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2018年11月21日(水)更新

自己効力感(セルフエフィカシー)

自己効力感とは、ある状況下において求められる適切な行動を選択し、遂行する能力を自分が持ち合わせているか否かの認知を示す言葉であり、優越感や劣等感という感情がなぜ発生するのかということを心理学的に表したものです。今回はこの「自己効力感」について解説いたします。

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自己効力感(セルフエフィカシー)とは

自己効力感(self-efficacy)という心理学用語は、カナダの心理学者であるアルバート・バンデューラが提唱した社会的認知理論(社会的学習理論)の中で使用されており、『自己効力』や『自己可能感』などと訳されることもあります。

臨床心理学において認知行動的アプローチの基盤としても扱われている社会的認知理論は日常生活の中で社会から受ける様々な情報を人がどのようにして認知するかというプロセスを説いたものですが、その中で自己効力感は非常に重要な概念の1つとして扱われているのです。

バンデューラによると、誰しもが自己効力感を通して物事を検討し、決断しているとされており、運動や学習など人生の様々な部分で自己効力感は大きな影響を及ぼします。

当然ながら、適切な判断を瞬時に求められることが多いビジネスシーンにおいてもその影響を無視することは出来ません。 グローバル化によって目まぐるしく変化していく経済情勢にいち早く順応し、ライバル企業を押しのけて更なる一歩を踏み出すためにも、自己効力感について正しく理解し、そのメリットを最大限に享受する方法を習得する必要があるのです。

結果予期と効力予期

自己効力感は行動決定や行動遂行に対し大きな影響を与えますが、そのプロセスには結果予期と効力予期という2つの先行要因が存在します。

特に効力予期は自己効力感と強い関わりを持っており、自身の認知している効力予期の量と自己効力感は比例すると考えられています。

結果予期

結果予期とは、知識や過去の経験に基づき、特定の行動を行った際の結果を推測することを指します。 そのため、結果予期を行えたとしてもそれが実現するとは限らず、正解であるとも限りません。

結果予期の例

  • 業績低下の原因が分からずに落ち込む部下を励ますにはどうすればいいだろうか?

しっかりと時間をかけて話を聞き、自分の言葉で整理させることによって問題点に気付くきっかけを与えるといいだろう。

  • ご年配の男性に対してどのような接客を行えば購買意欲を刺激できるのだろうか?

ご年配の男性に商品を勧める際には、柔らかい物腰よりも断定的な表現を織り交ぜながら力強くアピールを行う方がより効果的だろう。

効力予期

結果予期がこれまでの知識や過去の経験に基づいた推測であったことに対し、効力予期は特定の結果を導くために必要な行動を自分自身が上手く行うことが出来るという確信のことを指します。 ただし、必要な行動が実際に行えるかどうかを保証するものではなく、成功するとは限りません。

結果予期が行えた場合の効力予期の例

  • しっかりと時間をかけて話を聞き、自分の言葉で整理させることによって業績が低下した問題点に気付かせてあげることで、部下はきっとまたやる気を取り戻せるだろう。そして、自分なら聞き手として部下が抱えている悩みや思いを引き出してあげることが出来ると確信している。

  • 自分が培ってきたトークスキルと接客スキルを活かし、断定的な表現を織り交ぜながら力強くアピールを行うことで、ご年配の男性の購買意欲を刺激することができる。

結果予期が行えなかった場合の効力予期の例

  • どのようにすれば業績低下の原因が分からずに落ち込む部下を励ますことが出来るのか検討がつかない。だが、一人で悩ませるのではなく自分が間に入ることで、きっと解決の糸口を見つける事ができる。

  • ご年配の男性に対してどのような接客を行えば購買意欲を刺激できるのかが分からない。だが、接客の中で特徴や好みを把握することで、自分ならきっと上手なアプローチ方法を発見できる。

自尊心との差異

自己効力感と混同して扱われる用語として自尊心(自尊感情= self-esteem)がありますが、それぞれの言葉が持つ意味は大きく異なります。

自尊心とは自分自身を価値ある存在なのだと信じ、強く肯定する『感情』を、自己効力感は自分自身の中に目標達成能力が存在しているという『認識』を表します。 正しい理解を深めるためにも、この違いはしっかり押さえておきましょう。

自己効力感が高い人の思考

ビジネスシーンで見かける自己効力感が高い人の特徴を紹介致します。 あなたの会社にこのような方はいませんか?

  • 新しいプロジェクトへの参加を強く希望する
  • 多くの資格を取得している
  • 失敗した後の立ち直りが早い
  • 注意されても前向きに捉える
  • コツコツと努力できる
  • 他のメンバーの仕事もカバーする
  • 何をやらせてもそつなくこなす
  • 物事の本質をすぐに見抜く
  • チャレンジ精神が強い
  • 要領が良い
  • メモをしっかりと取る
  • 仕事と趣味を両立させている
  • 遅刻や欠勤をしたことがない
  • 約束の時間は必ず守る

また、自己効力感が高い人は次のような発言を行う傾向があります。

  • 「どんな事でも任せて下さい」
  • 「次はもっと頑張ります」
  • 「すぐに対応します」
  • 「(助言)ありがとうございます」
  • 「きっと上手くいきます」
  • 「最近すごく調子が良いです」
  • 「更に難しいことに挑戦したいです」

自己効力感が低い人の思考

続いて、ビジネスシーンで見かける自己効力感が低い人の特徴を紹介致します。 あなたの会社にこのような方はいませんか?

  • 常に自信が無い
  • 失敗を過剰に恐れる
  • 自分に出来る気がしない
  • 物事が長続きしない
  • 努力することができない
  • 資格の取得などに後ろ向き
  • 新しいことへの挑戦を嫌う
  • 作業内容の変化にすぐ戸惑う
  • 仕事のミスを報告出来ない
  • やる前から諦めている
  • 失敗からの立ち直りが遅い
  • いつまでもクヨクヨしている
  • 否定的な発言が目立つ
  • 話を聞いているようで聞いていない
  • 協調性を感じられない
  • ボーっとしていることが多い
  • 遅刻や欠勤が多い
  • 時間にルーズである

また、自己効力感が低い人は次のような発言を行う傾向があります。

  • 「だってしょうがない」
  • 「どうせまた失敗する」
  • 「悪いのは自分だけじゃない」
  • 「私はいつも人に嫌われる」
  • 「やらなくても(失敗すると)分かる」
  • 「どうせ自分には無理だ」
  • 「誰も自分には期待していない」
  • 「最初から私に頼まなければよかった」
  • 「やっぱり自分はダメだ」
  • 「勉強も仕事もできない」
  • 「どうしようもないダメ人間だ」

自己効力感の種類

自分自身の中に目標達成能力が存在しているという認識を示す自己効力感ですが、その状況や対象によって3つの種類に細分化することができます。

自己統制的自己効力感

自己統制的自己効力感は、『自己統制』という言葉を含んでいる通り、自己の行動を制御することを目的とした自己効力感です。 ビジネスシーンにおける自己統制的自己効力感には以下のようなものがあります。

  • 大きな失敗をしてしまっても、すぐに立ち直ることが出来る
  • 失敗を活かし、更なる成長に繋げることが出来る
  • 経験を積み重ね、業績を右肩上りにしていくことが出来る
  • 大変なプロジェクトでも自分であれば成功に導くことが出来る
  • 情報を適切にまとめ、読みやすい会議録を作成することが出来る
  • 物事の要点やポイントをすぐに理解し、押さえることが出来る

社会的自己効力感

社会的自己効力感は、社会の中で関わりを持つこととなる様々な人間との『対人関係』における自己効力感です。 ビジネスシーンにおける社会的自己効力感には以下のようなものがあります。

  • 職場での人間関係を上手に構築することが出来る
  • クライアントの希望を正しく理解することが出来る
  • 仕事において期待されている以上の成果を出し、満足させることが出来る
  • 自分は職場にとって必要不可欠な人材だ
  • 多くの部下が自分のことを頼りにしていると感じる
  • 上司は自分に対して一目置いてくれている

学業的自己効力感

学業的自己効力感は『学習』という分野において大きな影響を与える自己効力感です。 ビジネスシーンにおける学業的自己効力感には以下のようなものがあります。

  • 資格取得するための勉強を苦に感じない
  • 日々の業務全てが勉強であり、自分を高めてくれていると感じる
  • 自ら積極的に知識を学び、普段の業務に活かすことが出来る

自己効力感の構成要素

自己効力感はマグニチュード、強度、一般性という三次元から構成されています。

マグニチュード

マグニチュード(magnitude)は自己効力感の大きさを示します。

特定の課題を解決しようとした際に取るべき行動には、多くの場合にそれを構成するいくつかの下位行動が存在しますが、マグニチュードでは下位行動を主観的または客観的な視点から判断し、難易度順に昇順で並べます。

なお、多くの場合は難易度と効果が比例しますが、推測による結果予期の自己効力感の場合には求めた効果と異なる結果を招くこともあるため、単純に難易度が課題に対する効果の高さを示すというわけではないことを忘れてはいけません。

また、設定する人物の得手不得手も難易度設定に大きな影響を与えるでしょう。

事例

  • 業績低下の原因が分からずに落ち込む部下を励ますにはどうすればいいだろうか?

この課題に対し、以下のようにマグニチュードを設定しました。

  1. 「いつまでもクヨクヨするんじゃない」と喝を入れる
  2. 「一次的なスランプだから気にすることはない」とフォローする
  3. 自分の経験を元にアドバイスを行う
  4. 一度ゆっくり話を聞く機会を設ける
  5. 定期的に話を聞く機会を設ける
  6. 定期的に話を聞く機会を設け、更なる成長を全面的にサポートしていく

強度

強度(strength)は課題に対して取ることが出来る下位行動のそれぞれについて、今の自分であればどれだけの確率で実行することが可能であるかという主観的確率(確信の強さ)を示します。

マグニチュードによって設定した下位行動に対し、今の自分であればこの段階までは行えるだろうという思いを数値化することにより、課題に対する自身の取るべき行動の選択が容易となるのです。

事例

  • 業績低下の原因が分からずに落ち込む部下を励ますにはどうすればいいだろうか?

この課題に対して設定したマグニチュードを以下の通り評価しました。

  1. 「いつまでもクヨクヨするな」と喝を入れる これまでにも行ってきた方法であることから再現が容易なため、100%と評価しました。
  2. 「一次的なスランプだから気にすることはない」とフォローする 声をかけることは容易ですが、無責任なフォローを行うことに対する罪悪感から90%と 評価しました。
  3. 自分の経験を元にアドバイスを行う 自分の持つ経験や知識によってどれだけの効果を与えられるのかという点に不安を感じ、実行することへの抵抗感から80%を設定しました。
  4. 一度ゆっくり話を聞く機会を設ける これまで仕事外においては会社主催の飲み会などでしか関わりをもっていなかったことから、誘いに応じてくれるだろうかという不安を感じ60%に設定しました。
  5. 定期的に話を聞く機会を設ける 上記の事情に加え、定期的ともなると部下にも自分自身にも時間的負担と精神的負担がかかってしまうため30%に設定しました。
  6. 定期的に話を聞く機会を設け、更なる成長を全面的にサポートしていく 全面的なサポートとなると多くの時間を費やすこととなり、自分自身の業務にも大きな影響を与えてしまうことになるため10%に設定しました。

一般性

一般性(generality)とは、特定の課題に対して認識された自己効力感が、場所や状況などの条件が変わった場合にどこまで応用して使用出来るかということを示します。

領域固有の自己効力感(SSE)

一般性という観点から見た際、その特定の条件下以外では使用することの出来ない自己効力感のことを、領域固有の自己効力感(SSE= task-specific self-efficacy)と呼びます。

専門的知識や経験を必要とするものや、通常の業務内容からかけ離れたイレギュラーに対する対処など、その領域に対しての効果を強く発揮する反面で、似たような領域であっても応用することが難しい自己効力感をSSEと表現するのです。

一般化された自己効力感(GSE)

専門的領域においてのみ固有の自己効力感を形成するSSEに対し、ある領域における自己効力感が高まることにより、似ている領域における自己効力感も同時に高めることが出来るという特性を持つものを一般化された自己効力感(GSE=generalized elf-efficacy)と呼びます。

接遇力という領域の自己効力感を高めるということは、他者への思いやりの心などを育むことであり、そのスキルはコミュニケーション力や営業力という別の領域の自己効力感に対してもプラスの影響を与えるため、他者を思いやることが出来るという自己効力感はGESであるといえるのです。

自己効力感の高め方

日常生活だけではなくビジネスシーンにおいても大きな影響を与える自己効力感ですが、どのようにすれば高めていくことが出来るのでしょうか。

達成体験

達成体験とは、自身の成功感や達成感の高まりにより遂行可能感を高めることを指します。 課題達成時に選択した行動に対する自身の中での評価が高まることによって、自己の持つ効力感に対し強い信念と認識を持つことができるため、自己効力感を高める方法として最も強力なものであり、重要であるとされています。

達成体験が自己効力感へ与えるプラスの影響

  • 高難易度の資格取得を目指して過去問題集に取り組んでみたところ、自分が思っていた以上にスラスラと問題を解くことができ、自分の中に確かな知識が蓄積されていることが分かった。

この成功体験によって難易度の高い資格試験に対しての不安感が薄れ、自己効力感は更に高まり、資格取得までの道のりが明確となったことでモチベーションは更にアップしたのです。

達成体験が自己効力感へ与えるマイナスの影響

  • まずは実際の試験に挑戦してみようと過去問題の確認などを行わずに試験を受けたところ、未知の領域の問題により不安感や緊張感が高まり、正しい知識を持っている領域の問題さえもまともに答えることができなかった。

この失敗経験によって自分の中に蓄積されていたはずの知識に対しての信用が薄れ、自己効力感は低下することになったのです。

自己効力感に効果的な達成体験を得るための工夫や努力

予想し得ない状況の出現は行動の成功率に大きな影響を与えてしまうため、達成経験においては目標設定と手順の確認をしっかりと行った上で行動に移すことが大切です。

下準備を行った上での成功体験は、正しいプロセスをもって準備を行えるという自己効力感をも高めることとなり、更に多くの可能性を広げてくれます。

ただし、どれだけの準備を行ったとしても絶対の成功を保証するものではないため、万が一失敗した場合に「ここまでやってもダメなのか」という絶望感や「自分は目標の立て方や準備の仕方が下手なんだ」という失敗体験として受け入れてしまう可能性があることを忘れてはいけません。

そのような場合でも、向上心や諦めない気持ちなどGESの性質を持った自己効力感が高まっていれば、「目標や手順の設定方法をもう一度見直そう」や「今回の失敗を次に活かそう」などの前向きなものに変化させることが出来るでしょう。

また、高すぎる初期目標を掲げてしまうと失敗する確率が大幅に上昇してしまうため、目標が高すぎる場合には初期目標ではなく最終目標に設定し、小さな段階を積み重ねながら上っていくスモールステップを取り入れるようにするとよいでしょう。

代理経験

自分自身が実際に体験する達成経験とは異なり、自分が行おうとしているものと同様の行動を第三者が実行して成功を治めたという事実を見聞きすることによって「自分にも出来るのではないか」という自信を生み出し、自己効力感を高める方法を代理経験といいます。

また、その第三者の置かれている状況が自分自身に近似している程、代理経験のもたらす影響力は強いものとなります。 なお、代理体験や代理的経験とも呼ばれます。

代理経験が自己効力感へ与えるプラスの影響

  • 自分と同じく口下手なために営業能力の低さをコンプレックスに感じていた同僚が、しっかりと相手の話に耳を傾けて聞き手側に回ることによって、この数ヶ月で見違えるほどの業績アップを果たしたという話を聞いた。

同僚という身近な人間の体験談というのはとても良い参考となり、今回の話を聞くことによって自分の中に「それなら自分にも実践できる」という思いが生まれ、自己効力感を高めることに成功しました。

代理経験が自己効力感へ与えるマイナスの影響

  • 一流企業でのセールス経験を持つ部長から、「営業は気合だ。真剣な気持ちを相手にぶつければ絶対に伝わる」とアドバイスと受けた。

多くの経験と知識を持つ上司からのアドバイスは本当にありがたいものです。 しかし、経験や性格の違いから「そのような形で結果を出せる部長が羨ましい。自分には同じようには出来ない」と劣等感を感じてしまうことになり、結果として自己効力感を低下させてしまいました。

自己効力感に効果的な代理経験を得るための工夫や努力

代理経験によって自己効力感に高めようと考えた際に一番重要なことは、自分自身と同じ条件下において同じ目標や課題を持つモデルを見つけることです。

そして、その対象者の行動をしっかりと観察するモデリングを行うことにより、成功への道筋を照らしてくれる貴重な情報源へと昇華されていくのです。

自分自身の成功体験は自己効力感を高める過程において絶対に欠かせないものですが、客観的な成功観察も自己の中で課題に対する対処方法を決断する上での成功認識を確信へと変える大きな根拠となりえるのです。

言語的説得(社会的説得)

言語的説得とは、周りからの励ましや評価によって自己効力感が高まることです。 励ましや評価を与えてくれる相手は必ずしもその課題に対する有識者である必要はなく、同僚やプロジェクトチームメンバーからの声掛けにも効果があることが認められています。

赤の他人からの声掛けには大きな効果を期待できない反面、両親や尊敬する上司、その道のプロフェッショナルなど、信頼を置いている相手であればあるほど高い影響力と効果を与えてくれるため、自分が言語的説得を行う立場になる場合には、まず対象者との信頼関係を築くところから始める必要があるといえます。

言語的説得が自己効力感へ与えるプラスの影響

  • とても大きなプロジェクトを任されて不安を感じている自分に対し、信頼している上司から「入社1年目でここまで大きな仕事を与えられた人を私は他に知らない。それだけ上層部から評価されているということだし、私もあなたならこのプロジェクトをやり遂げることが出来ると信じている。」という声掛けをもらった。

自分が信頼し、尊敬している上司からの励ましの言葉だったため、「この人が言うのであればきっと自分にはそれだけの能力があるのだろう。まだ今の自分がそれに気付けていないだけなんだ」と目の前の課題に対して前向きに考えられるようになり、自己効力感が大きく高まりました。

言語的説得が自己効力感へ与えるマイナスの影響

  • 最初は自信の無かったプロジェクトリーダーだが、結果として成功を治めることができた。上司からは「お前はやれば出来るんだ、次回のプロジェクトにも期待しているからな。」という言葉を頂いたが、今回の成功はプロジェクトメンバーの協力によるものであり自分の実力は不足していたと今でも感じている。

せっかく良い評価をもらっても、自身の中に受け入れる気持ちが無ければ何の効果もありません。それどころか、「どうせ自分はダメなんだ」という思考や「きっと次回は上手くいかないだろう」という推測によって自己効力感を低下させてしまうことだってあるのです。

自己効力感に効果的な言語的説得を得るための工夫や努力

言語的説得を価値あるものにしていくためには自分への評価を素直に受け入れる心構えが重要です。 そのため、自己強化として自分自身の良いところを探し出す作業を行い、自分にも褒められるべき部分がたくさんあることを知るというのも大切なことでしょう。

上司など自分より上の立場からの評価を強く意識する人もいれば、上の立場の人間からの言葉を一切遮断して受け付けない人も存在します。

また、同僚からの意見に一切耳を傾けない人もいるでしょう。

言語的説得を使用する場合には、対象者の特性をしっかりと理解し、効果的なアプローチを行うことによって、より大きな効果を得ることが出来ることをしっかりと覚えておきましょう。

生理的情緒的高揚(情動的喚起)

生理的情緒的高揚とは、これから課題に向き合うための行動を開始する段階となった際に、精神的に落ち着いてリラックス状態である自分自身を認識することによって安心感を覚え、自己効力感に対して更にプラスの影響を及ぼす現象のことをいいます。

逆に、発汗や動悸など動揺している自分を認識してしまい、自己効力感に対してマイナスの影響を与えてしまうこともあります。

生理的情緒的効用が自己効力感へ与えるプラスの影響

  • もうすぐ取引先企業の重役を相手に大切なプレゼンテーションを行わなければいけない。これまでしっかりと準備を行い、何度も入念に練習を繰り返してきた。現段階で気持ちも落ち着いており、最高のプレゼンテーションを行える気がしている。

精神的に落ち着いている自分自身を認知することにより、これまでの準備や努力が結果を導いてくれるだろうという強い希望へと変わり、ここまで積み上げてきた自己効力感を更なる強固なものへと変貌させ、達成可能性を高めることが出来ました。

生理的情緒的効用が自己効力感へ与えるマイナスの影響

  • もうすぐ取引先企業の重役を相手に大切なプレゼンテーションを行わなければいけない。これまでしっかりと準備を行い、何度も入念に練習を繰り返してきた。しかし、ここにきて緊張している自分に気付いてしまった。準備が足りなかったのではないだろうかという不安が拭えないままプレゼンテーションの時間を迎えることになりそうだ。

ここまで少しずつ積み重ねてきた自己効力感は確かなものであり、一定の成果を上げることが出来ると予測していました。 ですが、直前になって動揺している自分に気付いてしまい、不安を感じることによって更なる動揺を招いてしまうという悪循環に入ってしまうことで、達成可能性を大きく低下させてしまったのです。

自己効力感に効果的な生理的情緒的効用を得るための工夫や努力

人は想像以上にメンタル面に大きく影響を受けてしまう生き物であり、それは時に大きな商談の結果さえも左右させてしまうことになります。 しかし、感情のコントロールならまだしも、生理的反応のコントロールを行うのは非常に難しく、ビジネスとは全く異なる専門分野の話となってしまいます。

そこで、自分自身や同僚、部下などに対してすぐに導入できる対策方法として生活習慣の見直しを強く勧めます。 自律神経に大きな負担を与えてしまう寝不足や過労などを解消することによって、自分自身にとっての心配要素を取り除くこととなり、結果としてより悪い状況になる可能性を減らすことが出来るのです。

また、自分が100%の力を発揮したとしても相手が正しく受け入れてくれるとは限らないし、受け入れてくれたとしても成功に繋がるとは限らないという認識を持つことによって、余計なプレッシャーを感じずに自然体を保ちやすくなるのではないでしょうか。

想像的体験

想像的体験とは、達成体験や代理体験のように自分自身や第三者の成功体験によって自己効力感を高めるのではなく、そのような成功体験を想像することによって自己効力感を高める方法となります。

自己や他者の成功経験を想像するということは、自己暗示や思い込みという行為でもあり、それが必ずしも自己効力感を高めることに繋がるとは限らず、医学的にも証明はされておりません。

しかし、世紀の大天才として知られるドイツ生まれの理論物理学者であるアルベルト・アインシュタインの残した言葉の中に「想像力は知識より大切だ。知識には限界がある。想像力は世界を包み込む。」というものがあるように、時に想像力は自己効力感にも影響を与えることがあるのかもしれません。

いずれにせよ、確かな結果を得たいと考えるのであれば達成体験や代理体験を優先して取り組んでいくべきでしょう。 その上で、言語的説得や生理的情緒的効用の応用として「自分なら出来る」と言い聞かせることによるメンタル的なフォローアップとして活用するのであれば、相乗効果を期待することも出来るのではないでしょうか。

因子分析による組織における個々の自己効力感の評価

自己効力感がマグニチュード、強度、一般性の3つの要素から構成され、様々な方法によって高めていけることが分かりました。

しかし、これらはいずれも設定基準や評価基準など個人の価値観が大きく反映されるものであり、多くの人間が共同で活動を行う企業などの組織内において、個々の自己効力感の程度を一括して把握したい場合には評価方法が統一されておらず困難を極めることとなります。

社会心理学や組織心理学として自己効力感を活用し、実用性のある情報へと可視化する際に使用されるのが、一般性セルフエフィカシー尺度(GSES= General Self-Efficacy Scale)です。

GSESは自己効力感の構成要素の一つである一般化された自己効力感(GSE)に注目したものであり、16問の質問にYesかNoで解答することによって、その個人の持つ一般化された自己効力感がどのくらいの程度であるか測定することができます。

このGSESはパーソナリティを測る際に用いる因子分析の1つであり、実際の現場においては業種や部門ごとに専門性を深めた独自の測定尺度を用意することとなります。

GSESや独自の測定尺度を活用することにより、自分自身の自己効力感の高まりの再認識を行ったり、自分自身や部下の自己効力感の低下の早期発見によって早急な対策を行うことが出来るのです。

まとめ

  • 自己効力感とは、自分自身の中にある目標達成能力の存在を認識することである
  • 自己効力感は、自身の達成体験や第三者による代理体験など様々な方法で高めることが出来る
  • 自己効力感の程度は、GSESや独自の測定尺度によって測ることが出来る

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