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2018年11月20日(火)更新

レジリエンス

労働環境の悪化や複雑な人間関係、政府が推進する「働き方改革」、経済のグローバル化などにより、労働者を取り巻くビジネス環境はより複雑化しています。これらの環境変化への適応能力として、注目を集めているのが「レジリエンス」です。今回はレジリエンスの意味や必要とされる理由、特徴、組織・労働者両方の視点からご紹介いたします。

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目次[表示]

レジリエンスとは?

近年、レジリエンスという言葉は心理学だけでなく、経営学や組織論、幸福学などの分野において、広く使われるようになりました。レジリエンスの意味や語源、注目されるようになった背景、具体的な事例を知ることで、理解を深めることができます。

レジリエンスの意味とは?

レジリエンス(resilience)とは、跳ね返り、弾力、回復力、復元力という意味を持つ言葉です。ストレス(stress)と共に、物理学の分野で使われていた言葉でしたが、近年では個人・組織ともに通用する「さまざまな環境・状況に対しても適応し、生き延びる力」として使われるようになりました。心理学の分野だけでなく、組織論や社会システム論、さらにはリスク対応能力、危機管理能力としても広く注目される用語でもあります。

日本社会においては、90年代のバブル崩壊以前と以降では会社や家庭のあり方、経済動向など全てが異なる状況となりました。ビジネスの世界では成果主義を前提とした人事評価への移行により、多くのストレッサー(ストレスの元となる外部の刺激)を受けて、心に何らかの歪みが生じる機会はどんどん増加しているといえます。そのため、これらのストレスや歪みから跳ね返って回復できる力、『レジリエンス』が近年注目を集めています。

レジリエンスという概念は、ナチス・ドイツによるユダヤ人の大虐殺行為「ホロコースト」で生まれた孤児への追跡調査がきっかけといわれています。元孤児の中には、過去のトラウマや恐怖の記憶から立ち直れず、生きる気力を見出せずに不幸な人生を送っている人々がいる一方、トラウマを乗り越えて仕事に就き、幸せに生きている人たちもいることが判明しました。そこで調査を進めていくうちに、逆境を乗り越えた人たちは、困難な状況に圧し潰されることなく、「状況に準じて生き抜く回復力」を持っていることがわかりました。この調査結果により、レジリエンスという言葉が広く普及したとされています。

レジリエンスが注目された背景

近年、レジリエンスが注目される背景として、「労働環境の変化」が挙げられます。

厚生労働省が発表した「平成28年度 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」の「(2) 仕事や職業生活に関する強いストレス」では、仕事や職業生活において、強いストレスを感じるという労働者の割合が59.5%まで及んでおり、前年度の55.7%から増加傾向にあります。また、ストレスの原因として挙げている割合は、仕事の質・量、仕事の失敗・責任の発生、セクハラやパワハラを含む対人関係が多くなっています。

この調査結果からも現代のビジネスパーソンは強いストレス状況にさらされる機会が多くなっており、これらストレスに適応、回復できる能力としてのレジリエンスが必要と判断されるようになったと考えられます。

今後もビジネスパーソンを取り巻く環境が一層厳しくなることが予想されるため、レジリエンスは従業員の育成や組織・システムの最適化の手段としても画期的な概念と位置付けることができます。

【参考】厚生労働省 平成 28 年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況(2) 仕事や職業生活に関する強いストレス

レジリエンスという言葉が用いられた事例とは?

レジリエンスという言葉が広く知られるようになった事例として、2013年に開催された世界経済フォーラム(通称ダボス会議)の年次総会が挙げられます。

ダボス会議のメインテーマでもあった「レジリエント・ダイナミズム(弾力性のある力強さ=強靭な力)」は、各国の国力を「レジリエンス」で評価しており、その結果内容は国際競争力が高い国ほど「レジリエンス」の能力も高いというものでした。グローバル化が進む現代社会では、その恩恵と共に、経済危機や金融危機が起きれば、被害が瞬く間に世界中に広がってしまうと指摘する研究者もいます。そんな悪状況の中でも見事に経済を回復させる国こそ、強力なレジリエンスという国力を持っていると考えられます。

日本でレジリエンスが注目された事例

また、ここ日本においても強力なレジリエンスを持つ国と認定される事例がありました。それが2011年に発生した東日本大震災です。地震や福島第一原子力発電所事故による災害に見舞われた直後、暴動やヒステリックなどを起こさず、しっかりと前を向き、復興に全力を注ぐ日本人の姿勢は世界中から多く賞賛を浴びました。

このように予期せぬ自然災害や大規模なテロなど、国としてそれらの危機に立ち向かうには、国家としてのレジリエンスが必要不可欠です。ダボス会議では、国家としてレジリエンスを高めていくことの重要性が世界中に示された良き事例といえるでしょう。

レジリエンスが必要と思われる人材とは?

日本経済の不確実性が増すと同時に、優れた回復力・適応力を意味する「レジリエンス」を持った人材の需要が高まると予想されます。レジリエンスは仕事の量や質、職場での人間関係によるストレスへの抵抗力としても注目されています。

仕事上でストレスを溜めやすい方

特に中間管理職やリストラの対象になりやすい40代以降のビジネスパーソンにはぜひ身につけたい能力でもあります。また、真面目で頑張り屋の人ほどストレスを溜めやすいといわれています。上司や同僚から「真面目、頑張り屋」と評価されている方こそ、レジリエンスを高める必要があると考えられます。

変革が求められている業界や、顧客ニーズの変化が早い業界の方

世界情勢が激変する現代において、従来のような「大企業に入社してしまえば、一生安泰」という時代は既に終焉を迎えています。そのため、大規模な組織改革や戦略的な人事異動、M&Aによる組織の全体最適が一層加速すると考えられます。レジリエンスは変化に対する適応能力としても注目されており、変革が求められている業界や、顧客ニーズの変化が早い業界の方に身につけていただきたい能力でもあります。

経営幹部候補の方やグループリーダーなどの役職に付いている方、もしくは付く予定の方

今後、組織には強いリーダーシップを発揮し、グループや組織を牽引する人材が必要とされます。このような人材には高い目標や課題を課せられることも多く、さまざまな困難に直面する機会があり、失敗や責任の重圧を怖れずにチャレンジする姿勢が必要です。レジリエンスは困難を乗り越え、目標を達成する上で必要不可欠な能力のひとつでもあるため、経営幹部候補の方やグループリーダーなどの役職に付いている方、もしくは付く予定の方にもおすすめの能力です。

日本企業にレジリエンスが必要とされる理由とは?

日本的慣行を根強く持つ日本企業が多い中、近年の日本企業の国際競争力が低下し、他の先進国や新興国に遅れを取っている言っても過言ではありません。日本企業にこそレジリエンスが必要とされる理由の一部をご紹介いたします。

自己肯定感を高める必要がある日本人

経済のグローバル化が進む中、日本人のビジネスパーソンは外国人ビジネスパーソンに勝ちにくいとしばしば指摘されています。経済産業省が発表している資料では、海外の大学に留学した日本人の数は2004年をピークに減少に転じており、逆に中国やインド、韓国といった諸外国の海外留学生数との差が拡大していると指摘しています。日本の若者の内向き志向の高まりがその原因とも言われており、新入社員のグローバル意識の内向き姿勢は日本経済の将来に暗い影をもたらしています。

日本政府はこれらOECDの統計結果を視野に入れて、小学生のうちから英語教育を取り入れる、大学入試のセンター試験改革が進めるなどの対策を強化しています。現代の若者は真面目にしっかりと勉強をしており、知識力も高い一方、内閣府が発表した「平成26年版 子ども・若者白書(概要版) 特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~」によると、自己肯定感を持っている若者は、アメリカ86.0%、イギリス83.1%、フランス82.7%と比べて、日本は45.8%と5割にも満たない低い水準となっています。

この結果は「自分に満足している」「ありのままの自分でいいんだ」というする自尊感情が少なく、自分の意思を尊重した意思決定や行動の欠如を意味しています。自尊感情や自己肯定感が低い人は、自分の強みよりも弱みに目がいってしまい、強みを生かした斬新な発想や思考も生まれにくく、その自信のなさが態度に表れてしまいます。

このような日本人の自己肯定感の低さが、自信のある決定を下せる自己肯定感の高い欧米人に、後れを取ってしまっている原因であると考えられます。今後、国際競争が増す中において、日本のビジネスパーソンが存在感を示すためには、この自己肯定感を高める必要があります。そのため、自己肯定感を高める効果があるレジリエンスの強化は必要不可欠といえます。

【参考】経済産業省 関連資料・データ集
【参考】内閣府 平成26年版 子ども・若者白書(概要版) 特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~ 1.自己認識 (1)自己肯定感

組織強化に必要な組織レジリエンスとは?

組織レジリエンスとは、ビジネス環境の変化や突然の混乱、危機に対して、組織が繁栄・存続するための適応能力全般を指します。危機に対する予見や準備、リスク管理はもちろん、企業が健全な組織運営、及び経済活動を行なうための包括的な見方でもあり、企業が短期・長期に関わらず、発展・持続していくための能力です。この組織レジリエンスを高める上では、従業員の健康や働きやすい環境の構築が不可欠とされています。

欧米では、2001年のアメリカ同時多発テロ、2007年の世界金融危機(リーマンショック)といった深刻な危機の到来により、強力なレジリエンスの必要性が求められました。これらの想定外の困難な状況は、企業に、強固な組織レジリエンスが必要であるという認識を広く知らしめた事件ともいえます。これを契機に欧米では、従業員個人のレジリエンスを高めるレジリエンス研修プログラムを導入する企業が増えているといわれています。

従来の従業員に対するメンタルヘルスケアは強いストレスが確認できる従業員には適切なケアを施すと同時に、職場環境を改善するという後処理に近い施策がほとんどでした。レジリエンス研修プログラムでは、ストレスがかかる前からストレスに強い「折れない心」を作る事前予防のトレーニングを実施しており、従業員の健康と働きやすさを重視しています。そのため、従業員の心身の健康を促し、逆境に強い精神を持ち合わせた人材の育成が可能となりました。

従業員のレジリエンスを高めることは、組織レジリエンスを高め、困難や変化にも柔軟に対応できるしなやかな強さを持つ企業に成長することにつながります。日本においても、2015年12月からストレスチェック制度の導入を事業者に義務付ける法改正が実施されており、厚生労働省では2017年までにメンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合目標を80%に設定し、日々改善に努めています。

日本は少子高齢化による労働人口の減少が顕著な国でもあり、労働者ひとり一人を大切にしていく組織力が求められています。レジリエンスの強化は企業単体の組織強化に留まらず、国家単位での組織強化にもつながるため、今後、積極的に取り入れるべき能力と考えられます。

【参考】厚生労働省 改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針を公表します
【参考】厚生労働省 メンタルヘルス対策の取組の現状

ロジカルよりも大事なサイコロジカル

ロジカルシンキング(論理的思考)は売上・利益を生み出すことを使命とする企業にとっては必要不可欠の能力といえます。しかし、知識中心の教育を施し、日本人のロジカルシンキングを鍛えたとしても、欧米人やパワフルな新興国の人たちが相手となるグローバル市場では、人間力の差が勝敗の決め手となってしまいます。

今後、経済のグローバル化が加速する中で、日本人に必要な人材教育は、ロジカル(論理)よりもサイコロジカル(心理)であると指摘する研究者もいます。日本人の強みや感性は決して世界に引けを取らない素晴らしいものです。自己肯定感を高め、困難な逆境に対しても優れた回復力・適応力を示せるかどうかが今後の日本経済の動向を左右します。

そのため、日本人の人間力を高めるために必要な能力のひとつとして、注目されているのがレジリエンスでもあります。経済・社会活動を行なう個人・組織のサイコロジカルを強化していくことが、今後の課題といえます。

レジリエンスを持つ人材の特徴とは?

レジリエンスが強い人材は、目に見える形で特徴が表れています。レジリエンスの持つ人材の特徴を理解することで、社員教育や優秀な人材の採用に役立てることができます。今回はレジリエンスの特徴を3つのグループ「精神」、「習慣」、「行動」に分けて、ご紹介いたします。

精神面におけるレジリエンスの特徴

精神面におけるレジリエンスの特徴は、感情のコントロールや自分自身に対する思い、考え方に大きな特徴があると考えられます。

一喜一憂しない

一喜一憂する人は、期待と不安が交互に訪れ、精神的疲労が溜まりやすい傾向がみられます。「きっとこれは成功だ」と喜んでいたら、ヌカ喜びに終わってしまう」、「結果が出る前から諦めてしまい、途中で投げ出してしまう」傾向がある人はレジリエンスを身に付ける必要があります。また、喜怒哀楽が激しい人も、ひとつひとつの事象に対する心の反応が大きすぎて、精神を消耗してしまいがちです。

レジリエンスを発揮できる人は、「何が自分にとって大切か」ということを理解しており、結果が出るまでは自分の感情を適切にコントロールします。喜んだり悲しんだりする気持ちを抑え、状況に応じて、適切な行動に移せる人物の特徴ともいえます。

自尊心や自信を持っている

自尊心が高い人もレジリエンスの力が強いといわれています。自尊心は今すぐに手に入れられるものではなく、小さな成功体験を積み重ねていくことで徐々に形成されていくものです。

どんなにつまらない仕事や業務でも、自分なりに意味や意義を見い出し、しっかりと取り組むことが、「自分ならきっとできる」「信じてやればきっと大丈夫」という自信につながり、自尊心が形成されていきます。成功体験が生み出した「自分ならできる」という自信や自尊心が、困難や問題に出会った時に強力なレジリエンスを発揮させてくれます。

自己効力感を持っている

何かをやり遂げようとして、失敗を重ねた時、人は「大きな失望」を感じます。しかし、「これだけやってもだめなら、もう無理だ」と諦めた時点で、成功への道は完全に閉ざされてしまいます。何度失敗しても、その失敗に価値を見出せる人は「さっきよりうまくできたから、次は大丈夫かもしれない」と成長を感じ、めげずに挑戦し続けることができます。

この意識こそ「自己効力感」と呼ばれるものであり、ビジネスの世界だけでなく、さまざまなシーンで人が成長するための重要な要因と考えられています。高いレジリエンスを持つ人はこの自己効力感が高いことが判明しています。

楽観性を持っている

レジリエンスのある人は、楽観的な視点を持って、あらゆる物事に取り組む傾向がみられます。困難に直面した時に、悲観的になってしまうと進むべき道や改善点などが見つけにくくなります。

「何とかなる!」という楽観的な考え方は行動力を生み出す源泉にもなり、結果が伴う行動につながります。現在の状況を悲観せずに楽観的に捉える思考は、レジリエンスを発揮するための重要な要素でもあります。

習慣におけるレジリエンスの特徴

強いレジリエンスを発揮できる人材は、日々の習慣にも特徴がみられます。今回はレジリエンスを持つ人材が行なっている習慣の一部をご紹介いたします。

ネガティブな連鎖を断ち切る習慣

「精神面におけるレジリエンスの特徴」でもご紹介しているとおり、レジリエンスを発揮できる人材は楽観性を持っています。そのため、日々の活動の中でネガティブな要素を排除する習慣に長けていると考えられます。

否定的な言葉を使用しない、「できない理由」よりも「できる理由」を探す、他人の良いところを見い出す、楽観的な考え方の人と行動を共にするなどの習慣は、ネガティブな連鎖を断ち切る有効な手段です。特にネガティブな言葉は周囲に悪影響を与えるだけでなく、自己暗示をかけてしまう効果があります。これらの習慣は日々のちょっとした意識で実践・改善できるため、ビジネスを行なう上でも有効な習慣といえます。

定期的に振り返る習慣

ビジネス活動において、業務内容や従業員の行動、成果や結果を踏まえて、次に活かすPDCAはビジネスパーソンの基本とされています。レジリエンスを発揮する人はこのCの部分である「振り返り」を重視する傾向がみられます。

PDCAのCには、成功や失敗に限らず、自己成長のポイントが隠されていることも多く、自分自身の弱点と向き合うきっかけにもなります。変化に適応するためには、日々の振り返りが不可欠です。レジリエンスを身につけるトレーニングとしても定期的に振り返る習慣をつけることは有効と考えられます。

ストレス体験に直面したときの習慣

人は強いストレスを感じることで、心身ともに消耗してしまい、さまざまな症状を引き起こします。そのため、ビジネスパーソンには「回復力」としても注目されるレジリエンスが求められるようになりました。

強いレジリエンスを持つ人材は、ストレス体験に直面した時、適切な対応を取る独特の習慣を身につけています。自分にとっての大切な価値観を振り返る、強いストレスほどチャンスと考える、大きな視点で物事を考える、何事も割り切って考えるなどが挙げられます。これらのストレス体験に直面したときの思考や行動を習慣に取り入れることで、レジリエンスの強い人材に近づくことができます。

行動におけるレジリエンスの特徴

良い結果も悪い結果も行動しなければ、得ることができません。レジリエンスを発揮できる人には、行動においても特徴がみられます。

人に対する強い信頼

困難な状況に陥っている人は周囲の人間の応援や励ましによって、「再起力」を発揮します。そのため、家族や友人、同じ価値観や志を持つ仕事仲間に対して、強い信頼を持つ特徴がみられます。自分ひとりだけの力で、困難に立ち向かうことは容易ではありません。

しかし、周囲からの協力や応援を得ることで、困難に打ち勝つことができた事例は山ほど報告されています。レジリエンスを発揮する人は自分を取り巻く周囲の人のありがたみを強く感じるため、信頼関係を構築するための気遣いや行動を重視します。

物事を大局的に観る

困難やトラブルに直面したとき、人は視野が狭くなってしまう傾向がみられます。悩み事だけに集中してしまうことは、ネガティブな連鎖に陥り、状況がさらに悪化しまう危険性があります。しかし、直面した困難やトラブルを大局的に観ることで、思わぬ解決策を見出すことが少なくありません。

普段から物事を大局的に観ることはリスクの軽減や防止にも有効です。レジリエンスは回復力、適応力だけでなく、危機管理能力やリスク対応能力としても注目されているため、大局観はレジリエンスを発揮する重要な行動のひとつとして考えることができます。

事実の受容と柔軟な目標変更

レジリエンスを発揮できる人材は、良い結果・悪い結果に関わらず、事実をありのままに受け入れることができます。また、その結果を受けて、柔軟に目標を変更することができるため、変化に対する適応力が高いとされています。

目標の変更は「諦め」の象徴にも見えますが、達成不可能な目標を永遠に追い続けることは愚の骨頂といえます。目標自体を見直すことは決して悪い行動ではなく、刻一刻と変化する世の中に対応するための重要な行動と考えられます。

レジリエンスのメリットとは?

レジリエンスの発揮はさまざまなメリットをもたらしてくれます。今回は経営者・労働者両方の視点から見たメリットをご紹介いたします。

経営者の視点からみたメリットとは?

組織、従業員のレジリエンスを高めることは、さまざまなメリットを生み出します。今回は経営者の視点からみたレジリエンスのメリットの一部をご紹介いたします。

ダイバーシティ・マネジメントに必要不可欠

ほとんどのグローバル企業が取り入れているダイバーシティ・マネジメント。ダイバーシティ・マネジメントは、今後の女性活躍社会や海外への事業拡大において、避けることができない取り組みとなってきます。

年齢的、性的多様性を認め、国や人種によって異なる価値観を受け入れるためには、組織レジリエンスを高めていかなくてはなりません。レジリエンスは「環境の変化に対する適応能力」としても注目されており、従業員の意識を変える手段のひとつとしても採用されています。現在、欧米企業の多くがポジティブ心理学の理論を応用した人材育成・組織開発に取り組んでおり、経済のグローバル化に対応できる組織への強化を図っています。

国際競争力を高めたい日本企業においても、ポジティブ心理学を基にしたレジリエンス講座や専門講師によるレジリエンス研修の導入は最善の経営戦略として考えられます。

【関連】ダイバーシティ・マネジメントの意味とは?女性活躍の企業事例など/BizHint HR

企業評価指標として活用できる

イノベーションにより、従来の産業や企業が経営の危機に立たされることが珍しくなくなってきました。そのため、投資家が企業に投資する判断基準として、近年注目されているのが組織レジリエンス(変化への適応能力や耐久力、逆境力)です。

AIやロボットが代替できる分野が広がる中で、いかに企業の存在価値を示し、新たな価値を創出できるかを説明することは、投資家との信頼関係構築にもつながります。そのため、組織レジリエンスの強化は投資家の企業評価指標に直結しやすく、企業としても企業価値を示す根拠として活用することができます。

未来のトレンド企業になれる

英ロンドン・ビジネス・スクール教授で、経営学の権威でもあるリンダ・グラットン氏は、自身の書籍『未来企業』の中で、レジリエンスを活用した企業のあり方や働き方を提唱しています。

今後、テクノロジーの発展や少子高齢化社会の拡大により、ホワイトカラー・ブルーカラーの仕事が奪われる機会が増えていきます。そのため、個人の働き方や組織のあり方を変えていくことは必要不可欠といえます。激変する社会において、今後は「精神的活力」、「知性と知恵」、「社会的つながり」を兼ね備えたビジネスパーソンが求められます。同時に、これらの人材を生み出せる企業が「未来を生き残る強い企業」と認識され、労働者からも高い支持を得られると考えられます。

また、地球温暖化といった環境問題への対応、地域社会との関わり方も強く求められる傾向がみられるため、レジリエンスを取り入れた組織改革は「企業の未来」を左右すると言っても過言ではありません。

労働者の視点からみたメリットとは?

労働者にとってもレジリエンスは、精神的・肉体的ともにメリットをもたらします。今回は労働者の視点からみたメリットの一部をご紹介いたします。

ストレスを成長の糧にする

米スタンフォード大学の心理学者ケリー・マクゴニカル氏は、「ストレスは人の成長と健康、さらには幸福感にもつながる」という見解を発表しています。本来、ストレスは心身に悪影響を与えるものであり、実際に過酷なストレス状況にさらされることで不幸な労働災害も頻発しています。

しかし、ストレスは困難な状況に立ち向かうチャレンジ精神や集中力、意思決定能力を身につけさせる要因にもなります。自尊心や自信は精神的な興奮と喜びをもたらす脳内物質だけでなく、ストレスからも得られるということもわかっています。

レジリエンスを発揮してストレスと適切に向き合うことは、職場の仲間や仲間意識の構築や商談相手との信頼関係を生み出し、ビジネスパーソンとして素晴らしい人格者へと近づくことができます。

【参考】TED ケリー・マクゴニカル ストレスと友達になる方法

人間関係の改善につながる

既にご紹介している通り、職場でのストレスを感じる要因で、高い割合を占めるのが「対人関係」です。レジリエンスには精神的な柔軟性をもたらす効果があり、凝り固まった考え方に執着せず、自身を取り巻く環境に柔軟に適応していくことができます。

精神的な柔軟性を取り入れることは、職場での人間関係を適度なものにしていこうとする思考が働き、問題を解決に向かわせる効果も期待できます。また、家族の絆を高めることにも効果的で、自尊心を植えつける育児やパートナー相互の信頼関係構築にも役立ちます。

自己評価力が強化できる

自己評価を適切に行なえるビジネスパーソンは周囲からの評価も高い傾向がみられます。レジリエンス観点でも正しい自己評価は自分自身に対する自信につながり、自尊心を形成していく重要なきっかけともなります。

自己評価は、自分の弱点や欠点を見い出し、レジリエンスを高める上でも重要なプロセスでもあり、自分の存在価値を認める振り返りとしても位置付けられます。

レジリエンスを持つ人材になるには?

レジリエンスは先天的な能力ではなく、トレーニングや生活習慣の中で身につけることができます。今後、ビジネスの世界において、レジリエンスを持つ人材の需要が高まっていくことが予想されます。今回、ご紹介する内容はレジリエンスを高める上でも有効な手段や習慣ですので、ぜひ参考にしてみてください。

レジリエンスのトレーニング(鍛え方)とは?

レジリエンスを身につけるためには、適切なトレーニングや実践が不可欠です。レジリエンスのトレーニング内容を理解・実践することで、レジリエンスを発揮できる人材に近づくことができます。

レジリエンスはトレーニング可能

レジリエンスには自尊心など、子どもの頃からの成功体験の有無が大きく影響しています。小さな頃から引っ込み思案で、大人になった今でもくよくよしてしまう人は、「物事をポジティブに考えられないのは、生まれ持った性格だから、自分のレジリエンスは今更どうしようもないのだろう……」と心配しがちです。

しかし、レジリエンスの強さには個人差はありますが、誰もが持っている能力でもあります。まずは「大人になった今からでもトレーニングを積み重ねていくことで、レジリエンスを高められる」ということを認識しましょう。

自身の思考を支配する

レジリエンスを育て高めるためには、まず自分の「思考の癖」を把握しておくことが大切です。

難しい実験を3回失敗してしまったときに「3回も失敗したから駄目だ」と諦めるのか、「まだまだ3回。少しやり方がわかってきたしチャンスはある」と思うかどうかは人それぞれの思考の癖に左右されます。もし、自分の思考の癖がネガティブなものだとしたら、それは小さな頃の何度やってもうまくいかない体験を基に、「やっぱりあなたは駄目ね」と否定もしくは自尊心が傷つけられた結果と考えることができます。しかし、自尊心の欠如は自己効力感の低下がもたらした「自分はどうせできない」という思い込みによる可能性があります。

ポジティブ心理学の第一人者でイギリスのアングリアラスキン大学大学院のイローナ・ボニウェル博士によると、人は7つのネガティブな思い込みを持っているそうです。

  1. 減点思考 「私には向いていない」「ほかの人の方が上手だ」
  2. べき思考 「それはこうあるべきだ」「それはやるべきことじゃない」
  3. 悲観思考 「どうせ悪いことが起きる」「簡単にうまくいくわけがない」
  4. 無力思考 「私では学歴が低すぎる」「規則があるから無理だ」
  5. 自責思考 「失敗したら自分のせいだ」「失敗したら恥ずかしい」
  6. 他責思考 「うまくいかないのは他人のせいだ」「私のせいじゃない」
  7. 無責思考 「私には関係ないことだ」「最初から興味ないし」

これらの中に自分があてはまってしまう思い込みのパターンがあれば、まずはそれを自覚しなければいけません。ネガティブな思考を意識し、コントロールする癖をつけていくことで、ネガティブな思考が抑制することができます。

一方で、ポジティブな成功体験はポジティブ思考の形成につながるため、小さな成功体験を地道に積み重ねていくことも忘れてはいけません。

他者の影響を活用する

レジリエンスは、自分を取り巻く周囲の人たちからも強い影響を受けるといわれています。高いレジリエンスを持つ人材は、周囲の人たちと良い関係を作りながら様々な援助を受けているということがわかっています。

この家族、友人、職場の同僚などからの援助を「ソーシャルサポート」といいます。何かネガティブな出来事が起き、ネガティブな思考に陥る、自尊心が傷つけられた時は、ソーシャルサポートを受けることで、その思考の歪みを正してもらう、自尊心を回復させることが可能です。他人との良好な関係、愛着を形成することと、傷ついた心を癒やして回復させていく機能には大きな関わりがあり、レジリエンスを高めるためにも必要なものと考えられています。

また、ロールモデルとなるレジリエンスの高い人が身近にいることも、レジリエンスを高める上では有効なトレーニングです。目標とする人物の思考の癖を学び、「あの人だったらどうするか」と考えて、実践するようにしましょう。

過去の体験から得た学びを再認識する

レジリエンスを高めるトレーニングの中には、「逆境グラフ」や「人生浮き沈みグラフ」を作るプログラムが用意されています。このプログラムは、自分自身が生まれてからこれまでの人生、あるいは成人してから今までの人生で幸せだったこと、不幸だったことを折れ線グラフで描く作業を指します。

幸せだった時はどういう感情を持ったか、逆境だった時はどのように感じ、どのように乗り越えて、どのように思ったかなどをグラフの山と谷の部分に記載していきます。この作業によって、過去を振り返ってみると、いかにたくさんの逆境を自分は乗り越え、多くの学びを得てきたかを実感できます。

もし再び試練が訪れたとしても「あの時と比べたら、今の試練などたいしたことではない」と捉えることができ、「今回の試練も乗り越えられそうだ」というポジティブな気持ちに切り替えることができます。

落ち込みと立ち直りのメカニズム

イローナ・ボニウェル博士によると、レジリエンスによる心の回復には3つのステージがあると紹介しています。その3つのステージが「底打ち」、「立ち直り」、「教訓化」です。

  • 第1ステージ【底打ち】
    外部からの強いストレスさらされ、ネガティブな状況に陥った人は、その不安や憂鬱さ、怒りやイライラといった感情に苛まされてしまう傾向がみられます。このネガティブな感情が許容範囲を超え、その精神的な落ち込みから抜け出そうとする現象が、第1ステージの「底打ち」です。この段階ではネガティブな感情の悪循環から脱け出し、役に立たない思い込みを手放すための防御手段として、レジリエンスの力が働きます。
  • 第2ステージ【立ち直り】
    底打ちした感情は、元の心理状態に戻ろうと上昇していきます。この現象が第2ステージの「立ち直り」です。この段階では自己効力感や自分の強み、またソーシャルサポート(周囲の信頼できる人間からの援助)も活用し、立ち直れたことへの感謝とポジティブな感情を意識し始めます。
  • 第3ステ-ジ【教訓化】
    困難から脱して回復していった体験は、次の困難の際の教訓へとつながります。この体験から教訓へとつなげる現象が、第3ステージの「教訓化」です。この最後の段階では、過去・現在の体験を振り返って、ポジティブな思考で立ち直った記録を心に刻む重要な段階でもあります。

これら3つのステージを繰り返すことで、人は精神的回復力を発揮すると考えられます。

レジリエンスを維持する生活習慣とは?

レジリエンスとは心理学における「心の問題」として捉われがちですが、実際には肉体面とも強い密接関係が確認されています。レジリエンスを維持する生活習慣の実践こそが、強いレジリエンスを維持する条件と考えられます。

「心と体はひとつ」と認識する

「病は気から」「心配は身の毒」ということわざがあるように、東洋医学では昔から心と体は相互に影響を与え合うものとして考えられています。「心が疲れると体が不調になる」、または「体に不調だと心も鬱々とする」という経験は誰しもが持っているのではないでしょうか。

レジリエンスを鍛えるためには、まずは体の健康が大切です。体力をつけることが、レジリエンスの力を育む礎となります。レジリエンスの力を高めるためにも、普段の食事や運動習慣を見直してみましょう。

食事の摂り方を変更する

レジリエンスの力を高めるためには、体内のブドウ糖の量を一定に保つことが大切です。ブドウ糖は人間のエネルギーの源であり、脳にとっては唯一のエネルギー源となる栄養素でもあります。ブドウ糖が体内で減少してしまうと、集中力が途切れてしまうだけでなく、感情のコントロールができなくなってしまい、心の疲弊へとつながります。これらを防ぐためには3時間毎に少量の食事を取り、体内のブトウ糖を一定量に保つことがおすすめです。

しかし、多忙なビジネスパーソンにとって、1日3回の食事をわざわざ5回、6回に分けることは大変な作業です。そこで量を少なめにした朝、昼、晩の食事の間に間食の時間を作って、ブドウ糖を補給するなどの工夫を凝らしましょう。中でもバナナはブドウ糖を多く含んでいるので、職場で休憩の時に1本食べるだけでも、ブドウ糖を効果的に摂取できる食材です。またブドウ糖のタブレットを常備しておけば、職場でも気軽にブトウ糖を摂取できます。

定期的に運動する

日常生活の中に、ランニングなどの運動をする習慣を作ることは、レジリエンスを高めるため上でも効果的です。全力疾走のインターバルトレーニングは、体力の限界に挑戦する経験を通して、自己効力感を得られるため、レジリエンスの向上には高い効果が得られるといわれています。そのような激しい運動が苦手であっても「通勤で利用するバスの区間を歩く」などの工夫も体を動かすきっかけとなるため、普段から意識してみましょう。

「少しの運動も毎日続ける」、「1日1万歩歩く」などの目標を立て、それが実現した時は達成感を感じることができます。この達成感は幸せホルモンと呼ばれるドーパミンとセロトニンを分泌し、幸福感と共にやる気が湧き起こります。つらい体験の後に喜びを感じる体験は、心を強くする大切な要素でもあります。

十分に休息する

レジリエンスを高めるには健康な精神と肉体が欠かせません。そのためにも睡眠を始めとした十分な休息を取ることを心がけましょう。長時間労働や度重なる休日出勤は休息を確保する時間を潰してしまうきっかけになってしまいます。これらの勤務状況が続く場合は上司や人事部に相談し、勤務状況の改善を図ることが大切です。楽観性を持ち、前向きで創造的な発想をするためにも、十分な休息や睡眠時間を取るようにしましょう。

自分の仕事を見直す

現状に強いストレスや不満を持っている際に自分の仕事を見直すことは、レジリエンスを高めるきっかけにつながります。「仕事に面白みを感じているか」、「やりがいや意欲を忘れてしまってはいないか」、「仕事とプライベートのバランスは取れているか」など一度立ち止まって振り返ることも大切です。「仕事に対する達成感がないまま週末を迎える→仕事が気になってゆっくり休めない→疲れを引きずったまま出社する」という悪循環に陥ると仕事のパフォーマンスはどんどん下がってしまいます。

自分の仕事を見直した結果、マイナス要素が多いと判明した場合、仕事への向き合い方を改善しましょう。小さな目標を設定し、それを達成することは成功体験の積み重ねとなり、自尊心や自信にもつながります。

レジリエンスの強い組織にするには

従業員のレジリエンスを高める社内研修や指導を行なうことは、組織強化にもつながり、さまざまなメリットが得られます。レジリエンスのメカニズムを正確に把握し、企業として適切に運用していくことが大切です。

落ち込みと立ち直りのメカニズム

今後、経営環境や社会構造の変化、自然災害やサイバー犯罪のリスクの発生など、企業を取り巻く環境は刻一刻と変化し、企業の将来の不確実性が増すことが予想されます。日本企業の多くは東日本大震災やリーマンショックから教訓を学び、これまで以上にリスク管理を徹底しているものの、「想定外のリスクへの対応はなかなか難しい」というのが現状です。

予想不能の困難な状況に直面しても、柔軟に対応を実施し、回復するためには組織のレジリエンス力が必要不可欠です。持続的な成長を維持させる上でも、レジリエンスの落ち込みと立ち直りのメカニズムを理解し、最適な施策を実践していくことが企業に求められています。

シナリオが組織を強くする

組織のレジリエンスを高める方法のひとつとして、シナリオ・プランニングという手法があります。これは「長期的視野(全体を見渡す視点)で物事を捉え、これから起きるかもしれない未来の出来事を複数想定して準備しておく」という経営戦略手法です。

石油元売り大手のロイヤル・ダッチ・シェル社(以下、シェル社)が過去40年以上に渡って、エネルギーの未来に関するシナリオ、「ニューレンズシナリオ」がその代表例といえます。シェル社が発表している「ニューレンズシナリオ」は、「マウンテンズ」シナリオと「オーシャンズ」シナリオという2つのシナリオを描き、2060年のエネルギー産業の未来を予測し、どちらのシナリオが訪れても迅速に対応できるような体制の準備を行なっています。

このように先々に起こり得るであろうシナリオを複数作成し、それぞれに対応策や危機管理施策を準備しておくことで、突如訪れる危機に対しても迅速な対応が取れます。このシナリオ・プランニングという経営戦略は、未来を予見・適応する組織レジリエンス力であり、組織の強化にもつながります。

【参考】シェルジャパン株式会社 シェル「ニューレンズシナリオ」日本語版のご案内

環境への調和が組織を変化に強くする

前出のシェル社では、企業の寿命を研究した結果を、『企業生命力』(アリー デ・グース著、 堀出 一郎 (翻訳)日経BP、2002年)という本にして、その重要性を提唱しています。

書籍によれば、1970年代の大企業の平均寿命は約40年、中小企業では約10年であり、長寿企業の特徴のひとつに、「環境への調和」が影響していると指摘しています。短期的に激変する社会環境や経済環境において、企業が今の形のまま、最適であり続けることは事実上不可能といえます。本書では「周囲の環境変化に調和できる組織は、変化に対しても柔軟な対応力を発揮し、生き残っていける」と締め括っています。シェル社が提唱した「環境への調和」という企業のあり方もレジリエンスのひとつとして考えることができます。

組織のブランドと独自性

組織に差別化されたブランドや独自性があれば、たとえ環境変化が起きたとしても、組織として生存することが可能といわれています。いつまでも愛され続ける製品(商品)・サービスは、そのブランドや独自性を維持しつつも、時代とともに姿や形を変えることで必要不可欠なものとして存在できるからです。

イノベーションによる技術革新が進む中、消費者の価値観やニーズはどんどん高度化・多様化しています。そのため、プロダクトライフサイクルも短命化し、常に新しい製品(商品)やサービスが求められる時代へと移り変わりました。その時代に求められるニーズを適切に把握し、柔軟にマイナーチェンジをする姿勢を持ち続けることが、長年にわたって消費者にオリジナリティある商品として愛され続けていく条件といえます。

企業はブランド力や独自性、技術力を高めると同時に、時代のニーズに応じて、変わっていく柔軟な姿勢が求められています。これもレジリエンスの強い組織の特徴と考えられます。

現場が主役の組織

新興国の急速な経済発展に追いつくためにグローバル経営に乗り出す企業が増えており、組織の全体最適が重要な戦略と位置付けられています。また、高度化・複雑化したビジネス課題を迅速に対応するためにも、現場に裁量権を譲渡するカンパニー制を導入する企業も増えています。

事業部をひとつの法人とみなすことは、「現場が主役の組織」の促進にもつながり、グループ内の競争力向上にも効果的です。現場の人たちが自ら考え、決断・実行する組織は、ビジネスのスピード化を実現することができます。小さなグループ毎にリーダーシップを発揮できる人材がいれば、従業員ひとり一人が責任感を持った業務に取り組めます。従業員が自ら考え、対応できる「現場が主役の組織」の構築は従業員のレジリエンスの力が発揮されやすい労働環境といえます。

無駄に見える時間が生産性向上につながる

レジリエンスの高い組織は、「前向きでやる気がある」、「知恵や知識が生かされている」、そして「人と人がつながっている」という特徴があるといえます。

厚生労働省が発表している「就労条件総合調査』によれば、、2015年の年次有給休暇日数が8.8日、取得率47.6%に留まり、前年よりも下回る調査結果が明らかになりました。近年、長時間労働パワハラなどによる過労自殺が社会問題化しており、政府主導の「働き方改革」が促進されています。また、さまざまな無駄な時間や効率の悪さが日本人の生産性低下の要因として指摘されており、改善に乗り出す企業も少なくありません。

しかし、従業員の生産性向上には「業務効率化だけでは実現できない要素もある」と指摘する声もあります。従業員同士の自由なコミュニケーションは従業員のストレス緩和にもつながり、一見無駄に見える時間や業務も生産性向上に一定の効果を果たしていることも否めません。企業側は時間や経費といった定量的なデータだけで無駄と決めつけるのではなく、業務の性質を見極め、無駄の時間とそうでない時間を見極めなければいけません。

【参考】厚生労働省 平成27 年「就労条件総合調査」の結果

レジリエンス強化のおすすめ本、研修は?

レジリエンスの向上施策には、個人でも取り組めることも多く、書籍や研修を通して、身につけることも可能です。今回はレジリエンス向上におすすめの書籍や研修を一部ご紹介いたします。

書籍:世界のエリートがIQ・学歴よりも重視! 「レジリエンス」の鍛え方

レジリエンスのトレーニング本として、評価の高い書籍です。学歴や経歴から見えにくい精神的な打たれ強さや感情のコントロールに長けた人材の特徴を、レジリエンスの観点から紹介してくれています。グローバル人材を目指す人だけでなく、さまざまなビジネスシーンや生活の中で役立つ内容を解説しており、ストレス対策や自分の強みを活かした目標に立ち向かう大切さを教えてくれる書籍でもあります。

レジリエンスの基本を学び、トレーニングを実践できる書籍でもあるので、レジリエンスに興味がある全ての人に最適です。

【参考】amazon 世界のエリートがIQ・学歴よりも重視! 「レジリエンス」の鍛え方

書籍:レジリエンス入門: 折れない心のつくり方

心理学の分野でも多く使用されるレジリエンスは、その解説に感情や思考、性格といった抽象的な概念がしばしば説明に使われます。しかし、本書ではそういった抽象的な概念自体にも丁寧な説明がなされているため、レジリエンスの理解を深める最適な書籍といえます。わかりやすい事例や実践例を示してくれているので、レジリエンスの重要性がイメージしやすいと高い評価を受けています。

レジリエンスを全く知らない人でも理解が進みやすいく、レジリエンス研修の教科書や事前予習としてもおすすめです。

【参考】amazon レジリエンス入門: 折れない心のつくり方

ザ・アカデミージャパン レジリエンス研修

セミナーや研修の開発・運営を手掛ける株式会社ザ・アカデミージャパンが提供する、レジリエンス研修では、参加者の営業力強化やプレッシャーに強いリーダーの開発、さらにはセルフマネジメントの向上の効果が期待できます。逆境下でも高いパフォーマンスを上げられる人材の育成は企業の重要な経営戦略です。

経験豊かな研修講師が提供するレジリエンス研修を受講することで、人材育成における高い成果が期待できます。

【参考】株式会社ザ・アカデミージャパン レジリエンス研修

ヒューマン・ブリッジ レジリエンス研修 ~“逆境力”折れない心を育てる科学的な育成方法~

人事・営業の総合支援を行なっている株式会社ヒューマン・ブリッジが提供するレジリエンス研修は、レジリエンスを鍛える7つの技術に焦点をあて、参加者に逆境力、折れない心を持つきっかけを提供しています。

レジリエンスの必要性を、リーダーシップ能力、キャリア自律力、ストレス対処力の3つの能力を持った人材が不可欠と位置づけ、これらの能力を持った人材を育成した企業にとっても、おすすめしたいレジリエンス研修といえます。

【参考】株式会社ヒューマンブリッジ レジリエンス研修

まとめ

  • 変化の激しい現代社会において、精神的回復力や環境適応能力はあらゆる人に求められる能力となりつつあります。
  • レジリエンスは個人・組織に関わらず、成長や危機回避においても高い効果を発揮します。また、幸福学の観点からも「人生をより豊かなに過ごすための重要な要素」として認識されており、人のアイデンティティや自尊心、価値観の形成にも重要な役割を担っています。
  • レジリエンス・トレーニングは身近な書籍や講座、研修から習得できます。

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