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2018年8月12日(日)更新

アクティブリスニング

「アクティブリスニング」とは、積極的に話者の言葉に「傾聴」する姿勢や、その聴き方の技術を指す言葉で、管理職向けの研修などでも注目されているワードです。今回はそんな「アクティブリスニング」についてご紹介します。

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1.アクティブリスニングとは

アクティブリスニングとは

「アクティブリスニング」とはコミュニケーション技法のひとつで、主にカウンセリングの分野で用いられています。

これは、積極的に話者の言葉に「傾聴」する姿勢や、その聴き方の技術を指します。日本語では、「積極的傾聴」とも訳されます。

そもそも傾聴とは

「傾聴」とは、「真剣に聞くこと(大辞林第三版)」という意味。つまり、話者の話に丁寧に注意を払って「耳を傾ける」事を言います。

話者に聞きたい事をただ「聞く」のではなく、話者が伝えたいと思っている事を受容的な姿勢で「聴く」技術であり、お互いに理解を深め、最終的に納得のゆく結論を導きだすという目的も併せ持っています。

日本におけるアクティブリスニング

アクティブリスニングはアメリカで提唱された技術ですが、日本でも管理職に向けた人事研修などにおいて「必須の能力」として取り上げられています。

また、上司部下の関係のみならず、社内のチームの良好なコミュニケーションの構築、社外の顧客との人間関係や信頼関係の形成などを目的としたセミナーなども多数開催されています。

また、仕事だけでなく日常の人間関係を円滑に回すためのコミュニケーションスキルについて、書籍などで語られる際にも重視される手法です。

2.アクティブリスニングの特徴

アクティブリスニング生みの親

アクティブリスニングは、1957年「カウンセリングの父」と呼ばれる、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャース博士により提唱された技術です。

ロジャース博士は、心理相談の対象者を「患者」ではなく「クライアント」と名付けた人物。そして、現在ではスタンダードなカウンセリング手法「クライアント中心療法」を創始した人物でもあります。

楽観・肯定的な理論

このロジャース博士の理論は、「人間には自己実現の力が自然に備わっている」「カウンセリングの使命は、クライアントの成長と可能性の実現を促す環境を作ることにある」というものであり、「アクティブリスニング」もこの考え方に基づいたものです。

この考え方は、しばしばフロイト(オーストリアの精神科医・精神分析の創始者)の悲観論と比較して論じられます。

通常の「ヒアリング」との違い

それでは、同じ「きく」という意味を持つ「ヒアリング」と「リスニング」の違いを見てみましょう。まず、「ヒアリング」の元となる動詞の「hear」は意識せず耳に入ってくる「聞く」という意味。

一方、「リスニング」の元となる「listen」は意識して耳を傾ける「聴く」という意味です。

つまり、受動的か能動的かという点に違いがあります。

この能動的な「リスニング」をより積極的に行うのが「アクティブリスニング(積極的傾聴)」であり、話者の言葉に含まれる「事実」と「感情」を積極的に把握し、本質を明らかにすることで、話者自身が問題解決をする手助けを行うというものです。

3.アクティブリスニングの聴き手に必要な力

それではここで、カール・ロジャース博士が提唱した「傾聴の3条件」をご紹介します。これは、アクティブリスニングを行う際の、聴き手に必要な力とされています。

共感的理解

話者の立場に立って、その目線で物事を考え、理解する力の事です。

最終的には、話者の事を共感的に理解し、それを反映させることで、話者が自分自身の理解に至る事を助けます。

無条件の肯定的配慮(受容性)

話者の心情を、全面的に受け入れる精神的な姿勢のことを言います。

話者が自分自身を受容できていない場合には、こちらが良い面も悪い面も含めて受容する事で、話者は自分自身を見つめ直し、改めて受容できるようになる事を助けます。

自己一致

聴き手自身が、自分自身の考えや価値観などを否定したり、必要以上に良く見せたりするなどせず、「ありのまま」の姿で話者の前に存在している状態を言います。

聴き手がありのままの状態で居る事で、話者は心を開いて本音を言う事ができます。

4.企業における「アクティブリスニング」の有用性

マネージャー・管理職の必須能力

アクティブリスニングは、管理職の重要なマネジメントスキルの一つです。

このスキルを身につけ、組織の人間関係を円滑に回す事で、社内の風通しが良くなり、働きやすい環境を作る事ができます。また、部下の本音をうまく引き出す事で、個人の能力が発揮しやすくなります。

また、ハラスメントの防止にも繋がると言われています。

よくある間違い

部下に対してアクティブリスニングを行う際、つい管理監督者としての「自分」を押し出してしまい、先に挙げた「聴き手に必要な力」を発揮できていないケースも多く見られます。

アクティブリスニングを行う上では、途中で聴き手の意見を挟んだり、結論を急がないようにしましょう。まずありのままの自分で臨み、話者の立場に立って物事を考え、話者の全てを受け入れる姿勢を持ちましょう。

5.アクティブリスニングの実践方法

それでは、アクティブリスニングの実践方法を見てみましょう。実践する際の具体的なポイントは、「バーバル(言語)コミュニケーション」「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」に分けてご紹介します。

実践のポイント

アクティブリスニングを実践する際、まずは話者に集中しましょう。「真剣に聴いている」という事が伝わるよう、態度で表現します。

そして、話者の言葉だけの情報を鵜呑みにするのではなく、内面に秘めた感情を汲み取るよう努め、本来伝えたいと思っている事を感じ取る姿勢が大切です。

フィードバックを行う際には、自身の意見は挟まないという点が重要。

例えば部下を相手にすると、つい自分の意見を押し付けてしまいがちですが、それを飲み込み、「なぜそう思ったのか」など話者の話を広げる質問や「辛かったね」などの共感の言葉をかけ、心を開く努力をしましょう。

理想的な結果は、話者が自ら問題解決にたどり着く事です。

メラビアンの法則

1970年代初頭に、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが報告したこの「メラビアンの法則」は、「話し手」が「聞き手」に与える影響の構成要素を報告したものです。

  • 視覚情報…見た目、身だしなみ、表情(視線)など…55%
  • 聴覚情報…声の質・大きさ・速さ(テンポ)…38%
  • 言語情報…話す言葉そのものの意味…7%

このデータによると「非言語情報」所謂「ノンバーバルコミュニケーション」が9割を超えており、影響の大きさが伺えます。

この知識を踏まえ、具体的に「バーバルコミュニケーション」「ノンバーバルコミュニケーション」について見ていきましょう。

【参考】BizHint「ノンバーバル・コミュニケーション」
https://bizhint.jp/keyword/27645

ノンバーバルコミュニケーション

ノンバーバルコミュニケーションとは、「バーバルコミュニケーション(言語コミュニケーション)」と相対するもので、「非言語コミュニケーション」とも呼ばれます。

「言語」を使わず、それ以外の情報から話者の心情を読み取るコミュニケーション手法の事。人間の五感を多用したコミュニケーションで、話者の気持ちを目で見て、耳で聞いて、身体で感じる事で理解します。

視線

話者とは、なるべく視線を合わせるようにしましょう。視線を合わせる事で、心理的な距離が縮まる効果があるとも言われています。

視線を右往左往させたり、ずっと手元の資料を見るなど、あまり視線の合わない状態が続くと、話者に不信感を与えてしまいますので注意が必要です。

体勢(体の向きや仕草、姿勢)

話者の話を聞く時には、姿勢も重要です。体は話者の方に向け、聴き手自身もリラックスして臨みましょう。

ここでは、話者との距離も大切ですが、近過ぎても威圧感を与えてしまいますので、適度な距離感を掴みましょう。また、腕を組んだり手遊びをするなど、話者に不快感を与える仕草は禁物です。

声のトーン

声のトーンや大きさ、そして話のペースにも気を配りましょう。大きな声で話したり、早口でまくしたてると話者が萎縮してしまい、本音を聞き出す事ができません。

声のトーンやペースはなるべく話者のそれに合わせ、抑揚をつけて話にリズムを持たせましょう。

表情

表情とは、人間の感情や情緒が表に現れたもの。ノンバーバルコミュニケーションの中でも、最も多くの情報を持っていると言われているのが「表情」です。

話者の話に耳を傾けながら、時には笑顔、時には困った顔など、その内容に沿った表情に変えながら、話者に共感しているという姿勢を表し安心感を醸成しましょう。

スキンシップ

肩を支えたり、握手をするなどのスキンシップが、話者とのコミュニケーションの構築に有効な場合もあります。

ただ、「触られる事」自体を嫌う人も居ますので、臨機応変な対応が必要です。

バーバルコミュニケーション

バーバルコミュニケーションとは、「言語コミュニケーション」とも呼ばれます。その名の通り、会話(言葉)や文字によるコミュニケーションの事です。

相槌

相槌と一言で言っても、さまざまな言葉があります。「へえー」「うんうん」「なるほど」など様々なバリエーションがありますが、例えば「へえー」でも、つまらなそうに言うと、話者はそれ以上話す事をやめてしまいます。

逆に、興味深げに「へえー」と言うと、話者はさらに話を広げるでしょう。ここでは、ノンバーバルコミュニケーションについても意識しましょう。

共感のメッセージや繰り返し(おうむ返し)

アクティブリスニングにおける「傾聴の姿勢」を思い出し、まず話者の立場に立って考えましょう。そして、話者が話した事に対して「つらかったね」「寂しかったね」などの共感の言葉を使います。

また、話者の言葉を繰り返して聴き手が話す事で、話者の自問自答を促す事ができたり、「理解してくれている」という印象を与える事ができます。

オープンエンドクエスチョン

オープンエンドクエスチョンとは、話者の話の内容を広げるための質問の事です。「はい」「いいえ」で答えられる「クローズドクエスチョン」と相対するものです。

話者の話に共感しながら「いつ?」「どこで?」「だれが?」など5W1Hをうまく使いながら質問をしましょう。ただし、その質問が話者の負担にならないよう、言い方や内容にも気を配りましょう。

パラフレーズ(言い換え)

パラフレーズとは、話者が話した言葉を聴き手の言葉に言い換えて伝える事で、「自分に共感してくれている」「親身になって聞いてくれている」という印象を与える事ができます。

例えば「◯◯が悪くて落ち込んでいます」というエピソードも「◯◯が良くなれば解決するという事ですね」と言い換えると、話をポジティブに運ぶ事ができます。

まとめ

  • アクティブリスニングは、話者が伝えたいと思っている事を受容的な姿勢で「聴く」技術のこと
  • アクティブリスニングは、管理職やマネージャーにとって必須のスキル
  • アクティブリスニングを実践する際には、バーバル(言語)・ノンバーバル(非言語)両方のコミュニケーションを意識する必要がある

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