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2018年8月12日(日)更新

アサーション・トレーニング

アサーショントレーニングにより、自分も相手も大切にする自己表現法「アサーション」を身につけることができます。これにより、自分の気持ちを制限することなく、お互いを尊重しながら自己表現し、うまくコミュニケーションをとることができれば、対人関係の悩みが解消されることでしょう。 ビジネスは人と関わることで成り立っていますので、多様な人物と関わり、自己表現、他者理解が重要となります。今回は、この「アサーショントレーニング」について解説していきます。

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1.アサーション・トレーニングとは?

自分と相手、双方を大切にしながら自己表現を行うコミュニケーションスキル「アサーション」。このアサーションを身につけるためのトレーニングが「アサーション・トレーニング」です。

アサーションの自己表現は大きく3つのタイプに分けられます。

【関連】「アサーション」とは?/BizHint HR

ノン・アサーティブ(非主張型)

自分よりも相手を優先し、自分を後回しにするタイプ。ドラえもんでいえば、のび太君のようなタイプです。

自分の意見を表現しなかったり、しそこなってしまったりします。

自己肯定感が低く、相手の気持ちや態度を考えてしまうために自己主張できずに、自分のことを分かってもらえないという気持ちが残ったり、後で言い訳をしてしまうタイプです。

アグレッシブ(攻撃型)

相手よりも自分の意見を優先するタイプ。ドラえもんでいえばジャイアンのようなタイプです。

自分の意見ははっきりと伝えるのですが、相手の気持ちを無視し、考えを押し付けたりします。

自分が一番という思いが強く勝つことにこだわり、攻撃的自己表現で自分勝手な行動をしたり、自分が優位になるように相手を操作しようとします。

アサーティブ(攻撃型と非主張型の黄金率)

自分の気持ちを正直に表現でき、相手の意見も大切にするタイプ。ドラえもんでいうと、しずかちゃんのようなタイプです。

その場にふさわしい表現で率直に自分の意見をいうことができます。

時には意見がぶつかることも踏まえていて、お互いに意見を出し合い、最終的に双方の納得のいく結論を出そうとする理想的なタイプです。

タイプの違いによる自己表現の例

行列に並んでいて自分の前に横入りされた時、どのような行動をとりますか?

  • ①ムッとして内心腹は立つが、相手には何も言わない。(ノン・アサーティブ)
  • ②割り込みしたことに対して怒り、列から外れるように言う。(アグレッシブ)
  • ③先に並んでいたことを伝え、後ろに並ぶよう丁寧に頼む。(アサーティブ)

アサーション・トレーニングとは、上記③のように自分と相手、両方を大切にした自己表現を身につけるトレーニングです。

相手の意見を尊重しながら、その場にふさわしい表現方法で自分の気持ちや考えなどを正直に伝えられるようになるコミュニケーションスキルを養います。

2.アサーション・トレーニングの必要性

自分と相手の両方を尊重することは、時に心の葛藤を起こすこともあります。

アサーション・トレーニングは、多くのカウンセリング経験を持つトレーナーが担当します。対人関係や苦手な相手とのコミュニケーションなど個人が抱える問題について、ひとつの正解を求めるのではなく、ひとりひとりが自分なりのアサーションを習得していくことを目指します。

アサーションは、相手を自分の思う考えに導くよう操作したり、無理にイエスを言わせようとするものではありません。お互いがそれぞれ自分の気持ちを率直に表現しながら、より良い関係を作っていくことが目的です。アサーションができるようになれば問題なく物事が進むようになり、人間関係の改善も見られるようになるでしょう。

しかし、それが短期的なものであれば無理に自己表現を行うことでストレスが溜まったり、精神状態が悪化するなどの恐れもあります。アサーションの達成感とは逆に、気づかぬうちにストレスを溜めてしまわないようにトレーニングにより自然に身についていくことが必要です。

ビジネスシーンでの必要性

「職場の風通しが悪くては生産性が上がらない」これはビジネスにおいてのコミュニケーションの重要性を物語っています。さまざまな人間が集まるビジネスシーンでは、年齢や立場、考え方や性格の違う人々との間で良好な人間関係を築いていくことが求められます。

ストレスは、人によってその原因も違えば感じ方も違います。中でも人間関係のストレスは厄介で、なかなか解決に向かうことができません。毎日職場で顔を合わせる相手との関係であれば、かなり深刻な問題です。社訓などで個人を尊重することを前提としていても、立場上イエスマンになってしまったり、「ノー」と言えないことでメンタルに不調をきたしてしまっては、自分を守ることができません。そして、会社としても有能な人材を失うことにもなりかねません。

従来から管理者研修においてコミュニケーションは必須です。アサーションにおける自他尊重の自己表現を身につけ、実践できることがビジネスの成功につながることは明らかです。

日常生活での必要性

苦手な人とのコミュニケーションは、多くの人の悩みです。誰にでも苦手な人というのはいるものです。出来るだけ関わらないようにしたいのが本音ですが、実際はそうはいかない場合も多いのではないでしょうか。

アサーション・トレーニングでは、苦手な人とでも良好な関係を築くことができるようになるヒントや技法を習得することができます。

私たちは知らず知らずのうちに自己防衛反応が働き、そのつもりがなくても苦手な相手に感情的な態度をとってしまったり、言いたいことをうまく表現できずに苦労しています。不思議なもので自分が苦手だと思っている相手も、自分のことを苦手と思っていたということがよくあります。言ってみれば、それはお互いにうまくコミュニケーションをとりたいという心理の表れともいえます。

アサーション・トレーニングを学び、自己分析することで自分のコミュニケーションパターンが分かり、考え方の方向転換ができるようになるでしょう。上手なコミュニケーションにより苦手な人たちとの関係がよくなれば、心の負担が軽くなります。

3.アサーション・トレーニングの効果

アサーション・トレーニングを行っていくことにより、どのような効果を得られるのでしょうか。ここではビジネスと友人間の例で効果を考えていきます。

ビジネスにおける効果

サービス業を中心として人と関わる職業のビジネスパーソンは、顧客の要望を聞き入れることが優先となり、結果的に自己犠牲を伴い「燃え尽き症候群」になりやすいと言われています。

熱心に仕事に取り組んでいた人が、ある時から急に意欲がなくなり無気力状態になってしまう。そうならないためにも、たとえ顧客であっても自分の意思を伝えることが大切です。

無理な依頼をされた時、「そのスケジュールでは難しい」「こういう方法ではいかがでしょうか」など、相手の意見も尊重しながら話し合うことで双方に良い状況を作り出すことが出来ます。これが、アサーションの効果です。

友人間における効果

いつも待ち合わせに遅れてくる友人と旅行に行くことになりました。

当日、その友人は30分以上も遅れてやってきて「ごめんね!」と謝りました。あなたはどんな返答をするでしょうか?「なんとも思ってないよ」「私も遅れてきたから大丈夫」など、その場を取りつくろうために不満な気持がありながらも適当に済ませてしまったら、旅行の間ずっとモヤモヤした気持ちが残ります。

いつも遅れてくるということは、あなたなら許してくれるという甘えがあるのではないでしょうか。

本当は不満に思っていることを上手に伝えれば、友人の考えや行動も変わるかもしれません。謝っている友人のことも尊重しながら、自分の気持ちを伝えるにはどのような言い方がよいでしょうか? 「遅れてきたのには理由があるのだろうけど(相手の気持ち優先)、待っている気持ちを考えてくれるなら、次からは約束を守ってほしい(自分の気持ち表現)」などと率直に伝えてみましょう。

結果、お互いに気持ちが通じ合い、これまでより良い関係を築くことができればアサーションの効果があったといえるでしょう。

「親しき中にも礼儀あり」という言葉があります。友人、親子、夫婦、恋人などの日常を会話を思い出してみて、「あの時はこうすべきだった」「こんな風に言えればお互いを尊重できた」など、まずは身近なところからアサーションを活用してみてはいかがでしょうか。

4.アサーション・トレーニングの実践例

それでは、アサーション・トレーニングの実践例を見ていきます。普段の仕事にも活かせる例を2つご紹介します。

上司からの無理な依頼を上手に断りたい

ビジネスの現場で上司からの仕事依頼は、手一杯の仕事を抱えていても断りにくいものです。自己主張できるタイプの社員であれば問題ないことでも、口下手で自分の意思を伝えることが苦手なタイプの社員には深刻な問題となります。かといって、どんな仕事も引き受けていては、実質的な負担も心の負担も溜まる一方です。

「悪いけど、すぐに急ぎの書類を作成してくれないだろうか」という上司の依頼を断りたいとき、どのように返答すればよいでしょうか?

  • 例①「はい、わかりました。」と仕方なく引き受けてしまう
  • 例②「今はちょっと忙しいので…」と言いにくそうに断る
  • 例③「それは、私の担当ではないので」と言って断る

②と③は断ってはいますが、あまり良い返答ではないようです。返事のしかたで相手の受けるあなたの印象はずいぶん異なります。いつも引き受けていれば、少し無理をしても引き受けてくれると思われるでしょう。はっきりと断れば、できないということは伝わりますが、このような断り方では印象はよくありません。

アサーションは、自分も相手も尊重するコミュニケーションです。この場合は

「今は○○の書類を作成していて時間がとれません。終わり次第取り掛かれますが、それでよろしいですか?」

と、自分の状況を説明し、こうであれば出来ると提案する方法が望ましいでしょう。

上司は早急に必要であればほかの人に依頼するでしょうし、少し待ってもあなたに依頼したいと思えばそうするでしょう。この返答により、自分の気持ちを伝えることができたので、次からは上司の対応も少し違ってくるかもしれません。

人に褒められたときの対応のしかた

人に褒められることは嬉しいことです。でも、その場に同期の社員がいたり、同じ仕事をして自分だけが褒められたりすると、恥ずかしかったり、返答に困ったりする場合もあります。そんなとき、どんな対応のしかたが適切なのでしょうか。

褒めてくれた相手と周りの人を尊重しながら、自分の意思を素直に告げる方法がよいでしょう。まずは、褒められたことに対し、素直に「ありがとうございます」と答えます。その上で「みんなの協力のおかげです」と付け加えたり、「ご指導のおかげです」や「また頑張ります!」などの返事ができると、自分も周りの人も気持ちがよくなり、良好な関係を築けます。

アサーション・トレーニングで場面ごとの表現のしかたについてイメージトレーニングがしていくことで、様々な場面で自然に表現できるようになるでしょう。

5.アサーション・トレーニング実施時のポイント

アサーションの基本は自他尊重の自己表現です。その心構えが4つあります。

  • 思いを率直に表現すること
  • 相手に対して誠実であること
  • 自分と相手が対等であること
  • 表現することは自己責任であること

なぜ自己表現することが難しいのか。まずは自分の感情と向き合い、受け入れることが重要です。

苦しんでしまうのは、感情の矛盾があるからです。「本当は断りたいのに引き受けてしまう」「本当は怒っているのに相手に伝えられない」そんなモヤモヤを取り除くためには、適度に表現することが重要です。それにより、自分の感情と行動が一致し、矛盾から解放されます。

アサーションは私(I=アイ)を主語として伝えることが重要です。まず自己を表現します。そして対等な相手に対して誠実であり、相手を尊重すること。自分の責任において、自信をもって会話するのです。

いくつか例をご紹介します。

  • 「あなたはいつも自分勝手な行動ばかりするので困る」
    Iメッセージにすると→ 「私はあなたが協力してくれたら、もっと良い仕事ができると思う」

  • 「あなたはいつも自分の話ばかりで聞く耳を持たない」
    Iメッセージにすると→「私はあなたに聞いてほしい話がたくさんあるから、時には聞いてほしい」

主語を「あなたは」から「私は」にすることで相手を責めるような表現でなく、自分はこう思っているからこうしてほしいという表現になります。

答えはひとつではありません。アサーション・トレーニングを繰り返すことで、その場に応じて自然な対応ができるようなります。

6.アサーション・トレーニングの参考書籍

改訂版 アサーション・トレーニング ―さわやかな〈自己表現〉のために

平木 典子 (著)

日本にアサーション・トレーニングを初めて紹介し、依頼その普及のために第一線で活躍されてきた平木典子先生による決定版といえる一冊です。

「あなたは必要な時、自分の意見がはっきり言えますか。頼まれごとをした時、自分の気持ちを偽らずに“イエス”や“ノー”が言えますか。また感情的にならずに話し合えますか。」私たちは、相手を傷つけることを恐れて“ノー”と言えずに断りたいことを引き受けてしまったり、不本意に自分を押し殺して後悔してしまいがちです。また反対に、必要以上に自分の意見を押しつけて後味の悪い思いをすることもあります。このようなギクシャクした人間関係ではなく、相手も自分も大切にする人間関係をつくる自己表現がアサーションです。価値の多様化、社会構造の変化が進む現在においては、人がそれぞれの違いを認め、その上で自分らしいコミュニケーションを行うことが求められています。アサーションは、そのための普遍的な黄金律を教えてくれます。 1993年の発売以来、累計部数10万部を超えるアサーション・トレーニングのマスターピース、「アサーション・トレーニング~さわやかな〈自己表現〉のために~」に、このたび大幅な加筆と改訂を行いました。 本書は、日本にアサーション・トレーニングを最初に紹介し、以来25年間その普及のために第一線で活躍されてきた平木典子先生による、原典にして決定版というべき1冊です。 (出典:Amazon著書ページより)

改訂版 アサーション・トレーニング ―さわやかな〈自己表現〉のために

アサーション入門――自分も相手も大切にする自己表現法 (講談社現代新書) 新書

平木 典子 (著)

第一人者が語るわかりやすい入門書です。

コミュニケーションがうまくいかないときや人間関係が難しいとき、「アサーション」を理解すると、関わりを建設的に変えることができます。

「自分も相手も大切にする自己表現」を意味するアサーションは、私たちの会話を心理学の知恵をもとに読み解き、日常のやり取りに変化と充実感をもたらすコミュニケーションの方法と関わり方です――<「はじめに」より> (出典:Amazon著書ページより)

アサーション入門――自分も相手も大切にする自己表現法 (講談社現代新書) 新書

マンガでやさしくわかるアサーション 単行本

平木 典子 (著), 星井 博文 (その他), サノ マリナ (その他)

心理療法としても、日常のコミュニケーションスキルとしても必要にされているアサーション。

第一人者として活躍する著者によるわかりやすい解説とストーリーマンガのサンドイッチ形式でアサーションの基礎を楽しく学べる一冊です。

地方エアラインで、キャビン・アテンダントとして働く出雲三江(26)。頼まれたら嫌とは言えない性格がわざわいして、仕事もプライベートもうまくいかず、ストレスをためる毎日。

そんなある日、空港で偶然出会った女性に、アサーションを紹介されますが…。

もうあきらめない!がまんしない!大切なことをしっかり伝え合う自己表現。自分も相手も大切にするコミュニケーション!

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

平木 典子 統合的心理療法研究所(IPI)所長。臨床心理士、家族心理士。津田塾大学英文学科卒業。ミネソタ大学大学院カウンセリング心理学修士課程修了。日本家族心理学会理事、産業カウンセリング学会理事。 1979~80年に在外研修においてサンフランシスコ州立大学で、家族療法、アサーション・トレーニングの訓練を受けたのち、1982年に日本人向けのアサーションを日本・精神技術研究所で開始。臨床心理士養成指定大学院において20年余、臨床心理士の養成・訓練に携わる傍ら、統合的心理療法研究所(IPI)を主宰して、心理療法の理論・技法の統合を追求し、統合を志向する臨床家との相互交流・研究活動を推進(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) (出典:Amazon著書ページより)

マンガでやさしくわかるアサーション 単行本

アサーティブ―「自己主張」の技術 (PHPビジネス新書) 新書

大串 亜由美 (著)

「言いたいことが言えない」「いつも相手を怒らせてしまう」「自信を持って自己アピールができない」等々、ビジネスにつきものである人間関係の悩み。

そんな悩みを解決してくれるコミュニケーション術「アサーティブ」のスキルとマインドを、年間250日以上の研修をこなす研修女王が徹底解説する本です。

気持ちよく伝えて気持ちよく「Yes」をもらう。たとえ「No」と言っても握手ができる。そんな気持ちのいい自己主張ができるようになり、対人関係を良好に変える一冊です。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大串 亜由美 株式会社グローバリンク代表取締役。 大学卒業後、日本ヒューレット・パッカード株式会社に入社。14年の人事部勤務において、採用/教育担当、女性活性化プロジェクトリーダー、海外派遣担当マネジャー、人事コミュニケーション・マネジャー、従業員意識調査プロジェクトリーダーを歴任。 1988~1990年、米国カリフォルニア州ヒューレット・パッカード本社にて人事部門の仕事に携わるかたわら、国際コミュニケーションについて学ぶ。その後、1998年にグローバリンクを設立。「国際的規模での人材活用・人事育成」をキーワードに、異文化コミュニケーションから、マネジメント、接客販売まで、ビジネスコミュニケーション全般の企業・団体研修、人材育成コンサルティング業務を手がける。研修実績は、6年連続で年間250日を超え、2006年は「年間277日」を記録(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) (出典:Amazon著書ページより)

アサーティブ―「自己主張」の技術 (PHPビジネス新書) 新書

まとめ

  • 「アサーション・トレーニング」とは、自分と相手、どちらも大切にしながら自己表現を行うコミュニケーションスキル「アサーション」を身につけるためのトレーニング法
  • アサーション・トレーニングは、多くのカウンセリング経験を持つトレーナーが担当する
  • アサーションはビジネスシーンでも重要な役割を担っている。4つの心構えをしっかり身につけて習得することが大切

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