はじめての方はご登録ください(無料)会員登録
search

2019年6月25日(火)更新

OODAループ

OODAループとは、アメリカ空軍で大佐を務めていたジョン・ボイド氏が提唱した、あらゆる分野に適用することができる戦略の一般理論です。「Observe(観察)」「Orient(情勢への適応)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」「ループ」という5つの構成要素からその名がつきました。当記事では、OODAループのビジネス分野への適用を支援するため、注目されている理由やPDCAサイクルとの違い、5つの構成要素、適用する際のポイント、ビジネス書籍などの項目に整理して分かりやすく解説します。

OODAループ に関するビジネス事例や製品の情報を受取る

OODAループとは

OODAループとは、アメリカ空軍で大佐を務めていたジョン・ボイド(John Richard Boyd)氏が提唱した、あらゆる分野に適用することができる戦略の一般理論です。 「Observe(観察)」「Orient(情勢への適応)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」という4つのステップの頭文字と「ループ(Feedforward・Feedback Loop)」からその名がつきました。

世界最速の思考法ともいわれているOODAループを用いることによって、目まぐるしく変化し続ける状況に素早く対応し、相手よりも先に有効な一手を打つことで優位性を高めることができます。

そのためビジネス分野では、営業やマーケティング、新しいビジネスモデルの開発、イノベーションの創出など、柔軟性や適応力、機動力が求められる場面でフレームワークとしてOODAループが活用されています。

OODAループが注目されている理由

近年、大きな注目を集めているOODAループ。OODAループがビジネス分野で注目されるようになった理由として、次のようなものがあげられます。

  • PDCAサイクルでは想定外の事態に対応できないから
  • 多くのAIはビックデータがないと成果を生み出すことができないから
  • VUCA時代を生き抜くために必要不可欠な考え方だから

OODAループは常に最新の情報を元に判断や行動を行うため、想定外の事態が発生した場合でも臨機応変に対応することができます。また、直前のアクションによって得られた結果やデータをその場で収集、分析してアプローチを再検討するというプロセスを踏むため、前例のない過酷な環境下であっても効果的に機能することができます。

不安定(Volatility)で不確実(Uncertainty)、複雑(Complexity)で曖昧(Ambiguity)な現代社会ではPDCAサイクルをうまく回すことが難しく、十分な成果を生み出せないどころか競合他社に大きな遅れを取ってしまいかねません。

自律分散型組織やリーンスタートアップ、デザイン思考、アジャイル開発など最先端の組織形態や理論、思考法のベースにOODAが存在しているように、VUCA時代を生き抜くためにはOODAループが必要不可欠となっているのです。

OODAループとPDCAサイクルの違い

PDCAサイクルと比較されることの多いOODAループ。その違いをまとめると以下のようになります。

  OODAループ PDCAサイクル
判断基準 ビジョンと原状 計画内容
得意分野 状況に応じた意思決定 生産管理や品質管理
想定外への理解 起きることが前提 起きないことが前提
想定外への対応 得意 苦手
重視するもの 柔軟性やスピード感 計画性
サイクル期間 短い 長い

OODAループの構成要素

前述の通り、OODAループは「観察(Observe)「情勢への適応(Orient)」「意思決定(Decide)」「意思決定(Decide)」という4つのステップと「ループ(Feedforward・Feedback Loop)」から構成されています。ここでは、それぞれの構成要素に含まれる意味や役割を解説します。

観察(Observe)

1つめのステップは「Observe」です。日本語では「観察」や「監視」と訳されています。

OODAループでは、意思決定者となる人物が自分の目や肌で感じ取った生の情報が重要な判断基準となります。そのため、ただ何となくその場に存在するのではなく、明確な目的意識を持ち、多様なデータを収集できるように努めなければなりません。

ビジネス分野に適用する場合には、市場や業界、顧客、競合他社、取引先企業の動向などを中心に注意深く観察し、現状の把握や問題の発見、原因の特定を行います。

情勢への適応(Orient)

2つめのステップは「Orient」です。日本語では「情勢への適応」や「状況判断」、「方向付け」と訳されています。「Observe」で収集したデータを分析、統合して判断材料へと変換する「Orient」は、提唱者であるジョン・ボイド氏がビッグOと称するほど重要なステップです。

集めたデータを以下の5つのフィルターに通し、意味のある情報に変換した上で、情勢判断や将来予測による仮説構築、対策案の洗い出しを行います。

  • 文化的伝統(Cultural Traditions)
  • 分析・総合(Analysis & Synthesis)
  • これまでの経験(Previous Experiences)
  • 新しい情報(New Information)
  • 遺伝的遺産(Genetic Heritage)

意思決定(Decide)

3つめのステップは「Decide」です。日本語では「意思決定」と訳されています。

「Decide」では、自社のビジョンや達成するべき目標と原状を照らし合わせ、数多く存在する選択肢の中から最も適切だと思われる方策や手段を選択します。また、必要に応じて具体的な実施手順の決定や計画の周知徹底を行います。

実行(Act)

4つめのステップは「Act」です。日本語では「実行」や「行動」と訳されています。

「Act」では、「Decide」で決定した内容を実行し、「Orient」で構築した仮説が正しかったかどうかを見極めながら、次の「Observe」に向けて実行対象の反応や実行の影響による環境変化などデータを収集します。

ループ(Feedforward・Feedback Loop)

工程を重視するPDCAサイクルの場合、「Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)」という4つのステップを段階的に進めなければ2週目に進むことができません。

しかし、優位性の獲得を目的とするOODAループでは、必要に応じて意思決定と実行を同時に行ったり、各ステップから観察へと戻ることができます。当然ながら、「ループ」には実行から観察への移行も含まれています。

OODAループをビジネス分野に適用する際のポイント

OODAループはすでに様々なビジネスシーンで活用されています。OODAループをビジネス分野に適用する際のポイントには次のようなものがあります。

明確なビジョンや具体的な目標を掲げる

OODAループでは、計画や上司からの指示に従って動くのではなく、ビジョンの実現や目標の達成に向けた優位性の獲得を目指し、個々の意思決定者がその場でデータの収集や分析、意思決定を行い、実行に移します。

そのため、明確なビジョンや具体的な目標をあらかじめ掲げておくことで、現場でのデータ収集や分析、意思決定をよりスムーズに行えるようになります。

スピード感を最優先し、徐々に精度を高めていく

OODAループは、一部の人しか扱うことのできない特別なスキルでも近年生み出された最新の理論でもなく、誰もが日常的に実施しているものです。

しかし、多くの人々はこのプロセスを無意識下で処理しているため、OODAループの重要性を正しく理解して意識的かつ高速に実施することで、相手のペースを乱し、優位に物事を進めることができます。

OODAループを実施する上で避けなければならないのは、相手にペースを乱されてしまうことです。そのような状況に陥らないためにも、相手よりも素早くOODAループを回すことを最優先し、行動に対する反応や時間の経過により新たに得られた情報から仮説や判断の誤りを見つけ、最適化を図るように心掛けましょう。

ルールや暗黙知を共有する

組織全体にOODAループを導入する場合、常日頃から組織の運営方針に対する理解を深め、判断や行動に関する一定のルールを設けた上で共有しておくことが重要となります。

また、各自が保有する暗黙知を共有化できる環境を整備することによって、個人の暗黙知だけでは到底考えられない速度と精度でOODAループを回すことが可能となります。

環境や条件に合わせてPDCAサイクルと使い分ける

OODAループはあらゆる分野に適用することができる優れた理論ですが、PDCAサイクルとはそもそもの目的や性質が大きく異なるため、完全に置き換える必要はありません。

状況が刻一刻と変化する中で優位に立ち回りたい場合にはOODAループを、限られた環境の中でパフォーマンスの最大化を図りたい時にはPDCAサイクルをというように使い分けることで、最善の結果を得ることができるでしょう。

OODAループを組織に導入する際に役立つビジネス書籍(本)

OODAループに関するビジネス書籍は多数出版されていますが、今回はそれらの中から組織向けにまとめられた本を厳選して紹介します。

OODA LOOP(ウーダループ)―次世代の最強組織に進化する意思決定スキル

米国防衛産業の経営コンサルタントでジョン・ボイド氏の同僚でもあったチェット・リチャーズ氏が2004年に出版した「Certain to Win」を、神戸大学大学院の教授である原田勉氏が翻訳した本書。

この本の中には、チェット・リチャーズ氏がジョン・ボイド氏から直接学んできたOODAループの本質がぎっしりと詰め込まれています。日本語翻訳版のオリジナルとして最近の事例をふまえた訳者の解説も掲載されているため、ただ知識を吸収するのではなく、実践的な視点で学び取ることができるでしょう。

【参考】OODA LOOP(ウーダループ)―次世代の最強組織に進化する意思決定スキル/amazon

「すぐ決まる組織」のつくり方――OODAマネジメント

アイ&カンパニー・ジャパンの代表で経営コンサルタントの入江仁之氏が自身の経験を元に、OODAループをビジネスの現場に導入し、応用するための入門書として綴った本書。

この本では、日本型組織が抱えるあらゆる問題をOODAループによって解決することを目指し、典型的な12の症状をOODAループの12の成功原則に当てはめながら分かりやすく解説しています。

【参考】「すぐ決まる組織」のつくり方――OODAマネジメント/amazon

まとめ

  • OODAループとは、ジョン・ボイド氏が提唱した、あらゆる分野に適用することができる戦略の一般理論であり、ビジネス分野でも様々なシーンでフレームワークとして活用されています。
  • OODAループは、「Observe(観察)」「Orient(情勢への適応)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」「ループ(Feedforward・Feedback Loop)」という5つの要素で構成されています。
  • 不安定で不確実、複雑で曖昧なVUCA時代を生き抜くためには、迅速に想定外の事態に対処できるOODAループが必要不可欠です。
  • 組織内でOODAループの強みや特性を最大限に活かすためには、組織側がOODAループを正しく理解し、ポイントを押さえながら導入・運用をしていく必要があります。
  • PDCAサイクルからOODAループに完全に置き換えるのではなく、環境や条件に合わせたOODAループとPDCAサイクルの使い分けによって、最善の結果を得ることが可能です。

注目のビジネス事例トピックを、逃さずチェック。

大手やベンチャー含め計200,000人以上の会員が利用しています。

BizHint の会員になるとできること

  • 事業運営のキーワードが把握できる
  • 課題解決の事例や資料が読める
  • 厳選されたニュースが毎日届く
  • アプリで効率的に情報収集できる
いますぐ無料会員登録

OODAループの関連キーワードをフォロー

をクリックすると、キーワードをフォローすることができます。

キーワードフォローの使い方

ビジネス事例や製品の情報を受取る

フォローしたキーワードの最新トピックをトップページに表示します。 フォローはでいつでも変更することができます。
フォローを管理する

目次