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2018年6月20日(水)更新

社員教育

社員教育とは、企業側が社員に対して提供する教育のことです。社員教育は、仕事の遂行に必要な知識や、会社を代表する一社員としての振る舞いを習得するために必要です。集合研修のみならず、様々な実施方法があります。入社時の研修に目が行きがちですが、人材不足や業務の高度専門化が進む昨今、総合的な社員教育の必要性が増してきています。この記事では、社員教育の目的、種類や、計画の立て方について解説します。

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社員教育とは

この項では、社員教育の概要について説明します。

言葉の意味

社員教育とは、企業側が社員に対して提供する様々な教育の総称です。

一般的には社員教育=研修と捉えられがちかもしれませんが、研修は社員教育の実施形式の一つです。社員教育には、研修以外にも、OJTや面談、推薦図書の配布、資格取得支援など、様々な実施形式があります。

社員教育の種類については、目的別に分類することもできます。目的については、大きく以下の2つに集約されます。

  1. 共通認識の構築
    企業や社会の一員として仕事をする上で、必要な共通知識、規範、考え方を浸透させる
  2. 人材育成による業績向上
    仕事に役に立つスキル、知識、思考に関する教育を実施し、人材の育成と業績の向上につなげる

後ほど目的別にどのような社員教育があるのかについても解説していきます。

社員教育の必要性

社員教育はなぜ必要なのでしょうか。

一つは、一人ひとりが企業を代表する社員として振る舞えるように教育することで、会社の信頼性を向上させることにあります。

お客様と関わりながら仕事を遂行する上で、社員一人ひとりがその企業の代表としてふさわしい仕事の仕方や、規律をもった行動をする必要があるでしょう。しかし、従業員はそれぞれ受けてきた教育やバックグラウンドが異なります。従って、会社の持つ風土や規範、ルールなどを従業員に教育する必要があります。

では、対外的な仕事を行わない管理部門の場合はどうでしょうか。管理部門の場合、お客様は社内のスタッフであると考えられます。そして、社内でのコミュニケーションの多い対内的な部門であるからこそ、よりその会社らしい振る舞いが求められるとも言えるでしょう。

必要性としては、業務遂行に必要な知識、ノウハウ、スキルを習得させることも挙げられます。特に日本の大企業の場合、総合職の雇用に関しては、欧米のジョブ型雇用ではなく、メンバーシップ型雇用が主流です。ジョブ型雇用では業務遂行能力を有している人材を雇用するため、企業が業務遂行に関する教育機会を提供する必要はありません。しかしメンバーシップ型雇用の場合、業務遂行に必要な知識、ノウハウ、スキルを、配置転換の度に習得させていく必要があります。また、人材不足や業務の高度専門化が進む昨今、異動時のみならず、総合的な社員教育の必要性が増してきています。

【関連】 BizHint HR:日本型雇用システムの特徴とメリット・デメリット
【関連】BizHint HR:ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いとは?

社員教育の目的と効果

社員教育と一口に言えど、提供するプログラムごとに目的や効果が異なります。より詳細に、目的別にどのような社員教育があるのかを確認していきましょう。

社会人としての共通認識、マナーを習得させる

一つ目は、社会人としての常識や共通認識、ビジネスマナーを習得させることを目的とするケースです。例えば挨拶や敬語、名刺の渡し方、電話応対、接遇といった、社会人として基本的な事項が挙げられます。特に新入社員教育で重要と言えるでしょう。

規律や規範を守らせる

二つ目は、社員に規律や規範を守らせることを目的とするケースです。

例えばある会社において、他の全ての社員が問題なく業務を行う中、一人の社員が重大な不祥事や犯罪、情報漏えいなどの事件を起こしたとします。この場合、問題を起こしたのがたった一人であっても、会社として経営が困難になることが起こりえます。このような事態が起きる確率を少しでも下げるため、コンプライアンスの徹底や情報セキュリティ対策を目的とした社員教育が重要になります。

業務遂行のためのベーシックスキルを習得させる

三つ目は、仕事を行う上で、その所属や職位の人間が共通して持つべき業務遂行能力の習得を目的とするケースです。部署や役職などによって必要とされるベーシックスキルは異なります。

企業理念や文化を浸透させる

四つ目は、経営者の思いや考え方、企業理念、文化などを従業員に浸透させることを目的とするケースです。具体的には、会社の代表からのメッセージを伝えたり、企業の歴史や社風を学ぶ研修の開催、望ましい組織風土を体現した従業員の表彰制度などが挙げられます。

例えば「やってみなはれ」の精神で有名なサントリーグループでは、人材育成プログラム全てを包含した大きなプラットフォームとして、2015年4月に「サントリー大学」を開校し、海外社員が創業の精神を学び自国へ反映させるようなプログラムを提供しています。また、新発想にチャレンジングな活動を1年間実施したチームを表彰したり、入社半年後に開催される合宿型研修を開催したりと、様々な取り組みを実施しています。

【参考】サントリーホールディングス:教育研修・人事制度 採用情報 新卒採用情報

専門スキルを磨き、高度な業務遂行と業績向上につなげる

より高度なスキルを磨き、積極的に成果を挙げ業績の向上につなげることを目的としたケースもあります。プレゼンテーションやロジカルシンキング、語学力など各種能力の向上を狙った研修の開催や、資格取得に関する支援、次世代のグローバルリーダー育成を狙った海外大学院への留学支援など、様々な教育プログラムが挙げられます。

社員教育の実施タイミングについて

これまでは、社員教育の種類について、目的別に紹介してきました。 ここからは、実施時期という切り口で、どの時期に、どのような社員教育が一般的に実施されているのかを解説します。

入社時の社員教育

組織の一員として採用が決まってから、部署に配属されるまでの社員教育について解説します。一般的には、新卒採用と中途採用で教育内容が異なります。

新卒採用者への教育

学校を卒業したばかりの新卒者向けの教育は、人事の腕の見せどころといっても過言ではないでしょう。そもそも新卒採用のメリットとして「全く未経験の人材が確保できるため、自社の考え方、仕事の仕方を浸透、定着させやすい」ことが挙げられます。彼らの今後の社会人生活がより豊かなものになるためにも、充実した社員教育を提供したいものです。

新卒者向けの教育に関しては、最近では入社前に「内定者研修」という形で始める会社も最近は増えてきています。内定者研修を実施するメリットとしては、例えば以下のような事項が挙げられます。

  • 学生から社会人への意識改革をスムーズにする
  • 内定者同士や先輩社員との交流を促進し、親睦を深める
  • 会社への所属意識を醸成することにより、内定辞退率を下げる

【関連】BizHint HR:内定者研修における内容・時期などの企画ポイントを解説

入社後の教育としては、新人研修(新入社員研修や導入研修とも呼ばれます)の実施が一般的です。新人研修では、社会人としてのマインドセットの形成や社会人基礎力の向上、基本的なスキル、知識、ビジネスマナーの学習、企業理念や風土の浸透を中心に実施されます。期間は会社によってまちまちですが、営業職や販売職など、現場での実践と指導がメインになる職種での採用者は短くなる傾向があります。

【関連】BizHint HR:新入社員教育の意味や目的とは?新入社員の指導方法や育成計画の手順などもご紹介

中途採用者への教育

中途採用者向けの社員教育は、新卒採用者向けの教育とは異なります。一般的に中途採用者は、社会人経験や担当する職務を遂行する能力を持っている前提で、即戦力として採用されます。従って、ビジネスマナーやパソコンの使い方といった社会人としての基礎的な教育や、未経験者向けにベーシックスキルを習得させるようなプログラムは縮小されたり、割愛されるケースが多いでしょう。

一方中途採用者の特徴として、前職での経験や考え方、仕事の進め方が体に染み付いており、自社に適応しづらかったり、配属先の既存メンバーと衝突が生じやすいことが考えられます。このため、中途採用者にはこれまで学んだきたことを一旦手放し、新しいやり方を新鮮な気持ちで学ぶ「アンラーニング」をテーマにした学習プログラムが有効である場合もあります。

【関連】BizHint HR:アンラーニングとは?アンラーニングの必要性と実施する方法

配属後の社員教育

新人研修が終わると、配属先ごとでの研修が行われます。先輩と一緒に業務を行いながら仕事を学ぶOJT形式での学習がメインとなる場合もあれば、更に座学形式での研修が続く場合もあります。

また、入社後半年ほどを目安に受講生や研修担当者が再度集い、新人研修の内容を振り返る「フォローアップ研修」を実施する会社もあります。受講生にとっては、研修内容の学び直しや、初心を思い出すことによるモチベーション向上の機会となり、研修担当者にとっては、研修内容の評価や改善点の把握、配属先に馴染みながら仕事できているかの確認の機会となります。

では、配属後仕事に慣れはじめたら、社員教育はもう必要ないのでしょうか。実際には、それぞれの目的に応じて、定期的に社員教育を実施していく必要があります。どのような社員教育を実施する必要があるのかを説明します。

【関連】フォローアップ研修とは?目的・対象者やタイミング・実施内容例や研修会社までご紹介 / BizHint HR

風土や規範を守るための教育

「ヒューマンエラー」とは、自動車事故のような人為的過誤のことですが、原因は主に、慣れから生じる油断であると言えるでしょう。自動車事故のみならず、仕事に慣れてくると、どうしても入社時に学んだ会社の風土や、社会人としての規律、規範への意識が薄れ、ヒューマンエラーが生じがちです。従って、会社として大切にすべき風土や、社会人として守るべき規範などの意識を、定期的に喚起する必要があります。

また、会社が成長するに従って、以前は会社の風土として有していたベンチャー精神や向上心、仕事へのモチベーションが薄れてきがちです。これらも定期的に揺り起こすような仕組みがあると良いでしょう。

具体的には、情報セキュリティやコンプライアンスに関する教育プログラムや、入社年次に応じた業務への取組姿勢を振り返るような研修プログラムの実施、会社の経営者や創業者からのメッセージを伝える場などを、定期的に開催することなどが考えられます。

能力向上のための教育

前述の通り、社員教育の大きな目的の一つに、従業者の能力向上があります。配属後も必要なタイミングで社員教育を実施し、社員一人ひとりの能力を引き出し向上させていきましょう。

具体的には、外部講師を呼んで研修を実施したり、同じ職種で高いパフォーマンスを出している社員からそのノウハウや工夫を共有してもらうような機会を作ることなどが考えられます。

昇進時の社員教育

昇進時には、これまで紹介してきた定期的な社員教育のみならず、特別な社員教育が求められる場合があります。

職位が上がる時の教育

職位が上がると、より難易度が高く責任の求められる仕事を担当するようになったり、先輩や上司として後輩や部下を指導・マネジメントする機会が発生したりと、これまでと違った働き方が求められます。これまでの働き方との変化や未知の業務に戸惑い、思ったようにパフォーマンスを発揮できない社員も生まれてくるでしょう。適切な社員教育を実施し、このようなギャップを解消できるようにします。

特に、初めて管理職として働くことになる場合などは、「新人」として新しいキャリアがスタートするといっても過言ではありません。マネジメントを行う上で誰もが陥りがちな罠や悩み、対処などをシミュレーションできるようなプログラムがあると有効です。

教育プログラムの提供方法

社員教育のプログラムには、様々な実施形式、提供方法があります。それぞれの特徴を知り、効果的な社員教育の実施につなげましょう。

集合研修型

受講者が一堂に会し学習を行う形式です。セミナーのように講師から教わるセミナー型や、参加者同士でディスカッションを行ったりロールプレイングを実施するようなワークショップ型、およびその複合型などがあります。

メリットとしては、受講生を特定の会場に集め、時間を拘束して受講させられることが挙げられます。これにより、必要な教育コンテンツを、必要な対象者に、確実に届けることができます。また、直接受講生の受講態度や反応、感想などを確認することができますので、教育プログラムの成功、失敗といった評価を、他の形式と比べわかりやすく実施することができます。

一方、開催にあたって時間や場所、講師などの各種調整が必要であったり、受講者を会場に集め拘束するため、移動に関する費用や時間といった様々なコストが発生したりします。

e-ラーニング型

e-ラーニング型とは、動画やスライドといったデジタルコンテンツを作成し、対象者に配布する学習形式です。受講者は一堂に会さず、それぞれの執務スペースなどで受講します。

メリットとしては、研修・セミナー型では決められた日時でしか受講できませんが、e-ラーニング型では、社内リソースへアクセスできる環境さえあれば、受講者それぞれの業務状況にあわせて、場所や時間の制限がなく受講できることが挙げられます。移動コストの高い遠隔地への教育プログラム提供や、忙しい社員でも期間内に必ず受講させる必要があるコンプライアンス徹底を目的とした教育などに適しています。

一方、集合研修型と異なり、参加者の受講態度やリアクションなどを観察することは難しく、教育コンテンツが流し見されてしまう可能性もあります。対策としては、e-ラーニング後にしっかり内容を理解しているか、確認テストを実施することなどが考えられます。

【関連】eラーニングとは?人材育成・企業研修サービスも一挙ご紹介 / BizHint HR

自習型

教育コンテンツを配布、推薦し、社員の自習を促す形式です。具体的には、資格試験の受験を推薦したり、参考図書やテキストを配布することなどが挙げられます。

自習内容も、資格などの知識やスキルに関するものから、仕事に関する考え方、スタンスに関するものまで様々です。例えば会社として大事にすべきクレド(経営理念・行動指針)をまとめたカードを作成し配布することも、この自習型に分類されるでしょう。

【関連】BizHint HR:「クレド」の意味とは?メリットや導入方法、企業の事例をあわせてご紹介

OJT型

OJT(On the Job Training)とは、職場で実務をさせることで行う社員教育の形式です。上司や先輩の監修の元、簡単な業務からより難しい業務を徐々に担当していき、知識や経験、自信をつけていきます。

学習機会の多さや、育成者の理解度に応じた教育が可能であったりと、様々なメリットがありますが、体系的な指導が実施しにくかったり、育成者の成長が先輩や上司の指導力次第になってしまう場合もあります。

【関連】BizHint HR:OJTの意味とは?計画の立て方、研修の内容・手法・メリットをご紹介

社員教育の計画の立て方

社員教育の計画の立て方について解説します。

会社の理想とする人材像を確認

まず、会社として育成すベき理想の人材像を定義しましょう。自社で活躍できる人材の能力、考え方、行動特性などを確認していきます。経営層や現場のマネージャーなど、各所の意見を聞いたり、企業理念や歴史を紐解いてみたりしながら、理想とする人材像を確認していくと良いでしょう。また、特に人材育成を主眼とした社員教育を検討する際には、パラメータとして注目すべき能力や行動特性、積ませたい経験などを定義できておくと有効でしょう。

現状を把握し、ギャップの確認

各部署の現状を確認し、ギャップを検討します。理想とする人材像のイメージを、年次や職位、職種ごとに想定できると、現状とのギャップを確認する際に比較しやすいでしょう。

ギャップを埋めるためのカリキュラムを考える

理想と現実のギャップを埋めるために必要な学習機会が提供できるように、カリキュラムを作成しましょう。教育の目的や対象者、提供方法の検討や、可能であれば異動や評価制度のあり方に至るまで、幅広く検討できると良いでしょう。また、人材育成に関するプログラムのみならず、規律や規範に関するプログラムもカリキュラムとして検討しましょう。

効果の測り方を考える

カリキュラムの効果測定方法を検討しましょう。社員教育の効果測定に関しては、「カークパトリックモデル」と呼ばれる考え方が有名です。アメリカの経営学者であるカークパトリック氏が考えたこのモデルは、研修の効果を4段階(Reaction;反応、Learning:学習、Behavior:行動、Results:結果)で評価するものです。この考え方は、集合研修以外の社員教育にも適応できるのではないでしょうか。

【図表】カークパトリックモデル

【出典】産業能率大学 総合研究所:研修効果(教育効果)測定

スケジューリング、予算組みをする

カリキュラムに従いスケジュールを立て、担当者を決め、予算組みをしましょう。これで、社員教育の計画段階は終了です。

都度振り返りをする

効果測定の結果や受講状況などを把握しながら、策定した社員教育の計画について、都度振り返りと見直しを実施していきましょう。

社員教育に使えるツール

効果的な社員教育を実施するために、外部リソースやツールの利用も検討すると良いでしょう。

研修会社、コンサルタントの活用

「社員教育の計画の立て方」の項でも説明した「理想の人材定義」「現状分析」「カリキュラムの作成」といった内容、及び教育プログラムの作り込みなどは、それぞれが専門性の高い仕事であるとも言えます。社員教育や人材育成、研修を専門とする会社やコンサルタントの活用も検討すると良いでしょう。

LMSの導入

LMS(Learning Management System)とは、日本語では学習管理システムと訳されます。e-ラーニングのコンテンツ配信や受講状況管理が一般的な機能ですが、集合研修の告知から出欠管理、アンケート集計、教材のデータ配信など、社員教育に関する諸業務の効率化に役立つ機能を持つシステムもあります。より計画的な社員教育を実施していきたい場合や、システムによる業務効率化を図りたい場合は、導入を検討してみても良いかもしれません。

【参考】BizHint HR:LMS(学習管理システム)とは?その機能とメリットを徹底分析

まとめ

  • 社員教育とは、企業側が社員に対して提供する教育のこと
  • 目的としては、社会人としての共通認識やマナーの習得、規律や規範の遵守の徹底、業務遂行のためのスキルの習得と向上、企業理念や風土の浸透などが挙げられる。それぞれの目的に応じた教育プログラムが作られる
  • 実施タイミングは大きく入社時、配属時、昇進時。年次や職位にかかわらず定期的に実施される教育プログラムもある
  • 実施形式は集合研修、e-ラーニング、自習形式、OJT型などがある
  • これらを理解した上で組み合わせ、最適な社員教育計画を策定し実行しよう

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