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2018年6月15日(金)更新

Off-JT

企業における社員教育の一つであるOff-JT(職場外研修)。良い人材育成活動には、OJDと合わせて人事担当者がきちんと企画することが重要です。Off-JTのメリット・デメリット、さらにはOJDとの違いをご説明します。

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Off-JT(職場外研修)とは?

「Off-JT(Off The Job Training)」とは、集合研修やセミナー、座学を仕事から離れた場所で行う教育訓練のことです。新入社員研修や中堅社員研修といった、社内の会議室を利用して実施する場合も「Off-JT」に含まれ、中にはフェリーなどの船上で行うケースや通信教育を活用するケースもあり、実施場所は様々です。

「Off-JT」の形態は、階層別に行なう、職能別に行なう、目的別に行なうなどいくつかに分類され、内容によっては、人材開発部の教育担当者または外部教育機関が講師となって実施します。

厚生労働省の調査によると、平成28年度に正社員を対象としたOff-JTを実施した事業所は74%(図表1)で、新入社員の60.7%、中堅社員の61.5%、管理職の51.0%に対して研修が行なわれています。(図表2) これは、7割を超える企業がOff-JTに取り組んでおり、新入社員に優秀な人材に育ってもらうためだけでなく、中堅社員には現場で業績向上を担ってもらうため、そして、管理職には、それを的確に指導し、誤らないよう導いてもらうためといった、職責に応じた研修が幅広く実施されていることを示しています。Off-JTは、もはや企業の必須の取組みとであると言っても過言ではありません。

【図表1】OFF-JTを実施した事業所

【出典】厚生労働省:平成28年度「能力開発基本調査」の結果を公表します

【図表2】OFF-JTの実施状況(職層別 正社員)

【出典】厚生労働省:平成28年度「能力開発基本調査」の結果を公表します

Off-JT(職場外研修)のメリットとは?

Off-JTは有効な教育研修であり、実施することによっていくつかのメリットをもたらします。

専門的な知識の習得

Off-JTでは、その企業の実務からひとまず離れ、一般化された知識や技術などを学ぶことにより、その技術や業務が本来どのような意味を持つかなどを体系立てて習得することができます。

研修や訓練への集中

日々の業務に追われ、その必要性は感じていながらなかなか勉強できない最先端技術やノウハウなどを、職場環境に左右されず集中的に習得することができます。

集団への訓練実施

Off-JTは、実質的に個別ではなく集団研修となることがほとんどです。対象者一同に対して同じ研修・訓練を行うため、個々への「研修の濃淡」が起こりづらくなります。

受講者の時間的負担の少なさ

社員育成方法の一つとして「自己啓発」ありますが、先の厚生労働省の調査では自己啓発の問題点として「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」(正社員:59.3%、正社員以外:39.4%)が最も多く、時間的負担から個人主体でのスキルアップの難しさが垣間見えます。一方、Off-JTは会社主体で行うため、確実に社員研修を実施でき、受講者のプライベートの時間を削らなくてもすむため、受講者の負担が少なく、研修に集中できます。

【参考】厚生労働省:平成28年度「能力開発基本調査」の結果を公表します

Off-JT(職場外研修)のデメリットとは?

職場から離れた研修ゆえに、いくつかのデメリットも存在します。

業務への落とし込みが困難

Off-JTは、その企業の実務から離れることで普段取得できないものを学ぶわけですが、研修後には当然学んだものを実務に反映しなければなりません。

Off-JTでは性格上、外部機関に研修を依頼又は委託する場合が多々ありますが、外部機関に研修成果の実務への落とし込みまで委ねることは(企業内事情の流失の可能性も含めて)難しく、研修生自らが実務への落とし込みを考えなければならない場合も少なくありません。研修成果が必ずしも実務に活かされない場合があり得るわけです。

費用の発生

同様に外部機関を利用するOff-JTでは、外部機関に依頼又は委託する費用が発生します。また、社外で実施した場合に会場費が発生します。研修の中身にもよりますが、こうした費用は年々増加する傾向にあり、厚生労働省の調査では、一人当たり平均費用が平成28年度には遂に2万円を超えて、2.1万円となっています。(図表3)

【図表3】OFF-JTに支出した費用の労働者一人当たり平均額

【出典】厚生労働省:平成28年度「能力開発基本調査」の結果を公表します

ただし国においても、厚生労働省が人材開発支援の重要性から「人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金) 」によりOff-JTを支援する制度を設けています。(図表4)

今後もOff-JTに係る経費が大きく減ることは考えにくく、こうした支援制度の活用も検討する必要があります。

【図表4】人材開発支援助成金受給額

【出典】厚生労働省:人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)

Off-JT(職場外研修)とOJD(職場内研修)の違いとは?

社員教育のもう一つの柱であるOJD。Off-JTを活かすためには、OJDについても適切に取組むことが必要です。

OJDとは?

OJD」とは、On the Job Developmentの略で、「Off-JT」の職場外研修に対し、「OJD」は職場内研修となります。

新入社員や若手社員を対象とし、日常業務遂行を通じて教育するシステムです。似たような人事労務用語にOJTがあります。OJTは、現在の業務を遂行することで必要な能力を教育しますが、OJDは自社の経営戦略に基づいて、マネジメント能力など従業員が将来必要となる能力の開発・育成を行います。

また、OJDは従業員が「将来どのようなキャリアを歩みたいか」といった希望を汲みながら、望むキャリア像を明確にし実現できるよう、OJTよりも長期的な視野に立って人材育成を行います。

【関連】Bizhint:OJDとは?OJDとOJTの違いとは?

OJDのメリットとは?

OJDは現場での臨機応変な対応が可能なため、主に4つのメリットが考えられます。

希望キャリアイメージに合わせた指導教育

OJDは研修者の希望するキャリアイメージを上司と共有し、それを実現するためのカリキュラムが組まれます。そのため、研修者のモチベーションを維持することができます。

人材育成のしくみづくり

OJDは「育てる」のではなく、部下が主体性を持って成長できる環境整備も兼ねています。将来構想の実現に向けて、各メンバーへのアサインの調整や、メンバー同士の相互連携を考えるなど、人が育つための環境に再構築することで、研修者の育成目的を達成しやすくなります。

フィードバックの機会が多い

OJDは半年や1年、長いところは3年など、長い時間をかけて行う人材開発支援策です。長期間ゆえに、振り返ることで成長度合いをフィードバックし、長所や短所を見極めることが可能です。個々の特徴を理解しながら、成長のための調整と実践を行うことによって、業務に活かしていくことができます。

研修コストの低減

社内の教育担当者によって行うため、研修計画を上手に業務に組み込むことにより、そのコストを低減することもできます。

OJDのデメリットとは?

OJDは、個別の研修ゆえに、3つのデメリットが考えられます。

研修計画作成の手間がかかる

OJDでは長期的な視野に立った計画の立案が必要で、個々に合わせたオリジナルの計画をしなければならないため、研修計画書の作成に手間がかかります。

指導員の時間や指導する手間など負担が大きくなる

OJTのように指導を受ける社員が受動的な研修に比べれば負担は少ないものの、負担がないわけではありません。負担を軽減するためには、能動的な成長ができるよう人が育つ「しくみづくり」ができていることが必要で、「しくみづくり」が出来上がるまでの間は、指導と自分の業務をこなすことや、「しくみづくり」構築、指導員に負担をかけることになります。

体系的な指導が困難

業務中に指導を受けるため、全体を俯瞰して体系立てたマネジメントについての指導は困難となります。

Off-JT(職場外研修)とOJD(職場内研修)の違い

学ぶ場所や相手の違い

学ぶ場所については、Off-JTは職場外、OJDは職場内と違いがあります。

また、指導員についてはも違いがあります。Off-JTは外部教育機関または社内人材によって、日常の業務では習得できない専門分野の知識を身につけます。OJDは職場の上司または先輩社員から業務の中で修正点を見つけてもらい、指導を受ける社員が改善していくなど、Off-JTは研修であり、OJDは現場(職場)で学びます。

教育効果

Off-JTは最先端技術など、社内では習得できない専門知識を得ることを目的とし、OJDは、マネジメント能力の開発・育成を目的とするなど、教育によって、身につけてほしい内容に違いがあります。

効果発現までの過程

Off-JTは研修で得た知識を実務の中に落とし込んでいくことが難しいため、育成効果が見えにくく、OJDは、実施期間が長い特徴がありますが、実際に業務を遂行する中で、フォローと実行を繰り返し、様子を見ながら行うため、段階的に効果が上がります。

どちらも業務につなげるためのフォローが不可欠であり、フォローができた場合、Off-JTは効果発現までの期間が短く、OJDは段階的に効果が出るものの、実施期間が長いため、最終的な効果発現まで時間がかかります。

Off-JT(職場外研修)とOJD(職場内研修)を最大限活かすには?

昨今の激変する社会情勢・ビジネス環境の中では、新しい知識も当然必要でしょうし、長期的な視野に立って業務を遂行することも必要です。

そのための研修もOff-JT、OJDを単独で考えるのではなく、大所高所から研修を絶えず見直し、両者のメリットを最大限活用することで、有益な人材育成を図る必要があります。

人材育成方針等の策定

そもそも研修計画の策定(人材育成)には、企業にとってどのような人材が必要か、そのような人材をどのように育てるのかなど、その企業に即した方針が必要不可欠です。こうした人材育成に対する基本的な考え方が整理されず、場当たり的に行なわれる研修では、文字通り「その場限り」の限定的な効果しか生まれません。

例えば、東京都の場合、「職員は個人の能力を積極的に伸ばし、組織は個人の力を最大限に引き出す体制作りを行い、職員と組織との間に相乗効果を生み出す発展的な人材育成」を視点として「都政を支える気概と核となるプロフェショナリティ(玄人としての卓越性)を備えたプロ職員」を求める人材像と定め、職階に応じた人材像や知識・能力を明確にして、長期的視点に立った人材育成を行うとしています。

このように、人材育成の方針を策定し、効果的な研修方法を検討することが必要です。

【出典】東京都:人材育成

Off-JTとOJDの有機的連携

Off-JTには、新しい知見や体系的な知識習得など多くのメリットがあります。特に集合研修であることは、研修者全員の共通の知識的土台となって、個々の研修であるOJDのベースとなりますし、業務の繁忙期(一般的にはOJDにとっても重要な時期)を外して比較的気持ちに余裕のある閑散期に行なうなど、実施に対する柔軟性もあります。

Off-JTの特徴を正しく理解し、有機的にOJDと連携させるかが、OJDにとっても重要な要素となるわけです。

まとめ

  • Off-JTは職場外で専門的な知識や技術の研修を行うで、普段の業務では得られない知識等が習得できるが、費用がかかり、実務への落とし込みに課題がある。
  • OJDは新入社員や若手社員に対する将来を見据えた職場内研修で、個に合わせた効果的な研修が可能だが、研修計画策定等に係る人的負担が大きい。
  • Off-JTとOJDを最大限活かすためには、人材育成に係る基本的な方針を定め、両者を有機的に連携させることが重要。

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