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2018年6月18日(月)更新

ワールドカフェ

「ワールドカフェ」方式と呼ばれる、話し合いの場が今注目を集めています。ビジネスシーンでは「活発とは言い切れない会議」が多いものです。もし、会議がちょっとした工夫で活発にできたら、さまざまな課題を解決できるきっかけになるかもしれません。本記事では、ワールドカフェ方式によって話し合いを活発にする基本的なやり方を紹介します。

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ワールドカフェとは

ワールドカフェとは、その名の通り、まるで「カフェ」にいるような雰囲気で、参加者同士がリラックスし、気軽で自由に対話ができるよう考えられた話し合いのやり方です。狭義では、「会議術」や「ファシリテーションのやり方」と見ることもできます。そもそもの始まりは1995年アメリカ・カリフォルニア州にてアニータ・ブラウン氏とデイビット・アイザックス氏の2名が知的資本経営に関わる専門家を招いた際に行われた会議が由来といえます。

ワールドカフェの効果

いわゆる「会議」は、堅苦しい雰囲気で行われるのが一般的です。そのため、柔軟なアイデアが出なかったり、発言者に対して問題や責任を追及したりするケースがよく見られます。 一方、ワールドカフェは、リラックスした場でそれぞれの意見が尊重され、柔和な雰囲気の中で自由に対話する方法です。少人数のグループにすることで発言機会が得やすいほか、途中で興味のあるグループに移動することで多様な意見に触れることができるため、情報量が増え、活発な話し合いができます。 また、話し合いのテーマに対して急いで解決策を出したり、合意形成したりすることよりも、対話を楽しむことを目的にしているため、お互いの理解を深めながら、さまざまな気づきや自由な発想、アイデアを生み出すことができます。

ワールドカフェのやり方

ワールドカフェの企画から開催までは、次のようなステップで行います。

開催目的の確認

ワールドカフェを開催するに当たり、目的を確認します。 ワールドカフェは、話し合うテーマに対して、急いで課題の解決策を見出したり、合意形成をして結論を出したりすることが目的ではありません。あくまでも自由に意見を出し合い、お互いの考えやその背景にある多様な価値観を知り、参加者の理解を深めることが目的です。 そこで、ワールドカフェを開催するときは、「なぜ、ワールドカフェを開催するのか」「なぜ、ワールドカフェ方式を用いるのか」を明確にしておくとよいでしょう。最も大切なのは、「リラックスしながら、楽しく話し合ってもらいたい」という思いです。 もし、成果として解決策や結論を見出したい場合は、別の手段も検討しましょう。

会場手配

参加人数を想定して会場を手配します。ワールドカフェは、必ずしも「カフェ」で行う必要はありません。職場やレンタル会議室などでも行うことができます。 ワールドカフェでは途中で席を移動することを考慮して、広さに余裕がある会議室を選ぶといいでしょう。また、プロジェクターやスクリーンなどの備品、飲食の可否も確認しておくといいでしょう。

開催案内

案内文を作成して参加者を募集します。 案内文には、「何のためのワールドカフェなのか」(目的)や「参加すると何が得られるのか」(価値)を端的に表現しましょう。他にも、会場、地図、日時、受付開始時刻、定員、参加費などを明記します。また、ワールドカフェを知らない方のために、簡単なワールドカフェの説明も入れておくといいでしょう。 告知の手段はチラシ、メール、ホームページ、ブログ、ソーシャルメディアなどを利用しましょう。広く参加者を募るために、新聞の告知欄や地域情報紙なども有効です。

当日内容と問いの確認

当日のスケジュールや時間配分を決めます。そのためにも、後述する「ワールドカフェのルール」を把握しておくといいでしょう。 また、ワールドカフェで利用する「問い」について検討します。ここでいう「問い」とは、開催目的に沿った「考えるきっかけ」です。「どうしたらこの課題は解決するだろう?」のように、人は「問い」をきっかけに考え始めます。それだけに、ワールドカフェにとって「問い」は重要な要素です。 「問い」は、ポジティブな話し合いになるように設定します。例えば、「なぜ、〇〇は問題なのか」という問いは、参加者の意識を過去の問題点や原因に向けます。一方、「〇〇をより良くするには?」という問いは、参加者の意識を未来や課題解決に向けます。

備品手配・役割分担

備品手配係、司会進行、対話中にグループを回るファシリテーターなど、準備担当や当日の役割を決めます。 また、ワールドカフェに必要な備品を手配します。一般的な備品は次の通りです。

会場全体で必要なもの

  • プロジェクター、スクリーン、
  • PC、延長コード、投影スライド
  • テーブル、いす
  • タイマー
  • ウェルカムボード

テーブルセッティングに必要なもの

  • 模造紙
  • カラーペン
  • トーキングオブジェクト(※1)
  • 簡単なお菓子や飲み物

※1:トーキングオブジェクトとは、1人の人が会話を占有せず、交代で意見がいえるようにするための小道具。クッシュボールやお手玉などが使われることが多い。トーキングオブジェクトを持っている人が意見をいうことができる。また、意見が少ない人に渡すことで、意見を促すこともできる。

事務手続き

  • 参加者リスト、名札
  • 当日の配布資料
  • 参加費のおつり、領収書

リマインド

参加者にイベントを思い出させる、気付かせるために、リマインドのメールを送ります。 早い段階で申し込みをした参加者は、イベントを忘れていることがあります。直前にリマインドのメールを送ることでイベントを思い出させ、参加意欲を高めます。「お会いできることを楽しみにしている」など、おもてなしの気持ちを伝えるといいでしょう。

会場設営

いよいよ当日です。会場に早めに入り、テーブルレイアウトやプロジェクターなど、ワールドカフェに必要な会場設営を行います。 テーブルは、ひとテーブルに4~5人座れるようにします。後述の「ワールドカフェのルール」で詳しくふれますが、ワールドカフェでは途中で参加者がテーブルを移動します。そのため、テーブル間隔は余裕を持たせてレイアウトするといいでしょう。各テーブルには模造紙とカラーペン、トーキングオブジェクトを準備します。 参加者のリラックスを促すツールとしてお菓子や飲み物を用意するのもいい方法です。お菓子は各テーブルに置く方法と、お菓子コーナーを作って自由に取っていただく方法があります。 また、この時間にスタッフ間のミーティングを行います。開催目的や、それぞれの役割を再度確認し、ワールドカフェの成功に向けてスタッフの意思を統一します。

受付

受付時間になる少し前から受付を始めます。 受付は参加者との最初の接点です。笑顔で、明るい声でお迎えしましょう。また、初めてワールドカフェに参加する人は緊張しているものです。「お待ちしておりました」など、安心できる言葉を添えるとよいでしょう。併せて、参加者名簿で出欠のチェックを行います。 参加費を当日徴収する場合は、おつり用として細かいお金や領収書を事前に準備しておくと便利です。また、このタイミングで配布資料を配るのもいいでしょう。

進行

いよいよ本番です。詳しい方法は後述する「ワールドカフェのルール」を参考にしてください。 開始時間になったら挨拶をし、ワールドカフェをスタートします。目的や趣旨を説明した後、参加者のレベルに応じてワールドカフェとは何か、どのようにやるのかを説明します。このとき、場の雰囲気を和ませるために、アイスブレイクを取り入れるのも有効です。 テーマに対する「問い」を提示し、話し合いをスタートします。時間が来たら終了の合図をし、数回のラウンド(話し合い)を繰り返します。 全てのラウンドが終了したら、話し合いの内容を全体で共有し、挨拶をして終了します。

片付け

備品を回収し、テーブルやいすを元の位置に戻します。ゴミの始末が必要な会場では所定のところに処理するか、持ち帰りましょう。 後片付けを含め、撤収作業は会場を借りている時間内に終えましょう。

フォロー

ワールドカフェ終了後、参加者に対してお礼のメールを送ります。主催者として感じたことや、ファシリテーターや参加者の気づきや感想などを集約し、共有するとよいでしょう。

ワールドカフェのルール

ワールドカフェは、次のようなルールで行います。

ルール

エチケット

ワールドカフェは、安全な雰囲気で、自由に活発な話し合いができるよう、最初に次のようなルールを参加者に伝えるといいでしょう。

  • テーマに焦点を当てる
  • 参加者との対話を楽しむ
  • 発言者の意見をよく聴く
  • 分からないことは質問して理解を深める
  • 自由な意見歓迎。発言者の意見は否定せず、多様な意見を受け入れる
  • 他の人のアイデアへの結合を歓迎する
  • 話し合った内容は視覚化できるよう模造紙に表現する

ワールドカフェの進行

ワールドカフェでは、20~30分を1ラウンドとし、3ラウンド行います。 1ラウンド目は、テーマ(問い)について自由に話し合います。気付いたこと、感じたことなどを模造紙に書き出します(落書き感覚でOK)。 2ラウンド目は、話し合いを発散します。ホストを1名テーブルに残し、それ以外の人は他の興味があるテーブルに移動します。ホストは、新しいメンバーと共に簡単な自己紹介をした後、1ラウンド目で話し合った内容や模造紙に書かれていることを新しいメンバーに伝え、共有します。その後、1ラウンド目の内容を広げるように、テーマに対して話し合いを深堀します。メンバーが変わり、いろんな視点が加わることで話し合いが発散します。 3ラウンド目は、全員が1ラウンド目で話し合ったテーブルに戻ります。2ラウンド目で他テーブルに移動して得た意見や気づきを統合し、テーマに対する意見をまとめます。 最後に、話し合った内容を参加者全員で共有します。

効果の薄いやり方

ワールドカフェの目的は「気軽に、自由に意見を話し合う」ことです。以下のような条件下では、効果が薄くなる恐れがあります。

  • 1テーブルあたりの人数が6人以上である
    ⇒人数が多いと、自由に話す時間が短くなるため、活発な意見交換がしづらくなります。
  • ファシリテーターやホスト役が話し合いを誘導する
    ⇒ファシリテーターやホスト役が話し合いを必要以上に誘導すると、話し合いに自由さがなくなってしまいます。
  • グループ毎の発表が必ずある
    ⇒話し合いの冒頭に「最後に発表していただきます」のように伝えてしまうと、「こんな感じにしておこう」という意識が働き、話し合いが収束してしまう恐れがあります。

ワールドカフェ事例

ここまでワールドカフェの基本的な開催方法を紹介してきましたが、実際にどのような形でワールドカフェは行われているのでしょうか。社会にさまざまな課題がある中、多様な意見を共有したり、柔軟なアイデアを出したりするために、各省庁や企業などでワールドカフェが行われています。そのいくつかを紹介しましょう。

文部科学省の男女共同参画社会推進のためのワールドカフェ

文部科学省では、男女共同参画推進のために「仕事・働き方」「結婚・こども」「趣味・暮らし・生活」「防災」「政治参画」「性的マイノリティー」などをテーマにしたワールドカフェを全国各地で開催しています。 参加者からは「自分が想像していたよりも、広い視野や考え方、生き方があることを知った」「自分の考え方に固持せず、多くの人の考え方に触れられたことで視野が広がった」「今まで自分1人や身近な人とだけで考えてきた未来像を初めて会う同世代の人たちと共有することで、自分との共通点や違う点を見つけられて、すごくよい経験になった」などの声が紹介されています。 文部科学省は、ワールドカフェの概要や企画の仕方、事例などをワールドカフェの実践手引書として公開しています。

日立ソリューションズ 働き方を考えるワークショップ

株式会社日立ソリューションズでは、「働き方を考えるワークショップ」をワールドカフェ形式で開催しました。外国籍や聴覚障害者の社員も参加し、多様な意見交換を行っています。 参加者からは、「絵や文字を積極的に活用することで、お互いの考えをより理解しやすく、新たな気づきを得ることができた」「多様な考えに触れることで自分の考えを深めることができた」などの声があがっており、同社では、「今後もさまざまな機会を通じて女性活躍の推進を図り、ダイバーシティやワーク・ライフ・バランスの実現を、経営方針の一つとして取り組んでいきます」と発表しています。

ワールドカフェを開催する団体

ワールドカフェは難しい方法論ではありませんが、円滑で活発な話し合いにするためには、相応の知識や実践が必要です。次の団体では、ワールドカフェの情報発信やイベントの開催、ファシリテーターの養成、研修などを行っています。

world café.net

ワールド・カフェ・ネットは、ワールドカフェの実践に必要な情報を紹介しています。また、さまざまなテーマのワールドカフェを定期的に開催しています。実際に参加することで、効果やメリットを体感できるでしょう。

human value

HUMAN VALUEは、組織の活性化や管理職・リーダーの育成に力を入れています。ワールドカフェを実践し、ファシリテーション能力を養うことができるワールド・カフェ・プラクティショナー養成コースを開催しています。

日本マンパワー

日本マンパワーは、新入社員・若手社員研修、中堅社員研修、管理職研修など、職場の課題解決のためにワールドカフェを用いた研修を開催しています。

書籍紹介

最後に、「ワールドカフェ」をテーマにした書籍をいくつか紹介します。

ワールドカフェをやろう

『ワールドカフェをやろう』香取 一昭、大川 恒(日本経済新聞出版社) ワールドカフェを日本に初めて紹介した筆者たちの解説書です。ワールドカフェの実際のやり方、実例、参加者やファシリテーターのポイントなどを紹介しています。

ワールドカフェ~カフェ的会話が未来を創る~

『ワールド・カフェ~カフェ的会話が未来を創る~』アニータ・ブラウン、デイビッド・アイザックス、ワールド・カフェ・コミュニティ(ヒューマンバリュー) ワールドカフェの提唱者、アニータ・ブラウンとデイビッド・アイザックスの著書です。「ワールドカフェをやってみよう」と思ったときに、どのような準備をしたらよいのかを、分かりやすく整理した解説書です。特に、「ワールドカフェとは何か?」「何が得られるのか?」といった、主催者やファシリテーターとしてのマインドを知るのに最適です。

まんがでわかるワールドカフェ

『まんがでわかる ワールド・カフェ』田邊 佑介(株式会社そだてる) ワールドカフェをマンガで解説した入門書です。初心者でもワールドカフェのイメージを容易につかむことができます。

まとめ

  • ワールドカフェは、「カフェ」のような雰囲気で参加者との対話を楽しむ方法
  • お互いの理解を深めながら、さまざまな気づきや自由な発想、アイデアを生み出すことができる
  • 話し合いは3ラウンド行う。途中でグループを移動することで多様な意見に触れることができる
  • 円滑で活発な話し合いにするためには、運営スタッフの相応の知識や実践が必要

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