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2018年10月25日(木)更新

傾聴

ビジネスの世界でコミュニケーションスキルはとても重要です。コミュニケーションと聞くと伝えることに焦点を当てがちですが、むしろ大切なのは聴く力です。そこで、ビジネスにおける傾聴力の重要性にスポットを当てて解説していきます。

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傾聴とは?

「傾聴」という言葉を辞書で引くと、「耳を傾けて熱心に話を聞くこと」とあります。もともとはカウンセリングにおける技法で、相手の気持ちに寄り添って、注意深く共感的に「聴く」ことを意味します。

臨床心理学における「傾聴」は英語で「active listening(アクティブリスニング)」と言います。

「active listening(アクティブリスニング)」は「積極的傾聴」とも言われ、相手の話にしっかりと耳を傾けることで真意を引き出して理解することを指す言葉です。

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「きく」には3パターンある

「きく」という行為は3つのパターンに分けられ、漢字で書くと違いがよくわかります。 3つの漢字とは、「聞く」と「訊く」と「聴く」の3つです。

「聞く」

一般的に広い意味で使われる言葉ですが、辞書では「音や声を耳に受ける。感じ取る。」とあるように、正確には「聞こえる」という方が近いニュアンスです。つまり、特に意識せずに音や言葉が自然に耳に入ってくる状態で、英語では「hear」に該当します。

「訊く」

辞書では「たずねて答えを求める。問う。」とあります。持っている疑問を明確にするための行為で、相手の話をどんどん深掘りして、答えに迫るために質問することです。もっと極端な言葉を使うと「尋問」や「詰問」という言葉が当てはまるかもしれません。

「聴く」

辞書に「心を落ち着け、注意して耳に入れる」とある通り、意識して耳を傾けることを指し、これが「傾聴」に該当します。音楽鑑賞の他、スピーチや講義を聴くという場合にも用いられます。英語で言うと「listen」です。

漢字が表す「聴く」の意味

「傾聴する」という行為を理解するには、漢字を見ると一目瞭然です。「聴」という漢字には、「耳」「目」「心」という3つの文字が組み合わさっています。つまり、「耳だけでなく、目と心を併用してきく」ということを示す言葉と理解するとよいでしょう。 具体的には次のようなポイントが含まれます。

  • 1.耳できく 相手の言葉に耳を傾けて最後までしっかりと聴く
  • 2.目できく 表情やしぐさ、声のトーンなど話している相手の様子に注意を払う
  • 3.心できく 相手の言葉を理解して受け止め、相手の真意や感情に寄り添って共感する

3つの「きく」を使い分けよう

周囲の人とのコミュニケーションをうまく取るには、「聞く」「訊く」「聴く」のそれぞれの意味を理解して、使い分けることがポイントです。この法則はビジネスでも当てはまります。

傾聴力が必要な理由

傾聴というと心理カウンセラーやプロコーチといった、特殊な職業の為のスキルのように思われるかもしれません。ですが、傾聴力は社会人基礎力の一つとも言えるほど広く必要とされるコミュニケーション能力です。ビジネスシーンにおいて、傾聴力はなぜ必要なのでしょうか。

信頼関係の構築

傾聴力は、相手と信頼関係を構築するために必要な能力です。ビジネスの場では、意思疎通を図る、論理的かつ端的に伝える、説得や交渉、折衝を行うと言ったコミュニケーションスキルが要求されます。これらのコミュニケーションスキルの根幹となるのは、相手の人となりや考えを理解する傾聴力です。相手の考えや気持ちを的確に読み取れるからこそ、良好な人間関係を構築することが可能なのです。

営業力や交渉力の向上

傾聴力が優れていると、相手との会話の中から顧客ニーズを引き出すことができるようになります。相手の考えに寄り添い共感して意見を探ることで、何を求めているのかを理解できます。

その結果、的を射た提案ができるようになるため、売り上げや業績アップにつなげることができるでしょう。

コミュニケーションの失敗を避ける

近年は職場における人材の多様性が増しています。価値観やバックグラウンドが異なるメンバーと共にプロジェクトを推進していく中で、コミュニケーションの失敗による問題や障害の発生が散見されます。勘違いや誤解から指示が伝わらずやるべきタスクが上手く実行されなかったり、相手の感情や思考が理解できず不信感が募ってしまったりと、様々な問題が発生しています。

このようなコミュニケーションの失敗を回避するには傾聴力の向上が有効です。傾聴力を高めることで、誤解や勘違いを解消し、相手の考えや指示内容をより的確に理解できるようになります。

人事や管理職にこそ傾聴が必要

社員の話を聴く機会が多い人事や管理職にこそ、より傾聴力が重要であると言えます。

若手や中堅層は、自分の意見が上司や経営側に届いている、受け止められていると感じられた場合にモチベーションが高まる傾向があります。部下の話を傾聴することは、信頼関係の構築と人材育成に大きく役立ちます。部下は自分の話をきちんと聞いてくれると感じることができれば、上司に対して信頼を置くようになります。

また、昨今は人事や管理職の仕事において、メンバーの持つ能力や創造性を発揮させる施策がより重要視されるようになってきています。具体的には、「コーチング」や「エンパワーメント」、「パフォーマンスマネジメント」といったスキルや考え方が挙げられます。これらの共通点として、相手の感情や思考を的確に理解し受け止める「傾聴」を行うプロセスが必ず存在します。傾聴は人事や管理職にとって重要なベーシックスキルとなりつつあるのです。

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傾聴の効果

傾聴にはどのような効果があるのでしょうか。

相手の考えが理解できる

傾聴は、聴き手の思い込みや判断を横に置き、相手の話に集中して聴くことを意味します。通常の聴き方では気がつかなかった相手の考えや感情が理解できるようになります。

良好な人間関係が築ける

誰しも自分の話を真剣に聴いてくれ、理解してくれる人のことを悪くは思わないでしょう。傾聴は良好な人間関係の構築にもつながります。

相手の自己重要感が高まる

傾聴を行うことにより、相手の心理的充足感が高まります。傾聴は相手の承認欲求を満たし、自己重要感を高める効果があります。

現状を俯瞰的に整理し、新たな気づきが生まれる

傾聴してくれる聴き手がいることで、話し手は現状を俯瞰的に整理することができます。結果、現在抱えている問題について、聴き手が何も助言をしなくても話し手が何かに気づき、新たな行動が生まれることがあります。

傾聴の「3つの段階」

一口に傾聴と言っても、その「聴けている」度合いは異なります。傾聴には3つの段階があります。

レベル1「内的傾聴」

内的傾聴とは、相手の話を聴いてはいるものの、意識が相手ではなく自分に向かっているような聴き方です。相手の発言が自分にとってはどのような意味があるのか、自分の考えや気持ちに聴き手の意識は向いています。話し手ではなく自分自身にスポットライトが当たっている状態であるとも言えます。

レベル2「集中的傾聴」

集中的傾聴とは、相手の話にしっかりと意識の焦点を当てるような聴き方です。好奇心や集中力が高まり、話の内容だけではなく、体の使い方や表情の変化、間のとり方や感情の揺れ動きといった、様々な情報を読み取ることができます。集中的傾聴が行われているときは、お互いの姿勢が自然と前のめりになっていたりします。聴き手自身ではなく相手にスポットライトがあたっている状態とも言えるでしょう。

レベル3「全方位的傾聴」

傾聴への集中力が高まると感覚が研ぎすまされ、自分と相手だけでなく周囲の空気感や雰囲気などの「場」にも注意を払えるような状態になります。これが「全方位的傾聴」です。

傾聴とは、このレベル3の「全方位的傾聴」とレベル2の「集中的傾聴」を行ったり来たりするような状態を意味します。集中力が低下すると、レベル1の「内的傾聴」状態に戻ります。レベル1の状態に陥っていないか、時々自分自身を観察しながら傾聴できると良いでしょう。

【参考】ヘンリー・キムジーハウス、キャレン・キムジーハウス、フィル・サンダール『コーチング・バイブル―本質的な変化を呼び起こすコミュニケーション』(東洋経済新報社、2012年)

傾聴に必要なスキル、技術

傾聴を行う上で必要となる基本的なスキル、技術について解説します。

態度と姿勢

傾聴を行う際には、話し手に対し「私はあなたの話に好奇心があり、集中して聴きたいと思っている」というメッセージを、態度と姿勢をもって伝えなければなりません。

傾聴の姿勢としては、相手の顔や目を見て、表情は柔らかく、姿勢としては前のめりに近い状態になります。ですが、不自然にそのような姿勢を作ると、かえって相手の警戒心や緊張感が高まってしまいます。はじめは無理に傾聴的な姿勢を作ろうとするのではなく、「自分がリラックスした状態であるか」「高圧的な姿勢をとっていないか」の二点のみに絞って注意すると良いかもしれません。

位置関係への配慮

話し手と聴き手の物理的な位置関係にも配慮しましょう。

座り方、向かい合い方

話を聴く際の席の位置により、話し手に与える心理的印象が異なります。座り方には、「対面法」「90度法」「平衡法」の大きく3つの方法があります。

  • 対面法:
    まっすぐ対面して向き合う座り方です。目と目が合うため、相手の状況をしっかり観察することができます。また、真剣な話ができるような心理状態を作ることもできますが、相手には緊張感を与えてしまう可能性もあります。
  • 90度法:
    相手に対し90度横の角度で座ります。相手は緊張感や威圧感を感じにくく、リラックスした状態で話すことができます。
  • 平衡法:
    相手の横に座り、同じ方向を見るようにしながら傾聴する方法です。他の座り方と比べ一、般的に最も親密感が湧きやすい座り方です。共通のビジョンや夢を思い描くような会話をする際や、独白をただ聴くようなシーンで有効です。一方、相手の表情や態度など言葉以外の情報を読み取りにくく、話自体も散漫になりがちです。

状況によって座り方を選べると良いですが、基本的には90度法が無難な座り方であるとも言えます。

距離感

傾聴を行う上で、相手との距離感は重要な要素です。

人には「パーソナルスペース」と呼ばれる、他人に近づかれると不快感を覚える範囲があります。この範囲の広さは性別や社会文化、民族や個人の性格によっても差があると言われています。

相手との距離感が遠すぎる状態で傾聴しても親密感は高まりにくいですが、パーソナルスペースを侵害するくらい近づきすぎても逆効果です。相手の表情を見ながら距離感を調整しましょう。

ペーシング

ペーシングとは、心理学NLPやコーチング用語で、話し手の話すペースに聴き手が同調していくことを意味します。声の抑揚、話すスピードやテンポ、呼吸など、相手と自分のペースをシンクロさせていきます。これにより、話し手と聴き手の間に一体感が生まれ、リラックスして何でも話しやすい状態を作ることができます。

ミラーリング

ミラーリングとは、鏡のように相手と同じ動作を行うことです。姿勢や表情を相手と合わせることで、親密感を高めることができます。

しかし、猿真似のように完全に相手と同じ動きをするのは逆効果です。相手に不快感を与えてしまいます。心理学NLPでは、少しタイミングを外したり、左手と右手を変えて動作すると良いと言われています。

また、テクニックに集中しすぎて話に集中できなければ本末転倒です。あくまで参考程度に捉えたり、例えば相手の表情と同じような表情を浮かべ共感を表すくらいが無難でしょう。

バックトラッキング(オウム返し)

バックトラッキングとは、日本語で言うと「オウム返し」です。相手の言ったことを反復します。完全にコピーするのではなく、要約や一部抜粋をし返すと良いでしょう。

理解の確認(言い換え)

相手の話を理解していることを伝えるために、相槌に加え、キリの良いところで聴いた内容を言い換えて返しましょう。相手の話をしっかり聴いている、というメッセージになります。

傾聴に必要な心理状態

スキルだけではなく、傾聴できる心理状態を整えることも必要です。

集中できる環境を整える

まずは、集中できる環境を整えましょう。周りが騒がしい所や色んな人が行き交うような場所では、話し手も聴き手も集中できません。周りから隔離された会議室や静かで落ち着きのあるカフェなどを利用し、話に集中できる環境を整えましょう。

また、傾聴を行うときには、聴き手自身に気がかりや気の迷いなどの要素が無いことも重要です。傾聴時にも気になってしまい、話に集中できない状態となってしまいます。

リラックスする

リラックスして臨みましょう。聴き手自身が緊張していたりストレスを感じているような状態では、相手にその感覚が伝わってしまいます。

好奇心を持って聴く

前述の通り、傾聴には様々なスキルやテクニックがありますが、全ての根源は相手への好奇心です。好奇心を持って聴けば、自然と理想的な傾聴姿勢が取れたり、的確な質問ができることでしょう。

陥りがちな落とし穴と対策

傾聴を行う上で陥りがちな落とし穴とは何でしょうか。その対策も含めて解説します。

信頼関係ができていない

そもそも相手が話をしたいと思えるような関係性が構築できていないケースがあります。日頃から雑談のような簡単なコミュニケーションを重ね、傾聴の前提となる人間関係を育む必要があります。

自分自身の先入観や感情を捨てきれない

傾聴を行う際には、相手の持つ考えや感情を理解し、共感する姿勢が必要となります。自分自身の先入観や感情は横に置いておかなければなりません。内的傾聴状態に陥っていないか注意しましょう。

求められていないのに意見や提案を述べる

よくある失敗にとして、相手から求められていないのに、自分の意見や提案を述べてしまうことが挙げられます。特に経験のあるマネージャーが、経験の浅い部下に対して行いがちなケースです。指導や教育のフェーズとしては有効なこともありますが、傾聴に関しては相手からの信頼を損なう行動です。傾聴することに集中しましょう。

トレーニング不足

特にペーシングやミラーリングなどのスキル部分においてよく見受けられる失敗例です。傾聴やビジネスコーチングの研修を受け、その内容をいきなり実践しようとする人が多く見受けられます。しかし、ぎこちないペーシングや不自然なミラーリングは相手の信頼度を増すどころか、不信感を募らせる結果になります。

まずはロールプレイなどで練習し経験を積んだ上で、自然とスキルを発揮できる状態を目指しましょう。聴く人役と話す人役に分かれ、模擬的な会話をした後に相互フィードバックを行う、といったトレーニングが有効です。

まとめ

  • 「傾聴」とは「耳を傾けて熱心に話を聞くこと」。相手の気持ちに寄り添って、注意深く共感的に「聴く」ことを意味する
  • 信頼関係の構築、コミュニケーション不全の解消、営業力や交渉力の向上といった効果がある。また、人と多く接する人事や管理職にこそ必要であるとも言える
  • 態度や姿勢などスキルは色々あるが、大事なのは相手への好奇心とリラックス。時々自分自身の状態を観察しながら聴こう

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