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2019年4月9日(火)更新

要員計画

長引く不況の中、高度経済成長期のような大量の人材採用や終身雇用を中心とした雇用形態が終焉を迎えた現代において、より効率的な人材の確保や有効活用に頭を悩ませている経営者や人事部の担当者はきっと多いことでしょう。今回は「要員計画(人員計画)」をテーマに、現代社会に即した実践的な人材戦略の手法をご紹介したいと思います。

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要員計画とは

「要員計画」とは、企業が効果的、効率的な事業計画の運営を進めるにあたり、必要な人材の確保や分配、または人件費の適正化のための不要な人材の整理などを計画することをいいます。要員計画の範囲は採用計画や配置計画、異動計画、能力開発計画など多岐にわたり、「人員計画」とも呼ばれています。

効果的な要員計画を実施するには、「要員ギャップを明確にする」ための要員調査と「要員ギャップを解消する」ための多角的なアプローチが必要となります。

要員ギャップを明確にする

企業内における部門や部署といった組織ごとに、どのような人材がどの程度不足しているのかを明らかにするだけでなく、余剰人員を把握することも重要になります。このように、要員計画を策定するために必要な調査を「要員調査」と呼びます。

要員ギャップを解消する

要員調査で可視化されたギャップを解消するために、総額人件費管理の観点などから適正な人件費を算出したり、組織ごとの人材の過不足に応じて算出したりするなど、様々なアプローチによって要員数を決定します。

なぜ「要員計画」が必要なのか?

冒頭でも触れた高度経済成長の終焉と長引く不況といった要因の他にも、ビジネスのグローバル化やITインフラの普及、少子高齢化といった人口構造の変化など様々な影響を受け、働く者の労働環境や仕事に対する価値観は大きな変貌を遂げました。現在の採用の現場は、空前の売り手市場となっています。そして、その変化は今後も続いていくことが予想されます。

このような状況の中、企業においては「経営人事」「戦略人事」などの言葉が象徴しているように、企業を支えるのは「人」であるという認識が一般的となりました。そして、続いていく変化を生き抜くために中・長期的なビジョンに立った人的資源の量的・質的な適正化が求められています。そこで注目されているのが、戦略的マネジメントとしての「人事」の鍵を握る「要員計画」なのです。

要員計画の実践

それでは、要員計画を実践する手順を具体的に見ていきましょう。要員計画が活用される人材の採用計画を基本に解説していきたいと思います。

要員調査

要員計画は、企業の経営計画や経営方針にとっての最大の支えとなる人的な経営基盤を確立するために、企業にとって必要な人材の「質的・量的な要員ニーズ」を正確に把握することからスタートします。

調査すべきニーズ

退職や異動などによる欠員の補充や、研究職・技術職といった高度な専門性を必要とする代替の効かない人材ニーズはもちろん、新規事業への進出や事業の多角化といった事業戦略上のニーズや、少子高齢化による歪んだ従業員年齢構成のアンバランスの是正など、要員調査で把握すべきニーズの洗い出しは多岐にわたります。

要員計画の立案

続いて、要員調査によって明確になった要員ニーズに基づき、実際の要員計画を立案します。要員の算出方法は、そのアプローチによって大きく3つに分けることができます。

マクロ的アプローチ(トップダウン方式)

会社全体の目標売上高に基づく「労働分配率」や「損益分岐点」などから必要な人員総数を確定し、各職種や部署、部門に割り振る方法で、「トップダウン方式」とも呼ばれます。

【マクロ的アプローチの問題点】
マクロ的アプローチだけで要員計画を策定してしまうと、適正人件費などの財政面を重視し過ぎるあまり現場に十分な人員が行き渡らず、従業員から「業務遂行に支障をきたす」といった不満が生じてしまう危険性があります。

ミクロ的アプローチ(ボトムアップ方式)

業務・作業量分析に基づいた業務量に応じて、部署や部門、職種、階層別に現場が必要な人員を要請し、それを積み上げて算出する方法で、「ボトムアップ方式」とも呼ばれます。

【ミクロ的アプローチの問題点】
ミクロ的アプローチだけで要員計画を策定してしまうと、現場の要請を受け入れて積み上げていくのでどうしても人員が多くなり過ぎ、人件費負担を抑制することが難しく財政面での圧迫を招く危険性があります。

質的アプローチ

マクロ的アプローチやミクロ的アプローチといった量的な算出方法だけでなく、企業としての事業戦略と連動した、長期的な視点に立った算出方法も必要となります。

経営理念や事業計画、業務分析、または従業員へのヒアリングなどの結果に基づき、戦略遂行に必要な機能の担い手としてあるべき人物像を定めます。そのうえで、現在の社員や従業員の状態とのギャップから必要人員を算出するなど、質的なアプローチも組み合わせることで、より有効な要員計画の策定・実践に結び付けることが可能となります。

採用計画の決定

以上のように、マクロ的手法とミクロ的手法という視点の異なる二種類の量的な算出方法と、長期的な視点に立った企業としての質的な人材確保の考え方とを統合し、最終的な採用方針や採用基準、採用数などを決定します。

高度経済成長期の過程では、ミクロ的な視点で現場に要員を配置してマクロ的なチェックをするだけで十分でしたが、不況下の現在では、マクロ的な視点で総額人件費管理の観点から要員配置の大枠を決めて、各現場の業務量に応じた人員の分配を行うのが一般的となっています。

要員計画を立案する際のポイント

最後に、要員計画をより効果的に実践するためのポイントを紹介します。先ほどは「人材の採用」を考え方の基本に具体的な実践方法を解説しましたが、要員計画は採用のためだけのものではありません。人材活用に関する様々な視点を考慮に入れることが重要となります。

社内人材を有効に活用する

新卒採用や中途採用の他にもアルバイトやパートなど、人材不足からくる要員ニーズに対応する場合には外部からの人材確保に目が行きがちになりますが、社内の埋もれた人材を有効活用する視点も持つ必要があります。

どのような会社、または部署や部門においても、100%の能力を発揮できないでいる従業員は存在します。しかし、そのようなマンパワーを単なる余剰人員としてカウントするのではなく、能力や適性といった個々の従業員の情報をきちんと把握して異動やローテーションを実施することで、新たな活躍の場を与えることも可能です。

もちろん、既にいる社内の人材を活用するので、外部から採用する場合と比較して新たな労務コストを抑えることにもつながります。

費用対効果を考慮する

前項にもある通り、外部からの採用は新たな労務コストを生み出します。また、その他にも管理職比率の上昇や派遣社員の恒常的な利用など、人件費が膨れ上がってしまう要因はいくらでもあります。人件費マネジメントは、人事部の至上命題と言っても過言でないないでしょう。このような場合、どうしても「人員削減」という発想になってしまいがちです。

しかし、「人を何人減らせるか」ではなく「1人当たりの生産性をどれだけ向上させられるか」という人的生産性の視点に切り替えるだけで、解決策の選択肢は大幅に広がります。

人材育成・定着対策を検討する

そのような解決策の選択肢として重要となってくるのが、「人材をいかに育成できるか」「個々の能力をどれだけ伸ばせるか」そして「人材をどれだけ定着させることができるか」といった「人材マネジメント」の考え方になります。

特に、ある一定以上の経験やスキルを必要とする職種の場合、簡単に外部からの人材調達では代替えできないケースも多くあります。自社でレベルの高い人材を育成する必要のある職種に関しては、相応の母集団形成も必要となりますので、中長期的な視野に立った資本投資を考えることが重要となります。

人材育成や定着対策を徹底することは、ひいては企業の採用活動における採用力(企業の魅力)を高めることにもつながります。

IT化による業務効率化を検討する

さらに、人材不足を補うための採用を考える際には、本当に「ヒト」が必要なのかどうか、業務効率化の観点から見直すことも重要です。IT化された業務システムを導入するなど、業務における機械化・自動化・簡略化を促進することで、無駄な仕事や不要不急の仕事の排除が可能となり、個々の生産性を伸ばすことにつながるケースもあります。

まとめ

  • 要員計画の目的は、企業における要員ギャップを明確にし、そのギャップを解消すること。
  • 企業にとって必要な人材の「質的・量的な要員ニーズ」を正確に把握することが重要。
  • 会社として必要な人員総数を確定して割り振る方法を、マクロ的アプローチと言う。
  • 組織の現場で必要な人員を算出する方法を、ミクロ的アプローチと言う。
  • 単に数量的な算出に基づく採用だけでなく、社内人材の活用や育成など様々な視点を持つことで有効な要員計画となる。

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