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2019年7月29日(月)更新

インナーブランディング

インナーブランディングとは、企業理念やビジョンなど、企業の方針やそのブランド価値などを社内に浸透させ、従業員の理解を促す目的で行われるブランディングのことです。近年、世代間のコミュニケーションギャップや、優秀な人材とのエンゲージメントが企業課題になっていることなどを背景に、注目が高まっています。 本記事ではインナーブランディングについて、そのメリットや実施手順、具体的な手法から成功事例まで、幅広くご紹介します。

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インナーブランディングとは

そもそも「ブランディング」とは、「経営・販売上の戦略として、ブランド構築や管理を行うこと」。また、企業および、その企業が有する商品やサービス等において「他と明確に差別化できる個性をつくりあげる」事を指します。

簡単に言うと、このブランディングを社内向けに行う事をインナーブランディングと言います。企業理念やビジョンなど会社の方針やブランド価値などを、従業員に理解させ浸透させる事が目的で、「インターナルブランディング」と呼ばれる事もあります。

反対に、ブランディングを社外の消費者や顧客向けに発信する事を「アウターブランディング」と呼びます。

【出典】ブランディング/コトバンク

インナーブランディングが注目される背景

「インナーブランディング」が注目されるようになった背景には、いくつかの理由があります。

まず、急速にICT環境が整備が進んだほか、デジタルネイティブ世代が実社会で活躍するようになったことで世代間でコミュニケーションの手法にギャップが生まれるようなりました。それにより、従業員同士の交流が希薄になり、「一体感」を醸成する事が難しくなっています。

また、近年では「終身雇用」は当たり前ではなくなり、2人に1人は転職すると言われる時代。会社への愛着も薄れ、優秀な人材とのエンゲージメントが、多くの企業において重要課題となっています。

このような環境において、企業は理念やビジョンの社内における啓蒙活動を意識的に行う必要に迫られているのです。

インナーブランディングのメリット

インナーブランディングを実施する事により、どのようなメリットがあるのでしょうか。

組織力の向上

インナーブランディングによって企業の考えや方向性を浸透させる事により、従業員全員が目標を共有でき、「一体感」を醸成。社内コミュニケーションも活性化します。

さらに、個人、チーム、ひいては組織全体が一つの目標に向かって能力を発揮する事により、結果的に、従業員一人ひとりの成長、そして組織力の向上にも寄与します。

優秀な人材の確保

「企業として何を目指しているのか」、そして「自分は何のために仕事をしているのか」を一人ひとりが理解できると、企業の中で自身が果たすべき役割が自ずと見えてきます。

そうするとモチベーションもアップし、自身の仕事に誇りを持ち、「この会社に貢献したい」という気持ちも強くなります。結果的に優秀な人材とのエンゲージメントも高まり、人材の確保、そして離職率の低下にもつながります。

提供サービスの質の向上

従業員が企業の方針や方向性を理解する事により、自ずと、自社のサービスや商品についての理解が深まります。

業務を「自分ごと」と捉え、日々取り組む事で、一人ひとりが提供するサービスの質の向上、さらには、目標を達成するための新しいアイデアも生まれます。最終的に、顧客満足度の向上にもつながります。

企業価値の向上

社内でブランディングが浸透すれば、従業員それぞれが自社について正しく語れるようになります。そして、一人ひとりがインフルエンサーとなり、社外にブランド価値を配信できるようになるため、企業価値の向上をはかる事ができます。

企業のイメージアップにもつながるため、広報活動の後押しとなるほか、採用にもポジティブな影響があります。

インナーブランディングを行う手順

インナーブランディングを実施する際には、具体的にどのような手順が必要でしょうか。

ミッション・ビジョンの策定

社内で会社の方針を浸透させるための「ミッション」「ビジョン」。これらがまだ策定されていない場合は、このステップから取り組む必要があります。

「ミッション」とは、果たすべき「使命」のこと。そして、「ビジョン」は組織の将来像の事を言います。経営者の頭の中に描かれているものを、分かりやすく具体的な言葉として発信する必要があります。

【関連】ミッション・ビジョンとは?用語解説から企業の例まで/BizHint

現状把握

次に、現状の把握です。アンケートなどを実施して、現在社内で企業の方針がどの程度浸透しているのか、現場で抱えている課題などについて把握します。また、具体的にインナーブランディングを実施する際のコミュニケーション手法を探る項目も必要でしょう。

「ミッション」「バリュー」が策定されていない場合には、この手順を先に実施し、現状抱えている課題や従業員の思いなどを把握した上で進めるのも一つの方法です。

具体的な施策の策定・実施

「現状把握」のステップで見つかった課題や、適切なコミュニケーション手法などを加味して、施策を策定・実施します。具体的な施策の一例として、ミッションやバリューを印刷物にして配布・掲出したり、コンテンツを作成してインターネット上で見られるようにしたり、より浸透させたい場合には語る場を設けるなど、様々な手法があります。 ツールや手法については、次章で詳しくご紹介します。

定期的なアンケート・サーベイで振り返り

施策を実践した後は、定期的に効果測定を行いましょう。アンケートやサーベイなどで、実際に浸透しているか、理解されているか、内容についての感想など…様々な側面から振り返ります。その結果を踏まえ、現状の施策の改善や、新しいツールや手法の導入などを検討します。

これを繰り返す事により、徐々にミッション・バリュー、企業理念やブランド価値の浸透が実現します。

インナーブランディングに有効なツールや手法

具体的に、インナーブランディングを実施する際にはどのようなツールや手法があるのでしょうか。

社内向け

まず、社内向けのツールです。「現状把握」のステップで得られた結果と照らし合わせ、自社にマッチしたツールを選びましょう。

社内報

「社内報」は、その名の通り社内向けに発行される情報誌。基本的に定期発行であるため、社内の旬な情報や、周知すべき情報を広く届けることが可能です。また、特定の人材や部署など、「社員」にスポットを当てた企画を掲載するケースも多く、コミュニケーションの活性化にも効果的です。

ブランドブック

ブランドブックは、企業のビジョンやミッション、歴史などを掲載するだけでなく、そこに至った経緯。そして、ロゴ・キャッチコピーに込められた想いなどが掲載されるケースが多くあります。

従業員が、自身の働く会社への理解を深めるだけでなく、立ち止まった時に原点を思い出し、「働く意味」を思い返させてくれるというメリットもあります。

クレドカード

「クレド」とは、企業活動において意思決定や行動指針となるもの。そのため、そのクレドが印刷されたカードなどを全従業員に配布し、従業員が判断に迷った時などに見返せるような施策を実施している企業も多くあります。

【関連】「クレド」の意味とは?メリットや導入方法、企業の事例もご紹介/BizHint

社内ポスター

ミッションやバリューだけでなく、一時的なキャンペーンやスローガンなどを、より身近な言葉に落とし込み、ポスターとして従業員がよく目にする場所に貼ります。常に目に触れさせる事で、浸透させたい事を常に意識させられるというメリットがあります。

ワークショップの開催

自身が働く会社のブランドについて、皆で考察する「ワークショップ」も有効な手段です。先述のクレドカードやポスターなど、一斉に周知する方法が一般的ではありますが、受け手側の従業員によって理解度に差が出てきてしまうという側面もあります。

ワークショップであれば、一人ひとりがそれについて考える時間を確保でき、より深く「自分ゴト」として捉えられるようになります。

社外向け

次に、社外向けのツールです。主に、社外のブランドイメージ向上を目的として発信しますが、結果的にインナーブランディングに繋がるものも多くあります。

オウンドメディア・ブランドサイト

オウンドメディアとは、自社で運営しているメディア(ホームページ、SNSなど)を言います。具体的には、その企業ならではの情報が掲載されたブログやウェブマガジンのこと。また、ブランドサイトは特定の自社ブランドや商品について作成されたサイトを指します。

サイトでは、製品やサービスの紹介だけでなく、役立つコンテンツや企業自体の魅力などを配信。表向きは消費者向けではありますが、従業員が閲覧する事により、自社製品やサービスの理解を深めるだけでなく、消費者に対する会社の姿勢を知ったり、消費者の生の反応を伺う事ができるなどのメリットがあります。

メッセージ動画

近年Youtubeの爆発的な普及もあり、オリジナルのメッセージ動画を作成する企業も増加しています。これもオウンドメディア同様に、企業が消費者に対するメッセージを配信するもの。

企業が消費者に対して抱いている思いや姿勢、その方針などが色濃く出ています。そのため、社内にそれを浸透させるには、非常に理解を促しやすいツールであると言えます。

インナーブランディングを導入する際のポイント

インナーブランディングを導入する際、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

経営陣の言葉で伝える

ミッションやバリューなど、経営指針に責任を持つのは経営陣です。ただ、言葉だけが浸透しても、それを「誰が」語っているのかが見えないと、従業員は実感を持つ事ができません。

最初にこのミッションやバリューを浸透させる際、この指針に至った経緯や自身の思いを、経営者自身の言葉で語ると、より「伝わる言葉」となるでしょう。

従業員に理解を強要しない

企業の方針についての理解は、従業員に強要しないようにしましょう。当然ながら、従業員は一人ひとりが違う考え方を持っており、統一的に同じレベルで理解する事は難しいと言えます。

さらに、近年ではダイバーシティが叫ばれ、従業員の価値観の多様性が進んでいる時代。あくまでも指針であり、個性は尊重するという姿勢が大切です。

長期的な計画で取り組む

手順の章でもご紹介したように、一度周知しただけでは、従業員全員に浸透しません。サーベイなどで振り返り、トライ&エラーを繰り返しながら、徐々に浸透させていきます。

あらかじめそこを理解した上で、長期的な考えで計画する必要があります。

インナーブランディングの成功事例

最後に、インナーブランディングの成功事例をご紹介します。

ザ・リッツ・カールトン

ホテルチェーン「ザ・リッツ・カールトン」では、世界中の従業員がクレドカードを常に携帯しています。このカードには「クレド」「サービスの3ステップ」「モットー」「サービスバリューズ」「従業員への約束」が掲載されており、従業員の行動の指針となっています。

同ホテルのホスピタリティは世界各国で賞賛を受け、現在、世界30カ国90のホテルを運営する一大ホテルチェーンとなっています。

【出典】ゴールド・スタンダード /The Ritz-Carlton, Osaka

株式会社サイバーエージェント

サイバーエージェントでは、ゲーム利用者が増加する年末年始に、各ゲームの運用体制について競う施策の社内ポスターを展開。実際に、そのコンテンツ制作を行う従業員を使ったインパクトのあるデザインに仕上げています。

これにより、「当事者意識」が醸成できるだけでなく、そのコンテンツ責任者の顔や人柄を広く知ってもらえるという仕組み。これらの施策を繰り返す事で「経営メッセージや施策の意図」を、徐々に社内に浸透させる事が可能となります。

【出典】サイボウズ・サイバーエージェント・LIFULLによるインナーブランディングの秘訣/採用手法のこれからを考える ダイレクト・ソーシング ジャーナル

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社では、「新しい価値を生み出すチームのメディア」として、「サイボウズ式」というオウンドメディアを運営。自社についてはもちろん、「会社・組織について」「働き方・生き方」についてなど、様々な視点で情報を配信しています。

さらに、2014年には、働くママに向けた動画「大丈夫」を配信。社会問題として、世間で多くの議論を呼び、160万回以上再生されました。これにより多くのメディアに紹介される事となり、会社の知名度だけでなく、そのミッションやバリューも広く知られる事に。結果、それまで浸透しにくかった「チームワーク」というビジョンが、社内で広く意識される様になりました。

【出典】働くママたちに、よりそうことを。/cybozu.com
【参考】LIFULL、サイバーエージェント、サイボウズの「社内広報」成功事例/@人事ONLINE

スターバックスコーヒー

大手コーヒーチェーン スターバックスコーヒーでは、最終的に顧客満足につなげるため「従業員満足度」を重要視しています。働きやすい環境づくりのため、年間80時間におよぶ研修や、パート従業員(週20時間以上勤務)でも利用できる健康保険など、様々な福利厚生制度を展開。さらに、研修ではマニュアルを用意せず、従業員自身が顧客満足のために何をすべきか考え、対応する事を教えられます。

これらにより、全国チェーンの多店舗展開ながら、「どの店舗でも、レベルの高い接客が受けられる」顧客満足度の高い店舗運営が実現。また、「広告費」など宣伝に費用をかけることなく、喫茶店・カフェの業界において売上高1位(2017年・帝国データバンク調べ)を獲得できていると言えます。

【参考】スタバ、タナベ経営に学ぶ 人材難時代のインナーブランディング/幻冬舎メディアコンサルティング
【出典】喫茶店・カフェ経営業者1180社の経営実態調査/株式会社 帝国データバンク[TDB]

まとめ

  • インナーブランディングを実施する事により、企業の方針が浸透できるだけでなく、優秀な人材の確保やサービスの質の向上、さらには企業価値の向上など様々なメリットが得られます。
  • インナーブランディングを実施する際には、まずミッションやビジョンを策定した上で、社内の現状を把握し、自社にマッチした手法やツールで実施。そして振り返りを必ず実施することが必要です。
  • インナーブランディングを導入する際には、まず経営陣の言葉で伝える事が重要です。そして従業員に理解を強要しすぎない事を意識した上で、長期的な計画で実施する姿勢がポイントになります。

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