。

部下の動機付け(コーチング)

動機付けとは、主体的に行動を起こさせ、目標に向かわせる過程の事で「モチベーション」とも呼ばれます。

マネジメント層は、部下に対して一方的に知識を教えるのではなく、まずは、部下の中にある可能性や自主性を引き出す事から始めます。そして、それらをうまく目標と擦り合わせ、達成に向けて伴走するのがコーチングです。

【参考】コーチングとは?実施するメリットや進め方、資格や研修会社までご紹介/BizHint HR

リーダーシップ

このリーダーシップは、特に上位のマネジメント層に必須の能力です。組織のリーダーとしてメンバーをうまくまとめる事はもちろんの事、自分自身の行動や言動を部下に見せる事で、組織を率いて行く力も必要です。ここで必要なのは、判断力。

組織の目標設定、部下の評価、ビジネスにおける適切なジャッジなど、ブレない精神力と的確な判断力が試されます。

【参考】「リーダーシップ」の意味とは?定義や理論、代表的なスタイルをご紹介/BizHint HR

ファシリテーション

ファシリテーションとは、集団で行う会議やプロジェクトのスムーズな推進のための舵取りの事を言います。例えば会議では、全体の中立なポジションに立ち、参加者の意見をまとめたり、最終的な合意形成をサポートする立場です。こうする事で、組織の活性化や問題解決にも繋がります。

【関連】「ファシリテーション」とは?意味やスキル、実践の心得からおすすめの研修をご紹介 / BizHint HR

プレゼンテーション

マネジメント層は部下の話に耳を傾ける事が重要ですが、もちろん自分の考えや会社の方針を部下に伝える事も重要な役割です。自分の伝えたい事を的確に伝える為に必要なのが、このプレゼンテーション能力、提案力です。自分の伝えたい事を論理的に、簡潔に伝える事が重要です。

交渉力

組織をマネジメントする上では、顧客など対外的な交渉力も重要です。

プロジェクトを進める上で出てくる顧客からの無理な要望への対応や、時にはトラブルも発生するでしょう。その際に、部下と共に妥協点を見つけたり、時にはうまく拒否したり、こちら側の要望を通すなどの交渉力が必要となります。

【関連】ネゴシエーションの意味とは?スキル・テクニックなどを徹底解説 / BizHint HR

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングとは「論理的思考」の事です。この思考を持つ事で、複雑な物事を単純に理解し、周りの人に分かりやすく伝える事ができます。

このスキルは、先述した「リーダーシップ」や「プレゼンテーション」など様々な場面で必要となる能力です。

【関連】ロジカルシンキングの意味とは?トレーニング方法やおすすめ本をご紹介 / BizHint HR

向上心

現状に満足せず、常に今よりも良い状態を目指す事を言います。マネジメント層には、組織を引っ張る力が必要です。そして、部下だけでなくマネジメント層も常に学び、成長していく姿勢を見せる事が重要です。

5.ヒューマンスキルの開発を求められる人材例

ヒューマンスキルは普遍的に求められるスキルではありますが、特に必須であると言われるマネジメント層および職種についてご紹介します。

ミドルマネジメント

マネジメント層の中でも、このミドルマネジメント層には特にヒューマンスキルが必須だと言われています。

ミドルマネジメントは、その名の通りトップマネジメント層(経営者など)とロワーマネジメント層(監督者、現場など)との間の中間管理職のこと。一般企業では、部長や課長職であるケースが多い様です。

このポジションは、トップの決定した方針をロワーにうまく伝え、組織を回す役割を持っています。一方で、現場の意向を、まとめてトップに伝えるという役割も併せ持っています。

まさに経営者と現場を結ぶパイプ役であり、コミュニケーション・ギャップを解消する重要な役割も持っています。それゆえにヒューマンスキルが特に必須とされる層であると言えます。

【関連】ミドルマネジメントとは?意味や役割、課題や育成のポイントをご紹介 / BizHint HR

ITエンジニア

ITエンジニアとは、IT業界で情報技術に関わる技術者の事。従来はテクニカル重視であったこの技術系専門職に対しても、ヒューマンスキルを求める傾向が高まっています。

これは情報が企業の戦略に使われるようになった背景もあり、「プロジェクトマネジメント」の重要性が認識され始めたためです。自身の業務だけではなく、そのプロジェクト全体を俯瞰したシステム構築。チーム内で進捗確認を行い、遅れがあればフォローする体勢。対顧客への営業トークなどのスキルが求められています。

6.ヒューマンスキルを開発する難しさ

一般的に、「ヒューマンスキル」と「コンセプチュアルスキル」は開発が難しいと言われています。ここで、なぜヒューマンスキルの開発が難しいのか見てみましょう。

本人の性格や気質に強い影響を受ける

ヒューマンスキルは、本人の性格や気質に強く影響を受けると言われています。その人材の性質とは異なる行動を伴う業務を求めても、「この仕事は自分には向いていない」「嫌々やらされている」といった被害者意識が強くなる傾向があります。人間は、自分が本来持っている気質や性格を簡単には変えらないのです。

ヒューマンスキルを高める機会を得にくい

マネジメント層は「ヒューマンスキルは本人の性格や気質に依る」という事を理解した上で、部下の得手不得手を把握し、それぞれに適した役割を与えるでしょう。

ただ、この事がすでに有している性格や気質を超えたヒューマンスキルの向上の機会を阻害し、開発を難しくしているという一面もあります。

一定の年齢を超えると向上しにくくなる

ヒューマンスキルの中でも、「コミュニケーション」「リーダーシップ」は、一定の年齢を超えると向上しにくくなるという調査結果があります。

コミュニケーション能力

ヒューマンスキルにおける基礎的な能力「コミュニケーション」について、自己評価(自己採点)と他者評価(同僚や上司、部下)による調査があります。これによると、自己評価では「自分が年齢を重ねるとともに、コミュニケーション能力が向上している」と感じているという結果が出ています。

一方で、他者評価は「30代中盤を過ぎると、コミュニケーションレベルは下がっている」と感じているという結果に。自己評価と他者評価でのギャップが浮き彫りとなっています。

リーダーシップ

「リーダーシップ」においても、自己評価は「50歳前半まで、上昇し続けている」と感じているという結果である一方、他者評価では「30代中盤以降、ほとんど上昇しない」という結果となっています。こちらにも、自己評価と他者評価のズレが見えてきました。

ただ、ここで重視すべきは「他者評価」です。いずれにしても30代中盤以降は「コミュニケーション」「リーダーシップ」が下降傾向にあると言わざるを得ません。

【参考】株式会社アイ・ティ・イノベーション「ヒューマン・スキルとコンセプチュアル・スキルについて」

7.ヒューマンスキル開発のポイント

開発の難しいヒューマンスキルですが、それを開発するにはどのような姿勢が必要なのでしょうか。

自己理解

「自分の気持ち・感情がわかる」という事です。自身について真剣に考えたり、他者からのアドバイスを真摯に受け止める姿勢が重要です。そうする事で自分の行動を知り、率直な気持ちを表現する事ができます。

他者理解

「他者の気持ち・感情がわかる」という事です。まずは相手に関心を持ち、その行動に対して率直な意見や感想を述べます。そうする事で、他者からの刺激を感じとり、受け止める能力を身につけられます。

状況理解

「場、集団のプロセスが見える」という事です。まずは集団の中で、自分がどのような立ち位置にあるのかを理解する事。そして、集団のプロセスを理解し、他のメンバーとの意見の擦り合わせを行う事が重要です。

人間理解

「相互信頼など、人間観を知る」という事です。集団の中で、他のメンバーのポジティブな面もネガティブな面も受容し、共に指摘しあう事で信頼感が生まれます。

【参考】リクルートマネジメントソリューションズ「マネージャーのヒューマンスキルについて考える」

8.ヒューマンスキルを持った人材の採用

ヒューマンスキルは、開発が難しいもの。それでは、人材を採用する段階で、人事はそのヒューマンスキルの有無をどのように確かめれば良いのでしょうか。

人材採用の現場では、ヒューマンスキルの中でも、特に「コミュニケーションスキル」「マネジメントスキル」が重視されているようです。

書類上での評価

まず、職務経歴書や履歴書の自己アピールなどから推し量る事もできます。

中途採用の場合では、関わったプロジェクトやその規模、ポジション、達成した成果などから推測する事が可能です。同様に新卒採用の学生であれば、どのような組織(サークル、ボランティア等)でどのような役割を果たし、どのような事を成し遂げたのか、などから推し量る事もできます。

ヒューマンスキルを確かめる質問

書類上では、あくまでも推測でしかありません。実際に確かめられるのは、やはり面接の場。

特にこれからマネジメントを任せる可能性のある中途採用の面接の場では、例えばプレゼンテーション能力を見る「簡単な自己紹介をお願いします」、コミュニケーションについての考え方を問う「組織の中でのコミュニケーションを円滑にするには、何が大切だと思いますが」、他者から見られる自分をどのように認識しているのかを問う「前職の上司は、あなたをどのように評価していましたか」などの質問をする事で、あらかじめヒューマンスキルを意識した人材採用を進める事ができます。

また、質疑応答は回数を重ね傾向性を見出していくことが大変重要になります。具体的には、面接時の質疑応答内容と入社後の立ち振舞を比較し関連性を見出すほか、もし面接時の質疑として不適切(質問内容として意味をなしていなかった)など場合には、柔軟に変更を加えていくことで精度が高まります。

このような採用過程におけるデータ蓄積・分析においては、採用管理システムの導入がひとつ大きな鍵になります。

人事向けニュースサイト「BizHint HR」編集部では、中立的な立場で独自調査を行い、国内で提供されている採用管理システムの比較一覧を作成しましたので、ヒューマンスキルを有した人材採用の検討と合わせご参考ください。

9.まとめ

  • ヒューマンスキルは、どのマネジメント層にも必要な普遍的スキルである。
  • ヒューマンスキルには、「コミュニケーション」「交渉力」「プレゼンテーション」など、幅広い概念がある。
  • ヒューマンスキルは開発が難しく、特に一定の年齢以降は下降傾向にある。

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