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2019年4月9日(火)更新

ミドルマネジメント

ミドルマネジメントとは組織の中間に位置する役職の総称であり、トップマネジメント層の経営方針や描いている成長ビジョンを正しく理解し、目標や課題の達成に向けてロワーマネジメント層や現場従業員のコントロールを実施する組織の要です。多くの経営者や人事担当者が抱えているミドルマネジメント人材不足という問題を解消するため、ミドルマネジメントの意味や役割、ミドルマネジメントが抱えている課題やミドルマネジメント育成を効果的に実施するポイントなど有効な情報を分かりやすくまとめて解説致します。

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ミドルマネジメントの意味とは

ミドルマネジメント(Middle management=中間管理者層)とは、トップマネジメント層とロワーマネジメント層の中間に位置するマネジャー層であり、中間管理職やミドルマネジャーと呼ばれることもあります。

ミドルマネジメントの適用範囲

組織や企業によってミドルマネジメントの適用範囲は異なりますが、一般的には部長や課長、係長などの役職を持つ人材がミドルマネジメントして扱われています。

また、部長の上司が管理職ではなく役員(社長、専務、常務、取締役員、執行役員など)となるケースが多いことから部長をミドルマネジメントに含めるのは適切ではないという意見もありますが、トップの想いを実現させ、ボトムの意見を吸い上げるという点において他のミドルマネジメントと求められる人材要素に大きな差異がないため、本記事では部長についても課長や係長と同様にミドルマネジメントとして扱います。

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ミドルマネジメントの役割

ミドルマネジメントは組織の要として多くの役割を担っている重要なポジションです。ミドルマネジメントに与えられる役割には次のようなものがあります。

トップマネジメントの補佐

経営者など経営責任を負う人々で構成されるトップマネジメント層(経営層)が戦略的意思決定をスムーズに行えるよう、ミドルマネジメントは組織内に存在する経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)の現状報告や経営方針に基づく実施計画の立案などのサポートを行います。

トップマネジメントに対するミドルマネジメントのサポートが的確であるほど組織戦略や目標の設定精度が高まるため、ミドルマネジメントには企業理念や経営ビジョンへの深い理解が求められます。

ロアーマネジメントの指揮監督

トップマネジメントの設定した経営方針や中長期目標に基づいて立案した実施計画が、ロアーマネジメント層において正しく実施されているか監督し、必要に応じて軌道修正の指揮をとることもミドルマネジメントの重要な役割です。

ロアーマネジメント層から高い支持を受けるミドルマネジメントが、積極的に現場に関わることによって現場の士気は高まり、現場力を組織力へと昇華させることで、組織の成長可能性を飛躍的に高めることが可能となるでしょう。

トップマネジメントとロアーマネジメントのパイプ役

ミドルアップダウン型組織とは、実行スピードの早さと作業効率性の高さが魅力であるトップダウン型組織と、現場で働く人材だからこそ気付くことのできる市場変化の兆しや改善策などの吸い上げによって組織の柔軟性や即時対応力を高めるボトムアップ型組織を同時に実施することにより、ワンマン経営化や意見の不一致といったデメリットを解消しながら、双方の良い部分だけを引き出すことができる優れた組織管理法です。

ミドルマネジメントはこのミドルアップダウン型組織を実現させるため、トップマネジメントとロアーマネジメントの意思疎通を円滑にするパイプ役という重要な役割を担っています。ミドルマネジメントが自身の役割を正しく理解し、トップの方針と現場の意見を適切に処理することによって、戦略性と実行力を兼ね備えた強い組織を構築することが可能となるでしょう。

部門間の調整役

横の繋がりが多い大規模組織に所属するミドルマネジメントは、部門間の調整役という役割も担うことになります。そのため、ミドルマネジメントは自身の管轄する部門だけではなく、組織が行っている全事業に対する幅広い専門的知識を身につけておかなければなりません。

ミドルマネジメントが部門間連携を円滑にすることによって、ヒューマンエラーやトラブルが発生しにくい職場環境を構築することができるでしょう。

プレイングマネジャー

長年に渡りマネジメントの専門家として数々の重要な役割を担ってきたミドルマネジメントですが、近年では従来のマネジメント業務を行いつつ実務もこなすプレイングマネジャーとしての活躍に期待が高まっています。

しかし、ミドルマネジメントのプレイングマネジャー化は、現場感覚を維持しやすいといったメリットがある一方、プレーヤーとして時間を消費することによって、本来のマネジメント業務に支障をきたしやすいといったデメリットも存在するため、与える役割の総量と時間のバランスが妥当であるかを十分に検討した上で導入しなければなりません。

【関連】プレイングマネージャーとは?求められる役割と陥りがちなこと / BizHint HR

ミドルマネジメントに求められるスキル

プレイングマネジャーとしての活躍を期待されているミドルマネジメントに求められるスキルは多岐にわたっており、その全てを把握することは容易ではありません。

しかし、ハーバード大学教授のロバート・L・カッツ(Robert L. Katz)氏が論文『スキル・アプローチによる優秀な管理者への道(Skills of an Effective Administrator)』においてカッツ理論を展開する際に用いた図表(通称:カッツモデル)を活用することにより、ミドルマネジメントに求められるスキルの全容把握と分類が視覚的に行えるようになります。

カッツモデルを見るとミドルマネジメントにはトップマネジメントの決断や組織活動への理解を深めるために欠かせない『コンセプチュアルスキル』、現場への理解やプレイングマネジャーとしての活動に必要となる『テクニカルスキル』、そして組織内の円滑化を図る『ヒューマンスキル』の3つがバランス良く必要だということが分かります。

この3つのスキルを活用して組織の活性化に貢献できるミドルマネジメントを育成するため、それぞれのスキルに含まれる要素について学んでいきましょう。

コンセプチュアルスキル(概念化能力)

コンセプチュアルスキルとは物事を概念化することで本質を正しく捉える能力のことです。コンセプチュアルスキルに含まれる要素には次のようなものがあります。

  • ロジカルシンキング(理論的思考力、論理思考力)
  • ラテラルシンキング(水平思考)
  • クリティカルシンキング(批判的思考)
  • チャレンジ精神(挑戦力)
  • ビジネスセンス
  • 多面的視野
  • 先見性
  • 好奇心(知的好奇心)
  • 探究心
  • 状況分析力
  • 応用力
  • 洞察力
  • 変革力
  • 直感力(ひらめき力)
  • 俯瞰力
  • 決断力

【関連】コンセプチュアルスキル向上を図る意味とは?研修具体例や書籍を紹介 / BizHint HR

ヒューマンスキル(対人関係能力)

ヒューマンスキルとは組織内の人間関係を良好に保ち、個人やチームの持つパフォーマンスを最大限に高めることができる能力です。ヒューマンスキルに含まれる要素には次のようなものがあります。

  • コミュニケーション能力
  • リーダーシップ(統率力、調整力)
  • マネージャーシップ(現場管理能力、業務管理能力)
  • ダイバーシティ(多様性)への理解
  • コーチングスキル(部下育成力)
  • ファシリテーションスキル
  • ネゴシエーションスキル(交渉力)
  • プレゼンテーションスキル(提案力、表現力)
  • 戦略実行力
  • カリスマ性
  • 柔軟性
  • 受容性
  • 情報伝達力

【関連】ヒューマンスキルの意味とは?種類と向上の方法を例を交えご紹介 / BizHint HR

テクニカルスキル(業務遂行能力)

テクニカルスキルとは自分に与えられた職務や業務を遂行するために必要な能力です。テクニカルスキルに含まれる要素には次のようなものがあります。

  • 業務関連資格
  • 高度な専門技術
  • 専門分野に対する深い知識
  • 自社商品や独自サービスの知識
  • 組織構成員(会社員、従業員)としての自覚
  • 目標達成意識(目標達成力)
  • エンゲージメント(愛社精神)
  • コンプライアンスへの理解
  • パソコンスキル(ITスキル)
  • 巧緻性(器用さ)
  • 時間管理力(タイムマネジメント)
  • 行動力

【関連】テクニカルスキルとは?具体例やヒューマンスキルとの違いをご紹介 / BizHint HR

ミドルマネジメントの抱える課題

これまで長きにわたり日本経済と日本企業の現場を支えてきたミドルマネジメントですが、組織のフラット化やIT化、企業コンプライアンスに対する意識の高まりといった経営環境の変化により、既存ミドルマネジメントの活用や新規ミドルマネジメントの育成が難しくなっています。

メンタルヘルス対策の不足

従来から心配され続けてきた上下からの板挟みによるストレスの蓄積は、人間関係の希薄化やITインフラの充実によるコミュニケーション機会の減少によって改善されるどころか悪化の一途を辿っています。

トップの意向をボトムに伝え、職場全体を見渡しながら常に最善の選択肢の見極めを行う役目を担っているミドルマネジメントが、メンタルヘルスの不調によって前線を退くことは大きな痛手となるため、全ての組織は最重要課題としてメンタルヘルス対策を検討しなければならないのです。

時間と能力の不足

【出典】第3回 上場企業の課長に関する実態調査/学校法人 産業能率大学

学校法人産業能率大学が2016年3月に発表した『第3回上場企業の課長に関する実態調査』によると、上場企業に勤める課長のうち、プレーヤーとしての仕事を一切与えられていないミドルマネジメントの割合はわずか0.9%となっています。

【出典】第3回 上場企業の課長に関する実態調査/学校法人 産業能率大学

また、半数を超える58.3%がプレーヤーとしての活動がマネジメント業務に与える影響について、『とても支障がある』または『どちらかと言えば支障がある』と回答しています。

プレイングマネジャー化したミドルマネジメントは、与えられた多くの業務を完璧にこなすため常に時間に追われるようになり、自身のスキルアップを図ることすらも困難となってしまうのです。

求められるレベルの高度化

ライバル企業との差別化や部下のメンタルヘルスケア、グローバル社会への対応などミドルマネジメントに期待されるレベルは止まることなく高度化し続けています。

  • イノベーションの創出
  • 高度な技術や知識の獲得と活用
  • コミュニケーションを通じた精神的サポート
  • 多様性への理解と受け入れ

限られた時間の中で更なる成長を目指すことは容易ではないため、多くのミドルマネジメントが理想と現実のギャップに頭を悩ませています。

達成感や自己効力感の不足

日々の業務に追われ続けるあまり、自身の活動に対する達成感を十分に感じることができないミドルマネジメントは少なくありません。また、次々に増え続ける業務は不安意識や苦手意識を生み出し、自己効力感(セルフエフィカシー)を低下させてしまいます。

『自分は管理職に向いていないのではないか』という想いがヒューマンエラーを引き起こし、失敗経験が更なる自身の低下を招く。このような悪循環によって人材のポテンシャルやパフォーマンスが活かされにくい職場環境が構築されてしまうのです。

【関連】自己効力感(セルフエフィカシー)の意味とは?尺度と高める方法/ BizHint HR

人事評価の複雑化

2016年、世界中で広く利用されてきた人材評価ツールである9ブロックをGeneral Electric社が廃止するというニュースは全世界に大きな衝撃を与えました。また同時にビジネスバリューであったGE ValuesをGE Beliefへと変更し、『No Rating(レイティングの廃止)』と『No Curve(正規分布の廃止)』を掲げたことによって、各国の経営者や人事担当者は実力主義へコミットメントするための人事評価について考えるようになりました。

しかし、絶対評価や相対評価を行わない人材評価方法では部下自身が感じる手応えとの差異が生まれやすく、評価者側にとっても評価の妥当性を確認することが難しいため、部下の評価や育成に多くの支障が出てしまっています。

【関連】9ブロックを人事評価ツールとして導入するメリットと導入方法 / BizHint HR
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ミドルマネジメント育成のポイント

年々深刻化するミドルマネジメントの人材不足や課題の増加により、ミドルマネジメントの戦略的育成に対する関心は高まっています。経営トップや企業人事担当者が、ミドルマネジメント育成のポイントを学び実践することによって、組織内のミドルマネジメント環境を改善し、活力ある組織へと生まれ変わらせることが可能となるでしょう。

十分な時間と学習機会を与える

組織内のミドルマネジメント育成環境に危機感を覚えているのであれば、何よりも最優先で時間的余裕と学習機会を作り出さなければなりません。また、育成対象者との相性を考えながら個人個人に対する最善の教育方法を選択する必要があります。

  • プレーヤー業務をOJT(職場内研修)として活用することで、勤務時間内にマネジメント技術の向上を図る
  • ミドルマネジメント研修プログラムやビジネススクールをOFF-JT(職場外研修)として活用する
  • 現職者から候補者へのミドルマネジメントスキルの伝承を通じ、客観的な視点から自身に足りない要素の洗い出しを行う など

【関連】OJTの意味とは?計画の立て方、研修の内容・手法・メリットをご紹介 / BizHint HR
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ストレスマネジメントを実施する

ストレスマネジメントとはストレスの発生源となるストレッサーを把握し、対処法を検討することによってストレッサーの排除やストレスレベルの軽減、蓄積されたストレスの解消を行うことです。

ストレスを感じている当事者が自分自身の置かれている環境と向き合うことで、自発的にストレスマネジメントを実施することが理想的ではありますが、ストレッサーの排除やストレスレベルの軽減を実現させるためには外部からのサポートを必要とする場合も多く、妥協や失望が更なるストレスを生み出してしまい逆効果となる場合も少なくありません。

それに対し、経営陣や人事部が先頭に立って実施するストレスマネジメントは、ストレスを抱えている人材の置かれている環境を改善する力を持っているため効果が現れやすく、組織に大切に扱われているという感情がエンゲージメントを高め、ストレスの発生しにくい職場環境を構築することも可能となります。

トップマネジメント層から適切なストレスマネジメントを受けたミドルマネジメントは、ロアーマネジメント層に対しても適切なストレスマネジメントを実施することができるようになるでしょう。

【関連】ストレスマネジメントの意味とは?方法や研修などの事例までご紹介 / BizHint HR

風通しの良い組織風土の構築

役職や年齢を問わずに互いの想いを我慢することなく伝え合うことができる組織と、常に相手の顔色を伺いながらコミュニケーションを取らなければならない組織では、ミドルマネジメントにかかる負担が大きく変わってきます。

風通しの良い組織風土の構築により、コミュニケーションの円滑化や離職率の低下を図ることで、ミドルマネジメントの業務負担を大きく軽減することができるでしょう。

【関連】組織風土とは?意味と改善方法、組織風土改革の企業事例をご紹介 / BizHint HR

具体的な目標や成長イメージを設定する

ミドルマネジメントに達成感や自己効力感を正しく感じさせるためには、具体的な目標や成長イメージを設定する必要があります。

ミドルマネジメントの経験を通じ、どのような人材へ成長していきたいのか。そして、それはいつまでに達成したいと考えているのか。成長イメージと長期目標、短期目標を上司と共有し、一定期間毎にモニタリングと評価を実施することによって、自身の活動に対する手応えを感じ取ることが可能となるのです。

人事評価基準を明確にし、力を発揮できる環境を用意する

明確な人事評価基準や昇進判断基準を示すことにより、従業員は目指すべき人物像をイメージしながら突き進むことができるようになります。また、個々の従業員が自身のパフォーマンス(業績、実力)やポテンシャル(潜在能力)を発揮できる舞台を用意することで、MBA取得者の持つ深い専門知識や中途採用者が前職で培ってきた多彩なスキルを最大限に活用することが可能となります。

ミドルマネジメントの行う人事評価業務の容易化と、ロアーマネジメント層のモチベーションアップを同時に実現させることにより、ミドルマネジメントは大きな負担を感じることなく、部下との関係を良好に保ちながら人材育成に力を注ぐことができるでしょう。

【関連】人事評価制度とは?評価対象や評価手法、企業事例などもご紹介 / BizHint HR

まとめ

  • ミドルマネジメントとは組織全体を見渡し、ロアーマネジメントに対して適切なマネジメントを実施することによって、トップマネジメントが描く将来ビジョンを実現させる組織の要である
  • 多くのミドルマネジメントはプレーヤーとしての業務も割り振られており、プレイングマネジャーとして時間に追われながら日々の業務をこなしている
  • ミドルマネジメントには『コンセプチュアルスキル』、『ヒューマンスキル』、『テクニカルスキル』の3つがバランス良く求められている
  • ミドルマネジメントの抱える多くの課題を正しく理解し、ミドルマネジメント育成のポイントを押さえた人材育成戦略を構築することにより、長期間に渡って自社で活躍してくれるミドルマネジメントを育成することが可能となる

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