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2018年11月7日(水)更新

テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、特定分野の職務を遂行するために必要な専門知識や技術の総称です。ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルとの違いやテクニカルスキルの具体例、効率的な高め方について学び、組織の職務遂行能力を最大限まで高めましょう。

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テクニカルスキルとは

テクニカルスキル(Technical Skills)とは自分に与えられた職務を遂行するために欠かせない知識や技術、技術熟練度のことを指すビジネス用語です。ハーバード大学のロバート・カッツ教授(Robert L. Katz)が1955年に発表した論文『スキル・アプローチによる優秀な管理者への道(Skills of an Effective Administrator)』の中で、管理者に必要なビジネススキル(仕事力)の1つとして提唱したことにより、世界的に大きな注目を集めることになりました。

テクニカルスキルの意味と定義

カッツ教授は論文の中で管理者が持っておくべきスキルとして、テクニカルスキルの他にヒューマンスキルとコンセプチュアルスキルの2つを提唱しています。

  • テクニカルスキル…仕事や業務を適切にこなす能力(業務遂行能力)
  • ヒューマンスキル…人間関係を円滑にし、人との繋がりを最大限に活用する能力(対人関係能力)
  • コンセプチュアルスキル…物事の本質を捉える能力(概念化能力)

これら3つの定義を見比べることによって、数多く存在するビジネススキルの中でもテクニカルスキルが業務遂行に特化したスキルだけを指していることが分かるでしょう。

ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルとの違い

概念上では『コミュニケーション力』や『プレゼンテーションスキル』はヒューマンスキル、『理解力』や『分析力』はコンセプチュアルスキルに分類されますが、営業職や研究員など職種や職務によってはテクニカルスキルとして扱われることもあります。

このように書くと難しく感じますが、その見極めは定義に当てはめることによって誰にでも容易に行うことができるため心配する必要はありません。その能力が業務の遂行に欠かせないものであればテクニカルスキル、社内連絡や課題解決など自らの業務と直接関係ない部分で活用するものであればノンテクニカルスキル(ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキル)に分類することができるでしょう。

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カッツ理論とカッツモデル

カッツ教授の提唱したカッツ理論によると、管理者はそのクラスによって大きく三段階に分けることができ、段階ごとに求められるスキルのバランスも違ってくるといわれています。そのスキルバランスを図式化して表したものがカッツモデルです。

カッツ教授はトップマネジメント(経営者層)とミドルマネジメント(管理者層)、ロワーマネジメント(監督者層)という3つの階層を用いてカッツモデルを作成していますが、このモデルは職位と能力のバランス関係を非常に的確に示しているため、管理者以外の職位を含めることによって更に広い視野で活用することができます。

  • 経営幹部…取締役員、会長、社長、支社長、CEOなど
  • 管理職…支店長、工場長、本部長、部長、課長、室長、チーフマネージャーなど
  • 職場リーダー…係長、主任、現場リーダー、グループリーダー、チームリーダー、プロジェクトリーダー、チーフなど
  • 一般社員

全ての従業員が自分の役職に合ったスキルバランスを理解することによって、お互いの役割を尊重し、連携を取り合うことのできる強い組織を構築することが可能となるでしょう。

テクニカルスキルの存在意義とクラス別活用例

カッツモデルを見るとスキルバランスに多少の差はありますが、経営幹部から一般社員まで全ての職位においてテクニカルスキルが必要であることが分かります。 それぞれの立場において、テクニカルスキルがどのような役割を果たすのかを学ぶことにより、組織内人材のパフォーマンス(実績、成果)とポテンシャル(潜在能力)を余すことなく活かせる戦略人事を実施することができるでしょう。

一般社員

一般社員にとって、テクニカルスキルは職務を遂行するために欠かせない大切な仕事道具です。そのため、多くの企業ではテクニカルスキルを少しでも早く習得することが出来るように、新人研修(新入社員研修)や内定者教育などの人材育成戦略を積極的に実施しています。

職場リーダー

職場リーダーにとって、テクニカルスキルは人材養成で使用する生きた教材です。自身が一般社員として働いていた時に磨き上げた技術に、ノウハウや経験則を加えて作り出されたテクニカルスキルは、若手社員や新入社員に目標や成長イメージを授ける最高の学習教材となるでしょう。

管理職

管理職にとって、テクニカルスキルは環境評価や部下の人事評価を正しく実施するために必要な正解答です。現場に合致した評価スケールと評価基準にテクニカルスキルが加わることによって、正確な評価結果を生み出すことが可能となります。誤差の少ない評価結果は現場の可視化を実現し、人材の適材適所や計画的育成を容易にしてくれるでしょう。

経営幹部

経営幹部にとって、テクニカルスキルは組織戦略成功の鍵を握る重要情報です。組織の根底を支えるものは人材であり、人材への正しい理解なくして効果的な組織戦略を組むことはできません。

経営幹部は管理者によって作成された評価報告書や現場からの声を吸い上げることにより、パフォーマンスや現状の課題を把握して次なる戦略を検討することになります。しかし、戦略対象となる部署や部門で扱われているテクニカルスキルが不足していると、新戦略の実施イメージがボンヤリとしてしまい、戦略のコアを担う人材を選択することが困難となってしまうのです。

現場理解を深めることは組織と従業員のエンゲージメントの向上にも繋がります。経営者や人事部など、人材マネジメントに直接関わる人物が積極的にテクニカルスキルを身に付けることによって、組織は今より更に強くなることができるでしょう。

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テクニカルスキルの種類

従業員に求められるテクニカルスキルは職務や業務内容によって大きく異なるため、その全てを網羅したリストを作成することはできません。しかし、『汎用スキル』『専門スキル』『特化スキル』の3種類に大別することによって自社の中に存在するテクニカルスキルの全体像を把握することが容易となります。

汎用スキル(ポータブルスキル、トランスファラブルスキル)

汎用スキルとは部署や職種、組織に限らず様々な環境で活用することのできる汎用性の高いテクニカルスキルです。語学力や文書作成能力、パソコンスキルなど、社会人に欠かせないスキルの多くは汎用スキルに分類されます。

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専門スキル(専門的スキル)

基本スキルとは限定した範囲でしか活かすことができないものの、部署や現場で働く全員が必ず身に付けているテクニカルスキルです。職場内の従業員全てが同じ専門スキルを身に付けていることにより、欠員や作業ノルマの増加などの緊急トラブルに対して速やかなフォローアップを実施することが可能となります。

特化スキル(特化型スキル)

特化スキルとは職場内でも限られた者だけに任される高度な作業に必要なテクニカルスキルです。専門性を追求した唯一無二の知識や技術は簡単に模倣することができないため、特化スキルを持っている人材は組織内で重宝されるようになります。希少性の高いテクニカルスキルを絶やすことがないよう、経営者や人事担当者は後継者育成を計画的に進めておく必要があるでしょう。

テクニカルスキルの職種別具体例

職種 テクニカルスキル
製造 商品知識、機械知識、機械操作技術、製造技術、加工技術など
販売 商品知識、接客技術、販売技術、接遇力、観察力、説明力など
営業 商品知識、市場理解、マーケティング能力、コミュニケーション力、営業技術、提案力、交渉力、セールス能力など
事務 事務処理能力、文書作成能力、パソコンスキル(OAスキル)、接客技術、接遇力、資料作成力など
教育 担当領域に関する深い知識、指導力、メンタリング技術、コーチング技術など
研究 研究分野に特化した専門知識、情報収集力、忍耐力、分析力など
医療 医療知識、薬品知識、患者知識、医療技術、看護技術、介護技術、指導力、メンタリング技術、コーチング技術など
福祉 医療知識、介護知識、介護保険制度への理解、介護技術、マネジメントスキルなど

このようにテクニカルスキルは職種によって大きく異なります。組織図を元に組織内に存在する職種を整理し、個別に求められるテクニカルスキルを洗い出すことにより、高い効果が得られる育成戦略や教育プログラムを構築することができるでしょう。

テクニカルスキルを高める方法

テクニカルスキルは与えられた職務や業務を遂行するために必要な能力ですが、新入社員や新卒者の多くは不足した状態で入社してきます。また、事業拡大や新商品開発などの環境変化が起きることで、既存従業員すら持ち合わせていない新たなテクニカルスキルが必要となることもあります。

そのような時、次のような点に意識しながら人材教育を実施することによって、テクニカルスキル不足をスピーディーに補うことが可能となるでしょう。

OJTの実施

職場内で実施される実践的な訓練のことをOJT(On-the-Job Training=オン・ザ・ジョブ・トレーニング)といいます。熟練者やベテラン社員からマンツーマンで指導を受けることにより、テクニカルスキルの重要性や作業効率化を実現させるためのノウハウを肌で感じ取った育成対象者は、短期間でテクニカルスキルをマスターし、戦力として活躍することができるでしょう。

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Off-JTの実施

職場内訓練であるOJTに対し、職場外訓練のことをOff-JT (Off-The-Job Training=オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)といいます。自社内に存在していないテクニカルスキルを習得したいと考えた際にOff-JTは大きな力を発揮します。また、自社内のテクニカルスキルと他社のテクニカルスキルを比較することにより、個々の汎用性や専門性を見極めることも可能です。

新規テクニカルスキルの獲得と既存テクニカルスキルの見極めという2つの目的を同時に達成できるOff-JTは、非常に優れた教育手法であるといえるでしょう。

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eラーニングを導入する

eラーニング(e-Learning)とはパソコンやモバイル端末などのIT機器とネットワークを使用することにより時間や場所を問わず自主的な学習を行うことができる学習システムや教育システムの総称です。ビジネスマンであれば誰もが所持しているスマートフォンや携帯電話を学習機器として活用することができるeラーニングは特に若い世代との親和性が高く、抵抗なく気軽に取り組み始めることができる教育方法として大きな注目を集めています。

入社日までに一定のテクニカルスキルを身に付けさせるため、内定者教育の教材として提供するだけではなく、職務や習得スキルのレベルに応じた複数の教育パッケージを予め用意しておくことで、既存従業員に対する階層別研修の環境を構築することも可能なeラーニングは、戦略性と柔軟性を兼ね備えた最強の自主学習システムであるといえるでしょう。

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ノンテクニカルスキルとの相乗効果によって企業は強くなる

カッツモデルでも描かれているように全ての職位でテクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの3つを持ち合わせた人材が求められています。それは、これら3つのスキルが独立したものではなく、連動することによって強い相乗効果を生み出すことを示しているのです。

コンセプチュアルスキルである物事の本質をしっかりと捉える問題解決力は、業務上で扱われる技術や知識を網羅するテクニカルスキルによって、更にスピードと正確性を高めることができます。また、ヒューマンスキルであるリーダーシップやコミュニケーション力は、現場への正しい理解を持つことで醸成されたエンゲージメントによって、最大限の力を発揮することができます。

経営者や人事部を含む、全ての従業員がテクニカルスキルとノンテクニカルスキルをバランス良く身に付けることで一体感を強めた組織は、組織力を持続的に高めながら第一線で戦い続けることができるでしょう。

まとめ

  • テクニカルスキルとは自身に与えられた職務を遂行するために欠かすことのできない知識や技術の総称である
  • テクニカルスキルは全ての職位に求められる必須スキルである
  • テクニカルスキルはその特性から汎用スキル、専門スキル、特化スキルの3つに大別することができる
  • テクニカルスキルはヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルとの相乗効果によって更に強い輝きを放つことができる

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