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2017年12月3日(日)更新

エンプロイアビリティ

エンプロイアビリティ(empl oyability)は経済学用語の1つで、従業員として「雇用され得る能力」のこと。雇用されるに値する能力を指し、継続して雇用されるための能力も含む概念です。また、我々を取り巻く技術環境や産業構造の変化に順応し、迅速に異動や転職ができる能力でもあります。 今回はこの「エンプロイアビリティ」について解説いたします。

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「エンプロイアビリティ」の意味

エンプロイアビリティ(empl oyability)は経済学用語の1つで、従業員として「雇用され得る能力」のこと。

雇用されるに値する能力を指し、継続して雇用されるための能力も含む概念です。

また、我々を取り巻く技術環境や産業構造の変化に順応し、迅速に異動や転職ができる能力でもあります。 エンプロイアビリティは、まさに労働市場においての「個人の価値」といえるでしょう。

エンプロイアビリティの要素

エンプロイアビリティは、必要とされる技術や専門知識、資格だけで成り立っているわけではありません。以下にエンプロイアビリティの要素をまとめてみましょう。

要素1:能力的側面 業務への適性、仕事を探す能力、新たな知識を身につける能力、創造性、問題解決スキルなど。

要素2:行動的側面 業務に対するモチベーション、キャリアマネジメント力など。

要素3:性格的側面 必要な行動を起こせる自信、コミュニケーション能力、対人関係構築能力など。

要素4:知識的側面 市場に関する知識、情報やサポートのネットワークに関する知識など。 これらの多くは座学だけでは習得できないものなので、業務を通して身につけることが求められるでしょう。

エンプロイアビリティの絶対性、相対性

世の中には多くの仕事が存在し、業界や職種もさまざまです。

そのため、従事する仕事によっては、絶対的なエンプロイアビリティと相対的なエンプロイアビリティのいずれかを身につける必要があります。

絶対的なエンプロイアビリティとは

絶対的なエンプロイアビリティとは、その他の仕事と比較して、安定して特定の仕事を獲得できる能力を指します。

例えば、医師や弁護士、会計士などの国家資格を有する士業があてはまります。これら専門性が高い職種は、どの時代、どの国でも仕事を獲得できるため、絶対的なエンプロイアビリティが必要となります。

そのため、大学や専門学校で高い専門知識や技術を習得し、難易度の高い国家試験に合格しなければいけません。

相対的なエンプロイアビリティとは

労働市場における需要と供給の変動によって、その仕事や業界が求める能力をもつ労働者が相対的に位置づけられる(雇われる人の中で順位付けがされる)点で、絶対的なエンプロイアビリティとは異なります。

時代や国はもちろん、不規則に変動する労働市場において、随時、必要な能力を向上・習得する必要があります。

相対的なエンプロイアビリティを考える必要性

現代では労働環境が急速に変化しており、必要とされる知識や技術はすぐにアップデートされてしまいます。

そのため、ほとんどの労働者が自身の職業や専門分野に対するニーズをしっかりと把握し、変化に応じたスキルや経験、資格を速やかに習得する必要があります。今後はAIやロボット産業が発展し、さまざまな仕事が代替されていきます。

大企業においても、人間が行うよりもこれら代替労働力が行った方が良い業務も多数存在します。自分の知識や経験、スキルが、労働市場においてニーズがあるかを模索し、向上しなければ、職を失うことになります。

内的エンプロイアビリティと外的エンプロイアビリティ

エンプロイアビリティは組織と労働者との関係から見ても2種類に分けることができます。それが内的エンプロイアビリティと外的エンプロイアビリティです。

内的エンプロイアビリティとは

内的エンプロイアビリティとは、所属している組織内で評価され、雇用され続ける能力を指します。

この内的エンプロイアビリティが不足していると、企業の業績が悪化した際、人員整理に伴うリストラの候補者に挙がってしまいます。そのため、内的エンプロイアビリティが高い人間は企業の業績に関わらず、雇用され続ける魅力ある人間と位置付けることができます。

この内的エンプロイアビリティを高めるにはその企業内でしか通用しない高い専門知識や経験(商品知識や開発技術など)を習得する必要があります。

外的エンプロイアビリティとは

外的エンプロイアビリティとは、どの企業においても同等以上の条件、処遇で転職できる能力を指します。日本経済にとっても人材流動化は、競争力を高め、経済を活性化させる要因になります。この外的エンプロイアビリティを習得するには、他の企業でも通用する知識や経験、スキルを高める必要があります。

日本で進められてきた「日本型エンプロイアビリティ」とは

日本では、日本経団連によって「日本型エンプロイアビリティ」が推進されてきました。

これは日本の労働者のほとんどが、安定的な雇用を希望し、終身雇用を支持してきたことから、外的エンプロイアビリティだけでなく、内的エンプロイアビリティを重視すべきという枠組みから生まれてきました。

現在の日本でも、転職市場が開かれ、労働者の意識や価値観も変わりつつありますが、欧米に比べるとまだまだ低い水準といえます。

しかし、企業は外的エンプロイアビリティを持った優秀な人材を求めるようになっています。そのため、企業内では外的エンプロイアビリティを習得する支援体制の構築が不可欠とされますが、同時に人材流出のリスクも発生してしまいます。

そこで新たに考えられたエンプロイアビリティが外的エンプロイアビリティと内的エンプロイアビリティを併せ持った能力です。

この複合的なエンプロイアビリティは、人材を企業内に留まらせることができる上、転職者に見られる労働能力の高い人材が生まれると期待されています。

つまり、限られた組織内でしか発揮できない専門的な能力を持ちつつも、新しいことにチャレンジできるだけの能力も併せ持った人材を指します。

日本で「エンプロイアビリティ」が注目される理由

産業構造の変化、業務のIT化、人々の就業意識や就業形態の変化などにより、日本では人材の流動化が進んでいます。

そして今後もこのような変化は続き、人材の移動がさらに活発化することが予想されています。そのため、労働者は企業の枠を超えた能力(=エンプロイアビリティ)を高め、環境の変化にも迅速に適応することが必要となっているのです。

また、企業にとっても雇用者のエンプロイアビリティを高める環境を整えることは、労働力の向上、利益の増加へつながる重要な要素の1つとなってきています。

諸外国におけるエンプロイアビリティを取り巻く事情

日本の労働環境においても、ようやくエンプロイアビリティが注目されるようになってきましたが、諸外国におけるエンプロイアビリティはどのような経緯を辿り、現在に至っているのでしょうか。

長期雇用の代わりに、外的エンプロイアビリティを支援するアメリカ

アメリカでは1980年代頃から企業間の競争力が高まり、従来の長期雇用を前提とした労働契約の維持が難しくなりました。

そのため、企業と労働者との間では激しい対立が続きましたが、1990年代に企業は長期雇用を保証しない代わりに、外的エンプロイアビリティを支援する体制を構築。

その結果、企業側には労働者の生鮮性・モラル・モチベーションの向上や優秀な人材の確保というメリットが、労働者側には特定の企業に関わらず、労働市場での自身の価値の向上、将来への不安の解消というメリットが生まれ、アメリカ労働市場の活性化へとつながることになりました。

国境を越えても通用するエンプロイアビリティを重視するヨーロッパ

最先端技術において、急速な発展を遂げた日本とアメリカに危機感を覚えたヨーロッパ諸国は、共同体・連合という枠組みでの教育訓練政策の模索が始まりました。

そして、EUヨーロッパ連合に加盟する国々が国境を越えて、労働移動が可能となる点を重視。

その結果、ヨーロッパという大きな地域内で通用する能力を平準化した政策が推進され、エンプロイアビリティが注目されるようになりました。

1998年には欧州委員会主導で、失業者へ教育支援策や就労体験の実施、税制・職業訓練システムの改定などが行われ、ヨーロッパ労働市場の活性化につながっています。

ILO(国際労働機関)も議題に取り上げた

LIOは2000年6月の総会において、エンプロイアビリティの定義を示しました。討論結果によると、エンプロイアビリティとは質の高い教育や訓練、政策が生み出した主要な成果とみなし、労働者が労働市場へ容易に参入できる能力、または知識や技術なども有した複合的なものとしています。また、一定水準以上の職業の確保及び維持するための不可欠な能力とも定義されています。

エンプロイアビリティの重要性

企業にも労働者にもエンプロイアビリティの意識が高まれば、労働者はもちろん、社会的にも影響を与えることになります。

社会にとっての重要性

  1. 人材の流動化・社会経済の活性化が促進される 労働者が企業の壁を超えた能力を持つということは、労働市場全体の質を向上させ、人材の適切な流動化を促進することになります。 また、専門的な知識習得や資格取得のために勉強することもあり、社会経済が活性化されることが期待できるでしょう。

  2. 雇用のミスマッチが解消される エンプロイアビリティの向上を支援する魅力的な企業には、労働市場から新たな人材が流入することになります。 このような人材は明確なキャリアデザインを持っているため、雇用のミスマッチが解消されます。

労働者にとっての重要性

  1. 自主的に自己開発に取り組むようになる 労働市場における自己の評価を上げるため、自主的にスキル習得などに取り組むようになります。すでに雇用されていれば、継続して雇用されるためにエンプロイアビリティを高める努力をするようになります。

  2. 将来への不安が解消される 流動的な労働環境や社会情勢に対応できる能力が身につくため、長期的な雇用や転職が可能となり、将来への不安が解消される利点があります。

企業によるエンプロイアビリティ獲得支援の必要性

エンプロイメンタビリティが向上する

エンプロイアビリティに相対する「エンプロイメンタビリティ」は、企業の雇用能力を意味します。つまり、優秀な人材に選ばれる企業力のことです。エンプロイアビリティ向上を支援する魅力的な企業であれば、優秀な人材に選ばれるようになり、エンプロイメンタビリティも向上します。

人材の流出防止

企業がエンプロイアビリティ向上に熱心になれば、キャリア志向の強い雇用者は社外へ流出してしまう危険性があります。そこで重要となるのが、企業としての魅力的なエンプロイアビリティを高める支援です。企業は労働者を「雇用する」という意識から、労働者から「選ばれる」という意識へシフトしていくことが、優秀な人材の流出防止につながります。

競争優位が可能となる

企業がエンプロイアビリティ獲得の支援をすることは、経営的に負担となる側面がある反面、組織が円滑に機能し、従業員のモチベーションも上がります。雇用者それぞれが必要なエンプロイアビリティを身につけて自己の役割を果たせば、生産性が向上し、ひいては業績向上あるいは競争優位が可能となります。

まとめ

変化を続ける社会情勢に対応するためには、エンプロイアビリティは不可欠です。 - 個人の市場価値も企業の市場価値も高めていくこと - 企業が雇用者のエンプロイアビリティを高められる環境づくりと、的確な評価基準を定める

こうした対策が強く求められるでしょう。

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