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2018年11月12日(月)更新

インバスケット思考

仕事をしていると、複数の案件を抱えてしまいその処理の優先順位などに迷うことがあります。インバスケット思考はそんな場面を想定して行うトレーニングゲームですが、それはどのようなものであり、そして、どのような効果が期待できるのでしょうか。

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インバスケット思考とは?

インバスケット思考とは、ビジネスに必要な能力を向上させるための思考トレーニングの一種です。大量のタスクを素早い判断で処理していくものなのですが、まずは言葉の由来とルールについて解説します。

インバスケットは未処理箱のこと

インバスケットとは、まだ未対応となっている業務書類がたまっている箱、すなわち未処理箱をイメージした言葉です。教育ツールとしても活用される思考法であり、ビジネスゲームの一種です。架空の立場になりきり、制限時間内に多くのタスクを、なるべく高い質を保って処理していきます。

インバスケット思考を行うときのルール

インバスケット思考を行う際にはいくつかのルールがあります。それは問題を設定するときのものでもあり、なおかつ、実際に思考を進める場面でのものでもあります。数は多くありませんが重要なものですから、問題解決スキルを高めるために必ず守るようにしてください。

  • 架空の人物設定をし、それになりきる
  • 制限時間を設け、その中で思考する
  • 多くの課題を設定し、それを処理することを自分で考える
  • 絶対的な正解はなく、自由回答の形式である

インバスケット思考では、実際に起こりうるビジネスの場面を仮想的に設定し、処理すべきタスクや案件を設けます。タスクや案件はいくつもあり、それらをどのように処理していくのが適切なのかを考えます。必ず時間制限を設け、無理にでもその時間内に答えを見つけ出そうとしなければいけません。

自身のトレーニングとして、自分の思考力によって問題解決の方法や手順を見つけるようにします。あらかじめ決まった答えが用意されているわけではなく、いろいろな回答があり得るというのが大きな特徴の1つです。

インバスケット思考で身につく力

上記のルールで行われるインバスケット思考によって、どのような能力が身につくのでしょうか。代表的なものを紹介します。

優先順位をつける力

インバスケット思考では、必ずしも同時には行えないという複数のタスクや案件が課題として設定されます。それを短い時間でこなすためには、どのような順番で処理するのが良いのか考える必要が出てきます。

中には時間的に無理があって後回しにしなくてはいけないものが発生することもあります。自分が置かれた状況に応じて、物事に適切な優先順位をつける力が鍛えられます。

問題を発見して解決する力

設定された課題の中には、顕在的な問題もあれば潜在的ですぐには分からない問題もあります。それを見つけて解決しなければ全体としての目標には到達できません。したがってこの思考法を繰り返していくうちに、問題発見力と問題解決力の両方のスキルが高められるのです。

意思決定をする力

限られた時間の中で優先順位を決定するには、どこかで決断をしなければなりません。そのときに優柔不断な思考をしていると無駄に時間ばかりが過ぎていきます。自らの考えにもとづいて、行動に対しての判断を下していくことになるので、意思決定の能力、すなわち決断力も向上します。また、素早い意思決定ができるようになることで生産性の向上も期待できます。

戦略思考で組織を動かす力

優先順位をつけていくときには、課題の先にあるさらに大きな目標や目的に沿って考える必要があります。会社の場合はそれが企業理念や事業戦略であり、これらを実現するために現場におけるタスクがあります。

大きな目標のためにある細かい業務を、効率よく効果的に実施していくためには戦略的な考え方が必要であり、これが身につくのもインバスケット思考のメリットです。そして、その能力を活用してリーダーとして組織を動かす力がつくということも大いに期待できるものとなります。

インバスケット思考で重要な優先順位の判断

インバスケット思考の課題に取り組むときに、もっとも重要なことの1つが優先順位の判断です。これはそれぞれのタスクや案件が持っている重要度と緊急度を基準にして考えるのですが、どのような基準で判断をしていけば良いのでしょうか。

重要度

重要度とは、そのタスクや業務のビジネス上の価値になります。金額に換算できるものであればその大小で、換算できないものであれば、会社の事業や経営に対する影響度の大きさでも考えられます。

緊急度

緊急度とは、そのタスクや業務を処理しなければならない期限までの時間の短さです。処理期限までの猶予が短いほど緊急度が高いということになります。

2軸で考える時間管理

優先順位をつけるときに考えるのは重要度と緊急度です。この2つの項目を縦軸と横軸として考え、4つに分類される枠組みで優先順位をつけていきます。

このときに注意しなければいけないのは、「緊急度は高いが重要度が低い」ものと、逆に「緊急度は低いが重要度が高い」ものの順番です。期限が迫っていると優先して取り組まなくてはいけないような気になりますが、より重要であって事業への影響の大きなものから先に取り組むようにしましょう。

つまり、「緊急度は低いが重要度が高い」ものを優先します。

1から順に優先順位を高くします。

  1. 緊急度が高く、重要度も高い
  2. 緊急度は低いが、重要度が高い
  3. 緊急度は高いが、重要度が低い
  4. 緊急度が低く、重要度も低い

会社におけるインバスケット思考の活用

会社組織の運営の中でインバスケット思考を取り入れる企業が増えてきました。特に昇進試験や社員研修など、人事部門が関わるような場面で採用されています。

管理職登用試験

インバスケット思考によって身につく能力は、組織内でリーダーとなる管理職層に必須のものといえます。また、このトレーニングゲームの手法は課題に臨んで答えを導き出すというもので、その回答を評価することで能力の評価をすることが可能です。

このことから、管理職登用試験においてインバスケット思考を採用する企業が見られるようになりました。また、管理職を目指す社員にとっては、インバスケット思考を使った試験対策の勉強をすることが、自身の能力を高めて目標に近づくための研鑽ということにもなってきます。

社員の能力開発

インバスケット思考のトレーニングで得ることができる能力は、管理職以外であっても有用です。しかも特定の職種に限らずに必要となるようなスキルを多く含んでいますから、いろいろな層の社員教育の場面で活用されています。新入社員研修から中間層の研修、また、管理職になったあとにさらにスキルアップを図るための能力開発として利用している企業も少なくありません。

インバスケット思考を学べる書籍

ここで、インバスケット思考を学べる書籍をご紹介します。インバスケット思考に関する書籍で有名なのは、鳥原隆志氏が執筆している作品です。鳥原氏は自らインバスケット思考について学んだ後に教材開発会社を設立し、法人向けのサービス等を提供しています。

インバスケット思考に関連する書籍の多くは鳥原氏によるものですが、中でも入門書としてふさわしいのが「究極の判断力を身につけるインバスケット思考」です。また、これに続く中級編として「一瞬の判断力があなたを変えるインバスケット思考2」というものがあり、思考トレーニングに慣れていない人は順番に読むと良いでしょう。

そして、管理職登用試験に向けた実践的な課題に挑戦したいという人には「世界一わかりやすい『インバスケット思考』」が良いでしょう。こちらは、前述のものより手応えのある設問を掲載しており、問題の中にある情報をしっかり読み解き、本質を見抜く力が養えるものになっています。

その他にも鳥原隆志氏の関連書籍はたくさんあるので、自分に合ったものを見つけて学んでみてはいかがでしょうか。

【参考】鳥原隆志 オフィシャルサイト
【参考】究極の判断力を身につけるインバスケット思考
【参考】一瞬の判断力があなたを変えるインバスケット思考2~中級編~
【参考】世界一わかりやすい「インバスケット思考」

インバスケット思考トレーニングの例題

最後に、インバスケット思考の簡単な例題を紹介します。あまり難しくはありませんが、インバスケット思考で大切な、重要度と緊急度に注目して考えてみましょう。

問題

あなたは会社で営業職に就いていて、1,000万円規模の取引きが見込まれる商談のための企画書を作成しています。そして、そのプレゼンは三日後に迫っています。

仕事の合間に一息をついていると、経理部から来ているメールに気付きました。先月の出張費精算のときに書類の記入ミスがあり、このままでは自分が1,000円ほど損をしてしまうというのがそのメールの内容です。

経理部における処理期限の関係で明日の午前中に書き直した書類を提出しなくてはいけません。この書類の作成は少し時間がかかります。また、明日の午前中は朝から会議が入っているため、書類を作成するなら今日中ということになります。あなたはこのときに、どうしますか?

回答例

今日中に書類を作成しなくては1,000円の損が確定してしまうが、それを後回しにして、出来るだけ企画書の作成を進める。企画書の進行具合をみて、余裕が出来れば経理部に提出する書類を作成する。

解説

期限を考えると、今日中に書類を作成することの方が三日後のプレゼンに向けた資料作成より緊急度が高いです。しかし、書類を作成しないことによる影響は1,000円と比較的に小さく、重要度は資料作成の方がはるかに高いことが分かります。

もちろん、社内で必要な業務書類でミスをしたことはいけませんが、重要度や影響度の低いことは期限が迫っていても後回しにして、より重要で影響度が高い方を先に行うように優先順位決定をします。

この問題は比較的に簡単に出来ていて、優先順位を考えるべき処理案件が2つしかありません。また、インバスケット思考のトレーニングゲームで判断力の基本となる緊急度と重要度が分かりやすいものになっています。

管理職登用試験や社員研修などで使われる問題はもっと複雑なものもありますので、トレーニング対象者のレベルに応じて使っていくと良いでしょう。考えるための時間制限もここにはありませんが本来は必要です。

まとめ

  • インバスケット思考は仮想的な設定から優先順位などを考える思考ゲームであり、問題の中にある情報から短時間に考えることで判断力や決断力などを鍛えられます。
  • この思考ゲームのトレーニングによってリーダーや管理者に必要な能力だけでなく、広くビジネスマン一般に求められる様々な能力が身につきます。
  • 重要な点は優先順位の判断であり、重要度と緊急度の2軸で考えるのがポイントです。

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