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連載:第63回 組織作り その要諦

『雨が降っても自分のせい』で目が覚めた。フラットな組織は要らない。日本一を目指す社長が貫く本気

BizHint 編集部 2023年3月17日(金)掲載
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もっと会社を成長させるために、社員には自律的に動いてもらいたい。そう考える経営者の方は多いのではないでしょうか。しかし、経営者と社員の間で目指す方向性にずれがあると、社員は会社から離反します。株式会社LITA代表取締役の笹木郁乃さんも、創業後に社員9割が退職する危機を経験。しかし、当時は「辞めていく人は何がそんなに不満なんだろう…」と考えていたそう。そこから数々の有名経営者の言葉によって大きな変化を遂げ、今では前年比売上5倍と急成長、1年以内の離職者は1割以下という「人が辞めない組織」を作りあげました。今回は笹木さんに、同社が歩んできた道のりと、組織に必要な「共通言語」の作り方について伺いました。

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株式会社LITA
代表取締役 笹木郁乃さん

山形大学工学部卒業後、アイシン精機(現・アイシン)で研究開発に従事。その後寝具メーカーのエアウィーヴに転職し、年商1億円が5年で年商115億円まで急成長した時代の広報担当者として、多くのメディア露出を獲得。鍋メーカー・愛知ドビーへ転職後も看板商品を12か月待ちの人気商品へと押し上げ、PRの力で急成長に貢献。2016年独立。2017年に株式会社化、2019年に「株式会社LITA」へ社名変更。著書に『0円PR』(日経BP)、『お金をかけずに誰でもできる!SNS×メディアPR100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。


社員の9割が会社を去るも「辞めていくスタッフが合わないだけ」と思っていた

――貴社はここ2年で売上が5倍、社員数は前年比2倍と、急成長を遂げていらっしゃいますね。その成長の裏側について、お伺いできればと思います。

笹木郁乃さん(以下、笹木): ありがとうございます。しかしながら、ここまでの道のりは決して楽なものではなかったんです。

私はもともと、会社を大きくするつもりで起業したわけではなくて。創業当時のスタッフは気心のしれた女性が多く、業務委託メンバーからも「いくちゃん」とニックネームで呼んでもらうなどフラットな関係で、個々が自分のペースで仕事ができればいいよね!といった雰囲気でした。

ただ、会社を経営していく中で、当社が主催しているPR塾の卒業生が増え、彼らが全国各地でPRをすることにより、これまで世の中に知られていなかった商品・サービスが、どんどんメディアに紹介されるようになりました。PRの力の凄さをあらためて感じ、「もっと世の中に影響を与えられる、日本一のPRの会社にしたい」という思いが、どんどん強くなっていって…。

同社は、経営者や個人事業主、広報担当者などにPRスキルを伝える「PR塾」の主催、PR代行事業のほか、2022年から女性向けビジネスアップデートアカデミー「I’me(アイミー)」事業も行っている。社名の「株式会社LITA」には、「利他の精神」の意味を込めているそう

笹木: そのためには、今のままではダメだと感じました。スタッフの目指すビジョンがそれぞれ違うと、やりたい業務や習得したいスキルのために個々が動き、大きな変革を一緒に作れないんですよね。たとえば、新規案件をお願いしても「やりたくありません」と言ってしまうスタッフもいる状態でした。これではいつか成長が止まってしまう。個々のプロの集まりの延長線ではなく、ちゃんとした組織を作らないといけない。会社が目指すべきビジョンを定め、そこに向かう大きな船を作らないと、日本一を目指すことはできない、と考えるようになったのです。

そこで思い切って、フラットな関係性から、上司部下の関係性へと変えました。

これは、組織開発の考え方の一つである「識学」の一部を参考にしました。役職をつくり、経営トップである私から、役職者を通じて現場スタッフに伝達がいくような組織構成にしたのです。私の呼び方も、ニックネームの「いくちゃん」ではなく「社長」に変えてもらいました。このようなピラミッド型の組織をつくるとともに、会社として成長するため、求める数値目標をどんどんあげていったのです。

――スタッフの皆様の反応はどうだったのですか?

笹木:社長にはついていけない 」と言われました。ぽつりぽつり、一人、また一人……と辞めていって、 最終的には9割のスタッフが去っていってしまったんです。

――9割ものスタッフを見送ったのは、笹木さん自身も苦しかったのではないでしょうか。

笹木: そうですね。今振り返ると、経営者である私の力不足でした。しかし、当時の私は 「辞めていくスタッフが合わないだけ」としか思っていなかったんです。

辞めていくスタッフは「目指すゴールや熱量が違って、スタッフ同士ワイワイしたい人」なんだろう。私は、この会社を大きくしたい、世の中に大きな影響を与えて役に立ちたいと思っているだけなのに…と。

当時の私は、結果にコミットして、会社の業績をあげることに精一杯で、辞めていくスタッフの気持ちを知ろうともしていませんでした。気心の知れた仲間と、仲良く、やりがいをもって仕事をすること。これが、当時のスタッフが会社に求めていたことだったのです。それなのに急に「お客様の満足度をもっと上げよう」「ゴールは草野球の優勝ではなく、メジャーリーグの優勝を目指そう」といっても、ついてこられないのは当たり前です。しかし、あの頃の私はそのことに気付いていませんでした。

有名経営者の教えに学んだ「経営者としての未熟さ」

――その後、どのように心境が変化されていったのでしょう?

笹木: 当社のCOOを務める、井上との出会いが大きいですね。経営者の先輩でもある井上には、時々意見を求めていました。そんなある日、「社員がどんどん辞めていってしまうんです、なんで辞めていくんだろう…」と井上に相談したところ、ある言葉とともに、経営者としての未熟さを指摘されました。

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