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2018年11月13日(火)更新

マイスター制度

マイスター制度とは、優れた技術を後年に残すことを目的に実施されているドイツ発祥の職業能力認定制度です。モノづくり大国である日本と親和性の高いマイスター制度を最大限に活用するため、制度導入によるメリットやすでに活用している日本企業の事例を分かりやすくまとめて解説致します。

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マイスター制度とは

マイスター制度とは類稀なる技能や技術の継承に特化した職業教育制度であり、発祥国のドイツだけでなくベルギーやオーストリア、スイスなどでも同様の制度が実施されています。また、ドイツ語であるマイスター(Meister)には『巨匠』や『名人』といった意味があるため、日本では巨匠制度と呼ばれることもあります。

発祥国ドイツのマイスター制度

マイスター制度発祥国のドイツでは、マイスター資格を得るまでに非常に長く険しい道を歩まなくてはいけません。

多くの職人は見習い工である徒弟(Geselle)やワルツ(Walz)と呼ばれる放浪修行を通じて専門的知識や技術を磨き、熟練工の試験を受けることになります。その試験をパスした後、ファッハシューレ(Fachschulen)と呼ばれる高等職業学校で更に2年以上(フルタイムで2年、パートタイムで3~4年)の教育を受けることで、ようやくマイスター試験の受験資格を得ることができるのです。

グローバル化がもたらした大きな変化

ドイツでは以前まで94種の手工業において、マイスター資格を保有していない者についての企業設立や買収、新規開業が認められていませんでした。 しかし、2003年に欧州裁判所(EuGH)が下した「他国の手工業者に対して、ドイツ国内でマイスター資格の取得を要求するのはEU(欧州連合)のサービスの自由に違反する」という判決を受け、同年に手工業規則法を改正し、手工業に関する条件を緩和することになったのです。

  • 94業種のうち53業種に関してはマイスター資格取得義務を免除する
  • 免除となった53業種においても引き続きマイスター資格を取得することはできる(この場合、修業期間に関する条件は適用しない)
  • 一部の職種を除き、一定の経験を持つ者(徒弟として6年、そのうち指導者など責任ある地位として4年)についてはマイスター資格を保有していなくても企業設立を行うことができる
  • 経営者がマイスター資格取得者であれば企業所有者の資格の有無は問わない
  • ドイツ国外で3年間の事業経験を持つEU加盟国の手工業者であれば、マイスター資格を保有していなくてもドイツ国内で開業することができる

53業種のマイスター資格義務免除により、ドイツ国内における手工業への参入が容易となったことに喜びの声が上がる一方、ドイツ人手工業者の一部からはEU加盟国事業者に対する度を越えた優遇であるという批判も寄せられました。

マイスター制度の日本での広がり

熟練された技を正確に後世へ継承することができるマイスター制度は高度な技術を数多く保有する日本との親和性が非常に高く、早期から国内での活用に向けた取り組みが進められてきました。その結果、日本政府や地方自治体、民間団体が中心となって実施する様々なマイスター制度が誕生したのです。

全技連マイスター

日本では労働者の技能やスキルに対する正しい評価と更なる技術向上の後押しを目的として数多くの技能検定が実施されており、唯一無二の優れた技術を有する者に対しては厚生労働大臣から『現代の名工』として表彰を受ける表彰制度も用意されています。

この技能検定制度を活用し、より多くの優れた技能者の育成を目指して平成15年に創設されたのが社団法人全国技能士会連合会の全技連マイスター制度です。全技連マイスターという称号は以下の条件を全て満たした技能者に対して与えられます。

  1. 特級、1級又は単一等級の技能士であること。
  2. 技能士として、実務経験が20年以上あること。
  3. 原則として、年齢が45歳以上65歳以下であること。
  4. 後継者や若者への技能・知識の伝承に高い志と意欲を持って活動することが期待されること。
  5. (一社)全国技能士会連合会や都道府県技能士会・連合会並びに技能士団体の事業活動への協力・貢献の実績が認められること。

【出典】全技連マイスターの概要 : 全技連マイスター : 一般社団法人 全国技能士会連合会/全技連 匠の技ネット

全技連マイスターは単なる名誉的称号ではなく、保有する熟練技術を惜しむことなく、次世代を担う若い技能者たちに教えることのできる指導者に対して与えられるものであるため、技能振興イベントへの積極的参加が称号授与の条件に加えられています。また、技術力や指導力の低下が起きていないか確認するため、称号を授与した後も5年毎に更新手続きを行わなければなりません。

ものづくりマイスター制度の創設

社団法人全国技能士会連合会の全技連マイスター制度創設から10年後の平成25年、厚生労働省は若年技能者人材育成支援等事業の一環として、ものづくりマイスター制度を創設しました。

  1. 技能検定の特級・一級・単一等級の技能士またはこれと同等の技能を有している と認められる方、技能五輪全国大会の成績優秀者(第3位まで)のいずれかに該当する方
  2. 実務経験が15年間以上ある方
  3. 技能の継承や後進者の育成に関して意欲を持って活動する意思及び能力がある方

【出典】若年技能者人材育成支援等事業(ものづくりマイスター制度):厚生労働省

全技連マイスター制度の対象が技能検定職種である61職種(平成28年度9月時点)であることに対し、ものづくりマイスター制度の対象が、技能検定の職種と技能五輪全国大会の競技職種を合わせたものから、建設業と製造業に該当する職種を抜粋した111職種(平成29年度5月時点)と大幅に上回っていることに加え、年齢や実務経験年数などの条件緩和により身近な存在となったことでマイスター制度の認知度は以前よりも更に高まっていきました。

知識人評価としてのマイスター制度

元来マイスター制度は優れた技術の継承を目的とした制度でしたが、テレビや雑誌などのメディアで取り上げられたことをきっかけに『マイスター=その分野における知識人やプロフェッショナル(専門家)』というイメージが強く定着することになりました。

そして、マイスターという用語に対する拡大解釈を商品や活動の認知度アップや町おこしやまちづくりといった地域活性化に活用しようと、地方自治体や民間団体は独自のマイスター制度を次々に創設していったのです。

このような背景により、日本ではその分野に対する深い知識や理解を持つ知識人や専門的知識を求める資格認定制度においてもマイスターという言葉が使用されるようになりました。

マイスター制度のメリット

日本国内の様々な場所で活用されているマイスター制度ですが、その効果を一番高く得られる環境が作業場や仕事場であることは今も昔も変わりません。守るべき伝統や技術の見極めをしっかりと行い、自社独自のマイスター制度を創設して運用していくことにより、企業は次のようなメリットを享受することができるでしょう。

マニュアル化しにくい要素を継承できる

マイスター制度は技術やコツといったテクニカルな部分を詳細に伝えることができ、不明な点や苦手としている部分についての確認や指導もリアルタイムかつピンポイントに実施することが可能なため、マニュアル化しにくい要素の継承に対して非常に有効です。

建設業や製造業など明文化し難いノウハウを多く保有している事業者ほど、ベテラン職人から若手職人への技術継承をスムーズに実施することができるマイスター制度の導入を検討する必要があるでしょう。

マインドの共有

熟練技能者たちは多くの失敗と工夫を繰り返しながら長い年月をかけて1つの技能を磨き上げてきました。そのように試行錯誤した経験は技術精度を高めるだけではなく、長年に渡って実現不可能とされていた未知の領域への挑戦も可能にしてくれるのです。

しかし、卓越した技能であるほど繊細な動きによる微調整や経験則による反射的判断が求められるため、老化による身体機能の低下というタイムリミットが存在する以上、いつまでも1人のトップ技術者だけで新たな扉を開き続けることはできません。

いつの時代も技術進歩を支えるものは技術者たちのマインド(技術者精神)です。目指していた最終目標や今後のビジョン、達成することができなかった課題を次世代へと引き継いでいくことにより、先駆者たちの挑戦は続いていきます。

マイスター制度を通じて技術的要素とともに精神的要素を共有することができた若い技術者たちは目標の実現に向けて全力で取り組み、更なるイノベーション(技術革新)を生み出してくれることでしょう。

後継者育成を意識的に実施できる

熟練技能者からの直接指導によって高度な技能の習得を可能にするマイスター制度ですが、マンツーマンでの教育環境を構築することによって育成対象者に自分が後継者候補であるという強い自覚を持たせることができます。

意識改革は意欲の低下や離職を抑止するだけではなく、教育内容に対する興味心を高めることができるため、後継者育成を効果的に実施するために欠かせません。後継者候補という自覚を持った育成対象者は、より意欲的に技能の習得に向けて努力を積み重ねてくれるでしょう。

独自技術のブランド化

どれだけ優れた技術であっても引き継いでくれる後継者がいなければ廃れてしまうため、技術力を売りにしている中小企業や町工場の多くは現場を支えるエンジニアリーダー(技術者リーダー)の候補者問題に対して日夜頭を抱えています。

しかしマイナーな技術に興味を持っている人は少なく、後継者候補を見つけることは容易ではありません。そのため、企業は後継者候補探しの前段階として独自技術の認知度の向上に力を入れる必要があるのです。

マイスター制度は技能継承だけではなく、自社ブランドや独自技術の認知度向上にも有効な手段です。自社のコア技術を企業内限定の専門資格や技能資格として扱うことで、外部の人間からもそれが特殊な技術であると認識されやすくなります。

マイスター制度を企業内資格制度として上手く活用することにより、戦略的ブランディングを実施することができるでしょう。

モチベーションアップと組織活性化

指導者からの評価や資格試験の合否という形で自身の技能レベルが可視化されることによって、育成対象者は高いモチベーションを維持した状態で課題を正しく見極めながら技を磨き続けていくことができます。また、意欲的に業務や訓練に向き合う若い技術者の姿は他の従業員にとっても良質な刺激となり、組織全体に多くの活力を生み出します。

日本国内において技能継承(技能伝承)と企業内資格という2つの側面を持つマイスター制度から自社に合うものを選択し、導入することによってモチベーションアップと組織活性化という大きな効果を得ることができるでしょう。

マイスター制度のデメリット

マイスター制度は企業の保有する技術力や知財力を更に高めながら後世へと引き継いでいく素晴らしい制度ですが、正しく理解しておかなければ大きな損失を招いてしまうポイントもいくつか存在します。

独自のマイスター制度によって数多くのメリットを享受するため、マイスター制度のデメリットについても学んでおきましょう。

制度対象技能の選別が必要

マイスター制度はどのような技術や知識にも応用することができる柔軟性の高い制度ですが、だからといって企業内に存在する全技能に対して安易にマイスター制度を適用してしまうのは危険です。

複数の異なる技能水準や認定方法によって管理困難に陥ってしまったり、自社のコア技術が不明瞭となることで制度導入による効果を弱めてしまうことがないよう、マイスター制度を企業施策として取り入れる際には制度対象となる技能の選別を十分に行わなければなりません。以下のようなVRIO分析を実施することで技能分析がスムーズに行えるでしょう。

  • 価値(Value)…組織に多くの利益をもたらしてくれる技能か
  • 希少性(Rarity)…希少価値の高い技能か
  • 模倣可能性(Imitability)…競合他社が簡単に真似することのできない技能か
  • 組織(Organization)…その技能の重要性を全従業員が認めているか、人事制度の見直しや技能保有者へのOJT指導者研修の実施など技能継承の土台が構築できているか

イノベーションが減少しやすい

技能継承は企業にとってかけがえの無い技能をしっかりと保護し、長期的視野において活用していくために用いられる正統派手法です。ですが、継承という部分にこだわり過ぎるあまり周辺環境の変化や新たな需要への対応が遅れてしまい、気付けばビジネス戦争に取り残されていたというケースは決して少なくありません。

また、企業側は更なる技能進化を期待していたけれど、技能継承を受けた者に情熱や向上心が不足していたため、結果として大きく形を変えることなく旧来の技能が保持されているということもあるでしょう。

思考の固着や挑戦からの逃避は技能を錆付かせてしまうだけではなく、イノベーションが生まれにくい組織風土を作り出してしまいます。マイスター制度によって継承した技能を積極的に活用し、弱体化を恐れることなく前向きに挑戦を続けていくことで、あらゆる変化に対応可能な強い組織を構築することができるでしょう。

モチベーションを低下させてしまう技術者もいる

マイスター制度は企業内人材にとって大きな刺激となり、モチベーションアップや組織活性化というメリットを生み出します。しかし、自信を喪失していたり業務内容や雇用環境に対して不満や疑問を感じている技術者にとっては逆効果となる場合もあるため注意しなければなりません。

  • 自分以外の技術者が後継者育成の対象となってしまったことで自分の将来に期待が持てなくなった
  • 人並み以上に努力しているにも関わらず、自分の技能や頑張りが評価されないことに納得がいかない
  • 企業が創設したマイスター資格に何度挑戦しても合格できないことから、自分はこの仕事に向いていないのではと考えるようになった
  • 後継者育成が開始されたことによって本来の業務に大きな支障が出てしまった

企業がマイスター制度を導入する際には、全技術者にとって明るい希望となるように意識しながら制度作りを進めると良いでしょう。

日本企業におけるマイスター制度導入事例

地方自治体や民間団体など日本各地で大きな盛り上がりを見せているマイスター制度ですが、ビジネスシーンにおいても多くの国内企業が独自のマイスター制度や資格制度を創設して活用しています。

その中から、活用方法の異なる3社の導入事例をご紹介致します。

株式会社サカイ引越センター

『引越のサカイ』という愛称でおなじみの大手貨物輸送運輸業者(引越運送業者)、株式会社サカイ引越センターは作業員の更なる資質向上を目指してマイスター制度を導入しています。

サカイ品質を支えるマイスター制度

【出典】サカイ品質のスタッフ教育 - サカイのこだわり:引越しの見積もりは引越しの専業【サカイ引越センター】公式サイト

株式会社サカイ引越センターでは、作業員の技術力向上や作業イメージの獲得を目的として、作業現場を再現した研修棟を用いた実践的な社員研修を実施しています。しかし引越し作業の大半はお客様のご自宅や作業場にて行うため、現場作業員は技術力だけではなくマナーや応対力といった接客スキルも身に付けておかなければなりません。

実践研修を通じて基本技術と自信を身に付けた作業員たちは、1年間の技術講習を受けることで受験資格を得られる技術講師試験の合格を目指して現場で経験を積み重ねることになります。そして、試験合格という形で確かな技術の定着を認められた作業員は、サカイ品質の頂点であるマイスター取得を目指して接客スキル取得や事業内容に対する総合的な学習を進めていくのです。

サカイ品質というマインドの継承と、業務に関する全技能の総合的向上によって、お客様満足度を高めている株式会社サカイ引越センターのマイスター制度は、制度の特性や長所を最大限に活かした素晴らしい施策であるといえるでしょう。

【参考】サカイ品質のスタッフ教育 - サカイのこだわり:引越しの見積もりは引越しの専業【サカイ引越センター】公式サイト

キヤノン株式会社

映像機器や事務機器、デジタルマルチメディア機器や半導体露光装置など幅広い分野において優れた製品を生み出しているキヤノン株式会社では、多能工者に対する評価認定制度としてマイスター制度を活用しています。

厳しい認定制度が職人魂と達成感を刺激する

【出典】大分キヤノン株式会社 - 大分キヤノンのものづくり

キヤノン株式会社のマイスター制度はS級と1~3級からなるステップアップ制度となっていますが、その認定基準は非常に厳しく累計で1級マイスターは320人、最高位となるS級マイスターは71人しか認定されていません。(2016年5月末時点)

これだけ厳しい認定制度となると現場作業員のモチベーションダウンが懸念されますが、ものづくりを通じた人材育成に力を入れて取り組んできたキヤノン株式会社には、技能向上が作業者自身にもたらす好影響への深い理解があるため、全ての従業員が高い志を保ちながら技能を磨き続けられるという理想的環境が構築できているのです。

S級マイスター認定者は高度な知識と技能により決められた時間内に1000点以上の部品を1人で組み付け、自己検査を実施して完成品を作り上げることができるといいます。しっかりと構築された人材育成の土台上で高度な製造スキルを要求するキヤノン株式会社のマイスター制度は、就業意欲を失わせることなく職人魂と達成感を強く刺激することができる攻守バランスの取れた成功事例だといえるでしょう。

【参考】大分キヤノン株式会社 - 大分キヤノンのものづくり

株式会社NTTドコモ

日本電信電話株式会社の子会社であり、携帯電話やスマートフォンなどに向けた無線通信サービスを提供している移動体通信事業者(Mobile Network Operator:MNO)の日本最大手、株式会社NTTドコモは接客スキルとお客様満足度の向上を目指し、ドコモショップスタッフスキル資格認定制度としてマイスター制度を導入しています。

マイスターバッジによる安心感の提供

株式会社NTTドコモは、お客様の満足度を高めるには要望を引き出すコミュニケーション能力や提供サービスに対する幅広い知識だけではなく、適切なタイミングで的確な提案を行う価値提案力も重要であると考え、窓口業務に必要な様々なスキルを総合的に磨き上げることができるステップアップ制のマイスター制度を創設しました。

その中でも難関と呼ばれているグランマイスター資格やフロントスペシャリスト資格の保有者は、いずれも瞬時にお客様の現状に対して最良な選択肢を提案することができる優れたスタッフとなっています。

株式会社NTTドコモのマイスター制度で特筆すべきはマイスターバッジの存在です。お客様はドコモスタッフの制服に付いている金銀のマイスターバッジを確認することで、そのスタッフが持っている知識の量や提案力をある程度まで見極めることができます。それにより、困難な依頼やイレギュラーな相談を行う場合でも不安を感じることなく素直に提案や助言を受けることが可能となるのです。

制度の仕組みや資格の取得状況を対外的に示すことによって、お客様の満足度向上と業績アップを同時に図る株式会社NTTドコモのマイスター制度は、技能継承というベースに知識人評価とおもてなしの心を融合させた次世代型マイスター制度といえるでしょう。

【参考】ドコモ通信 vol.68 : 企業情報 : NTTドコモ

インダストリー4.0がマイスター制度に与える影響

職能制度として1953年に法制化されて以降、長年に渡ってドイツの産業発展と技能者育成に貢献してきたマイスター制度ですが、2011年より新しく取り組みが開始されたインダストリー4.0(独:Industrie 4.0、英:Industry 4.0)によって手工業の現場が今後どのように変化していくのかということに大きな注目が集まっています。

IoTがスマートファクトリーを実現させる

インダストリー4.0はドイツ政府が力を注いで進めている国家プロジェクトであり、第4次産業革命や製造業革新とも呼ばれる最新デジタル技術を駆使した革命的施策です。

スマートファクトリー(自ら考える工場)をコンセプトに製造コストの最小化を目指して取り組まれているインダストリー4.0はこれまで様々な企業が実施してきた作業ラインの自動化や管理データのデジタル化などとは異なる角度からアプローチを行います。

センサーや通信機能を企業内の機械や作業ロボットに搭載することでモノのインターネット化(Internet of Things:IoT)を行い、ビッグデータと連携させることによって次のような判断を自動的に行えるようにしたのです。

  • 気温や湿度を適宜チェックしながら温度調整や温度管理を行う(ロスコストの削減)
  • 前年度同時期や直前の売上数から今後の売上予測を実施し、製造個数を決定する(適切な商品管理)
  • 購入者情報から今後のトレンドを予測して提案する(トレンド予測機能)
  • 設備管理やメンテナンス間隔の最適化(自己メンテナンス)

環境変化や前提条件を正しく設定することで判定精度は大きく向上し、安定したシステムを構築することができます。そして、スマートファクトリーは自発的な経験学習により企業や従業員の頼れるパートナーとして永続的に成長していくのです。

IT社会におけるマイスター制度の役割

インダストリー4.0は非常に優れた取り組みですが、それによってマイスター制度が完全廃止されるのかといえばそんなことはありません。スマートファクトリーは多くの部分で人間よりも優秀な結果を生み出してくれますが、全項目において最適解を導き出せるわけではなく、情熱や職人魂などのマインドを後世に伝えていくことも不可能です。

デジタル活用や一部自動化によって人件費やロスコストの削減を実行し、マイスター制度の活用によって守るべき企業財産をしっかりと保護して後世へ引き継いでいく。機械に任せることができる項目と人間にしかできない項目を正しく見極めることで、企業活動の最適化を実現することが可能となるでしょう。

まとめ

  • マイスター制度とはドイツ発祥の職業技能認定制度であり、次世代への技能継承を目的とした重要施策である
  • マイスター制度は情熱や職人魂といった技術者マインドの継承にも有効である
  • モノづくり大国でありおもてなしの心を大切にする日本とマイスター制度の親和性は非常に高い
  • 日本では知識人評価やブランディングとしても活用されている
  • マイスター制度は柔軟性が高いため、独自の視点で活用することによってライバル他社との差別化を図ることができる

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