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2018年11月14日(水)更新

行動特性

「行動特性」とは、人間を類型化し、優れた成果を生み出す人が行っている特徴的な行動パターンのことです。1990年代にアメリカで人事採用の場で取り入れられ、近年の日本でも取り入れられ始めています。本記事では「行動特性」の意味と活用方法、優秀な若手社員に見られる特性についてご紹介します。

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行動特性とは?

仕事ができる社員とできない社員。同じ指示を出しても、対応の速さや正確さなど、成果には差が出てきます。何がその差を決定づけるのでしょうか。

学歴や入社試験の成績は良くなかったのに仕事は超優秀……もちろんその逆もあるでしょう。試験で分からないなら、どうやって優秀な人材を見抜けばよいのか。成績が関係ないなら、入社してから仕事に必要な能力を伸ばすこともできるのではないか。そんな疑問も湧いてきます。

成果を挙げる人材に共通する思考の傾向や行動パターンは、行動特性ないしコンピテンシーと呼ばれています。米国で1970年に生まれた概念で、90年代に採用や人事評価の場面で取り入れられてきました。

日本でも1990~2000年代にかけて導入する企業が相次ぎました。EQ能力(感情に関する知能指数)検査やストレス耐性検査と並び、適性検査によく用いられます。

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行動特性の位置づけ

能力、経験、知識、性格、資質…。社員の業績を決定づける要因は様々ありますが、行動特性はそのなかでどのくらいの重みを持っているのでしょうか。それは次のような氷山モデルで説明されます。

水面上に現れている、つまり他人から見てすぐ分かる情報は、いわゆるスキルや知識です。その人と喋ってみれば初対面でもどのくらいの知識を持っているのか分かりますし、試しにやらせてみれば腕前も分かります。

これらの要素は勉強やトレーニングを受けることで割と簡単に身に着けられるのも特徴です。

一方、水面の深くに沈んでいて見えない部分、しかし大きく広がって全体を支えているのが人格です。何かを達成しようとする意欲=動機や価値観などは、その人の幼少期からの経験や家庭環境などに大きく左右されるので、言葉ではなかなか説明しにくく他人が簡単に理解できるものではありません。

持って生まれた性格や才能もここに位置し、大人になってから努力で会得するのは難しい要素でもあります。 その中間、ちょうど水面あたりに位置するのが行動特性です。

スキルや知識ほど直接的には測れないものの、適性検査などである程度測定することが可能です。また時間をかければ成人してからも習得できる要素です。

行動特性に注目すべき場面は?

採用の現場

行動特性が人事にとって重要なのは、社員の能力を具体的な行動に着目して採用・評価できるためです。 例えば入社面接で、学生が「私の長所は企画力です。学生時代にこんなイベントを成功させました」と自己PRをしても、採用担当者にとってはまず「企画力がある」という状態が抽象的すぎて評価できません。

イベントはたまたまヒットしただけかもしれないし、他の学生に比べてどのくらい秀でているのか、仕事で役立つレベルなのかもわかりません。視野が広く独特のアイデアを思いつくのが得意なのか、アイデアを文章化して周りを説得するのが得意なのか、実現までの細かな段取りや役割分担を想定するのが得意なのか。

学生が自分で「他の能力に比べて得意」と思っているだけなのか、他の学生と比べてもずば抜けているのかも分かりません。かと言って筆記試験で測れるものでもありません。

そこで面接では、どんなイベントをどうやって成功させたのか、「具体的なエピソード」に落として説明してもらい、採用担当者はそこから学生の行動にどんな特徴があるのかを読み取ります。

こうした特徴を採用管理システム等で一元管理・蓄積し、現職の社員のデータと突き合わせるなど分析を行うことで、候補者が真に秀でている能力は何で、どのような業務適正があるかを見抜きやすくなるほか、データを類型化することでその他候補者との面接・面談でも、汎用性高く用いる事ができるようになります。

人事向けニュースサイト「BizHint HR」編集部では、中立的な立場で独自調査を行い、国内で提供されている採用管理システムの比較一覧を作成しましたので、行動特性の活用と合わせご参考ください。

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入社後の評価・研修

入社後の人事評価についても同様です。営業職で考えた際、販売実績など結果だけで評価すると、その人の能力や努力で業績が良かったのか、たまたま景気が良かっただけなのか判別できません。

能力はあり努力もしたのに偶然業績を上げられなかっただけで昇進できなくなるのでは、人材を活かせませんし社員の士気にもマイナスです。また行動特性に着目すると、実際の行動に当てはまるかどうかを判断すればよいので客観的に評価できるメリットもあります。

行動特性は前述のとおり大人になってからも磨くことができます。入社後の新人教育・能力開発プログラムの一環として取り入れるのも有用です。

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行動特性の導入方法

行動特性を実際の人事に活用するには、①類型化②モデル化③測定・運用、という手順になります。

基本要素の類型化

全ての行動特性を羅列したうえで、類型化・尺度化したものを「コンピテンシー・ディクショナリー」と言います。決まった類型というものはなく、さまざまな学者・研究者や先行導入企業がそれぞれに分類しています。

とはいえコミュニケーション能力や人間関係の対処能力など、基本的な要素は共通するものがあり、導入の参考になるでしょう。

古典的な体系では、米国でコンピテンシー普及に大きく貢献した”Competence at Work”(Spencer & Spencer、邦訳『コンピテンシー・マネジメントの展開―導入・構築・活用』)が知られています。

ロジカルシンキング研修.comの石坂英男氏は、行動特性を次のように体系化しています。

これらを参考に、自社に必要な能力を調査し、それぞれの項目を文章に落とし込みます。

モデル化

業種や業種、役職により必要な行動特性は異なります。その企業が何を目指すのか、経営方針・戦略によっても社員に求められる能力は様々でしょう。

それぞれの企業や部署・役職ごとに、パフォーマンスの高い社員の行動特性をモデル化する作業が必要になります。

方法論としては、安定的に業績を上げている社員にヒアリングをして、どのような行動特性を持ち、それが業績とどう結びついているのかを抽出します。

前提として、はじめに「好業績とは何か」を定義づけることも重要です。業務展開を考えている場合など、既存の「好業績」概念にこだわらないのであれば、想定する経営戦略に必要と思われる能力からモデルを組み立てていく方法もあります。

測定・運用

モデル化した行動特性を採用や評価に結び付けるにあたっては、それぞれの指標項目にレベルづけを行っておくと測定しやすくなります。

例えばSpencer & Spencerが分類した「達成志向」の項目なら、マイナス評価となる「無関心」から「仕事そのものには熱心だが達成度には無関心」「人並みの達成水準を守る」「リスクを取って挑戦する」といった具合です。

運用面では、必ずしも全社的に導入する必要はなく、管理職のみ、新卒採用のみ、親切部署のみ、といった部分的な導入から始めるのも良いでしょう。

また指標の充足度を誰が判断するのかがポイントです。直属の上司が望ましいですが、指標やレベル付けがしっかりしていれば社員自身による申告制も可能でしょう。

優秀な若手社員にみられる行動特性

入社してすぐに頭角を現す若手社員もいますが、多くは経験を積んだり責任ある立場に就いたりしながら、業績の貢献度が上がっていくものです。

実績が出ないうちは「学歴はいいみたいだけど、本当に優秀なのかなあ…」と思う場面もあるかもしれません。

将来的に成果を挙げそうな若手社員を、行動特性から見抜くことができるでしょうか。

『人事の超プロが明かす評価基準』(西尾太著、三笠書房)では、優秀な若手社員にみられる行動特性として、次の16点を挙げています。

1.誠実な対応

相手の要望を正確にくみ取り、丁寧に対応する人は、信頼関係を築くのが上手です。小さなことでも手を抜かない、できないことや失敗を誤魔化さない。そんな若手なら社内外に人間関係が広がり、効率よく仕事を進められる可能性が高いです。

2.ルールを守る

ビジネスでは競争が激しく、時には他者を出し抜くためにルールを踏み外したくなる場面もあります。しかし一度ルールを侵すと、「このくらい大丈夫」と思う感覚が麻痺し、将来コンプライアンス違反につながりかねません。ルールの範囲内で成果を上げられるかどうか、を評価しましょう。

3.マナーに気をつける

身だしなみや言葉遣い、立ち居振る舞いは仕事の出来に直接関係なさそうではありますが、相手に不快感を与える人はここぞという時に信頼されません。特に若手のうちに悪印象を持たれると打ち消すのは難しいですから、新人だからしょうがない、と思わず、敢えて厳しくチェックしたいところです。

4.チームワークの大切さを知っている

優秀な社員は他人の力を借りなくても成果を上げられるので、個人プレーに走ることもあるでしょう。もちろんそうやって個人の力を磨くのも大切ですが、会社は組織ですから、他の社員の協力が必要な場面は必ずあります。個人プレーが得意だとしても、チームワークを軽んじることなくいざという時は他の社員と助け合う姿勢を持っていることは重要です。

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5.共感力を有している

他人の熱意や困っていることに共感できる人も、周りの信頼を得やすいです。世の中のニーズに敏感であるかどうかにもつながり、ビジネスチャンスをつかむ素質があると言えるでしょう。

6.伝達力がある

ビジネスは説得の積み重ねです。自分の熱意や真剣度を他人に訴える力が強い人は、顧客・取引先の心を動かしやすいでしょう。口数が多ければいいというものではなく、寡黙な人が発する一言が重みを持つ場合もあります。

7.継続力がある

ビジネスでも趣味でも、始めてすぐに結果が出ることはどちらかというと少ないです。焦らず諦めずに努力できる人こそが結果に結びつけることができ、伸びる余地が大きいでしょう。例え結果につながらなくとも他人の信頼を得るタイプです。

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8.創造的態度を有する

普段から好奇心の旺盛な人は、仕事でも新しいビジネスチャンスをつかむのがうまいと言えます。自分の世界に籠るのではなく、新しいこと・知らなかったことに関心を持てるかどうかは重要な見極めポイントです。

9.情報収集力がある

業界の動向や社会の流れなど、情報収集・分析は商機を得るための必須要素です。情報の分析・判断は経験が伴わないと難しいかもしれませんが、収集は若手でもできますし、若手だからこそ中堅以上が気づかなかった情報源を持っている可能性もあります。インターネットで何でも簡単に検索できる今は、文献や人的ネットワークなど複数の引き出しを持っている人が強みを発揮してくれるでしょう。

10.成長意欲・学習意欲が高い

入社時点で能力が高くても、その後成長しなければ意味がありません。吸収力の高い若手のうちこそ、より高みを目指そうとする姿勢、自ら学ぼうとする姿勢が重要です。

11.状況把握・自己客観視能力が高い

非常時・異常時に冷静な意思決定ができるかどうか。それには自分や会社の置かれた状況を正確に冷静に見極めることが前提となります。若手でも周りをよく見て自分のすべき行動をとれる人は、将来的にも信頼できる社員に育つ余地が大きいです。

12.企画提案力がある

社員全員がアイデアマンである必要はありません。しかしアイデアを形にする力がなければ宝の持ち腐れになってしまいます。伝達力に似た要素ですが、面接ですぐ分かる能力とは言えません。日々の仕事の中で観察・評価していきましょう。

13.クオリティ

仕事を型通りにこなすだけではなく、品質の改善に努める。それは学生のアルバイトと、社会でお金を稼ぐビジネスマンとの大きな違いと言えます。新人だからと甘えず、クオリティ改善にも目が届く若手は「プロ意識」が高く、顧客満足度の向上につながるでしょう。

14.主体性がある

若手が陥りやすいのが「指示待ち」人間。上司の指示を受けるにしろ、自ら尋ねる・提案する姿勢がある若手は、将来の伸び代が大きいと期待できます。

15.胆力がある

ポジションが上がり責任が重くなるほど、仕事で重要な判断を迫られる場面が増えてきます。慎重さは必要ですが、物怖じばかりしていてはかえって判断を誤ったり、商機を逃したりしかねません。度胸があり多少のことでは動揺しない若手は、ここぞという時に底力を発揮してくれるかもしれません。

16.ストレスコントロールができる

どんなに仕事ができる社員でも、精神を壊して会社を辞めてしまっては意味がありません。優秀な社員こそ仕事が集中しやすく、過剰ストレスになりやすいものです。時間の使い方がうまい、趣味があるなど、上手に息抜きできるかどうかも優秀な社員の条件の一つと言えます。

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まとめ

  • 行動特性は採用の現場(面接や面談)において、人物の優秀さをはかる上で有用
  • 行動特性を用いる際には、類型化・モデル化などのプロセスを経ることが不可欠
  • 優秀な若手社員には共通した行動特性がある

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