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2019年10月3日(木)更新

組織活性化

「組織活性化」とは、「組織本来の目的を組織成員が共有し、主体的・自発的に協働しながら達成しようとしている状態」などと定義されています。業務効率化やデジタル化の流れに沿ってITの導入が進み、社内の人間同士のコミュニケーションが希薄になった事などを背景に、いまこの「組織活性化」が注目されています。今回はこのテーマについて、組織が活性化している具体的な状態、注目される背景、組織活性化のために取り組むべき事柄、そして各企業が取り組む事例などを交えながら詳しくご紹介します。

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組織が活性化するとはどういう状態か

組織活性化とは、組織やチーム、企業として一つの目的を達成するために、組織の構成員やチームメンバーそれぞれが主体的に活動、協働している状態を指します。

具体的には、以下のような状態が該当します。

従業員が企業のビジョン・ミッションを「自分ゴト化」している

企業理念やビジョン・ミッションなど、会社の目指す方向性について、従業員一人ひとりが理解し、それを自身の業務に落とし込んで実践している。つまり「自分ゴト化」している状態です。

そうすることにより、従業員は組織の中での役割をしっかり認識し、自身が今何をすべきかを自ら考え、一定のモチベーションを保ちながら業務に臨めます。

社内のコミュニケーションが円滑

組織を活性化するには、従業員同士のコミュニケーションが円滑であることが重要です。これは、所属するチーム内だけで完結するのではなく、部署や役職の垣根を超えた広いコミュニケーションを指します。

コミュニケーションが円滑に保たれていると、異なるスキルや考えを持った人材同士が情報交換できるようになり、新たなアイデアの創出やイノベーションを生み出す基盤となります。

従業員の育成プランが整備されている

組織にとって最も重要な経営資源は「ヒト」であるとされており、組織活性化のためには「人材の活性化」が必要不可欠です。そのためには、企業が人材育成を重要課題と考え、そのプランがしっかりと整備しなければなりません。

対象者の経験年数や役職に沿った形式的な研修だけでなく、従業員一人ひとりがどのようなキャリアを歩んでいくのかを考慮した、きめ細かな育成も必要です。その人材に対して数年後に期待する状態、それが実現すれば組織はどう活性化するのか、組織とヒトをリンクさせた人材育成のプランを構築することが、組織を活性化する鍵であると言えます。

なぜ、「組織活性化」が重要か

それでは、組織活性化が必要になった背景について見てみましょう。

1990年代後半から、ITが企業内でも普及し個々がパソコンを使って業務を行うことが増えました。並行するように仕事は細分化・分業化されていきます。

ITは業務効率を飛躍的に向上させましたが、社員間での対面のコミュニケーションは減少。業務内容については、E-mailなどのITツールを使って共有できますが、非対面型のコミュニケーションでは、感情や業務に対する思いなどヒューマンプロセスの共有が不十分になり、そこに感情のずれが生じます。さらに、ITを使った分業により仕事が個業化された影響で、人事評価は個人の数値、短期的な成果が重視される傾向も生まれました。

企業内のヒューマンプロセスについていち早く問題提起をしていたのが、経営学者でもあり心理学者のダグラス・マクレガーです

マグレガーは組織開発・キャリア開発の部門の研究を進めたエドガー・シャインに影響を与えた人物と知られており、1960年出版の「The Human Side of Enterprise」(日本タイトル「企業の人間的側面」1970年出版)のなかで、組織の中ではその人間的な側面にも目を向け当事者が主体的に取り組んでいくことの重要性を論じています。

個人が抱える問題はやがて組織にも影響を及ぼすため、問題解決のためには、個人へのアプローチと並行して、組織開発のように部署内の関係性や組織全体のプロセスに対しての働きかけが必要になってくるのです。

組織活性化のために取り組むべきことは?

組織活性化は組織開発の前段階としてもすぐに取り組むことができます。具体的な方法とはどのようなものがあるのか説明していきます。

ミドルマネジメントによる、「自分ゴト」化したビジョン・ミッションの共有

そもそもミドルマネジメント層とは、「中間管理職」とも呼ばれる層の人材のことで、一般的に「部長」「課長」「係長」などの役職の人を指します。組織活性化にとってもっとも重要な人材は、この「ミドルマネジメント層」であると言っても過言ではありません。

組織を活性化するには、企業の方針やメッセージをしっかり現場の社員に伝え、理解を促し、それを「自分ゴト化」してもらう必要があります。ただし、このメッセージを共有する際に、ただトップダウンで周知したのでは具体性に欠け、従業員の「自分ゴト化」に繋がりません。

ミドルマネジメント層は、経営陣に近い視点を持つと同時に、プレイングマネージャーとして現場に立つ人材も多く、従業員として働く視点も持ち合わせています。ミッション・ビジョンを「自分ゴト化」させるには、より身近な存在からそれぞれの業務に落とし込み、具体的に伝える必要があるのです。

【関連】プレイングマネージャーとは?求められる役割と陥りがちなこと/BizHint
【関連】ミドルマネジメントとは?意味や役割、課題や育成のポイントをご紹介/BizHint

中長期のビジョン策定・共有

現代は「VUCA時代」と言われる、予測がつかず変化の激しい時代。企業としての恒常的な理念やビジョン・ミッションを持つと同時に、現実的な期間の戦略を具体的に定める「中長期戦略」の策定は必要不可欠です。

まず、外的・内的要因から自社の課題を洗い出し、例えば5年後、自社がどうあるべきかを明確化します。そして、それを納得感のある「中長期のビジョン」として従業員に共有し理解を促すことにより、従業員一人ひとりが現状何をすべきかが見えてきます。これらにより、能動的に動く社員が増え、最終的に組織の活性化につながるのです。

【関連】VUCAの意味とは?VUCAな時代に求められるリーダーシップとは?/BizHint

個々人のミッションと目標を明確にする

マネジメント手法の一つに「MBO(目標管理)」があります。MBOはドラッガーが1954年に出版した『現代の経営』の中で発表され、個々の社員がそれぞれ自らの目標を設定し、その目標達成のため自らを自主的に管理することで主体性を養い、最終的に組織の成果につなげることを目的としています。

MBOでは、上司との面談を通して本人が納得のいく明確で具体的な目標を設定でき、時間目標やアクションプランも同時に作成するため、組織内での自分の役割を自覚できます。これによって、自主的に成果につながる仕事に取り組めるようになります。

適度な努力目標は無理のない能力向上や新たな能力の気づきにつながるため、達成感を感じられ、意欲が高まります。

【関連】「MBO(目標管理)」で企業を強く!経営陣が意識すべき目的やメリット、デメリットとは?/BizHint

経営層と従業員間のコミュニケーションを循環させる

組織活性化には社内コミュニケーションが欠かせません。しかしながら、経営層と一般社員、上司と部下など縦のコミュニケーションは、特に問題が発生しやすいものです。

解決策としては、社内交流会、飲み会、ランチミーティングなど、従来型のコミュニケーションが挙げられていますが、これらには、スケジュールの調整や予算の問題などデメリットもあります。

また、従業員の中には社内コミュニケーションの重要性は理解していても、上から押し付けられたコミュニケーションだと感じる人も存在します。

経営者、社員双方ともお互いが相手を尊重し合い社内の人脈をつなげる方法として、インターネットを利用した社内SNS、FBなどインターネットでのコミュニケーションや、上で業務上の課題解決にゲームの要素を取り入れたゲーミフィケーションの手法を使った研修などが注目されています。

【関連】なぜ社内コミュニケーションが重要なのか?改善施策・事例まとめ10選/BizHint

新卒人材の育成に取り組む

新規人材を職場に配属すると様々な効果が生まれることは、多くの人が実感しているでしょう。

一つの理由は新人を迎え入れることで、それまでルーチンであった仕事の内容を新人に教えるために見直すから。その途中段階で、組織のメンバー間でコミュニケーションが活発になります。

さらに新人の配属後は、日々の業務が滞り、時には衝突も発生します。新卒の社会経験のなさが職場に「ゆさぶり」「ゆらぎ」を与え、組織活性化の起爆剤になり得るのです。

新人教育の段階で、ビジネスマナーや仕事の基礎知識を教えるのは重要です。即戦力としての成長を促しながら、組織全体も新入社員の影響で活性化されることに注目しましょう。

【関連】人材育成とは?対象別の求められるスキルや育成方法、成功ポイントまでご紹介/BizHint
【関連】新入社員教育の意味や目的とは?新入社員の指導方法や育成計画の手順などもご紹介/BizHint

組織活性化への取り組み事例

組織活性化は「社内コミュニケーションの活発化」や「ビジョン・ミッションの自分ゴト化」によって成果が上がることがご理解いただけたところで、具体的な取り組み事例をご紹介します。

コミュニケーションを活性化させる取り組み・制度

まずは、社内コミュニケーションを活性化させる取り組みや制度の具体例です。

カルビー株式会社 フリーアドレス制度「オフィスダーツ」

カルビー株式会社のフリーアドレス「オフィスダーツ制度」は、出社時にオフィスの入り口のダーツシステムで「ソロ席」「集中席」「コミュニケーション席」から一つ選択すると、自動で座席が選ばれる仕組み。

「ソロ席」「コミュニケーション席」は5時間まで、「集中席」は2時間までと最長時間のルールもあり、1日に最低2回は席が替わります。

部門や役職を問わずフリーアドレスとなっており、役員も同様の制度を利用するため、様々な垣根を超えて幅広くコミュニケーションをとることが可能となります。これにより、コミュニケーションの活性化だけではなく、相乗効果によるアイデアの創出にも繋がっています。

【参考】カルビーの環境について/カルビー株式会社
【参考】本気で働き方改革!決意を表すカルビーのオフィスに潜入/CAPPY
【関連】フリーアドレスとは?メリット・デメリットや成功事例などをご紹介/BizHint

株式会社メルカリ ピアボーナス制度「mertip(メルチップ)」

株式会社メルカリが、社内コミュニケーション活性化などのために導入したのは、近年注目されているピアボーナス制度。そもそもピアボーナスとはインセンティブの一つであり、社員同士がお互いの仕事ぶりを評価して贈り合う成果給です。

メルカリではこれをオリジナルの「メルチップ」として導入。社内コミュニケーションツール「Slack」上で、相手の行動に対し「感謝」や「賞賛」を贈り合い、チームや拠点を超えてコミュニケーションを取れるようにしています。

従業員同士が贈りあった「評価」は、その度にSlack上に表示されるため、誰がどのような活動をして賞賛されたのかがリアルタイムでわかります。コミュニケーションの活性化だけでなく、社員のやる気の向上やモチベーションの維持にも一役買っていると言えます。

【参考】メルカリ社内で最も賞賛を集めた「ありがとう」は?メルチップ1周年企画/mercan (メルカン)
【関連】ピア・ボーナスとは?意味やメリット、注目の導入ツールをご紹介/BizHint

株式会社サイバーエージェント 部署の枠を超えた若手育成支援「YMCA」

株式会社サイバーエージェントでは、特に「20代特有の熱量を保ちつづけること」を念頭に「YMCA(ヤングマンサイバーエージェント)」を立ち上げました。

今や5,000名以上の社員数を誇り「メガベンチャー」と呼ばれるまでになった同社は、その組織の大きさから若手の活躍が社内で認知されておらず、モチベーション維持に課題を抱えていました。

そこで、「20代社員の部署を超えたコミュニケーション促進」などを狙って、このプロジェクトがスタート。20代社員が参加できる「あした会議(役員と社員がチームを組み、同社の新規事業案などを作成する合宿)」や社員総会などを開催。これにより、部署をまたいだコミュニケーション活性化だけでなく、その中から様々な事業部の若手社員にスポットが当たり、次世代リーダーの発掘にも役立っています。

【参考】「20代が持つ熱量を次の世代に繋いでいきたい」若手活性化組織「YMCA」とは?/FEATUReS

ビジョン・ミッションの共有・自分ゴト化させる取り組み・制度

次に、企業のビジョンやミッションを、社員に「自分ゴト化」させるための取り組みについてご紹介します。

株式会社バンダイナムコエンターテインメント 月20本以上のコンテンツ配信「Web社内報」

まずは、一般的に広く導入されている「社内報」の事例です。

株式会社バンダイと株式会社ナムコの経営統合を経て発足したバンダイナムコエンターテインメントは、別々の会社で歩んできた社員の意識の統一に課題を持っていました。そこで、「会社のことは自分ゴト」と思ってもらえる事をポイントに置き、

  1. 頭で知って知識として会社について語れる状態
  2. 社員を仲間として実感し自分以外の社員がやっていることを仲間ごととして語れる状態
  3. 心で納得し心から会社の目指していることを語れる状態

の三点をインナーブランディングで解決する施策とし、「Web社内報」を活用。社内の情報はWeb社内報を見れば全てわかるようにし、月に平均20本以上のコンテンツを配信。経営側からのメッセージや会社の動きだけでなく、プレゼント企画なども交えながら、手軽に会社の動向について知るツールとしています。

さらに「読まれる」事を重視し、トップページのデザインの工夫や、読んだ記事にはスタンプが付くなどユーザビリティを考慮した機能が盛り込まれています。

【引用】「自分ゴト」化を加速させる社内広報のあり方/AdverTimes(アドタイ)by宣伝会議

株式会社カヤック 社長のつもりでブレスト「ぜんいん社長合宿」

ユニークな制度が話題の面白法人カヤックは、自社の抱えている課題について従業員に「自分ゴト化」してもらうため「ぜんいん社長合宿」を行っています。

これは、年に2回、1泊2日で実施されるもので「自分がカヤックの社長だったら…」という設定で、例えば、新規の社内制度についてなどの「お題」についてブレストを繰り返します。合宿の最後にはプレゼンが行われ、優勝チームを決定。さらに、その成績が給与に反映されるなどモチベーションを高める仕組みになっています。

その影響もあり、社員は会社の方針だけでなく、何に対しても「自分ゴト化」が当たり前の環境となっており、「指示待ち」でなく自身の意思で行動できる人材が多いそうです。

【関連】ぶっちゃけ業務に支障はないの?面白法人カヤックに「ユニークな社内制度」の裏側を聞いてきた/株式会社日本パープル

株式会社ユナイテッドアローズ 理念も教育する社内教育機関「束矢大學」

アパレル大手ユナイテッドアローズが取り組んでいるのが、社内教育機関である「束矢(たばや)大學」です。対象は入社3年目程度の販売スタッフが中心ですが、中堅社員や新しく店長になった人材向けなど、様々な研修が用意されています。

この教育期間は、初期教育から「経営理念」の研修が盛り込まれていることが特徴。「実際の現場で理念を行動に移すとどうなるか」という具体例に落とし込んだ研修で「自分ゴト化」に成功しています。

そして、大学での研修を終えた後、そこで習得した内容を実際に現場で活かせているのか、店長からのフィードバックを義務化し、更なる学びの定着を目指しています。

【参考】すべてはCSマインドから始まる リピーターを生み出し続けるユナイテッドアローズの「理念経営」とは/日本の人事部
【参考】「ニーズに合わせて進化する“共育”制度」– 株式会社ユナイテッドアローズ/an report

まとめ

  • 組織活性化は、企業内でITが普及し従業員同士の対面のコミュニケーションが減少したなどを背景に、ヒューマンプロセス共有の枯渇などにより課題が生じたことで、注目されています。
  • 組織活性化のためには、まず経営理念やビジョン・ミッションを従業員が「自分ゴト化」できていること、さらに経営層と従業員など垣根を超えたコミュニケーションの活発化が重要です。
  • 既に組織活性化に取り組んでいる企業では、例えばフリーアドレス制度で物理的に組織の垣根を無くしたり、「社長になったつもりでブレスト」など、会社のことを自分ゴト化する取り組みなど様々な取組事例があります。

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