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2017年11月24日(金)更新

人材アセスメント

企業や組織にとって、次世代の経営を担う経営幹部や管理職の育成は、企業の存続に関わる重要事項の一つです。そのため、幹部・管理職候補者の選抜は慎重にならなければなりません。そこで注目されているのが人材アセスメントです。今回は人材選抜に優れた人材アセスメントの意味や必要性、メリット、ポイント、測定方法をご紹介いたします。

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人材アセスメントとは?

人材アセスメントとは、外部機関もしくは第三者による客観的かつ公正・公平な評価によって、従業員の人材配置や昇進・昇格の適正を測定する手法の一つです。

現在、経験や勤続年数を考慮しない、業績を基にした成果主義職務給役割等級制度を導入している企業が増えています。しかし、優れた業績を出せる人が必ずしも管理職の適正があるとは限らず、組織やプロジェクトを不幸にするケースも珍しくありません。また、人事評価のほとんどが直属の上司によるものとなっており、上司の人間性や好き嫌いなどの感情が人事評価に影響することが多々あります。

そのため、人材配置や管理職の登用において、候補者が管理職としての適正を持っているかどうかを客観的に評価できる人材アセスメントが注目されています。この人材アセスメントは、幹部・管理職候補者を敢えてストレスがかかる状況に陥らせ、行動や言動、態度などを分析・評価し、適正を図る手法が一般的です。その他の測定ツールと併用することで、より精度の高い人事評価が可能となり、組織編制や人材育成プログラムの構築につながります。

この人材アセスメントは経営幹部・管理職候補者の選定だけでなく、管理職志向の低い研究職や技術職の社員の中から管理職にふさわしい人材を発掘できる、新卒一括採用の採用試験として取りいれることで入社後のミスマッチを防ぐなど、さまざまな効果が期待できます。

人材アセスメントはなぜ必要?

経済のグローバル化に伴い、国際競争力が激しさを増す中、優秀な人材の確保はもちろん、部下を束ね、リーダーシップを発揮できる人材の育成も急務となっています。そんな中、未来の経営・管理職を担う人材の選抜に人材アセスメントの必要性が増してきています。

昇進・昇級制度見直しの必要性

日本では戦後から高度経済成長期にかけて、年功序列終身雇用を前提とした職能給や昇進・昇級制度が実施されてきました。勤続年数や経験で培われる職務遂行能力が昇進・昇級の評価基準となっており、その評価基準も曖昧なため、本当に優秀な管理職が生まれにくい風土がありました。また、評価者が直属の上司のみになり、上司の好き嫌いや人間性などの感情部分での判断も見られ、上司・部下双方が納得のいく評価になりにくい傾向にありました。

経済が右肩上がりの時代ではこのような人事評価が可能でしたが、バブル崩壊を機にその評価体制の維持が困難となっています。そのため、1995年頃から成果に応じた昇進・昇級制度である職務給職務等級制度が導入されることで、より公平な昇進・昇級が可能となりました。

しかし、高い成果を上げた人が必ずしも優秀な管理職になるとは限らず、 ハラスメントや社員の離職原因につながりやすいなどの弊害も発生しています。その結果、複数の評価ツールと併用しながら、第三者による客観的な評価で幹部・管理職としての適正を評価できる人材アセスメントの必要性が増し、今後も需要が増えていくはずです。

管理職候補の不足

2017年の日本の労働人口は6,556万人となっており、2030年には6180万人まで減少するといわれています。中でも働き盛りである30~59歳の労働人口は4,220万人から3,887万に、15~29歳においては1,163万人から1,019万人に減少するとされており、労働人口不足が深刻となっています。

さらに2007年、2012年に団塊世代が定年退職を迎えたため、管理職のポストの空きが増えました。しかし、管理職候補である30歳以上の中堅社員の絶対数が不足しており、さらにマネジメントの経験も浅いことから管理職への育成が困難となっています。

また、近年ではライフワークバランスの崩壊や残業代が出ない長時間労働が問題視され、管理職に対するネガティブな考えが定着しており、管理職候補不足の要因にもなっています。そのため、早期から管理職候補の育成が不可欠となり、事前に管理職の適正を評価できる人材アセスメントの需要が高まっています。

【参考】厚生労働省 労働経済の基本資料 労働人口の推移
【参考】経済産業省第2節 団塊世代の大量退職に備えた人材育成

人材アセスメントのメリット

人材アセスメントは優秀な管理職を育成・発掘するために必要な項目を多数設定できるため、さまざまなメリットがあります。

評価の客観性

従来の人事評価では直属上司の評価が中心となるため、上司の人間性や感情が評価に大きく影響を与えてきました。しかし、人材アセスメントでは、企業が求める適正や能力を第三者の視点から分析・評価するため、公正・公平な評価を得ることができます。人材アセスメントに特化した担当者を用意している人事コンサルティング会社もあり、人材育成の一環として活用することができます。

自己開発の動機付け

自己成長において、欠かせない作業の一つが「現状」と「あるべき姿」との差を認識することです。直属の上司からの評価でもギャップを認識することは可能ですが、育成における指摘や教育にも上司の感情が入ってしまうこともあり、上司・部下双方に認識のズレや納得感にバラつきが生じてしまう可能性があります。しかし、第三者による客観的な評価であれば、現状と理想のギャップを把握しやすく、社員の自己開発の動機付けにつながり、対象者も納得のいくフィードバックを受けることができます。

人材発掘

多くの日本企業では、管理職への昇進・昇級が昇給への条件でした。しかし、現在では多様な価値観や働き方、残業代が出ないなどの管理職へのネガティブなイメージ、スペシャリスト(専門職)志向を持つ人材の増加などから管理職を目指す人が少なくなっています。また、自分が持つ管理職の適正を認識していない社員も多く、社内公募制度社内FA制度で募るにも限界があります。人材アセスメントを利用することで、企業側や社員本人が知り得なかった管理職の適正を把握でき、経営幹部・管理職候補生の発掘に役立てることができます。また、研究職や専門職などのスペシャリスト志向の高い社員の中からも管理職候補者を発掘することができます。

ミスマッチ防止

日本独自の採用制度である新卒一括採用は、多様な人材への一括アプローチ、人事管理の一本化、人材教育コストの軽減などの観点から多くの企業が取り入れてきました。しかし、複数回の面接や適性検査では自社に合った人材かどうかの見極めが難しく、企業と新入社員との間にミスマッチが生じ、早期退職者を生み出すデメリットも存在します。

選考過程で人材アセスメントを活かした採用試験を取り入れることで、客観的な評価が可能になるため、企業が求める人材を獲得しやすく、ミスマッチ防止にもつながります。

人材配置の最適化促進

成果主義職務等級制度を採用する企業は増えていますが、中小企業をはじめ、まだまだ従来の職能給を前提にしている企業も多い傾向にあります。そのため、キャリア開発の一環であるジョブローテーションを実施している企業も多く、人材配置の最適化も重要課題と認識されています。

また、必要とされるビジネスが急速に変化しており、迅速に新規プロジェクトや部署を立ち上げなければいけませんが、従来の人材配置の手法だと迅速な人材配置が難しくなってきています。人材アセスメントを活用することで人事転換の対象となる候補者を迅速に選定でき、人材配置の最適化の促進が期待できます。

【参考】一般社団法人 日本経済団体連合会 2014年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果 10P

人材アセスメントのポイント

人材アセスメントを活用する際にはいくつかのポイントを把握し、適切なフローを踏む必要があります。

目的の明確化

人材アセスメントで評価できる項目は多岐に渡ります。そのため、人材アセスメントを活用することでどのような目的を達成したいかを明確にする必要があります。部長職や課長職、マネージャー職などの役職に相応しい人材の選定などピンポイントの目標設定も可能です。

その他、管理職に就くための意識改革や能力開発など管理職候補生向けの育成プログラムの構築も目的に設定することができます。さらに評価対象となる能力や特性を具体化し、明確にすることで精度の高い人材アセスメントが可能となります。

評価項目の決定

人材アセスメントは顕在化しやすい能力要件(ディメンション)だけでなく、課題解決能力や対人関係能力、さらには業務遂行に必要な基礎能力や性格などの能力要件(ディメンション)も評価項目として設定することができます。そのため、人材アセスメントを行なう本来の目的とその目的を果たすための評価項目が何かを決定しなければなりません。

人材アセスメントは、複数の社員と関わる言動や行動、態度などを評価するのに長けています。周囲の社員とどのような関わりを持って業務を進めているかなどは、技能試験や座学では測ることができないため、人材アセスメントの評価項目としては最適です。

評価手法の最適化

人材アセスメントで取得した評価は、その他の研修や育成プログラムに活かすことができます。また、従来の測定ツールで取得した情報(本人のキャリアに対する考えや就業意欲など)や対象者の周囲を取り巻く複数人による360度評価と組み合わせることで、次の実施する育成プログラムに役立てることができます。

このようにさまざまな測定手法と組み合わせることができるのも人材アセスメントの特徴です。

結果の分析と活用

人材アセスメントで得られる情報はあくまで客観的な情報です。そのため、その後に結果を分析し、どのように活用するかを検討する必要があります。組織や個人の課題を洗い出し、組織・個人ともに活性化させるための研修やプログラムなどを行ないます。また、対象となる社員に人材アセスメントの評価をフィードバックし、本人に現状を認識させて、自己開発に役立てることも可能です。

しかし、現状ではせっかく収集した人材アセスメントの評価を活用できていないケースも多いため、先にご紹介した目的の明確化や評価項目の決定、補完的な目的で実施したその他の測定と組み合わせるなど綿密な計画が必要です。

現在、人材アセスメントをサービスとして提供する人事コンサルティング会社もあるため、人事担当者と二人三脚で育成プログラムに取り組むのも効果的です。人材アセスメントを行なうこと自体が目的にならないように注意しましょう。

人材アセスメント手法

人材アセスメントは、講師によるアセスメント研修とその他のツールを活用する2つのアプローチがあります。

アセスメント研修

アセスメント研修は人事コンサルティングなど外部の第三者機関に所属する講師を招き、企業が期待する管理職の適正を図る研修や演習を通して、評価項目を抽出できます。ディスカッションや部下指導を想定した面接演習、事前課題、案件処理演習(インバスケット演習)、プレゼンテーションなどの演習を1日~3日間で実施することが一般的です。

研修カリキュラムに関しては、企業が求める人物像や目的に合わせて、カスタマイズも可能なため、自社に合ったアセスメント研修が行なえるのもメリットです。客観的な視点で、受講者の言動や行動、態度などの外面的側面、心構えや成長性、価値観、思考など内面的側面の評価が可能となります。

ツールの活用

人材アセスメントはその他の測定手法と組み合わせて、活用することが一般的です。人材アセスメントとして用いられる測定手法には「NMAT/管理者適性検査」、「JMAT/中堅社員適性検査」、「MOA/360度評価」、「SAS/行動認知ギャップ診断」が挙げられます。

NMAT/管理者適性検査

NMAT/管理者適正検査は株式会社リクルートマネジメントソリューションズが提供する人材アセスメントツールの一つで、マネジメントを担う管理者を対象にしたペーパーテスティング方式の性格・能力適正測定ツールです。

将来の管理者候補者の管理能力やマネジメント能力を診断することに長けており、参加者の能力開発に必要な情報をフィードバックや昇進後の育成プログラムに活用できます。4つの役職タイプ別に効果測定ができるため、ピンポイントでの人材の選抜が可能です。上級管理職の昇進判断にも活用することができます。

【参考】リクルートマネジメントソリューションズ HP NMAT / 管理者適性検査

JMAT/中堅社員適性検査

NMAT/管理者適性検査と同様に、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが提供する人材アセスメントツールの一つです。

中堅社員やその候補者を対象に行なわれるペーパーテスティング方式の測定ツールです。基礎能力、性格、思考の適正を3つの職務別に評価が可能です。昇進判断や職掌転換に活用することができます。

【参考】リクルートマネジメントソリューションズ HP JMAT / 中堅社員適性検査

MOA/360度評価

360度評価とは、直属の上司による判断だけでなく、同僚や部下など対象者と密接に関わる人を評価者に加え、多面的に評価するツールです。

自分のコミュニケーション能力や業務遂行能力に対する自己評価と、周囲の評価と照らし合わせることで、自身の認識と現状のギャップを認識することができます。

SAS/行動認知ギャップ診断

自分の行動が周囲の人にどのように写っているかを把握し、行動修正を行なうための診断ツールです。

日々の業務の進め方を振り返り、自分自身の強み・弱みを客観的に把握にすることができます。業績が上がらない、周囲の理解が得られない原因を探り、悪い状況を克服することも可能なため、今後のリーダーや管理職に必要な基礎能力の構築に活用できます。

まとめ

  • 昇進や昇級は社員のモチベーションや生活にも関わるため、企業・社員ともに納得のいくものでなければなりません。そのため、経営幹部や管理職候補の選定には客観的な評価を基にする必要があります。
  • その点で人材アセスメントは客観的な評価を行なえるだけでなく、その後の人材育成や社員の能力開発にも役立つため、企業に欠かせない評価ツールとなっています。
  • しかし、人材アセスメントの実施自体が目的になりやすいため、目的の明確化や評価項目の決定、複数の測定手法との併用、結果の分析・活用と手掛ける作業は多岐に渡ります。
  • そのため、人事担当者は人事コンサルティング会社との提携も考慮し、自社にとって、ふさわしい人材アセスメントは何かを検討する必要があります。

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