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MBB

2020年1月27日(月)更新

MBBとは「思いのマネジメント」と訳される目標管理制度のひとつです。一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏が中心となって提唱されました。様々な価値観を持った人材が多様化している中で、組織全体を改革する人材マネジメント手法として注目を集めています。本記事では、MBBの特徴やメリット、導入方法、参考書籍をご紹介します。

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MBBとは

MBBとは「Management By Belief」の略称で「思いのマネジメント」と訳される目標管理制度のひとつです。

MBBが定義する「思い」とは、「社員一人ひとりが仕事のやりがいや楽しさを実感できる」という意味が込められており、ナレッジ・マネジメント分野の第一人者である、一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏が中心となって提唱した概念として広く知られています。

MBBは、上司と社員の創造的対話によって、社会的意義や価値観を共有するプロセスを経ます。その結果、会社によるトップダウンだけでは掲げられない目標を設定することが可能です。思いの詰まった目標は、社員個人だけでなく、組織全体で実行する目標に位置付けられます。そのため、個人・チーム全体の生産性向上の効果が期待できるのです。

仕事に対する思いを企業の経営に活かすことで個人やチームの知識や能力を最大限に引き出せるという、優れた人材マネジメントの手法です。

MBBが注目される背景

長期にわたる日本経済の停滞により、多くの企業において欧米型の成果主義への移行が拡大し、社員が目標を達成するための目標管理制度にも影響を与えるようになりました。

しかし、終身雇用制度や年功序列制度が浸透してきた日本企業では、MBO機能を効果的に発揮できないケースも多数報告されています。一部では、目標達成を重視するあまり、最初から目標を低く設定したことで、業績不振を招くケースもあるといわれています。さらに企業経営者や上司から業務の合理化や数値目標を一方的に強いられるケースもあり、社員のモチベーションが低下し、疲弊感や不満を生み出す原因とも指摘されています。

このような、成果主義を前提にしたMBOの導入がもたらしたさまざまな問題点を背景に、社員ひとり一人の「思い」をマネジメントに取り入れたMBB経営の概念が注目されるようになったと考えられます。MBBは、「信念による経営」とも呼ばれ、個人の意志や価値観を尊重することで、新たなイノベーションを生み出す組織作りに多大な効果をもたらすといわれています。

MBO(目標管理制度)との違いとは?

MCCは、MBOとともに使用される機会が増えた用語でもあります。それでは、MBOとは何なのでしょうか。

MBO(目標管理制度)とは、社員ひとり一人が自らの目標を設定し、自身で仕事の進捗や実行を管理する人材マネジメント手法のひとつです。成果のプロセスや結果を評価の基準に定めているため、目標達成までのプロセスや成果が重視されやすく、社員のモチベーション向上や従業員の能力向上に寄与します。

しかし、目標達成を重視するあまり最初から目標を低く設定してしまい業績不振を招くケースや、企業経営者や上司から業務の合理化や数値目標を一方的に強いられるケースも。結果的に社員のモチベーションが低下し、疲弊感や不満を生み出す原因とも指摘されています。

MBBは、社員自らが設定した目標への達成を目指すという点ではMBOと同じです。その違いは、目標設定を行う際に自分の想いやビジョン、価値観といったものを上司と共有し、そのうえでお互いが納得のいく目標を設定できるという点にあります。

【関連】「MBO(目標管理)」で企業を強く!経営陣が意識すべき目的やメリット、デメリットとは? / BizHint

MBBの特徴

MBBは、MBO(目標管理制度)とは異なる特徴があり、その主たる特徴として「個人の価値観を共有する」、「仕事の意義を見出す」、「OJTやコーチングへの補完的役割」の3つが挙げられます。

個人の価値観を共有する

MBBは、社員自らが設定した目標の達成を目指すだけではなく、「上司を交えた創造的対話によって明らかになった価値観を共有する」という新たなプロセスが追加されています。

企業が掲げるビジョンや事業目標だけに従うのではなく、「社員個人の思いや価値観」を具体化した上で、実現可能な目標を設定します。そのため、経営陣や上司は社員が納得するまで意見を交換できる「創造的対話の場」を提供しなければいけません。

MBBが定義する思いとは、企業経営者や上司を含めた社員個人の価値観や考え方を指します。思いを具体化するためには、組織や個人の独りよがりな考え方を一方的に伝えるのではなく、他人と意見を交換・共有することで見出した知識を高めていかなければいけません。

MBBの考え方には、「企業は個人の思いが集約された組織であるべき」との概念が根底にあります。

仕事の意義を見出す

「何のために仕事をするのか?」という理由は十人十色ですが、中には納得の行く答えを見つけ出せない方も多いのではないでしょうか。仕事の意義を見出せないまま企業に就職する新卒採用者も多く、それが早期退職につながることも少なくありません。しかし、MBBは自分の価値観や考え方を重視するため、仕事に対する自分なりの意義を見出すことが可能です。

働き方改革が促進される中、「仕事はつらいもの」「若いうちに苦労はするべき」などの価値観は既に時代遅れの価値観となっており、仕事の意義を見出す良き例とはいえません。

多様な価値観への理解と認識が必要とされる中で、MBBは社員ひとり一人の仕事に対する意義を見出すツールに相応しく、知識経営につながる優れた経営手法といえます。

OJTやコーチングへの補完的役割

MBBは、人材開発手法として用いられることが多いOJTやコーチングと関連付けて、応用することが可能です。

MBBは社員ひとり一人の価値観や考え方を尊重したマネジメントでもあるため、現場で仕事を指導していくOJTとの相性が良いとされています。また、MBBは自らの価値観や考え方を上司と共有するプロセスを経るため、上司にとっても部下の行動要因を把握しやすく、教育や指導の軌道修正にも役立てることができます。

上司と部下との信頼関係の構築に効果が期待できるコーチングにおいても、お互いの価値観と考え方を共有しておくことで、質の高いコミュニケーションや業務への取り組みが可能となります。

【関連】OJTの意味とは?計画~実行までのフロー、失敗例まで徹底解決/ BizHint

MBB導入のメリット

MBBの最大のメリットは、仕事に対する高い志をもつ人材を育成しながら、企業全体のパフォーマンスを向上できる点にあります。

以下にご紹介するメリットはMBB導入のきっかけとなるものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。

目標管理制度(MBO)との相乗効果

MBBは、MBOとの相乗効果が期待できる人材マネジメントでもあります。

つまり、社員が自ら設定した目標を上司と話し合いながら決定していくプロセス(MBO)に、社員個人の考え方や価値観を加える(MBB)ことで、組織全体における目標達成を高める効果が期待できるのです。

さらに、モチベーションの向上や社員の能力向上の精度を高め、自発的に行動する人材の育成にもつながります。

MBBはMBOの目標達成のプロセスを明確にする材料と位置付けることができます。

イノベーションの創出と組織強化

経済のグローバル化や顧客が持つ価値観の変化に伴い、ビジネスはより高度化・複雑化しています。またプロダクトライフサイクルが短期化していることからも、企業は従来よりも短い期間でイノベーションを興すことが求められています。

しかし日本の大企業においては、イノベーションのジレンマに陥りやすく、イノベーション・マネジメント導入の遅れからもイノベーションが興しにくいとされています。社員に忠義を求める日本的慣習も珍しくなく、個人の価値観のぶつかり合いによる摩擦が起こりにくい現場は、イノベーションが創出しやすい労働環境とはいえません。

偏った論理的分析に依存するのではなく、個人の価値観や考え方を尊重し、チーム全体の思いを実現することが新たな価値の創出につながると考えられます。また、独創的な価値観や考え方をもつ人材を育成することは、自発的に行動する社員を生み出し、組織の強化にもつながります。

【関連】「イノベーション」の意味とは?種類や必要性、イノベーションの興し方から課題・事例をご紹介/ BizHint

ソートリーダーシップの育成

ソートリーダーシップ(Thought Leadership)とは、特定の分野や市場、顧客に対して、優れた洞察力を用いて、人々の思想形成や議論を促す活動を指す用語です。新たな価値やお客様目線の解決策を生み出すための活動としても認識されており、マーケティング戦略においても欠かせないリーダーシップのひとつでもあります。

このソートリーダーシップは他者との共創を重視し、強い思いを基にビジネス活動を推進できるため、MBBによるマネジメントと相性が良いとされています。

MBBは他者の知識から学ぶ姿勢や自社に対する深い信念を構築する上でも役に立ちます。今後、イノベーションの必要性が高まり、ソートリーダーシップを持つ人材の需要も高まることが予想されます。そのため、MBBはソートリーダーシップを持つ人材の育成に必要不可欠なマネジメントと位置付けられると考えられます。

MBBの導入方法

MBBを導入し、適切に運用するためには、以下のポイントを押さえることが大切です。

自社が必要とする価値観の整理

MBBの構築には、社員のひとり一人の価値観や考え方と、会社の目標を前提にした経営陣や上司の思いを擦り合わせる「創造的対話」が必要です。そのため、企業が提示するビジョンや価値観を従業員にきちんと提示できるかが大切となります。

また、企業が重視する価値観やビジョンだけでなく、従業員に求める観点(グローバル性に富んでいる、地球規模で物事を考えられる、自分の価値観や生き方を大切にしているか等)を整理することが、MBB導入のための第一歩といえます。

チームコーチング

チームコーチングとは、組織(チーム)が主体的に目的・戦略を設定し、PDCAを運用することによって、成長と成果を生み出す組織に作り上げる手法のひとつです。

MBBは社員ひとり一人の高い志と知識による創造を共有することで、高い効果を発揮します。そのため、それぞれの思いを高質化するためのチームコーチングが必要となります。このチームコーチングに思いを共有するための創造的対話を基にしたチューニングを取り入れることで、個人の能力を最大限に引き出すことが可能です。

ナレッジ・マネジメントによるセッションの実施

MBBの提唱者である一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏は、MBBを実践するためには、広義のナレッジ・マネジメント(SCEIモデル)を基にしたフレームワークが必要であると結論付けています。このナレッジ・マネジメントは、共同化、表出化、連結化、内面化の4つの段階に分けて考えることで、組織としての戦略的知識を創造できる管理手法とされています。それぞれの段階の意味は以下の通りです。

  • 共同化:経験を共有することで、メンタルモデルと技能を創造するプロセス
  • 表出化:暗黙知を明確なコンセプトとして具体化するプロセス
  • 連結化:形式知同士をひとつの知識体系として創り出すプロセス
  • 内面化:行動による学習を基に、暗黙知を個人に定着させるプロセス

また、これらのプロセスにより生み出された知識を共有・活性化させるためには、それぞれの段階に適した場のデザインが必要となります。それが共同化に対応した「創発場」、表出化に対応した「対話場」、連結化に対応した「システム場」、内面化に対応した「実践場」です。

このように、MBBを効果的に活用するためには、ご紹介したプロセスとそのプロセスに適したコミュニケーションの場を創出する必要があります。

【関連】「ナレッジマネジメントの意味とは?成功&失敗事例や促進ツールもご紹介/ BizHint

MBB運用方法の模索

MBBを成功に導くための必要な要素として、未来のアジェンダ探索能力や「思い」の連鎖を起こす機会の創出、未来の自分からの自問自答が挙げられます。

また、社内外でのMBB運用のロールモデルの模索やトライアル的にMBBを実践することもMBBの運用方法を見つける上での大切な行動と考えられます。

MBBが学べる参考書籍

MBBを導入するためには、実践的な行動も大切ですが、基本的な知識を身につけることも必要となります。そこで時間のない経営者や管理職、管理職候補の方がMBBの知識を得るおすすめの方法に、書籍での学習が挙げられます。

ここでは、MBB学習におすすめの参考書籍を一部ご紹介いたします。

MBB:「思い」のマネジメント ―知識創造経営の実践フレームワーク

本書籍はMBBの提唱者である野中郁次郎と一橋大学大学院教授の一條和生らが著者を務めているため、MBBの知識を深めることができます。「仕事の楽しさとは何か?」を中心に、MBBを知識創造の組織戦略論として位置付け、わかりやすく解説してくれています。

MBB経営を行なっている企業(アウディのデザイナー・和田氏や星野リゾート社長など)のトップやデザイナーへのインタビューや具体例とともに、ビジネスパーソンがどのように仕事を自己実現へつなげるべきかを中心に執筆されています。

仕事をしていく上での考え方を学べる良書といえます。

【参考】amazon MBB:「思い」のマネジメント — 知識創造経営の実践フレ−ムワ−ク「一条和生, 徳岡晃一郎,野中郁次郎著」

MBB:「思い」のマネジメント 実践ハンドブック: 社員が「思い」を持てれば組織は強くなる

自分の「思い」の実現方法や「働き方」の指針を中心としたMBBの内容を紹介しつつ、MBB導入を成功に導くためのセルフコーチングやチームコーチング、社内SNSの運営方法なども紹介してくれている書籍です。

MBBの導入を検討、または実践している会社向けの内容になっており、組織力・マネジメント力の強化を目指した社内研修の指定書籍としても最適です。

【参考】amazon MBB:「思い」のマネジメント 実践ハンドブック: 社員が「思い」を持てれば組織は強くなる

知識創造企業

日本企業の強みとイノベーションの本質を中心に、知識創造のプロセスと方法論を中心に紹介しています。MBBの提唱者である野中郁次郎氏を中心に執筆された書籍であるため、MBBをより深く学びたいビジネスマンにおすすめです。

知識創造企業の例として紹介されている業界も幅広く、業界・職種に関わらず、どのビジネスマンにも最適な書籍といえます。経営に携わる役職の方はもちろん、経営幹部候補の方にとっても、読んでおくべき書籍です。

【参考】amazon 知識創造企業

まとめ

  • 日本的慣習が根強い日本の大企業も、成果主義を前提とした役割等級制度やグローバル人事を導入し始めています
  • そのため、社員ひとり一人の価値観や考えを重視するマネジメントであるMBBの需要は今後も高まると考えられます
  • MBBはイノベーションの創出や組織力強化、組織改革、社員の意識改革にもつながる画期的な経営手法でです
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