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ホーソン実験

2018年11月15日(木)更新

一世紀近い昔の実験でありながら今も注目を浴びるホーソン実験。「生産性向上」という永遠の命題を抱える企業にとって、従業員の心理が企業の生産性に影響するというこの実験は、現代においても関心の高い研究結果です。ホーソン実験の具体的な内容と生産性と人間関係についてご紹介します。

「ホーソン実験」とは?

ホーソン実験とは、アメリカのシカゴ郊外にあるウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われ、「職場の物理的な環境条件ではなく、人間関係が生産性に影響する」ということを突き止めた有名な実験です。

ホーソン実験は1924年から1932年に行われ、当初はウェスタン・エレクトリック(Western Electric))社と「全米学術協会」の「全国調査会議」が調査を行い、途中からハーバード大学のエルトン・メイヨー、フリッツ・レスリスバーガーらが研究に加わることで、実施機関がハーバード大学になっています。

1920年代と言えば、アメリカは「狂乱の20年代」(the Roaring 20s) 。第一次世界大戦が終わり、戦欧州各国が疲弊する中、アメリカはだけは軍事市場に代わって個人市場が一気に拡大し、未曾有の好景気に沸きました。人々は、大量の物資を消費し、新しい音楽であるジャズが流行り、国中がお祭り騒ぎのように賑わった時代です。

この時代の経営管理論は、フレデリック・テイラーが提唱した科学的管理法(テイラー・システム)が主流でした。

科学的管理法とは、工場の従業員を効率的に管理する方法で、1日の作業量を設定し、作業手順を決め、作業の標準化を図ることで、どのような人材であっても課業(一定時間内に標準作業量をこなすこと)が達成できるようにするシステムです。科学的管理法の応用として大量生産方式を確立し、実戦に成功したのがフォード・システムです。

そのような時代、ウェスタン・エレクトリック社は、アメリカン・テレホン・アンド・テレグラフ社(The American Telephone & Telegraph Company)、 現代のアメリカ最大手の電話会社「AT&T」の子会社で、電気機器の開発と製造を行なっていました。子会社といっても、当時、従業員2万9000人を抱える大手企業で、科学的管理法やフォード・システムによって生産性の向上を図っていました。しかし、好景気を背景に親会社からの発注など大量の注文をさばく必要性が生じ、作業能率・生産能率を上げるためにも科学的管理法の実証を行う必要がありました。

このよう事情を背景として、生産性向上のための条件を模索するために行われたのが「ホーソン実験」で、ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われたことからこの名がつけられました。

実験は事前の予測とは異なり、いくつかの実験を重ねていくうちに、人間関係が生産性に影響するなど、生産性の向上には「人間的側面が重要である」ことが明らかになりました。そして、この発見はその後のアメリカや戦後の日本社会に大きな影響を与えることになります。

【関連】科学的管理法とは?わかりやすく解説 / BizHint HR
【参考】同志社大学:「ホーソン実験」と人間関係論 / 島, 弘

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