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2019年3月19日(火)更新

社会人基礎力

社会人基礎力とは『前に踏み出す力』、『考え抜く力』、『チームで働く力』の3つの能力で構成される『職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力』です。経営者や人事担当者が社会人基礎力を組織内で活用し、効果的に育成するために必要な情報やノウハウを、言葉の持つ意味や定義、高める必要性と社会的背景、組織が得られるメリット、組織内における育成方法にわけて解説致します。

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社会人基礎力の意味とは

社会人基礎力とは、ダイバーシティ(多様性)の促進や日本企業のグローバル化が進む昨今のビジネス環境において、多様な人材と協力し合い、自身の保有している知識やスキルを余すことなく活用するために必要不可欠な基礎的な能力の総称です。

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社会人基礎力の定義

企業経営者や人事担当者、教育関係者、NPO法人や行政など、産学官の有識者を集めて結成された『社会人基礎力に関する研究会』は、平成18年1月に公表した『社会人基礎力に関する研究会-「中間取りまとめ」- 』の中で、『職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力』と社会人基礎力を定義しています。

【参考】社会人基礎力に関する研究会-「中間取りまとめ」-

世界中が注目する社会人基礎力

【出典】「社会人基礎力」育成のススメ~社会人基礎力育成プログラムの普及を目指して~/経済産業省

パフォーマンスの最大化や潜在能力の引き出し、チームワークの活用といった戦略的人材開発に意欲的な姿勢を示す諸外国は、社会人基礎力の重要性にいち早く気付き、能力定義や能力育成に取り組んできました。

国民性や価値観により、社会人基礎力に対する能力定義や含まれる能力要素にわずかな差異はありますが、いずれも『様々な状況に応じて保有している知識やスキルの見直しや組み合わせを行うことで新たな価値や可能性を生み出す』ことを目的としていることに変わりはありません。

社会人基礎力の国内認知度

【出典】大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査/経済産業省

平成21年度に経済産業省が実施した『大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査』の調査結果によると、社会人基礎力という概念を知っている企業人事採用担当者は44.1%、日本人学生は32.2%、外国人留学生は29.8%となっており、日本国内における社会人基礎力の認知度がまだまだ低いことが分かります。

社会人基礎力向上を目指すべき理由と社会的背景

社会人基礎力は、激動のビジネス社会を生き抜くことのできる組織作りに欠かすことのできない、人材の確保と育成に大きな関わりを持つ重要な要素です。その重要性を正しく理解するため、社会人基礎力向上に向けて日本政府が多くの施策を実施している理由と、社会的背景について知識を深めていきましょう。

時代変化に伴う知識やスキル活用の困難化

現状をより良いものへと変え、自身の思い描く理想の人生へと近づけるため、学生の多くは教育プログラムに基づいた基本的な学習内容とは別に、将来就きたい職業に関する専門的な知識の習得やスキルアップを自主的に実施しています。

しかし、どれだけ優れた専門知識を身に付け、スキルを磨き上げたとしても、その知識やスキルを職場や地域社会の中で最大限に活かすことができなければ何の意味もありません。

かつての日本は専門性に強いこだわりを持ち、業務内容に特化した知識とスキルを要する仕事が中心であったため、大学や専門学校で身に付けた知識や技術を活用することがそれほど難しくありませんでした。そして、そのような環境下では『知識やスキルを現状に照らし合わせながら柔軟に活用する能力』を意識的に扱う機会が少なかったため、このような能力は子供から大人への成長過程において自然に身に付いていくものだと考えられてきました。

しかし、工業技術の高度化やIT技術の飛躍的進歩、グローバル化などの影響を受け、商品(製品、サービス)のライフサイクル短期化や多種多様なニーズが発生した結果、これまで当然のように行えていた学生時代の知識やスキルの活用が困難になっていったのです。

大きな時代変化の中で、学生時代に培った知識やスキルを活用しきれていない若手社員が急速的に増加したことによって、社会人基礎力は自然に身に付くものではなく意識的に身に付けなければならないものだという認識が広まることになりました。

ジョブ型採用の増加と終身雇用制度の崩壊

かつての日本経済は三種の神器と呼ばれる『終身雇用』、『年功序列』、『企業別組合』という3つの特徴を持つ日本的雇用システムによって支えられてきましたが、日本経済の長期低迷によって終身雇用制度や年功序列賃金は事実上の崩壊を迎えました。また、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ変更する企業の増加や勤労者意識(労働感)の変化により、以前に比べて中途採用者の力を活用する機会が格段に多くなりました。

この厳しい現代社会を生き抜くことができる強い組織の構築と中途採用者の組織定着、早期戦力化を実現させるために欠かすことのできない社会人基礎力に注目が集まることは、至極当然であるといえるでしょう。

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広がり続ける企業と学生の意識のギャップ

学生側は思い描く理想の人生の実現と希望する企業への就職のために就職活動を行い、企業側は更なる組織成長に向けて共に協力し合える仲間を求めて求人活動を行います。このような関係性から、学生は企業の人事担当者が探し求めている人材像を具体的にイメージして、筆記試験や採用面接に対する準備や対策を進めることになります。

しかし、保有スキルや不足スキルの評価に対して学生と企業の間に大きな意識格差が存在していることにより、就活現場に大きな混乱が生じているのです。

【参考】大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査/経済産業省

前述の『大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査』では、学生と企業の間に存在している意識格差の詳細も明らかとなりました。上の表は調査に対する企業人事採用担当者と日本人学生の回答結果から一部項目のみ抜粋してまとめたものですが、この表から以下のことを読み取ることができます。

  • 細かな違いはあるが、1~6位に入っている項目が一致していることから『社会に出て活躍するために必要だと考える能力要素』についての認識に大きな差はないといえる
  • 企業は学生に対して『コミュニケーション力』、『主体性』、『一般常識』、『粘り強さ』が特に不足していると感じているが、自己評価においてこれらの要素が不足していると感じた学生は1割にも満たない
  • 学生は『チームワーク力』や『粘り強さ』を保有していると感じているが、企業は社会人として求められるレベルにまで達していないと評価している

このような意識格差を解消し、学生と企業の両方にとって望ましい結果を生み出すため、経済産業省は小中学校での『キャリア教育』の実践や高校生の職場体験、小中学校の新人教員研究への導入、大学に対する社会人基礎力育成普及の取り組みなど、学校教育に対する多くの政策を進めているのです。

組織側視点における社会人基礎力の重要性とメリット

どのような環境下でも集団の一員として自分の強みを最大限に活かすことのできる人材を育成するため、義務教育期間と高校、大学生活を通じて、社会人基礎力を向上させるための様々な政策や取り組みが実施されています。また近年では、組織内における人材育成戦略に社会人基礎力向上プログラムを組み込む企業も増えています。

新卒者や従業員の社会人基礎力が向上することによって、組織は次のようなメリットを得ることができます。

採用現場におけるミスマッチの減少と採用コストの削減

【出典】大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査/経済産業省

多くの企業において採用基準や採用指標、採用ポリシーと社会人基礎力が合致していることから、経済産業省の実施したアンケートに対して全体の半数を超える企業の人事採用担当者が、『採用選考における人材評価の要素や人材育成に社会人基礎力を活用する』と回答しています。

それはつまり、学生たちにとって社会人基礎力に対する理解を深め、在学中の部活動やサークル活動、ボランティア活動やアルバイト経験などを通じて社会人基礎力に含まれる各能力要素の向上を図ることが、就職活動を有利に進めるために有効であることに他なりません。

多くの学生は厳しい就職戦線を勝ち抜くための努力を惜しむことはないため、学生内での社会人基礎力の認知度が向上すれば自ずと採用現場におけるミスマッチも減少することになります。

日本政府が就職支援の一環として大学教育における社会人基礎力育成を推進し、採用現場でのミスマッチを減少させることによって、組織は優秀な人材を獲得するための採用コストを大幅に削減することができるでしょう。

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採用担当者の負担軽減と採用プロセスの合理化

『組織に多くの利益と可能性を与えてくれる人材』や『これからのビジネス社会と組織をリードしてくれる存在となりうる人材』などといった曖昧な表現ではなく、社会人基礎力の構成要素を評価対象とすることによって採用基準は明確となり、採用担当者(面接者)の採用負担は大きく軽減されることになります。 また、求職者の保有する社会人基礎力を測定、診断するツールを導入して活用することにより、採用プロセスの短縮や合理化を図ることができるようになります。

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後継者や次世代リーダー、経営幹部候補としての期待

社会人基礎力に含まれる能力要素はどの組織階層においても高い効果を発揮しますが、その中でも特にトップマネジメント層(最高経営者層)の人間に保有させることによって、組織の成長速度や成長可能性に大きな影響を与えることができます。

経営者や人事担当者が社会人基礎力の重要性を正しく理解し、組織内人材の社会人基礎力を意識的に高めることによって、これまで以上に高度で緻密な人材活用戦略を立てることが可能となるでしょう。

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グローバル人材としての期待

社会人基礎力は変化し続ける現代社会を生き残るために必要不可欠な力であり、ダイバーシティを全面的に受け入れることのできるグローバル社会の要です。

国外市場への進出や外国人従業員の新規雇用といった組織のグローバル化を進める際、プロジェクトの中心人物に国外市場や現地事情に関する専門的知識と高い社会人基礎力を持ち合わせた人材を起用することにより、施策の成功率や安定性を大幅に上昇させることが可能となります。

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社会人基礎力の3つの能力と12の能力要素

労働者本人や所属団体に対して多くの効果をもたらしてくれる社会人基礎力ですが、その構成要素を正しく理解しておかなければ活用することはできません。『社会人基礎力に関する研究会』は社会人基礎力の構成要素として、3つの能力と12の能力要素をあげています。

要素別に具体的イメージと必要性、効果的アプローチ方法を学んでいきましょう。

前に踏み出す力(アクション)

1つめの能力は『前に踏み出す力』です。

激変し続ける現代社会において恒常的な正解は存在しません。そのため、社会人として活躍するには失敗を恐れず、仮に失敗したとしても再び立ち上がって前を向き、粘り強く一歩ずつ確実に前へと進んでいく強さが必要となります。

『前に踏み出す力』には『主体性』、『働きかけ力』、『実行力』という3つの能力要素が含まれています。

主体性

主体性とは『物事に進んで取り組む力』です。

上司や先輩に指示されたから仕事を行うのではなく、前向きな姿勢による取り組みが自分自身にプラスの影響として返ってくることを心から信じ、『自分がやるべきこと』や『今の自分にできること』の見極めを自発的かつ積極的に実施することができる能力のことを指します。

プラス思考(ポジティブシンキング)への転換や積極性向上に有効な施策を実施し、働く理由を労働者自身の中で明確にすることによって、主体性へ効果的にアプローチすることができるでしょう。

働きかけ力

働きかけ力とは『他人に働きかけ巻き込む力』です。

現在の状況を正しく分析し、状況改善に周囲の人間の協力が不可欠であると判断した際に、人々の心に前向きな印象を与える声掛けを行うことによって協力者を集めることができる能力のことを指します。

強い意志を持ち、常に明るい表情を心掛け、状況判断力やコミュニケーション力、提案力、説得力などの要素を高めるために有効な施策を実施することによって、働きかけ力へ効果的にアプローチすることができるでしょう。

実行力

実行力とは『目的を設定し確実に行動する力』です。

自ら目標を設定し、的確な判断、分析、対応により当初のイメージ通りに計画を実行する能力のことを指します。

目標設定力や決断力、情報分析力、対応力、チャレンジ精神などの要素を高めるために有効な施策を実施することによって、実行力へ効果的にアプローチすることができるでしょう。

考え抜く力(シンキング)

2つめの能力は『考え抜く力』です。

各種技術の高度化に伴い、職務遂行上で発生する問題やトラブルの難易度も年々上昇の一途をたどっています。そのような環境の中で大きな成果をあげるためには、常に問題意識を持ち、課題発見に努め、解決するための方法やプロセスを考え抜く力が欠かせません。

『考え抜く力』には『課題発見力』、『計画力』、『創造力』という3つの能力要素が含まれています。

課題発見力

課題発見力とは『現状を分析し目的や課題を明らかにする力』です。

目標をしっかりと見据え、その達成に向けて必要な課題の洗い出しを行う能力のことを指します。

状況分析力やクリティカルシンキング(批判的思考力)、俯瞰力などの要素を高めるために有効な施策を実施することによって、課題発見力へ効果的にアプローチすることができるでしょう。

計画力

計画力とは『課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力』です。

複数存在する課題に対して取り組む際の優先順位を設定し、最適な解決プロセスの構築、準備を行う能力のことを指します。

実戦経験を積み重ねることによってビジネスセンスを磨き、ロジカルシンキング(理論的思考力)や状況分析力、先見性などの要素を高めるために有効な施策を実施することによって、計画力へ効果的にアプローチすることができるでしょう。

創造力

創造力とは『新しい価値を生み出す力』です。

多角的視点と独創的な発想により、先入観や常識に縛られることのない斬新で魅力的な商品やサービス、イノベーションなど創造性の高い新たな価値を次々に生み出すことのできる能力のことを指します。

固定観念や偏見を排除し、直感力(ひらめき力)や独創性、発想力、自信などの要素を高めるために有効な施策を実施することによって、創造力へ効果的にアプローチすることができるでしょう。

チームで働く力(チームワーク)

3つめの能力は『チームで働く力』です。

職種の細分化や業務内容の専門化により、多くの組織においてチームワークの重要性が高まっています。大きな目標を達成することのできる強い組織を構築するためには、自分の意見を伝えると同時に相手の意見を受け入れ、チームメンバー全員の思考や知識、保有スキルを共有することで困難課題解決の糸口を見つけ出すことができる、ダイバーシティ(多様性)への深い理解とチームワークが必要なのです。

『チームで働く力』には『発信力』、『傾聴力』、『柔軟性』、『情況把握力』、『規律性』、『ストレスコントロール力』という6つの能力要素が含まれています。

発信力

発信力とは『自分の意見をわかりやすく伝える力』です。

自分の意思や考えを理論的に整理し、相手に正しく受け取ってもらえるよう創意工夫を凝らしながら伝える能力のことを指します。

情報整理力やコミュニケーション力、提案力、表現力などの要素を高めるために有効な施策を実施することによって、発信力へ効果的にアプローチすることができるでしょう。

傾聴力

傾聴力とは『相手の意見を丁寧に聴く力』です。

想いを打ち明けやすい環境を構築することによって萎縮や躊躇といった負の感情を取り除き、適切な相槌や質問を行うことによって相手の真意を引き出す能力のことを指します。

アイスブレイクの重要性を十分に理解させた上で社会的感受性(ソーシャルセンシティビティ)やコミュニケーション力、受容性などの要素を高めるために有効な施策を実施することによって、傾聴力へ効果的にアプローチすることができるでしょう。

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柔軟性

柔軟性とは『意見の違いや立場の違いを理解する力』です。

相手の立場や想いを尊重し、多様な発想や価値観を前向きに受け入れる能力のことを指します。

ダイバーシティへの理解を十分に深め、協調性やポジティブ思考などの要素を高めるために有効な施策を実施することによって、柔軟性へ効果的にアプローチすることができるでしょう。

情況把握力

情況把握力とは『自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力』です。

現状の分析により、チームや組織、集団内における自分の立場や役割、周囲の人間との関係性を正しく把握する能力のことを指します。

組織目標やチーム目標の周知徹底を行い、周囲の人間に対する関心と理解を深めた上で、状況分析力や判断力などの要素を高めるために有効な施策を実施することによって、情況把握力へ効果的にアプローチすることができるでしょう。

規律性

規律性とは『社会のルールや人との約束を守る力』です。

自分を律することにより、法律や条例、就業規則など属している環境に存在するルールに則った言動を行う能力のことを指します。

自身の属する組織や団体、地域に存在するルールを正しく把握し、モラル(倫理観や道徳観)や一般マナー、一般教養、自律心、自制心などの要素を高めるために有効な施策を実施することによって、規律性へ効果的にアプローチすることができるでしょう。

ストレスコントロール力

ストレスコントロール力とは『ストレスの発生源に対応する力』です。

ストレスの原因であるストレッサーへの適切な対処やポジティブ思考による発想の転換などによって、ストレスによるダメージを軽減、消失させる能力のことを指します。

ストレスマネジメントやストレスコーピング(ストレス対処法)の重要性を学ぶことができる研修やセミナーを実施、活用することによって、ストレスコントロール力へ効果的にアプローチすることができるでしょう。

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社会人基礎力の育成方法

経済産業省が開催する社会人基礎力育成グランプリが、ゼミや研究室で意欲的に活動している大学生を対象としていることから、社会人基礎力には課題解決型学習(プロジェクト型授業)や調査研究、体験型実習、行事やイベント、授業以外の場における活動内容など在学中に得られる様々な経験を通じて高めていくものだというイメージが強く付いています。

しかし、経営者や人事担当者が社会人基礎力の構成要素に好影響を与える要素について正しい知識を身に付け、様々な組織戦略や施策と関連性を持たせながら戦略的に取り組むことによって、組織内においても社会人基礎力を高めることが可能となるのです。

組織内での社会人基礎力育成を実現させる取り組みとして次のようなものがあげられます。

内定者フォロー研修や新入社員研修におけるeラーニングの活用

社会人基礎力は実体験や気付きなど、知識の習得やスキルアップとは異なるアプローチによって高まりやすい性質を持っています。 しかし、どれだけ価値ある経験をしたとしても『社会人基礎力とは何か』という概念そのものを正しく理解しておかなければその後の社会人生活に活かすことはできません。

基本的知識や概念は早期に学んでおくことが望ましく、組織であれば入社段階が最適なタイミングであると考えられます。 多くの企業において内定者フォロー研修や新入社員研修のメイン教材または補助教材としてeラーニングを活用していますが、eラーニングの学習内容の一部に社会人基礎力に関する学習コンテンツを追加することにより、新入社員全員にスタートアップの段階で社会人基礎力の概念と高め方を正しく理解させることができるでしょう。

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コミュニケーションを重視したディスカッションやディベートの実施

学生や若手社員に不足しがちなコミュニケーション力を高めるためには、ディスカッションやディベートが非常に有効です。討論とは、与えられたテーマに対して異なる立場に分かれた個人またはグループがそれぞれ自分の立場の正当性を主張し合うものであり、一見コミュニケーションとは相反するものに思えますが、実は深い繋がりを持っているのです。

他者の言葉に耳を傾けず、自分の想いや主張を一方的に押し付けるだけでは周囲の人間から高い評価を得ることはできず、討論相手に揚げ足を取られることにもなりかねません。そのため、討論には相手の意見に耳を傾けて訴えている内容を正しく理解する傾聴力や理解力、相手の表情や声の抑揚から感情を読み取る社会的感受性、相手の言葉を流用しながら自分の主張を展開する提案力など、コミュニケーションに関する多くの要素が欠かせないのです。

一般的なディスカッションやディベートを実施するだけでも一定の効果を得ることはできますが、社会人基礎力向上という目的を明確にした上でコミュニケーションを十分に意識させながら実施することにより、更に高い効果を得ることが可能となるでしょう。

プロジェクトの活用

主体性や粘り強さ、チームワーク力を育成するためには多くのプロジェクトに参加させることが有効です。

異なる目的やチーム編成を持つ複数のプロジェクトに所属することによって、それぞれの環境の中で自分に何ができるのかを主体的に考え、必要に応じてチームメイトの力を借りる感覚を身に付けることができるようになります。

育成対象者の主体性やチームワーク力が高まっていることを確認できたら、徐々に難易度の高いプロジェクトへと移行していきます。主体性やチームワーク力を身に付けた育成対象者は、自分の限界を勝手に決め付けることなく、プロジェクト達成に向けて粘り強く前向きな姿勢で取り組むことができるようになるでしょう。

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正しい自己認識をサポートできる評価環境の整備

社会人基礎力育成を妨げる一番の原因は自分の能力や性格を正しく認識していない人物による自己評価です。精度の低い自己評価は、社会人基礎力の不足に気付けなかったり、高い社会人基礎力を身に付けているにもかかわらず自信を喪失してしまったりと多くの問題を引き起こします。

このような状況を回避し、育成対象者に不足している能力要素の洗い出しを行うためには精度の高い他者評価と十分なフィードバックが必要です。社会人基礎力診断シートの導入や評価者と被評価者のコミュニケーション機会の増加、ポイントを押さえた的確な指導技術など、正しい自己認識をサポートできる評価環境の整備を進めることにより、社会人基礎力を育みやすい職場環境を構築することができるでしょう。

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まとめ

  • 社会人基礎力とは多様な人材と協力し合いながら自身の知識やスキルを存分に活用するために必要な基礎的能力の総称であり、入社間もない若手社員や20~30代の若者に不足している傾向がある
  • 英語で『Basic skills』や『Core skills』などと訳されている通り、社会人基礎力には基本的でありながら社会人生活を有意義に過ごすためのコアとなる『前に踏み出す力』、『考え抜く力』、『チームで働く力』という3つの能力と12の能力要素が含まれている
  • 様々な社会的背景により社会人基礎力向上の必要性は高まっているが、日本国内における社会人基礎力の認識率は決して高いものではない
  • 経営者や人事担当者など人材育成戦略に大きく関わる人物が意識的かつ戦略的に取り組むよう努めることによって、組織内でも社会人基礎力育成を実施し、多くの成果を得ることができる

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