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連載:第34回 組織作り その要諦

“いまどきの職人”は背中で語らない。企業の存続をかけた組織づくりの神髄

BizHint 編集部 2022年4月22日(金)掲載
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2008年、世界を大きな混乱に陥れたリーマンショック。静岡県浜松市にある三光製作株式会社も、リーマンショックの影響で売上の8割を失ってしまったそうです。代表取締役社長CEOの山岸 洋一さんは、自身の力不足に打ち拉がれながらも、会社の再建に立ち向かっていきます。そんな同社を支えたのは「人」。人間関係やコミュニケーションを大事にする“いまどきの職人集団”で成長を続けている、同社の道のりを聞きました。

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三光製作株式会社/三光ホールディングス株式会社
代表取締役社長CEO 山岸 洋一さん

静岡県浜松市生まれ。横浜国立大学 工学部物質工学科を卒業後、日本発条株式会社へ入社。約1年の勤務ののち、父の急病のため三光製作株式会社へ入社。2002年、3代目代表に就任。現在は静岡県浜松市・静岡県静岡市・ベトナムの3拠点でグループ会社を経営。三光製作株式会社は2023年に創立70年を迎える。


リーマンショックで売上の8割がなくなる…。稲盛経営との出会いで自社の経営を見つめ直す

山岸 洋一さん(以下、山岸): 当社は1953年創業、2023年で創立70周年を迎えるめっき加工会社です。社是には「人に優しく、仕事に厳しく」を掲げ、技術力の向上はもちろん、「人間力を磨く」という点を非常に重視しています。

人間力というと抽象的ですが、具体的にあげるのであれば、感謝をする力やコミュニケーション力です。仲間とコミュニケーションを取ろうとする意欲や、自ら会社をよくしていこうとする主体性など、そうしたベースになる「人となり」を高めてほしいと思っています。そのため、当社では人に対する投資は惜しみません。

経営においては「人」がすべて です。製造業で「投資」といえば機械や工場に対する「設備投資」が一般的ですが、私は 設備以上に磨けば光るのが人間 だと思っていて、だからこそ人に投資することが重要だと考えています。たとえ現状のスキルが50だとしても、今後80にも100にも成長していくポテンシャルを秘めているのが「人」なんです。

製造業では、社員が働いた時間は製造にかかった費用として、社員の給与を「製造経費」と計上することが多いのですが、人の成長を考慮すれば、労務費や人件費は「経費(コスト)ではなく投資」だなと。そこから、人に関わる費用はすべて「投資」として捉えはじめるようになりました。

長年培われてきた独自技術・人材育成プログラム・管理体制をもとに、多様化・高度化するニーズに応える「ざ・めっき」をコンセプトに、新たな付加価値創造を続けている

――社長の就任当初から、「人を生かす」経営を志していらっしゃったのでしょうか?

山岸: もとから人間関係、何よりもコミュニケーションの重要性は感じていて、社内でも様々な取り組みを行っていたのですが、 リーマンショックが大きなターニングポイントの一つ になっています。

リーマンショックが起きた2008年、それまでの会社の売上の8割がなくなりました。翌年以降若干回復したものの、それでも以前の売上には全く及ばず…そんな状況が2~3年続いたんです。事態を打開するため、海外進出を進めようとベトナムに工場を建設しましたが大苦戦。自分なりに様々なリスクを考慮し慎重に準備を進めたつもりだったのに、蓋を開けてみれば、赤字が続く状況で…。

危機的状況からなかなか脱却できず、経営者としての力不足を痛感していた頃、当時日本航空(JAL)再建に奮闘されていた稲盛和夫さんの勉強会(盛和塾)で、プレゼンをさせていただく機会をいただきました。そして、ベトナムと日本を往復するJALの飛行機の中で、盛和塾で渡された百何冊とある稲盛さんの講演録を読みました。それらを実践し続ける稲盛さんの経営によって、JALが立ち直っていく姿を目の当たりにする中で、 自分が蔑ろにしてしまっていたこと、気づいていなかったことなど、数えきれないほどの学びを得ることができました。 自分自身の経営を見つめ直す大きなきっかけになったんです。

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