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2018年11月7日(水)更新

アンラーニング

アンラーニングとは、一度学習した知識や価値観を意識的に棄却し、新たに学習し直すことです。個人や組織が継続的に成長するためには、ラーニング(学習)とアンラーニング(学習棄却)のサイクルを回していくことが必要です。近年、人材育成やイノベーションに有効な手法として注目されています。この記事では、アンラーニングの重要性や必要性、具体的な実施方法についてご紹介します。

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1. アンラーニングとは

まず、アンラーニングの概要についてご説明します。アンラーニングとは、一旦学習した知識や既存の価値観を意識的に捨て去り、新たに学習し直すことです。人事労務用語辞典や人事用語集では、「学習棄却」「学びほぐし」という用語に訳され、組織論や経験学習論と関連づけて紹介されることもあります。学習を意味するラーニングとアンラーニングを交互に行い、学びのサイクルを回すことで、個人と組織の継続的な成長が期待できます。

近年の日本では、企業における人材育成やイノベーションの分野において有効な手法として人事担当者や経営層から注目され、その必要性が認識され始めています。経営学においてアンラーニングの考え方が取り上げられたり、大学の研究者に注目されアンラーニングの研究会が開催されたりしています。また、次世代のリーダーや経営者、起業家の育成においてアンラーニングの要素を取り入れた事例も見受けられます。

2. アンラーニングの必要性

それでは、なぜアンラーニングは近年重要視され、必要性を見出されるようになったのでしょうか。

急速に変化するビジネス社会

アンラーニングが求められるようになった背景には、急速に変化し続けるビジネス社会があります。テクノロジーが進歩し続け、グローバル化が進む現代社会は、変化が著しく、想定外の事態が発生することがあります。消費者のニーズや各種規制緩和など、めまぐるしく状況は変わり続けます。個人や会社が急速な環境変化の中で生き残っていくためには、変化に適応しながら成長し続けることが必要です。

これまでの日本企業は、新入社員の育成に力を入れており、「一人前になること」をゴールとする傾向がありました。そのため日本企業において、一人前になった後の成長を促す仕組みは未熟だったと言えます。しかし、急速に変化する社会の煽りを受け、熟達化し一人前になった後も、変化に適応するために学び続け、成長することが求められるようになりました。一人前になった後の学びを促す手法として、アンラーニングが注目されるようになっています。

熟達した後の学びを促進することが必要

日本企業のように、一人前になることがゴールとなり、成長が止まってしまうケースが多いのは、既存の知識や価値観が成長の邪魔をしているからです。アンラーニングは、成長を阻む既存の知識や価値観を意識的に棄却することでさらなる成長を促すため、一人前となり熟達した後の学習方法として有効に機能します。

個人や組織が成熟した後も学習を続け、イノベーションを継続できるようにするためには、既存の知識や価値観、技術、考え方、行動パターンが硬直し、環境に通用しなくなることを防ぐことが大切です。急速な環境変化に適応し、成長し続ける個人と組織を作るために、アンラーニングの手法が今必要とされています。

3. アンラーニングの方法

次に、アンラーニングの方法についてご紹介します。アンラーニングを行うためには、前提としてラーニング(学習)のプロセスを経ることが大切です。ラーニングのプロセスで、知識や価値観を学ぶことができたら、それまで自分が学習してきた知識や価値観、スキル、考え方、行動パターンを批判的に見直すアンラーニング(学習棄却)のプロセスを行います。

具体的なアンラーニングの方法としては、以下の2つが有効です。

「リフレクション」(内省)のプロセスを行う

まず、「リフレクション」を行うことです。「リフレクション」は、日本語で「内省」を意味します。個人が仕事の現場から一度離れて、自分がこれまで経験してきた内容を振り返るプロセスです。経験をしているだけでは成長しません。多くの現場で貴重な経験をした技術者であっても、振り返るプロセスがなければ優秀な技術者としてその後活躍することはできません。経験をしたら必ず振り返りを行い、経験を経た今自分はどうあるべきか、そして今後の仕事にその経験をどう活かしていくべきかを考え続けていくことが求められます。

「リフレクション」という振り返りのプロセスを定期的に行うことにより、経験は個人の能力を向上させます。また一人一人の個人が「リフレクション」を行い、経験を成長の糧としていくことで、個人の集合体である組織の成長にもつながります。

異業種・他部署と交流する

次に、異業種や他部署の人と交流することです。自分の学習してきた知識や価値観を批判的に見直すことは、「リフレクション」だけでなく、他者との対話でも可能です。実際、「リフレクション」のような一人で内省を行う方法は、実践することが難しい場合があります。

自分の経験を客観的に捉え直す作業は、一人で行うと労力がかかりますが、語りかけ応答してくれる他者がいると行いやすくなります。自分の知識や価値観を他者に開示し、他者の反応を受け取ることで、他者の目線から批判的に自分の経験を捉え直すことにつながります。対話する他者は、異業種や他部署の人物がおすすめです。他者の仕事が自分の仕事とかけ離れていると、より客観的に自分の経験を見直しやすくなります。

現在は、内省をサポートし合うワークショップや異業種交流会、体験セミナーなどが開催されており、社外の視点を用いて批判的に自己を見直し、新しい価値観を取り入れるプロセスを体験することができます。また、企業内においても、他部署と交流しながら自分の経験について語る場を設定し、内省を促すプログラムが存在し、人材育成における有効な施策として注目を集めています。

4. アンラーニングのメリット

最後に、アンラーニングを行うことによって得られるメリットをご紹介します。ラーニング(学習)とアンラーニング(学習棄却)を組み合わせて学びのサイクルを回し、継続的な成長を促すことにより、以下の3つのようなメリットが生み出されます。

業務の効率化

まず、個人にとっては、業務の効率化ができるというメリットがあります。ラーニングとアンラーニングのサイクルを経て、既存の知識や価値観を批判的に振り返り、必要であれば新しいものを取り入れることで、現在の業務を見直すきっかけを作ることができます。新しい知識や価値観によって、業務を効率的に行う方法を新しく考えることができたり、業務フローに劇的な改善をもたらす手法を習得することができたりします。

社員の業務効率化を図りたいと考えた場合には、教育と振り返りを行う研修などの機会を積極的に作っていくことが有効です。

イノベーション

次に、組織にとっては、イノベーションを活性化するというメリットがあります。アンラーニングによって、組織の既存のパターンを振り返ることにより、組織の成功パターンなどの固定概念を見直すことができます。固定概念の見直しは、変化する環境に適応しながら市場で生き残り、トップを目指すためのイノベーションを活性化することにつながります。

組織においては、どのような事業でも成功パターンを繰り返しがちです。成功した商品やサービス、手法を継続していくことは、戦略として有効ですが、盲目的に成功したパターンばかりを繰り返していると、時代や環境の変化に取り残される危険性があります。常に批判的に見直すことを促すアンラーニングの考え方は、時代や環境の変化に組織が取り残されるリスクを軽減し、イノベーションを継続していく原動力となります。

新たな気づき

最後に、個人レベルでも組織レベルでも、新たな気づきを得ることができるというメリットがあります。これまで日本の企業においては、熟達し一人前になることがゴールとされていました。これでは、他者から一人前になる方法を教えてもらい、受け身に学習することだけが成長のプロセスとなりがちです。自分で学び成長することができない、いわゆる「教わりグセ」を持った個人を増加させてしまう可能性があります。「教わりグセ」がついてしまうと、他者から教えてもらわない限り、成長につながりません。一人前になった後は、「教わりグセ」を脱して、自ら気づき成長していくことが大切です。

アンラーニングは、日本企業の人材育成で陥りがちな「教わりグセ」がつくことを防ぎ、自ら新たな気づきを得るように促します。一人一人が自ら気づきを得て学習していくことができれば、組織自体も自ら学習していく組織に変化していきます。自ら学習する組織は、環境の変化にも適切に対応することができます。急速な流れを持つ現代社会の中で、イノベーションを生みつつ、事業を永続していくことができる強い組織を形成することが可能となります。

5. まとめ

  • アンラーニング(学習棄却)とは、一度学習した知識や既存の価値観を批判的に見直し、個人と組織の継続的な成長を促す手法。ラーニング(学習)と組み合わせて、学びのサイクルを回すことにより、有効に機能する。
  • アンラーニングは、「リフレクション」(内省)を行うことや、異業種・他部署と交流することで実践することができる。
  • アンラーニングを行うことで、個人にとっては業務の効率化につながり、組織にとってはイノベーションを生み出すことにつながる。そして、個人と組織どちらにとっても、新しい気づきをもたらし、急速に変化する現代社会に適応し成長し続けることを可能とする。

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