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連載:第6回 リーダーが紡ぐ組織力

「大家族主義」経営を貫く3代目の信念。優秀人材が集まる中小企業、求心力の源泉に迫る

BizHint 編集部 2022年3月16日(水)掲載
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会社は「仕事をする場所」であるとして、プライベートは持ち込まないといった社風の企業も増えている中、「大家族主義」を信条に成長を続けている中小企業があります。「特殊銅合金」というニッチな素材で国内外のインフラ産業を支える大和合金株式会社です。同社は「社員が誇りと自信を持って、家族や親戚・親友を勧誘したくなる会社」として、親子や兄弟が複数人入社、大手企業からの転職組や外国人社員、高卒社員から80代社員までいるバラエティに富んだ人材の宝庫。その求心力の源泉はどこにあるのか、代表取締役社長の萩野源次郎さんに伺いました。

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大和合金株式会社・三芳合金工業株式会社
代表取締役社長 萩野 源次郎さん

1968年生まれ。上智大学大学院理工学研究科修了後、花王株式会社を経て1999年大和合金株式会社入社。2012年同社代表取締役就任。工学博士。「特殊銅合金材料というニッチな業界で世界No.1企業になる」をビジョンとし、同社の3代目経営者として積極的な海外展開に着手。2016年はばたく中小企業300社(海外展開部門)選出、2019年第9回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞・中小企業庁長官賞、2021年Forbes JAPAN SMALL GIANTS AWARD「カッティングエッジ賞」など、受賞歴多数。


コロナ禍に過去最高売上を達成見込み。土台はリーマンショックからのV字回復

萩野 源次郎さん(以下、萩野): 当社は私の祖父にあたる初代が、当時画期的であった銅合金を開発したことが始まりです。1941年に板橋区で創業し、2021年で創業80年を迎えました。創業以来、主に銅合金を中心とした特殊材料一筋で、溶解から加工まで一貫生産体制を敷いています。

主力商品である「特殊銅合金」とは、一言でいうと銅に様々な元素を配合したもの。純銅と異なり硬度・引張強度・耐力といった特性を持たせることができるので、お客様のニーズにあわせて自在に変化させることができます。航空機や鉄道・半導体業界を始め、宇宙産業やエネルギー施設など、日本と世界のインフラ産業を支えている素材です。

同社で取り扱っている「特殊銅合金」の一例

――3代目となる萩野さんが社長に就任されてから、海外展開も積極的に行っているそうですね。

萩野: はい。当社の強みである特殊銅合金を世界に拡販しようと、2008年から海外展示会に積極的に出展しています。競合他社は商社を介した取引が多いですが、当社はメーカーである点と一貫生産体制を敷いていることから、どんな要求にも迅速・柔軟に対応することを評価いただき、取引先を広げています。

海外の納入先は航空機産業が中心です。また、当社が開発した銅合金の高い耐熱性が評価され、フランスで開発されている核融合実験炉(ITER)への部品供給が昨年から始まりました。

私が積極的に海外展開を行った理由は、リーマンショックによる業績の落ち込みがあったからです。しかし、 そのピンチがあったからこそ、下請け型から自ら販路を開いていくという体質転換ができた のでしょう。

――2021年度はコロナ禍の影響がありつつも、過去最高売上となるそうですね。

萩野: グループ全体の2021年度の売上高は、約65億円を見込んでおり、過去最高売上です。コロナ禍により一旦航空機産業も落ち込みましたが、今では需要が戻りつつあると感じています。リーマンショックから多様な販路開拓をしてきたからこそ、このコロナ禍も乗り越えることができました。

しかしコロナ禍により、海外展示会がなくなってしまいました。展示会出展の効果は数年後に出るので、これからが正念場だと考えています。

成長の秘訣は「家族ぐるみ」の濃密なコミュニケーション

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