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2017年8月3日(木)更新

アグリゲーター

複雑化し加速化する市場に対し、商品開発・流通への迅速な対応が求められる現代。アグリゲーターは、そうした現状への解決策として提唱される新しい働き方です。プロジェクトの中核となり、自身を含めた能力者たちをまとめる存在となるアグリゲーター。人材の登用、育成に際して人事担当者が今知るべき、アグリゲーターの役割と姿を追います。

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アグリゲーターとは何か?

アグリゲーターとは、『アグリゲーター 知られざる職種 5年後に主役になる働き方』(柴沼俊一、瀬川明秀共著 日経BP社)という書籍の中で紹介されている職業です。アグリゲート(Aggregate=集める)が語源となっている通り、人材・資材・企業などプロジェクト遂行のために必要とされるすべてを集積し、適所に配置、統制を取る人物を指します。

アグリゲーターは、社外・あるいは社内から選出され、プロジェクトが短期間のうちに成果を出せるよう、統括的な立場で動きます。経過に従って発生する課題を切り分けて解決しながら、最終的な企業利益に導く役割を果たす者です。自由な発想と行動力により、能力や物質的な要素を集散させ、常に最短の道を探っていかなければなりません。社内部署間はもちろん企業枠の垣根も飛び越え、社内外のリソースを十分に活用できるプロフェッショナルとしての能力が求められます。

アグリゲーターはコンサルタントなどの既存職種とどう違うのか

アグリゲーターは、実際にプロジェクトの中核となって動き、自身もある分野でのエキスパートであることが基本です。全体の費用対効果、資材調達、商品・サービスの開発、流通チャネルの確保など、プロデューサーやプレイングマネージャー的役割を果たしていきます。

アグリゲーターの力量がもっとも問われるのは、人を見る能力です。企業に存在する課題を見極め、不足と余分を判断しながら迅速に必要な人材を社内外から確保します。プロジェクト全体を俯瞰し、立案から開発、商品化、流通までを完結に導くのが、アグリゲーターです。

【関連】プレイングマネージャーとは?求められる役割と陥りがちなこと / BizHint HR

アグリゲーターの必要性

市場の複雑化に対する企業対応の強化

地球規模でのIT化により加速し続ける市場において競合他社に勝ち抜くためには、中核となる人材が必要とされます。常に変化し続ける市場ニーズに、既存の硬直した企業体質のままでは、対応しきれず必ず遅れを取ります。

最速で成果を得るためには、従来の組織単位のままではなく、プロジェクトに合わせて必要なリソースを選び直すトータルな視点からの観点が必要です。人材・知識・技術・協力企業を正しく選出し、全容を把握しながら動かせることが求められるようになってきたことが、アグリゲーターが登場した背景です。

新しい視点と推進力を得る

硬直化した企業内の思想から離れ、多角的な視点でのミッション遂行を目的とし、外部からの人材を登用をする企業も増えてきました。フリーのアグリゲーター的な働き方は、日本国内でもすでに存在しています。複数の企業に関わりながら仕事をするアグリゲーターは、社内からでは見逃しがちな課題にも着目できます。確実な推進力を持ちながらプロジェクト全体の調和を図り、迅速な目的達成を行なうプロのアグリゲーターは、今後の企業活動に欠かすことのできないものとなっていくでしょう。

その一方、企業内でアグリゲーターを育成する動きも見られます。新鮮な視点を持つ高い能力を備えた社員を、一部署に留まらせることなく育て上げることで、自社内アグリゲーター誕生がに期待できます。従来型の企業活動に危機意識を強くする企業では、その欠点を補いダイナミズムをもたらすアグリゲーターという役割に、着目し始めているようです。

アグリゲーターに求められる資質とは

俯瞰力・強力かつ柔軟なリーダーシップ

大局を見つつも、綿密に計画を実行できる、大胆さと繊細さを併せ持つ性格が理想的です。内外の多彩な顔ぶれを調整し、常に最適な解答を探知する能力は、平常心を失っては発揮できません。トラブルに遭遇してもパニックを起こさず、冷静に次の手を見出せる集中力の高さも必要です。ビジョンとゴールの明確な設定は、近視眼的な人間には望めません。多くの人々と関わりを持つ上では、相手の意見を聞き入れる柔軟さもまた、信頼される人間性の要素となります。

【関連】「リーダーシップ」の意味とは?定義や理論、代表的なスタイルをご紹介 / BizHint HR

真摯に自己を見つめられる能力

アグリゲーターは自身もプロでありつつ、不要なプライドを捨て、自分に何ができないのかを知らなければなりません。自己の限界を冷静に把握する力が無ければ、各エキスパートを適所に配置できないでしょう。全体のデザインを決めつつも、細部はプロフェッショナルの知識と経験を最大限に活用すること。これこそが、アグリゲーターとしての基本的な務めです。

企業内でアグリゲーターとなる人材を育成するためには、実際のプロジェクトを任せる英断が必要となるでしょう。新規事業の立ち上げなどに際し、すべてを統括する役目を与えます。プロジェクト完結に向けて、ゴール・期限、最終的に期待される成果、課題解決の明確化など、が必要とされる現場。現実の困難に立ち向かい、アグリゲーターとして手腕が発揮できる環境に置くことで、統合的プロフェッショナルとして進化していきます。

アグリゲーターの具体的事例

国内事例コクヨ:北條元宏氏

同氏は、赤字による危機的状況にあった老舗企業コクヨに企業変革のプロとして招致されました。グループ戦略担当執行役員として、立て直しとグローバル化を一気に推進。既存事業の課題をひとつずつクリアするところから開始し、世界戦略、次世代型事業へと順次着手。業績を回復するに至りました。北條氏は冒頭で紹介した書籍を読んだ際に、「自分のことを書かれているかと思った」と語っています。

アグリゲーターの例として挙げたのが、買収に関する一連の動きです。ターゲットを決め交渉を開始をするに当たり、商品、生産、流通、マーケティング、それぞれのプロをチームアップ。買収合意後をにらみ、ゴールに向かって各人の能力を発揮してもらうため、それぞれの仕事内容を明確に伝えていきました。

【参考】「外部から大企業に入って企業変革を実現する力」:日経ビジネスオンライン

海外事例:プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)

同社は自社開発へのこだわりから、「コネクト・アンド・デベロップ」戦略へと大転換を図りました。イノベーションの半分を社外調達するという目標を掲げ開始されたこの戦略により、投資効率は大幅に改善。潜在的なニーズ・アイデア実現に向け、ポテンシャルを持つ中小の社外技術を探索・活用しています。単なる技術の買い入れやアウトソーシングといった一時的なものとは異なり、外部の技術とP&Gの製品開発・マーケティングを組み合わせる「オープン・イノベーション」を目指しています。こうした、他企業および社外の研究者や外部技術とのコラボレーションを行なうにあたっては、アグリゲーターの存在が必須です。優れた召集・配置の能力、幅広いコネクションをもつ人物の存在価値は高く評価され、米国ではすでに新しいビジネススタイルとして認知・導入されています。

【参考】オープン・イノベーション:イノベーション/暮らし感じる、変えていく P&G

まとめ

  • アグリゲーターは複雑に分業化された企業の効率化を向上させる
  • 市場の要求に素早く対応するため不可欠な存在
  • ビジョンとゴールを明確に設定できる俯瞰的視野が必要
  • プロフェッショナルを統括できる優れた人間性が求められる

激変する市場のニーズへの対応するため、今後はさらにアグリゲーターの重要性が増すと予測されます。企業内においても、各プロジェクトに対応できる数多くの優れたアグリゲーターの育成が急務となるでしょう。

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