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OODAループ

2020年1月31日(金)更新

OODAループとは、アメリカ空軍で大佐を務めていたジョン・ボイド氏が提唱した、あらゆる分野に適用することができる戦略の一般理論です。「Observe(観察)」「Orient(情勢への適応)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」「ループ」という5つの構成要素からその名がつきました。当記事では、OODAループのビジネス分野への適用を支援するため、注目されている理由やPDCAサイクルとの違い、5つの構成要素、適用する際のポイント、ビジネス書籍などの項目に整理して分かりやすく解説します。

OODAループとは

OODAループとは、 リアルタイムで起きている環境変化に合わせて、現場レベルで判断・実行し、組織全体で目的を達成していくための意思決定プロセス です。

見た目の通り、「観察(Observe)」、「状況判断(Orient)」、「意思決定(Decide)」、「実行(Act)」という4つのステップと「 ループ 」で構成されています。

OODAループの特徴として、計画や上司からの指示に従って動くのではなく、 ビジョンの実現や目標の達成に向けた優位性の獲得を目的 に、個々の意思決定者が その場でデータの収集や分析、意思決定を行い、実行に移す 点です。

このように現場レベルでOODAループを実施することは、目の前の原因や結果に対して、素早く対応し、競合他社と比べて競争優位性を高める効果もあります。

そのためビジネス分野では、営業やマーケティング、新しいビジネスモデルの開発、イノベーションの創出など、柔軟性や適応力、機動力が求められる場面でのフレームワークとしてOODAループが活用されています。

一方でOODAループは、現場レベルでの実行や4つのステップの内容によりPDCAサイクルと混同されやすいプロセスです。しかし、この2つは全く異なる概念です。詳しくは「OODAループとPDCAサイクルの違い」で後述します。

OODAループの提唱者

OODAループは、アメリカ空軍で大佐を務めていたジョン・ボイド(John Richard Boyd)氏が常に変化する戦況に合わせて、臨機応変に対応するために提唱した戦略といわれています。

先が見えない戦況において、「迅速に判断し、適切に行動する」ことが、40秒で戦況を逆転させ、勝利に導く「40秒ボイド」という異名を持つまで評価された実体験が元になっています。

引退後、ボイド氏による人間の意思決定に関する研究から、ビジネスや政治など多様な分野に適用できるように考案された戦略がOODAループの起源とされています。

ビジネスでOODAループが注目されている理由

プロダクトライフサイクルの短期化や多種多様な価値観の浸透による消費者ニーズの多様化によりVUCA時代(不確実性が高く予測不可能な時代)に突入した現代では、従来のように安定した売上・利益を見込みにくくなっています。企業は刻一刻と変化する消費者のニーズを正確に把握し、製品やサービスに迅速に反映させなければなりません。

OODAループは、 常に最新の情報を元に判断や行動を行い、想定外の事態が発生した場合でも現場レベルで臨機応変に対応できる意思決定プロセス です。また、直前のアクションによって得られた結果やデータをその場で収集、分析してアプローチを再検討するというプロセスを踏むため、前例のない事態であっても最適な対応が可能となります。

OODAループを活用することで、

  • リアルタイムで消費者ニーズや製品に対する評価をSNSで取得し、商品開発に反映させる
  • 既存技術を活用した新たな事業創生
  • 市場環境に応じて、適切な対応ができる組織づくり(OODAマネジメント)

など、変化し続ける市場環境に合った対応策を打ち出せます。

また、自律分散型組織やリーンスタートアップ、デザイン思考、アジャイル開発といった最先端の組織形態や理論、思考法は、OODAループの思考が反映されています。

OODAループ 4つのステップ

OODAループは「観察(Observe)」、「情勢への適応(Orient)」、「意思決定(Decide)」、「意思決定(Decide)」という4つのステップと、「ループ(Feedforward・Feedback Loop)」から構成されています。

ここでは、各ステップの意味や役割を解説します。

観察(Observe)

OODAループでは、意思決定者が自分の目や肌で感じ取った情報やリアルタイムの情報が重要な判断基準となります。そのため、明確な目的意識を持ち、多様なデータを収集するように努めなければなりません。

ビジネス分野に適用する場合には、市場や業界、顧客、競合他社、取引先企業の動向などを中心に注意深く観察し、現状の把握や問題の発見、原因の特定を行います。

OODAループの観察というステップでは、自らの考えや計画、思い込みに固執することなく、観察対象を意思決定者自身が観察して、外部状況のデータを収集することが大切です。

状況判断(Orient)

観察(Observe)で収集したデータをもとに、状況判断(Orient)を行います。

  • 今、何が起きており、どのような影響があるか
  • どのような意味があるか
  • 市場情勢や競合他社と比べた競争優位性はどうなのか
  • 過去の自身の経験から活かせるものはないのか
  • そのような文化的背景があるものなのか など

このように、集めたデータを活用して分析や統合を行い、意思決定を行う問題における文化的背景や、意思決定者のこれまでの経験なども踏まえながら状況を把握していく、OODAループの中でも特に重要なステップとなります。

意思決定(Decide)

意思決定(Decide)では、状況判断(Orient)で整理した内容をもとに意思決定を行います。

  1. 状況判断(Orient)で得た市場情勢や自社の競争優位性を考慮した仮説を立案
  2. 自社のビジョンや達成するべき目標と現状を照らし合わせ、選択肢をリストアップ
  3. その中から最も適切だと思われる施策や手段を選択

必要に応じて、具体的な実施手順の決定や計画の周知徹底も行いましょう。

実行(Act)

最後に実行(Act)です。

意思決定(Decide)で決定した内容を実行し、状況判断(Orient)で構築した仮説が正しかったかどうかを見極めながら、次の観察(Observe)に向けて実行対象の反応や実行の影響による環境変化などデータを収集して、ループさせていきます。

ポイントとなるのが、目の前で起きている環境に合わせて現場レベルで判断し、組織目的の達成を目的とするOODAループでは、必要に応じて意思決定(Decide)と実行(Act)を同時に行う、各ステップから観察(Object)へと戻るなど、環境や現状に応じてステップを変更できる点です。

商品開発や事業創生においても、現状や環境変化に応じて、各ステップから観察(Object)に戻ることで、組織目標の達成のために軌道修正が可能です。

OODAループとPDCAサイクルの違い

PDCAとは、「Plan(計画)」⇒「Do(実行)」⇒「Check(評価)」⇒「Action(改善)」のステップで、 定期的に業務内容や計画を見直し、失敗を繰り返さないために改善していく業務改善手法 です。

PDCAでは、目標と期間を明確化にした上で、実行可能な計画を策定し、計測可能なKPIの設定することで、改善ポイントを見出し、改善策を実行するという作業を繰り返します。PDCAサイクルは、無駄な作業時間を削減し、効率的な仕組みを構築できるため、多くの業務に適用できます。

OODAループとの違い

PDCAサイクルとOODAループには、 目的や判断基準、適用できる分野、特徴、実施期間 と、さまざまな違いがあります。

以下に違いをまとめました。

  OODAループ PDCAサイクル
目的 スピーディーな意思決定 業務改善
判断基準 ビジョンと現状 計画内容
最適な分野 市場環境や消費者ニーズ 生産管理や品質管理
不確実性への理解 起きることが前提 起きないことが前提
特徴 柔軟性やスピード感 サイクルを完結
サイクル期間 短い 長い

また、大きな違いとして、 OODAループは不確実性の高い事象を重視し、PDCAサイクルは計画そのものを重視する点 です。そのため、OODAループは現状の変化によってループの途中でも再考・再検討を行いますが、PDCAサイクルは必ずPDCAサイクルを完結させてから、2週目のサイクルに入ります。

環境条件に合わせてPDCAサイクルと使い分ける

OODAループはビジネス、政治、事業創生、商品開発などさまざまな分野に適用できる優れた理論ですが、PDCAサイクルとは目的や性質が大きく異なるため、完全に置き換える必要はありません。

状況が刻一刻と変化する中で競争優位性を確立したい場合はOODAループを、限られた環境の中でパフォーマンスの最大化を図りたい時にはPDCAサイクルを採用することで、最善の結果を得ることができます。

OODAループ活用のポイント

OODAループはすでに様々なビジネスシーンで活用されています。OODAループをビジネス分野に適用する際のポイントには次のようなものがあります。

明確なビジョンや具体的な目標の共有

OODAループは明確なビジョンや具体的な目標を提示し、認識をきちんと合わせておくことで、現場レベルでのデータ収集や分析、意思決定がスムーズに行えます。

組織全体にOODAループを導入する場合、常日頃から組織の運営方針に対する理解を深め、判断や行動に関する一定のルールを設けた上で共有しておくことも重要です。

また、各自が保有する暗黙知を共有化できる環境を整備することで、個人の暗黙知を共有化しない環境と比べ物にならない速度と精度でOODAループの実現が可能となります。

OODAループの実現は ビジョンや目的を関わる組織のメンバー全員に提示して、認識をきちんと合わせていくことが大切です。

スピード感を最優先し、徐々に精度を高めていく

OODAループは、一部の人しか扱うことのできない特別なスキルでも近年生み出された最新の理論でもなく、実は誰もが日常的に実施しているものです。しかし、多くの人々はこのプロセスを無意識下で処理しています。

OODAループの重要性を正しく理解して意識的かつ高速に実施することで、相手のペースを乱し、優位に物事を進めることができるでしょう。

OODAループを実施する上で避けなければならないのは、相手にペースを乱されてしまうことです。そのような状況に陥らないためにも、相手よりも素早くOODAループを回すことを最優先し、行動に対する反応や時間の経過により新たに得られた情報から仮説や判断の誤りを見つけ、最適化を図るように心掛けましょう。

OODAループを組織に導入する際に役立つビジネス書籍(本)

OODAループに関するビジネス書籍は多数出版されていますが、今回はそれらの中から組織向けにまとめられた本を厳選して紹介します。

OODA LOOP(ウーダループ)―次世代の最強組織に進化する意思決定スキル

米国防衛産業の経営コンサルタントでジョン・ボイド氏の同僚でもあったチェット・リチャーズ氏が2004年に出版した「Certain to Win」を、神戸大学大学院の教授である原田勉氏が翻訳した本書。

この本の中には、チェット・リチャーズ氏がジョン・ボイド氏から直接学んできたOODAループの本質がぎっしりと詰め込まれています。日本語翻訳版のオリジナルとして最近の事例をふまえた訳者の解説も掲載されているため、ただ知識を吸収するのではなく、実践的な視点で学び取ることができるでしょう。

【参考】OODA LOOP(ウーダループ)―次世代の最強組織に進化する意思決定スキル/amazon

「すぐ決まる組織」のつくり方――OODAマネジメント

アイ&カンパニー・ジャパンの代表で経営コンサルタントの入江仁之氏が自身の経験を元に、OODAループをビジネスの現場に導入し、応用するための入門書として綴った本書。

この本では、日本型組織が抱えるあらゆる問題をOODAループによって解決することを目指し、典型的な12の症状をOODAループの12の成功原則に当てはめながら分かりやすく解説しています。

【参考】「すぐ決まる組織」のつくり方――OODAマネジメント/amazon

まとめ

  • OODAループとは、ジョン・ボイド氏が提唱した、ビジネス、政治、事、学校の教育現場、デザイン、人工知能などさまざまな分野に適用できる思考・意思決定プロセスであり、不確実性の高い現況に適切な対応を実現できる。
  • 不安定で不確実、複雑で曖昧なVUCA時代を生き抜くためには、迅速に想定外の事態に対処できるOODAループが必要不可欠である
  • OODAループは「 観察(Observe)」、「 状況判断(Orient)」、「意思決定(Decide)」、「 実行( Act)」の4つのステップで、現状のデータを収集・分析し、現状の状況判断を行い、戦略の方向性を組み立て、行動します。
  • OODAループは不確実性の高い現状への対応に強く、必要であれば、柔軟にステップを巻き戻る。PDCAサイクルは計画を重視した上で、必ずサイクルを完結した上で改善を繰り返す。
  • 組織内でOODAループの強みや特性を最大限に活かすためには、明確なビジョンや具体的な目標を提示し、認識をきちんと合わせておく必要がある。

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