マイスター制度
マイスター制度とは、優れた技術を後年に残すことを目的に実施されているドイツ発祥の職業能力認定制度です。モノづくり大国である日本と親和性の高いマイスター制度を最大限に活用するため、制度導入によるメリットやすでに活用している日本企業の事例を分かりやすくまとめて解説致します。
マイスター制度とは
マイスター制度とは類稀なる技能や技術の継承に特化した職業教育制度であり、発祥国のドイツだけでなくベルギーやオーストリア、スイスなどでも同様の制度が実施されています。また、ドイツ語であるマイスター(Meister)には『巨匠』や『名人』といった意味があるため、日本では巨匠制度と呼ばれることもあります。
発祥国ドイツのマイスター制度
マイスター制度発祥国のドイツでは、マイスター資格を得るまでに非常に長く険しい道を歩まなくてはいけません。
多くの職人は見習い工である徒弟(Geselle)やワルツ(Walz)と呼ばれる放浪修行を通じて専門的知識や技術を磨き、熟練工の試験を受けることになります。その試験をパスした後、ファッハシューレ(Fachschulen)と呼ばれる高等職業学校で更に2年以上(フルタイムで2年、パートタイムで3~4年)の教育を受けることで、ようやくマイスター試験の受験資格を得ることができるのです。
グローバル化がもたらした大きな変化
ドイツでは以前まで94種の手工業において、マイスター資格を保有していない者についての企業設立や買収、新規開業が認められていませんでした。 しかし、2003年に欧州裁判所(EuGH)が下した「他国の手工業者に対して、ドイツ国内でマイスター資格の取得を要求するのはEU(欧州連合)のサービスの自由に違反する」という判決を受け、同年に手工業規則法を改正し、手工業に関する条件を緩和することになったのです。
- 94業種のうち53業種に関してはマイスター資格取得義務を免除する
- 免除となった53業種においても引き続きマイスター資格を取得することはできる(この場合、修業期間に関する条件は適用しない)
- 一部の職種を除き、一定の経験を持つ者(徒弟として6年、そのうち指導者など責任ある地位として4年)についてはマイスター資格を保有していなくても企業設立を行うことができる
- 経営者がマイスター資格取得者であれば企業所有者の資格の有無は問わない
- ドイツ国外で3年間の事業経験を持つEU加盟国の手工業者であれば、マイスター資格を保有していなくてもドイツ国内で開業することができる
53業種のマイスター資格義務免除により、ドイツ国内における手工業への参入が容易となったことに喜びの声が上がる一方、ドイツ人手工業者の一部からはEU加盟国事業者に対する度を越えた優遇であるという批判も寄せられました。
マイスター制度の日本での広がり
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