はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

組織・チームワーク

2019年3月4日(月)更新

創業150週年の老舗ブランドを守りつつ、次を画策する木村屋のこれから

Logo markBizHint 編集部

プロ・リクルーター、河合聡一郎さんによる事業承継の成功のヒントを探る連載。前篇に引き続き、株式会社木村屋總本店 代表取締役社長の木村光伯さんにお話を伺います。2006年に28歳の若さで7代目社長に就任するも、業績不振による経営再建に直面。しかし事業改革を推し進め、4期連続赤字からV字回復を果たします。また、従来のトップダウン型からボトムアップ型の組織へシフトするなど、対話を重視した組織づくりにも積極的です。後篇では、木村さんが描く木村屋總本店の未来について迫ります。

バックナンバー
コメントを読む
メインビジュアル

株式会社 木村屋總本店 

代表取締役社長 木村光伯さん

2001年、学習院大学経営学科卒業後、家業である木村屋總本店に入社。02年に日本パン学校で、翌年にはアメリカに留学してパン作りを本格的に学ぶ。05年に取締役、06年に常務取締役に就任。同年、7代目社長となる。


10年の経営のなかで改革したもの

河合聡一郎さん(以下、河合): 社長に就任されて約10年立ちましたが、その中で改革したものとはなんでしょうか。

木村光伯さん(以下、木村): まずは赤字体質から脱却するため、取扱商品やお取引先様の選択と集中、物流と生産工程を見直し業務改善を図りました。その一環で2011年の震災後に工場の製造ラインを一部マニュアル化します。その結果、作業を効率化し品質も安定したのですが……。必ずしも毎日100点のパンができるかというと、そうではなかったんです。ご存知のように パンは発酵食品でとてもデリケートです。気温や湿度、わずかな環境の違いで仕上がりが大きく変わります。 昔、製造ラインに立っていた時に職人さんから言われた言葉「パンは生き物。毎日向き合うことが大事」を痛感しました。

河合: 自分たちが理想とするパンづくりを追求するためには、日々、目の前の品質に向き合う必要がある。そこには決してマニュアル化できない、職人にしかわからない勘や経験があるということですね。実際、現場では日々どんなことを実践しているのでしょうか?

木村: チームでMTGを実施するようになりました。成功事例を共有し、技術をブラッシュアップしていく。反対に何か納得のいかないことがあれば「なぜそれが起こったのか?」「何が原因だったのか?」を話し合う。皆で考えながら改善していくようになりました。ここでも先輩たちの教えが思考の基盤です。

河合:マニュアル化したことで、かえってチーム内にセクショナリズムが生まれていた。 ここでもやはり対話とボトムアップがカギになっています。ものづくりも組織もよく似ていますね。

木村: そうですね。それに私個人としては、 結果的に「年功序列」に“なった”組織はとてもいいなと 思うんです。

河合: なんだか意外に感じます。それはなぜでしょうか?

木村: 最近では「年功序列=旧態依然の制度」として語られることがあります。ですが、 パン作りにおいてはやはり職人の長年の経験が問われます。マニュアルである程度高い品質のパンは作れても100点以上にするには、その日その日に応じた対応が求められる。 社員それぞれが経験を積み、結果的に皆が成長して、自然と年功序列型の組織が形成されていく。そんな流れが作れたら面白いんじゃないかなと思っています。社員の帰属意識ももっと高まるのではないでしょうか。

河合: いわば今の時代に即した、「新しい年功序列型」の組織。それはとても面白いですね。

創業150年、木村屋總本店が描く未来

「プロ・リクルーター、河合聡一郎さんが聞く【事業承継のカギ】」バックナンバー

  1. 事業承継の成功のカギと後継者に必要な資質とは【株式会社ReBoost河合聡一郎さん】
  2. 「自分が成果を出してこそ信頼される」は勘違い 【銀座英國屋小林英毅さん×河合聡一郎さん】
  3. 3代目経営者が事業を承継するなかで「変えた」こと「変えない」こと【銀座英國屋小林英毅さん×河合聡一郎さん】
  4. 元祖あんぱん・木村屋總本店7代目、木村光伯さんの経営哲学は「ボトムアップを大切に」
  5. 創業150週年の老舗ブランドを守りつつ、次を画策する木村屋のこれから
  6. 火の車状態から年商50億まで成長、さらに100億稼ぐ飲食チェーンになるために社長が考えていること【玉寿司・中野里社長】
  7. たった3か月で寿司職人を育成する玉寿司の人材育成【玉寿司・中野里社長】
  8. 恨まれながらも社員を全員解雇、事業承継した3代目の改革への想い
  9. 大阪・生野の下町企業が「82年目のスタートアップ」として、上場を目指す理由
  10. 日替わり弁当のみで年商70億、玉子屋のスゴい事業承継
  11. 人材は入社してから育てればいい、社員の悩みに答えてこそ中小企業【年商90億を支える人材育成】
  12. 創業130年の繊維メーカーを率いる30代社長、「時代に合わせてしなやかな変化を」
  13. 経営の「攻めと守り」のバランスを上手く取る【三星グループ・岩田真吾さん】
  14. 2億円の債務超過の状態から「世界最高の鍋・バーミキュラ」で会社を立て直した兄弟
  15. バーミキュラが売れる仕組み、透明度の高い組織を作る【愛知ドビー株式会社・土方邦裕さん/智晴さん】
  16. 破産した会社も「日本式M&A」で引き受け再び成長へ【三重県の印刷会社アサプリのスゴい経営】
  17. 順番を間違うな。社員の幸せを前提とした見える化とグループ力の追求【三重県の印刷会社アサプリのスゴい経営】
  18. 上場時の役員が全員入れ替わってでも「会社は理想を実現する箱」と言い切るわけ【サンワカンパニー山根太郎社長】
  19. “感性品質”を高めて売上約50億円から100億円企業に【サンワカンパニー山根太郎社長】
  20. 全財産を投じながらIMJを再建した経営者がたどり着いた境地【くじらキャピタル・竹内真二社長】
  21. 会社のコアは変えずリストラもしない、経営再建のプロが語る再成長への道筋【くじらキャピタル・竹内真二社長】
  22. 富士そばは「仕事に困っている人」の受け皿企業でありたい【富士そば・丹有樹社長】
  23. 安定を求む社員が多いからこそ、社長が一番大きな失敗を【富士そば・丹社長】
  24. 自分をクビにした父を見返したい、三代目の不屈の精神から生まれた「獺祭」誕生秘話
  25. 20年で売上138億まで成長した獺祭。先を見据えた組織造りのカギとは?
  26. 32歳の専業主婦が町工場を継ぎながら、リーマンショックを乗り越えた話

この記事の関連キーワード

をクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードフォローの使い方

注目の人物

最近記事コメントに支持を集めている人物

目次