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2018年6月15日(金)更新

OJD

国際競争力が重視される世界経済において、多くの日本企業が環境変化に対応できる人材の確保・育成を急務と位置づけています。そこで注目されているのが、長期的な人材開発手法であるOJDです。今回は既存のOJTとの違いやOJDの目標、メリット、必要性、導入事例などを中心にご紹介いたします。

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OJDとは?

OJDとは、新入社員や若手社員を対象にしたマネジメント能力の開発・育成を目的にした施策を指します。職場での日常業務を通して、直属上司が指導と援助を行ないながら、将来的に必要とされる能力を身につけることができます。

OJDはOn the Job Developmentの略で、OJT(On the Job Training)よりも中長期的な能力開発施策として位置づけられており、次世代のマネジメント職候補者を育成する企業の経営戦略に基づいています。今後、労働人口が減少する日本において、若手社員の即戦力化を求める企業も多く、導入している企業も増えています。

OJDとOJTの違いとは?

OJDと似た研修制度にOJTがあります。このOJDとOJTには明確な違いがあります。

長期的なキャリア開発支援の一環

配属されたばかりの新入社員が業務遂行に必要な技術(定型業務)の習得や向上を目的としたOJTは短期的な業務支援システムといえます。

一方、OJDは日頃の業務遂行能力の習得はもちろん、社員に自分のキャリア形成を意識させ、マネジメント能力など数年後に必要とされる能力の習得を前提にしています。社員の希望と企業が求める人物像と丁寧にすり合せて、実施されるため、従業員のモチベーション向上やストレス軽減の効果も期待できます。

OJDの対象者はキャリア採用者も含まれる

OJTの対象は入社したばかりの新卒新入社員が対象となりますが、OJDでは新卒入社社員だけでなく、キャリア採用者も対象にすることができます。近年では、20代のうちに転職を経験することも珍しくなく、労働人口の減少により、若手の即戦力化を求める企業が増加していることも相まって、早いうちから組織マネジメントなどの能力を学ばせようとする能力開発支援の需要が高まりました。

また、マネージャーなど管理職になる前の若手社員の教育支援としても活用できる戦略的な人材育成支援システムといえます。

能動的か受動的か

OJTは、上司(先輩社員)が部下に対して、マンツーマンで業務に必要な技術を習得させる、いわば部下が受動的な立場で学ぶ教育方法でした。しかし、OJDはマネジメント能力開発に重点が置かれているため、部下が能動的に学ぶ環境を作りやすいメリットがあります。

OJDの目的

OJDの目的は主に「学習できる組織作り」、「マネジメント能力を持つ人材育成」、「目標を達成できる人材の輩出」の3つが挙げられます。

学習できる組織作り

情報が瞬時に拡散され、ビジネスモデルや顧客ニーズが即座に変化する日本経済において、柔軟な思考を持つ人員は必要不可欠です。さまざまな情報を分析し、自ら学習できる組織の形成は、経営者にとって、重要な経営戦略の一つでもあります。また、日本企業には正社員だけでなく、派遣社員や契約社員などさまざまな雇用形態を持つ従業員が存在し、複雑な人員構成となっています。そのため、最適なマネジメントを行える人材が必要不可欠であり、マネジメント能力を開発できるOJDは、学習できる組織作りにも応用できる人材開発手法といえます。

マネジメント能力を持つ人材育成

労働人口が不足する日本企業では、チームの業績や状況に応じて、人員を適材適所に配置し、チームメンバーの業務量や人員数を調整する能力に長けた人材の確保が急務となっています。しかし、これらのマネジメント能力は一朝一夕で身につけられるものでもなく、また座学によって得られるものでもありません。実際にチームを主導し、実務を経験することでしか習得できません。OJDは長期的なマネジメント能力の開発・育成を目的としているため、将来の管理職候補の育成することができます。

目標を達成できる人材の輩出

OJDは部下が主体的に学べる仕組み作りの一環でもあるため、主体性を持った人材を育成することができます。会社から託された目標を達成するためには、従業員が自ら考え、行動する主体性を持つ必要があります。OJDでは会社から将来求められる能力(マネジメント能力や課題解決能力など)を身につけることを目的としているため、成果を出せる人材の育成にもつながります。

OJDの必要性

OJDが必要となった背景には主に「団塊世代の定年退職」、「企業に求められる柔軟な構造改革」が挙げられます。

団塊世代の定年退職

経済産業省が発表しているように、2007年には団塊世代が60歳となり、2012年には定年退職年齢である65歳に達したため、労働人口が急激に減少しました。しかし、日本は少子高齢化社会へと突入しており、新たな労働力の確保が難しい状況に陥っています。そのため、迅速な人材の確保と育成が重要な課題となっており、若手社員の即戦力化が求める企業が増えています。

【参考】経済産業省 第2章 ものづくり人材育成環境の再構築

企業に求められる柔軟な構造改革

日本を含む世界経済がグローバル化し、今後も国際競争の激化が予想されます。しかし、政権移行や地政学リスクにより世界経済は複雑に変化しするため、企業もスピード感を持って、事業構造を改革していかなければなりません。その上で、グローバル社会へ柔軟に適応する優秀な人材の育成は必要不可欠です。しかし、マネジメント能力をはじめ、組織マネジメントを担う人材は一朝一夕では育ちません。そのため、数年先を見越して、日頃からマネジメント能力を開発するプログラムや人材育成の環境整備が必要となっています。

マネジメント職の負担の軽減

OJTは、上司(先輩社員)と部下がマンツーマンとなって、業務に必要な技術を習得していく研修制度です。しかし、指導・教育を行うマネジメント職は部下の育成以外にも業績管理やチームマネジメント、自分自身の目標達成など複数の業務に追われ、多忙な日々を送っています。。さらに新人教育が加わることでマネジメント職の負担が一気に増加してしまいます。また、配属されてくる新入社員や若手社員は一人とは限りません。複数人の若手社員をマネジメントする時点でOJTのメリットが失われてしまうため、若手社員が能動的に学べる環境やしくみ作りが必要となりました。

OJDのメリット

若手社員のマネジメント能力を長期的に開発できるOJDには、人材育成におけるメリットが多数あります。

OJTのデメリットを補える

OJDは「部下に教える」ではなく、部下が主体性を育みながら、成長できる環境整備も兼ねています。また、 OJTで指摘されていたデメリット(指導係の能力に依存する、指導係の負担が大きい、体系的な指導が難しい、応用力に弱い、学習能力などの主体性が育ちにくい等)を一つひとつ補えるメリットがあります。

主体性を持った人材を育成できる

OJDはマンツーマンを前提としたOJTとは異なります。OJDでは複数の従業員を体系的に指導ができ、従業員自身が主体性を持って、成長できる組織をつくることができます。長期的な人材開発のため、目標や計画を設定しやすく、応用力が必要な新規事業と相性が良いとされています。また、必要に応じて、マンツーマンの教育や指導も可能です。

フィードバックの機会が多い

OJDは長期的な人材開発支援策のため、従業員へのフィードバックの機会に恵まれています。マネジメント能力は短期間で身につけることができないため、半期・通年単位で成長の度合いを振り返る必要があります。そのため、フィードバック時に長所や短所を正確に見極めることができ、その後の業務に活かすことができます。

丁寧な指導・教育ができる

OJDは従業員の希望を取り入れながら、指導・教育ができるため、指導を受ける従業員のモチベーションの低下を防ぎ、ストレスの軽減にも効果があります。また、OJT同様にマンツーマンでの教育・指導も行なえるため、従業員に合わせたオリジナルの指導・教育も実施できます。また、OJDは経営戦略の一つとして取り組まれるため、指導者の能力に依存しないため、会社が求める人物像に近い人材を育成することができます。

OJDの活用事例

マネジメント能力を培う支援システムであるOJDは、年々需要が高まり、既に人材育成や研修制度に組み込んでいる企業が登場しています。

コニカミノルタ株式会社

情報機器事業、ヘルスケア事業などを展開するコニカミノルタでは、新卒採用者・キャリア採用者に関わらず、人財育成にOJDを取り入れています。年度毎に直属の上司とのチャレンジ目標の策定をし、期末に成果検証を行い、その達成度を測っています。

また、専門性を高めるために必要なスキルアップや自分のキャリアデザインを社内ネットワーク上に登録・更新し、明確なキャリア形成を図ることができます。その他にも部下の評価者である上司のマネジメント能力や資質を評価・診断するための多面評価制度も実施しており、マネジメント能力の更なる向上にも力を入れています。

【参考】コミカミノルタ株式会社 ホームページ 人事制度

NEC(日本電気株式会社)

NECではOJDをベースにした3FP(3YEARS Fundamental Program)制度という独自の研修制度を採用しており、NECに必要な人材を育成しています。この3FP(3YEARS Fundamental Program)制度は3つのステージに分類しているのが特徴的です。

1年目は既存の枠に捉われない思考や行動を養うステージ【拡げる】、
2年目は顧客・関係者目線で取り組む事業貢献能力や自身の強みを身につけるステージ【高める】、
3年目は責任感や納期遵守を前提とした行動力や自身の強みに磨きをかけるステージ【究める】

以上3つのステージで人材育成を行ないます。

新入社員は上司や先輩社員のバックカップを受けながら、NECのプロフェッショナルとして活躍できる人材を目指します。

【参考】NEC ホームページ 研修体系の概要

まとめ

  • 複雑に変化し続ける世界経済において、柔軟に適応できる人材の確保や育成は、そのまま企業の競争力につながります。
  • 長期的な人材開発の一環であるOJDはマネジメント能力を有する人材の育成だけでなく、プロジェクトやチームに所属するメンバー全員が主体性を持つプロフェッショナルとして活動する組織作りにも役立てられます。
  • 近年ではOJDに特化した研修制度を提供する人事コンサルティング会社も登場しているため、導入のハードルが下がっています。
  • 自社の競争力を高めるためにも、新卒入社やキャリア入社に関わらず、OJDをベースにした研修制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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