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2017年11月18日(土)更新

オンボーディング

オンボーディングとは、これまで行われてきた新人研修とは大きく違う継続的かつ効果的な戦力化施策であり、組織の一体感を高める新しい人材定着プロセスです。組織がオンボーディングを導入することによる効果やメリット、導入時に気をつけるポイントについて解説致します。

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オンボーディングとは

オンボーディングは、組織に新しく加わった人材を1日も早く戦力化し、組織全体との調和を図ることを目的とした育成プログラムのことを指します。 オンボーディングの語源や対象、効果はどのようなものになっているのでしょうか。

語源

オンボーディング(on-boarding)は、『機内』や『乗船』という意味を持つon-boardから派生して生まれた造語であり、直訳すると『飛行機や船に乗り込んでいる』という意味になります。 ある地点からある地点まで乗組員を運ぶという意味合いから、初めて物事に関わる人が一定の理解を得て習慣的な利用が行えるようになるまでの期間援助するといった考え方が加わり、ソフトウェアやネットサービスなどの分野においてチュートリアルやガイドツアーという形でオンボーディング機能が導入されるようになりました。

その後、この考え方が人材育成や人材定着にも応用出来るのではと考えたプライムジェネシス社取締役のジョージ・ブラッドと共同経営者であるメアリー・ヴォネガットが、人材戦略におけるオンボーディングの必要性を提唱したことがきっかけとなり、新たな育成プログラムとして導入する企業が増加していったのです。

対象

オンボーディングは組織に対する人材の定着と即戦力化を目的としているため、新卒社員や若手社員だけに限定することなく、中途社員や経験を多く積んできたプロフェッショナルなど全ての新規社員を対象としています。

オンボーディングが注目され始めた背景

新しい人材定着プロセスとして注目を集めているオンボーディングの背景には、人材育成の費用対効果(ROI)の低さに悩む人事部や経営者の姿がありました。時間と人材を割いて新規採用を行っても、戦力として成長する前に早期退職してしまう、あるいは、戦力まで育ったとしても、数年後には退職してしまうなど人材定着率が低すぎるなどが挙げれらます。

新規採用者の早期戦力化や、人材定着は人材育成に携わる者にとって理想であり目標です。 だからこそ現状を打破し、大きく変えてくれる可能性を秘めたオンボーディングに多くの注目が集まることとなったのです。

【関連】人材育成とは?目的と実施方法について / BizHint HR
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オンボーディングの効果

企業は人材育成の場にオンボーディングを導入することによって、どのような効果を期待することができるのでしょうか。

一人が戦力化するためにかかる所要期間を短くする

ある企業の調査によると新規採用者が戦力になるまでにかかる期間は半年から1年といわれています。 そして、1年未満で退職する若者たちは口を揃えるように『仕事が覚えられないから』『自分には合ってない気がする』『職場に上手く馴染めない』という理由を挙げるのです。

オンボーディングは新規採用者が仕事を覚え、自分のスキルとして活かせるようになるまでの道筋を明確にするツールであり、即戦力化を期待する企業にとって無くてはならないものです。 オンボーディングを導入することにより、これまで行ってきた育成方法よりも短い所要期間で新規採用者を戦力化させることが可能となるでしょう。

採用コストを抑制する

新卒者の1/3が3年以内に退職するといわれていますが、短期間で退職してしまった人材1人に対して費やした総コストはどのくらいになるのでしょうか。 採用コスト、新入社員研修、教育係のリソースを割くことによる損失、その他様々なコストを合わせ、1人の人材を戦力化するまでにかかる総コストが100万円を越えることも少なくありません。

オンボーディングの導入により企業との調和を図ることによって、短期離職率の減少を期待することができます。 その結果、再採用を行う必要が無くなり、不要なコストを抑制することができるのです。

【関連】「採用コスト」 新卒・中途・職種毎の相場とコスト節約のための具体的方法 / BizHint HR

従業員のエンゲージメントを高めることができる

組織の一員として受け入れられ、認められることによって、組織内におけるアイデンティティが確立され、自分の働き方や組織に対する貢献の仕方が見えてきます。 また、早期戦力化によって自身への採用判定に対するリターンを積極的に行うことも可能となります。 組織と従業員の利害関係が明白となり、お互いに貢献し合うことにより一体感が生まれ、組織への愛着度や忠誠心といったエンゲージメントが高められていくのです。

【関連】従業員エンゲージメントの意味とは? / BizHint HR

組織としての結束力を高める

これまでの育成方法においては上層部や教育係、同じ部署のメンバーに対する面識しかない状態で数年間過ごすことも少なくありませんでしたが、オンボーディングではより広い範囲の人間を巻き込んで育成を行うことになります。

組織との調和を行うということは、組織を構成する従業員1人1人と調和することでもあるのです。 お互いの存在を把握し、結束し合うことによって組織力の更なる向上を期待することができるでしょう。

既存社員との連携による業績向上

多くの人間を巻き込んでの人材育成は、育成コストの増大にも繋がります。 しかし、オンボーディングは新規採用者の早期戦力化や組織との一体化を進める一方で、既存社員に対しても作業や連絡調整などの効率化という形でプラスの効果を与えるのです。 調和が図られた組織の風通しは非常に良く、通常業務での連携はもちろん、部署をまたぐ大規模プロジェクトに対しても効果を発揮し、組織全体の業績向上に大きく貢献してくれることでしょう。

オンボーディングのプロセス

様々な効果をもたらしてくれるオンボーディングですが、導入する場合にはどのようなプロセスを踏む必要があるのでしょうか。

人材補充を必要としているポジションの再確認

組織の成長に対して重要性の乏しいポジションへの人材補充によって現場の負担が増大し、人材育成への手を弱めてしまうことがあります。 そのような受け入れ態勢では、人材の早期戦力化など望むことはできません。 つまり、これから求人を行おうとしているポジションが本当に必要であるかどうか検討することが非常に重要になってくるのです。

そのポジションに就く人材にどんな活躍を期待するのか、そしてどのようなスキルを求めるのか。 ポジションの必要性の再確認と合わせ、求める人材像を明確化させておくことで人材採用をスムーズに行うことが可能となるでしょう。

企業と同じ価値観を持つ人材を採用する

人材募集時には、明確にした理想の人材像を出来るだけ分かりやすく示すようにします。 そうすることで条件の異なる応募が激減し、リクルーターは人材選択に集中することが可能となるのです。

面接では、採用した際の育成方法や期待する役割についても具体的に伝え、それに対する応募者の意気込みや反応をしっかりとチェックします。 オンボーディングではこのような採用プロセスを通して、組織との調和を図りやすい人材の選別を行っていきます。 自社の描く理想の人物像を具体的にイメージし、それに向かって突き進もうとする強い意志を持つ人材を採用することで、オンボーディングプランの作成も行いやすくなり、即戦力化に対して更なる期待が持てるようになるのです。

オンボーディングプランの原案作成

採用者に対して採用通知を行った後、オンボーディングプランの原案作成を開始します。 オンボーディングプランは個別に作成する必要がありますが、全て1から作成しなければならないわけではなく、基本となる部分は共通するものを使用して構いません。 面接時にチェックした採用者の特性を踏まえながら、活躍や成長への期待を練り込み、より具体的に、より誘導的に教育プランを組み立てていきます。 採用者の入社後の活躍をしっかりとイメージしながら作成することで、魅力的なオンボーディングプランの原案を作り上げることができるでしょう。

オンボーディングプランの完成

企業側が募集して招き入れているとはいえ、そこは完全なる未知の世界。 就業初日、新入社員は大きな不安を感じているでしょう。 だからこそ、面識のあるリクルーター自らが出迎え、受け入れてあげる必要があるのです。

各部署の案内や既存職員への紹介を行った後、オンボーディングプランの原案について説明し、質問や意見を受け付けます。 ここで新入社員の思いや考えなどを盛り込んでいき、話し合いの中でオンボーディングプランを完成させていくのです。

リクルーターから新入社員に対し、自分達と一緒に企業の発展と業績向上を目指して欲しいという想いをしっかりと伝えることによって、同じ目標に向かって努力していく仲間として迎え入れられた実感が沸き上がります。 その感情は企業とのエンゲージメントを高めるきっかけとなり、自分の成長を促すことを目的としているオンボーディングプランに対しても強い興味心を与えることでしょう。

【関連】リクルーターの意味とは?制度と活動、導入している企業について / BizHint HR

オンボーディングの実行、フォロー

完成したオンボーディングプランに従って基本業務の流れを学んだ後、段階的に課題をクリアしながら実践力へと変えていきます。 教育係や上司との関係性が確立するまでの間はリクルーターが積極的に接触を図り、疑問や不安などの吸い上げやフォローアップを行いましょう。

組織に必要とされており、自身の活躍によって大きな利益を与えているのだという自覚が生まれることで組織との一体化は進み、エンゲージメントが高まっていきます。 また、新入社員の育成過程に組織全体が関わることにより、生産性や連携力などを含む様々な組織力が向上していくことでしょう。

オンボーディングプランの見直し、再実行

個人に対するオンボーディングが一通り終了した後、効果や問題点などの評価を行い、必要に応じてプランを見直し再実行します。 計画(PLAN)、実行(DO)、評価(SEE)というプロセスを繰り返すPDSサイクルは、新入社員に自信がつき戦力化されるまで継続して行われるのです。

個人の育成が完了したら、今回のオンボーディングに対する最終評価を、新入社員、リクルーター、教育係、上司、人事部それぞれの目線から行います。 それによりオンボーディングプランの共通部分の質が向上していき、育成の度に良質なプラン作成が容易に行えるようになっていくのです。

オンボーディングを成功させるためのポイント

新入社員の成長速度だけではなく組織力も大きく高めてくれるオンボーディングですが、いくつかのポイントを押さえることによって安定した効果を期待することができます。

オンボーディングの必要性と効果を全従業員に伝え、正しく理解してもらう

従業員の理解不足のままオンボーディングプランを開始してしまうと上手く協力を仰ぐことができず、新入社員が疎外感を感じてしまう原因にもなってしまいます。 そのため、導入する際にはあらゆる努力を行い、全従業員の理解を得る必要があるのです。

また、全てのオンボーディングプランのベースとなる共通部分の情報も公開し、従業員であれば誰もが自由に閲覧出来るようにしておくことで、オンボーディングにおける自身の関わり方や役割を従業員1人ずつが再確認するきっかけとなるでしょう。

「経営課題」を意識する

より大きな効果を引き出すため、人材マネジメントを行う際には常に経営課題を意識しておく必要があります。 経営陣と人事部が中心となり、今企業が抱えている課題、必要としているポジション、人材に求めるスキルなどを明確にすることによって、採用時のミスマッチングを防ぐことができるのです。

定期的に費用対効果の測定を行う

オンボーディング実行中の新入社員がいない期間においても、定期的な費用対効果の測定は必要です。 また、ここでいう効果とはオンボーディングを行ったことのある社員個人の成績だけではなく、業績など組織全体に与えた影響も含まれます。

社員個人の成績をモニタリングすることにより人材定着への効果と戦力の継続性をチェックし、組織全体の業績をモニタリングすることにより組織力向上への効果をチェックします。 この測定結果が好ましくない場合には、オンボーディング導入による恩恵を正しく受けられていないだけではなく、気付かないうちに多くのリソースやコストを無駄に消費してしまっている可能性があるため注意が必要です。

オンボーディングサービス3選

全従業員に周知させて実行するオンボーディングとネットワークを使用して情報を共有することができるWebサービスの相性は非常に良く、オンボーディングを企業全体に浸透させるためのビジネスツールが数多く作成されています。

Cornerstone OnDemand

ポイント

  • 柔軟性に優れた複数のツールを組み合わせることで様々な需要に対応可能
  • 一体型タレントマネジメントシステムであるため、管理しやすく連携に強い
  • CanonやRicoh、XEROXなどの大手企業も導入している

詳細

コーナーストーンオンデマンドの日本法人であるコーナーストーンオンデマンドジャパン株式会社は、一体型タレントマネジメントシステムであるCornerstone OnDemandを提供しています。 これまでにキヤノン株式会社や株式会社リコー、ゼロックスなどの大手企業が導入しており、効果も認められているため信頼性は非常に高いものとなっています。

https://www.cornerstoneondemand.jp/

SAP SuccessFactors Talent Solutions

ポイント

  • 最新のオンボーディングベストプラクティスを取り入れている
  • リクルーターの取るべき行動や判断に対するガイドも行われる
  • 就業日より先に新規採用者を既存従業員やコンテンツと結びつけることができる

詳細

SAP SEの日本法人であるSAPジャパンは、採用管理、オンボーディング管理、パフォーマンスや目標の管理、後継者などの育成計画管理、学習管理と総合的なタレントマネジメントを行えるSAP SuccessFactors Talent Solutionsを提供しています。 最新のオンボーディング事情へのアンテナを張り巡らし、常に最善の手法を取り入れているため、その効果には大きな期待を寄せることができるでしょう。

https://www.successfactors.com/ja_jp/solutions/talent.html

Oracle Taleo Cloud Service

ポイント

  • Taleoのサービスは海外で多くの企業が導入しており、高い評価を得ている
  • 様々な作業を自動化させることにより、新規採用者のフォローアップに多くの時間を費やせる
  • クラウド上で作成した全てのデータを取得可能なため、統一性のあるメッセージを作成できる

詳細

米国オラクル・コーポレーションの日本法人である日本オラクル株式会社は、採用、育成、業績評価、キャリア開発、後任計画、最適配置などの人事業務を包括的に支援するOracle Taleo Cloud Serviceを提供しています。 すでに海外で多くの企業が導入しているTaleoのサービスを買収して使用しているため、サービスの内容について心配する必要は無いでしょう。 また、過去にクラウド上で作成した全てのデータを取得して流用することが可能なため、統一感のあるメッセージを作成出来る上、作成時間の大幅な短縮も望むことができます。

http://www.oracle.com/jp/products/applications/taleo/overview/index.html

まとめ

  • オンボーディングとは新規採用者の早期戦力化と人材定着を目的とした育成プログラムである
  • オンボーディングは組織全体を巻き込んで行うため、組織力の向上にも期待できる
  • オンボーディングの成功には全従業員の協力と理解が必要不可欠である

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