はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2018年8月17日(金)更新

玉突き人事

玉突き人事とは、あるニーズによって従業員を異動することで空いたポジションを次々と穴埋めしていくことです。季節ごとの定期異動とは異なり、戦略や計画性を欠いた人事異動になりやすく、企業、社員共にリスクとなります。組織活性化には成長戦略に沿った明確な目的のもと、計画的なジョブローテーションを行うことが必要です。

玉突き人事 に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

玉突き人事とは

人事異動によって人材育成や組織の活性化を図ることはよくありますが、やむを得ない理由で行われる異動もあります。玉突き人事の意味とは何か、玉突き人事と配置転換の違いについてご説明します。

玉突き人事の意味

玉突き人事とは、あるニーズによって従業員を1人動かすことにより、空いたポジションを次々と穴埋めしていく人事異動のことです。玉突き(ビリヤード)で起こる玉突き連鎖のように人事異動することから、玉突き人事と呼ばれています。

玉突き人事には、穴埋めのための人事異動が次々と発生します。適性や能力、異動可能時期などを考慮して行おうとすると複雑化してしまい、客観的な理由が分からないまま異動を申し渡される場合も少なくありません。

配置転換との違い

配置転換とは、同一企業内で職務や勤務地などを変更する異動のことです。配置転換には企業内と企業間(子会社や関連企業の間)の2種類があります。従来の年功序列による長期雇用では慣行的に行われてきた人事異動です。

玉突き人事との違いはその目的です。玉突き人事は、欠員補充など突発的な理由で起こるため、戦略や計画性のない人事異動であるのに対し、配置転換は、様々な経験を通して人材育成や能力開発、組織活性化を目的として行われます。

【関連】BizHint HR/「配置転換」とは?人事異動との違いや不当になる事例を解説

玉突き人事が起こる理由

玉突き人事が起こる理由にはどのようなものがあるのでしょうか?

人員不足を補い、配置バランスをとる

ある部署で、介護などの理由で退職者が出た場合、人員不足を補うために他部署の社員を当てることになると、次々と穴埋めが起こって玉突き人事になります。あるいは、全社を見渡して、人員過剰な部署と不足している部署のバランスをとるために、人事異動を行って適正を図ることがあります。数のバランスをとるために行われるため能力に対して適性が合わず、一時的な問題解決のための人事異動になる場合があります。

問題部署の再生を図る

問題を抱えている部署の生産性が組織全体にまで影響を与えている場合、問題部署の組織活性化のために対応が必要になります。例えば、社員同士の人間関係が良好でないために、業務におけるコミュニケーションに支障が出ている場合、あるいは、仕事の適性が合わず業務効率が悪い社員を抱えて困窮していることなどがあります。こうした状況が逼迫している場合には、玉突き人事によって部署の再生を図ることがあります。

社員の癒着や不正を防ぐ

長年同じメンバーで業務を行っていると、業務生産性が停滞したり、社員同士の馴れ合いが起こりやすくなります。あるいは取引先との癒着問題が起こる可能性があります。こうしたマンネリ化による癒着や、不正の兆候がみられてから人事異動を行った場合、玉突き人事になる確立が高くなります。正当な理由のない玉突き人事に巻き込まれた異動対象者の中には、退職を検討する者が出てくる可能性が高くなります。

玉突き人事による弊害

場当たり的な玉突き人事を行うことは、組織にどのような弊害を生むのでしょうか?具体的にご説明します。

キャリア育成に繋がりにくい

定年までの長期雇用が保証された時代の人事異動とは異なり、人材流動化が一般化し、人事異動がキャリア形成や人材育成に繋がりにくい雇用情勢に変化しています。また、時代の変化が速くなり、グローバル化によって何事にも成果とスピードが求められています。玉突き人事によってこれまでと専門性の異なる部署に配属されることで、それまでのキャリアが中断されてしまいます。

適材適所が図れない

人事異動では、人材育成のほか、適材適所を目的に行われる場合もあります。組織戦略に基づいて人的資源の最適化を行うことで、業務効率化や生産性を向上、または組織活性化を図ります。

玉突き人事のように突発的な人事異動では、戦略的な人事異動は組みにくく、当面の問題解決や業務維持になりがちです。異動元の上司は異動先に適性のある有能な人材を手放さず、異動先の上司は適性能力の低い人材の受け入れを拒みます。こうしたことも原因となって、業務に対して適材適所とはいえない玉突き人事になります。

人材の流出を招く

定年制度が主流の時代には、定年までの雇用が保証されていたため人事異動によって社員の負うリスクはほとんどありませんでした。しかし成果主義が主流の今、人事異動によるキャリアの中断は、社員にとって大きなリスクとなります。1つの専門性に特化してキャリアアップを望む社員が玉突き人事によって専門外の部署に異動になった場合、年齢が有利なうちに転職を検討する者も少なくありません。

時代の流れや社員の志向を考慮して、戦略的な人事異動を計画的に行わなければ、人材の流出を招きかねません。

異動先社員の負担が増える

通常の人事異動でも言えますが、異動者との信頼関係の構築から教育やサポートなど、異動先部署の社員の業務負担が増えます。社員は異動してきた社員に対して業務の説明や教育、さらに仕事に慣れるまで続くサポート業務が必要になります。また、上司も通常業務に加え、異動してきた社員の業務サポートやマネジメントを行なう必要があります。

人事異動で組織を活性化するためのポイント

今や時代のニーズに応えつつも、多様化する社員の価値観を考慮した人事異動が必要とされています。組織を活性化し、企業競争力を高める人事異動のポイントについてご説明します。

ジョブローテーションで戦略的な人事異動を行う

ジョブローテーションを行うメリットは、経営戦略に基づいた計画的な人材育成やキャリア開発ができることです。そして、高い視点に立ったものの見方や発想力を養い、変化の激しい時代のスピードに柔軟に対応できる人材を養成するための投資でもあります。

しかし、ジョブローテーションをしたものの、適性が合わないなど異動後の調整や見直しが必要な場合もあります。軌道修正を行うタイミングは、慎重かつ適切な対応でリスクを最小限に留めることが大切です。

【関連】BizHint HR/ジョブローテーションの意味とメリット・デメリット、目的や制度、事例

全社最適化で企業力アップを図る

生産性向上のために社員の適材適所の人事配置を行うことは、企業力アップに欠かせない要素です。社員の適性を見極めながら、計画的に人事異動を行って全社最適化を図ることは、将来的に企業競争力の強化に繋がります。

企業としての将来的なビジョンを掲げ、その実現に向けて各部署の目的と役割を明確にしておくことも大切です。また、部署に必要な人材の適性や能力を明らかにしておくことでジョブローテーションの精度を上げることができます。

【関連】BizHint HR/「生産性向上」は日本経済の課題!知っておきたい法律や改善方法、導入事例をご紹介

異動の目的を明確にして計画的に行う

人事異動の目的を明確にすることは、企業の人事戦略としての効果が高まります。また、異動対象者に内示を伝えるときに、異動理由として納得感を得られやすくなります。

人事異動を行う理由の多くは、人材育成、キャリア開発、適材適所、マンネリ化による生産性の停滞、全社最適化などが挙げられます。こうした目的が明確で計画的な人事異動は、企業の課題解決とともに、社員の適性や方向性を考慮した人材配置がしやすくなります。

配属先を決める基準を設ける

成果主義が主流の今、人材配置を行う人の“勘”や、異動対象者の過去の業績から予測する方法は、判断として不十分な時代になりました。配属先部署を決めるにあたって人材選びの参考になるのが、配属先部署のコンピテンシー・モデルです。

コンピテンシーとは職種ごとに優れた成果を出す人の行動特性で、採用、能力開発、人事評価などに活用されています。時代の変化に対応していくには、定期的にコンピテンシーを測定することが大切です。配属先部署の人材要件の洗い出しや、異動対象者の適性判断に活用することで、ミスマッチを減らす効果があります。

【関連】BizHint HR/コンピテンシーとは?人材育成・組織開発への活用法をご紹介
【関連】BizHint HR/コンピテンシーモデルとは?モデルの作り方や面接や人事評価での活用例をご紹介

社員の方向性や能力を把握しておく

ジョブローテーションを導入している企業の多くは、異動対象者の要件定義をしています。それを基に異動対象者を決定していきます。このとき異動対象者の能力のほか、将来の方向性や家庭の事情なども把握し、考慮に入れて人選を行うことが大切です。

組織戦略を実現するには、異動が原因の転職リスクを避けて、優秀な人材を確保し続けることが必要です。これからの人事異動は、異動対象者のキャリアの方向性とすり合わせながら、企業の利益を追求していく工夫が必要になります。

異動の目的や意図、異動理由を社員に伝える

企業、社員双方にとって、キャリアアップや人材育成は重要な課題です。しかし、企業が人材教育にかける費用は伸び悩み、社員は業務と自己啓発を通してキャリアアップを行っているのが実情です。

異動の内示はその目的や判断理由を対面で伝えて、本人の理解を得ることが大切です。理由の分からない異動は企業に対する不信感を招き、モチベーション低下や人材流出になりかねません。異動先でやる気やモチベーションを高めて業務に取り組めるように、適切な対応をすることが必要となります。

まとめ

  • 人材の流動化やグローバル化が進む競争社会では、長期的視野での人材育成やキャリア開発は、将来的なビジョンに沿って慎重に行うことが必要になっています。
  • 業務スピードや成果が求められるなか、人事異動はリスクを伴う場面も増えています。異動が原因でキャリア形成の中断や、人材の流出にならないよう人員配置には工夫が必要です。
  • 優秀な人材を確保し続けるには、組織の都合や利益に限らず、社員の価値観や方向性、家庭の事情などを考慮して人事異動を決めることが大切です。

注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計130,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 事業運営のキーワードが把握できる
  • 課題解決の事例や資料が読める
  • 厳選されたニュースが毎日届く
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

玉突き人事の関連キーワードをフォロー

をクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードフォローの使い方

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次